「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第13回】
収益認識基準等へ対応した法人税法の改正は前回解説したとおりだが、消費税法は収益認識基準等に対応した改正が行われていない。
消費税の税額計算の基礎となる課税標準は、「課税資産の譲渡等の対価の額」である。例えば、1つの契約に履行義務Aと履行義務Bがある場合、取引価格1,000を独立販売価格に応じて履行義務A900、履行義務B100と配分したとする。そして、履行義務Aは当期に収益を認識したが、履行義務Bは翌期に収益を認識するため、当期は契約負債として計上している。
〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第5回】「イヌ・サル・キジは、どの時点で収益を認識すればよいか」
イヌ・サル・キジの最終目標は、桃太郎からきびだんごをひとつずつもらうことでした。それが取引の最初の段階で達成できてしまうのが『桃太郎』のお話です。
まず、販売取引の一般的なプロセスを確認しておきましょう。
〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第4回】「鬼ヶ島渡航から宝物輸送までの一連の業務は1つの履行義務か」
3種類のサービスのうち、戦闘については「宣戦布告」と「すねに噛みつく」の2つがあるので、それらを別の業務と捉えると、イヌには合計4つの業務がありますね。
収益認識の手続きでは、これら4つの業務が、それぞれ別個の履行義務なのか、あるいは1つの履行義務なのかを判別する必要があります。
それによって、次のような違いが出るからです。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第12回】
平成30年度税制改正において、法人税における収益認識基準等への対応のための改正が行われている。
この改正により、「基本的に」法人税法上も収益認識基準等と同様の処理が認められることになった。
ただし、法人税法上でも収益認識に関する会計基準等と異なる部分はある。また、消費税法上は「収益認識に関する会計基準等」への対応による改正は行われていない。
〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第3回】「イヌ・サル・キジが桃太郎に約束したこと~それが履行義務」
先回説明した内容を踏まえて、さっそくイヌ・サル・キジたちの具体的な役目を棚卸ししていきましょう。
桃太郎からきびだんごを1つずつもらったイヌ・サル・キジは、鬼退治に参加することを承諾しました。鬼退治に参加して、イヌ・サル・キジが「具体的に何をやるか」ですが、大きく次の3つに分けることができます。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第11回】
収益認識基準等では、貸借対照表の勘定科目として、「契約資産」、「債権」、「契約負債」について規定されている。
企業が顧客に対する約束を履行している場合又は企業が履行する前に顧客から対価を受け取る場合には、企業の履行と顧客の支払との関係に基づき、契約資産、契約負債又は債権を適切な科目をもって貸借対照表に表示する(基準79)。
〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第2回】「桃太郎と契約したイヌの貸借対照表はこうなる」
イヌ・サル・キジたちは、桃太郎の鬼退治についていくことを約束しました。この約束が「契約」であるということは、【第1回】で見たとおりです。
では、その契約は、収益認識の対象となるものでしょうか。
これが次に考えるべきことです。
さっそく、桃太郎とイヌ・サル・キジたちの契約内容を見ていきましょう。
契約内容を見極めるにあたって大事なのは、「権利」と「義務」を識別することです。
桃太郎の権利と義務を書き出してみます。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第10回】
買戻契約とは、企業が商品・製品を買い戻す義務(先渡取引)、企業が商品・製品を買い戻す権利(コール・オプション)を有している場合、又は、企業が顧客の要求により商品・製品を買い戻す義務(プット・オプション)を有している場合をいう。
買い戻す商品・製品には、以下の場合がある。
・当初において販売した商品・製品である場合
・当初において販売した商品・製品と実質的に同一のものである場合
・当初において販売した商品・製品を構成部分とする商品又は製品である場合
会計処理は「先渡取引及びコール・オプション」の場合と「プットオプション」の場合で別に検討する必要がある。
〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第1回】「桃太郎とイヌ・サル・キジは労務サービス契約を結んでいた」
これは単なる新会計基準ではありません。“これ”というのは、2018年3月に公表された「収益認識に関する会計基準」のことです(この連載では以下、収益認識会計基準と呼びます)。
収益認識会計基準は、新しい時代を見据えた、革新性の高い会計基準です。この会計基準には、これまでの日本の会計基準とは明らかに異なる点が1つあります。
それは、「製造業中心思考ではない」という点です。