〔弁護士目線でみた〕実務に活かす国税通則法 【第8回】「重加算税における『納税者』の意義」
前回述べたように、重加算税は「納税者」に仮装隠蔽行為があることを要件とするものであるが、納税者が法人である場合には厳密には代表取締役の行為以外に法人そのものの行為は観念できず、実際の仮装隠蔽行為を行うのはその役職員であることから、誰を基準として仮装隠蔽行為の有無を判断するべきかという問題が生じる。この点について、例えば、株式会社において役員が仮装隠蔽行為に加担していたというような場合には当該会社に重加算税を賦課すべきとの結論に違和感を持つ人は少ないと思われる一方、末端従業員の不正行為等についてまで株式会社が常に重加算税を甘受しなければならないとすれば、当該会社には非常に酷な結果となる。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第44回】
例えば、寄附金の額について定める法人税法37条8項は、次のとおり、定めている。
同項は、時価を指す語として、譲渡の時における「価額」又は経済的な利益のその供与の時における「価額」を使用し、「当事者間で合意した額」を指す概念として「対価の額」という語を使用している。時価とは異なる概念として「対価」という語を使用している条文の一例である。ここから、形式上、法人税法22条の2第4項でいう「その提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額」の「対価」とは、時価とは異なる概念であるという見解につなげることができる。
日本の企業税制 【第86回】「令和3年度与党税制改正大綱の概要」
12月10日、自民党及び公明党の両党は、「令和3年度税制改正大綱」(与党大綱)を決定した。
以下ではこの与党大綱の概要について解説する。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第21回】「代表取締役による横領があった場合の認定賞与該当性」
当社は税務調査を受けている最中ですが、社長が当社のお金を横領していることが発覚しました。
この場合に考えられる可能性を教えてください。
組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第16回】「通算グループ内の組織再編成」
通算法人を合併法人とし、他の通算法人を被合併法人とする吸収合併を行った場合において、適格合併に該当するときは、資産及び負債を最後事業年度終了の時の帳簿価額で引き継ぐことになる(法法62の2①)。
基礎から身につく組織再編税制 【第23回】「適格分割(独立事業)」
前回は共同事業を行うための適格分割の要件を確認しました。今回は独立して事業を行うための適格分割の要件について解説します。
相続税の実務問答 【第54回】「財産を追加取得したが配偶者の税額軽減規定により納付すべき税額が算出されない場合の修正申告」
昨年の10月に夫が亡くなりました。相続人は、私と長男、長女です。夫の遺産は、次のとおりです。
自宅土地建物:8,000万円
A預金:3,000万円
B預金:2,000万円
C社株式:1,000万円
相続人間で遺産分割協議をした結果、自宅土地建物は配偶者である私が取得することとなりましたが、その他の財産は、相続税の申告期限までに分割することができませんでした。私は、法定相続分(2分の1)を超える財産を取得しましたので、未分割の財産は子供たちが2分の1ずつ取得したものとして、今年の8月に相続税の期限内申告をしました。なお、私が取得した財産の価額は1億6,000万円未満でしたので、配偶者に対する相続税額軽減の規定を適用することにより、私が納付すべき相続税額はありませんでした。
このほど未分割だった財産について分割協議が調い、A預金は長男、B預金は長女、C社株式は私が相続することとなりました。私の取得した財産は、先に取得した自宅土地建物と併せても1億6,000万円にはなりませんので、納付すべき相続税額は算出されませんが、相続税の修正申告をする必要はありますか。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第22回】「〔第5表〕借地権の計上」-土地の無償返還に関する届出書の期限及び内容の変更-
経営者甲が所有しているA土地及びB土地は、甲が株式を100%保有している甲株式会社に賃貸していますが、その概要は下記の通りとなります。
給与計算の質問箱 【第12回】「年末年始の退職者の給与計算における注意点」
当社では2020年12月20日付けで社員A、2020年12月31日付けで社員B、2021年1月10日付けで社員Cがそれぞれ退職します。この際の給与計算の注意点がありましたらご教示ください。なお、当社の給与は末日締め翌月25日支給です。