相続空き家の特例 [一問一答] 【第44回】「耐震リフォーム代は譲渡費用か、それとも取得費用か」-耐震リフォーム代-
Xは、一昨年4月に死亡した父親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得し、1,200万円をかけ家屋の耐震リフォームを行って昨年4月に完成させ、本年12月に7,800万円で売却しました。
相続の開始の直前において、父親は一人住まいをし、その家屋は相続の時から取壊しの時まで空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用でした。
「相続空き家の特例(措法35③)」に係る譲渡所得の計算にあたって、この耐震リフォーム代は、譲渡費用となるのでしょうか、それとも取得費用となるのでしょうか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例81(所得税)】 「概算取得費(売却代金の5%相当額)を使用した方が有利であったにもかかわらず、不利な実際の取得費を使用して申告してしまった事例」
平成X9年及び平成Y0年分の所得税確定申告における株式の譲渡所得の計算において、いわゆる概算取得費(売却代金の5%相当額)を使用した方が有利であったにもかかわらず、不利な実際の取得費を使用して申告してしまった。これにより、所得税等につき過大納付税額5,485,000円が発生し賠償請求を受けた。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第36回】「プロベイト(probate)にかかった費用は債務控除できるか」-遺言で外国財産を取得した場合の課税上の留意点-
私の父は、外国に不動産を遺して死亡しました。この不動産は遺言により、私が取得することになっています。そこで相続の手続をしようとしたところ、「プロベイト(probate)」という手続(遺産に係る検認手続)をしなければならず、大変、お金と時間がかかることが分かりました。このプロベイトにかかる費用について、債務控除の対象にできますか。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第19回】
法人税法22条の2第2項は次のとおり定めている。
文頭の「内国法人が、」から「同項の規定にかかわらず、」までと、文中の「別段の定め(前条第4項を除く。)があるものを除き、当該事業年度の所得の金額の計算上、」を圧縮すると次のようになる。
措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第17回】「寄附した不動産を低廉な価額で賃借する場合」
私は、所有する不動産を公益法人に寄附した後、その不動産を低廉な価額で賃借し、再度使用することを考えています。
この場合、私が寄附した不動産について租税特別措置法40条が適用され、所得税は非課税となりますか。
日本の企業税制 【第74回】「令和2年度税制改正大綱における法人課税の主要改正点」
12月12日に、令和2年度与党税制改正大綱(与党大綱)が取りまとめられた。令和時代最初の税制改正となる。
今回の改正案では、「Society5.0の実現に向けたイノベーションの促進など中長期的に成長していく基盤を構築すること」を念頭にオープンイノベーション税制の創設や5G税制の創設、連結納税制度の抜本的な見直しなど法人課税において大胆な措置が講じられることとなった。
以下では法人課税関係の主な改正項目を整理したい。
相続税の実務問答 【第42回】「遺産分割の結果、当初申告よりも評価額が減少した場合の更正の請求」
平成25年2月1日に父が亡くなりました。相続人は私と弟の2人です。相続税の申告書の提出期限までに遺産分割が調わなかったことから、それぞれが法定相続分(各2分の1)で相続財産を取得したものとして相続税額を計算して相続税の期限内申告を行いました。その後、弟との間で遺産分割協議を続けましたがまとまらず、家事審判の手続きを経て、令和元年11月24日に取得財産が確定しました。
父の遺産は、銀行預金などの金融資産と築後40年の木造の自宅建物(固定資産税評価額130万円)及びその敷地です。この敷地は、下の図のように2つの道路に面しており、当初申告においては、1億2,285万円と評価しました。
審判の結果、銀行預金等の金融資産は2分の1ずつ取得し、宅地は面積が等しくなるように分筆し、建物の存する部分を建物とともに私が取得し、庭として使用していた部分を弟が取得することとなりました。それぞれが取得した宅地をそれぞれ評価すると、私が取得した部分は弟が取得した部分よりも低い価額で評価され、その評価額を基に私の相続税の課税価格を計算すると当初申告額よりも低くなります。そこで私が相続税の更正の請求をすることができるかどうかお尋ねします。
なお、私も弟も租税特別措置法第69条の4第1項に定める小規模宅地等の特例を適用することはできません。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第9回】「役員に対する経済的利益の供与」
当社は、役員に対し、金銭による役員報酬の他に、経済的利益の供与と言える支給があります。具体的には、法人が所有する不動産を役員に対して相場より安価で提供しています。また、この不動産を低廉価格で役員に譲渡することも検討しています。
これらについて問題点はないか教えてください。
基礎から身につく組織再編税制 【第11回】「適格合併を行った場合の特定資産譲渡等損失額の損金算入制限」
適格合併があった場合には、被合併法人の有する資産は、被合併法人の帳簿価額で合併法人に引き継がれます。この場合、被合併法人から移転を受けた資産の含み損を合併法人側で実現させ、合併法人の所得と相殺する、あるいは、被合併法人から移転を受けた資産の含み益を合併法人側で実現させ、合併法人の含み損と相殺するといった租税回避が想定されます。
このような租税回避を防止する観点から、一定の適格合併があった場合に、その後に含み損を実現したときは、その損失を損金の額に算入しないという規定が設けられています。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第43回】「被相続人居住用家屋の残存価額と取壊費用の経費性」-資産損失と取壊費用-
Xは、昨年9月に死亡した父親の家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得した後に、その家屋を取り壊して更地にし、本年12月に6,700万円で売却しました。
取り壊した家屋の、相続の開始の直前の状況は、父親が一人住まいをし、その家屋は相続の時から取壊しの時まで空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
なお、その家屋の未償却残高が200万円で、その取壊費用が300万円でした。
この場合、Xは、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用にあたって、その家屋の未償却残高と支出した取壊費用は、譲渡所得の計算上、どのように扱われるのでしょうか。