谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第23回】「国税通則法65条(~67条)」-附帯税(2) 過少申告加算税とその加重及び減免-
加算税は、附帯税(税通2条4号)のうち制裁目的で課される金銭的負担であり、行政罰の一種である(前回1参照)。加算税の対象は、申告納税方式(税通16条1項1号)による国税については納税申告義務に対する違反、源泉徴収等による国税(同2条2号)については源泉徴収及び特別徴収に係る義務(徴収納付義務)に対する違反である。加算税は、それらの行政上の義務について適正な履行を間接的にあるいは心理的に強制し、もって適正な履行を担保しようとする措置(行政上の義務履行担保措置)である。
〔令和6年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】「研究開発税制の見直し」
令和5年度税制改正における改正事項を中心として、令和6年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。
【第1回】は「研究開発税制の見直し」について解説する。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第35回】「令和5年分は2割特例、令和6年分は本則課税として申告することの可否と注意点」
個人事業者です。インボイス制度開始前は免税事業者でしたが、適格請求書発行事業者の登録を受けたことにより、令和5年10月より課税事業者となりました。消費税課税事業者選択届出書や消費税簡易課税制度選択届出書は現時点(令和6年2月)では提出していません。
令和6年中に店舗兼住宅(店舗部分のみの価額が税抜1,000万円以上)の取得を予定しているため、課税売上高以上の課税仕入れが生ずると見込んでおり、令和6年分については本則課税が有利になると考えています。そこで、令和5年分は2割特例、令和6年分は本則課税を適用することは可能ですか。
〈徹底分析〉租税回避事案の最新傾向 【第17回】「まとめ」
本連載で解説したように、すでに租税回避として否認されている事案がいくつか公表されている。過去の否認事例から分析すると、以下のものについては、租税回避として否認されやすいと考えられる。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第39回】「貸付金及び非上場株式を同族会社である発行法人に遺贈した場合の非上場株式の価額計算における留意点」
甲は昭和40年にA社を設立し、パンの製造業を営んでいましたが、令和2年に代表取締役を辞任し、甲の甥である乙が新たに代表取締役に就任しました。A社の株主は甲のみで甲は発行済株式数200株を所有していましたが、同年に乙にA社株式20株を相続税評価額で売却するとともに下記の遺言書を作成しています。甲は、代表取締役辞任後、相続開始まで引き続きA社の会長として役員になっています。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第94回】「農地売主相続事件」~最判昭和61年12月5日(訟務月報33巻8号2149頁)~
Aは、Bに対し、所有する農地を4,500万円で売却した。この売買契約においては、契約と同日に手付金600万円、2ヶ月後に内金1,000万円、4ヶ月後に残代金を支払うこととされ、また、残代金の支払と同時に所有権移転の登記申請と農地の引渡しが行われることとされた。
Bは、内金の支払後、農地をC社に転売した。そして、AとC社は、農業委員会に対し、当該農地について転用の届出を行い、これは2週間ほどで受理された。なお、届出後、C社は、当該土地に建物を建てるべく、建築確認申請を行った。
ところが、その後Aが急死したため、契約の履行が遅れ、予定日より15日遅れて残代金が支払われ、その翌日、所有権移転登記が行われた。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第61回】「一般財団法人の清算」
私は、音楽機器の製造販売業を営むX社の創業者です。X社の業績は堅調で、経営体制も安定しています。また、私はX社を営む傍ら、音楽活動に対する助成事業を行う一般財団法人Yを設立し、代表理事として運営に携わっています。Y財団は非営利型法人の要件を満たす設計がされており、X社からの毎年の寄附金を原資として公益活動を行っています(非営利型法人の条件については【第21回】「財団法人の設立」参照)。
Y財団の設立当初は、私の所有するX社の株式の一部をY財団に寄附して、Y財団をX社の安定株主とし、X社からの配当金を原資に公益活動を続けることを考えていました。しかし、既にX社に入社していた息子が成長し、もう経営を任せられるようになり、息子本人もⅩ社の株主として経営していくことを希望しているため、社長を息子に譲り、事業承継税制の特例制度を適用して、私が所有していたX社の株式を全て息子に贈与することにしました。Y財団の将来の運営を考えると、私が元気なうちに活動を止めて清算しておいた方がよいのではないかと思うのですが、非営利型一般財団法人を清算する場合の具体的な手続きや気を付けるべきことを教えてください。
monthly TAX views -No.132-「暗雲垂れ込めるデジタル税制」
OECD/G20で進めてきたデジタル税制の議論が、ここにきて大きな転機を迎えている。このままいくと、せっかくの合意が実行に移されず、デジタル経済が混乱したり、米国と欧州とを主戦場とした貿易戦争に発展する可能性がある。筆者が得ている情報の範囲で現状を述べてみたい。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例59】「遺跡の調査・発掘に関する請負業務代金の未回収分に係る貸倒損失該当性」
私は、関東地方のある県庁所在地に本社を置き、建築・土木工事業を営む株式会社X(資本金3億円で3月決算)に勤務しており、現在総務部長を務めております。わが社はもともと宅地造成や住宅の建設工事などを行っている普通の建設会社でしたが、十数年前にたまたま地元自治体から依頼を受けて遺跡の発掘調査に携わったことから、最近の主たる業務は遺跡の調査・発掘に関する請負業務となっております。
遺跡の発掘作業が必要なケースというものは突然現れるもので、例えば、もともと企業の社宅として利用されていた敷地につき、当該企業が業務効率化の一環で社宅を廃止し、当該敷地をマンション用地として大手ディベロッパーに売却するという事例は非常にありふれたものですが、その際にマンション開発を担当したディベロッパーが当該敷地を掘り返したところ、運良く(むしろ悪く?)弥生時代の土器や石器が発掘されるというのが典型例となります。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第35回】
前回の6のとおり、異なる種類の暗号資産同士の交換も課税イベントになるため、交換時に、取得する新たな暗号資産の時価(等価交換であれば、保有している暗号資産の時価と同額)と、その暗号資産の取得価額との差額が課税所得に反映される。