「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例129(法人税)】 「所得拡大促進税制の適用において、雇用者給与等支給額を、支給ベースで計算すべきところ発生ベースで計算したため、特別控除額が過少となってしまった事例」
令和Z年3月期の法人税につき、「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(以下「所得拡大促進税制」という)の適用において、雇用者給与等支給額につき、有利な支給ベース(ソフトウエア仮勘定に振り替えた人件費を給与等支給額に含める)で計算すべきところ、発生ベース(所得の金額の計算上損金の額に算入されたもののみを給与等支給額とする)で計算したため、特別控除額が過少となってしまった。これにより、法人税等につき過大納付税額が発生し、賠償請求を受けた。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第34回】「移転価格税制と住民訴訟(地判平7.3.6、高判平8.3.28)(その3)」~旧日米租税条約11条、25条1項、租税条約実施特例法7条、8条、国税通則法23条2項3号、同施行令6条1項4号~
第一審判決では、「条約に適合しない課税」については、特に判示することもなく、前記6(1)②の判示のとおり、同条約における経済的二重課税に対して相互協議の申立てを行うことができるとした。
控訴審判決では、租税条約の「目的」や「常識」という概念により広く解し、「移転価格の調整によって生ずる経済的二重課税は、少なくとも租税条約の精神に反する」というOECD租税委員会の見解を根拠とした。
日本の企業税制 【第122回】「令和6年度税制改正大綱のあらまし」
12月14日(木)に、与党(自由民主党・公明党)による「令和6年度税制改正大綱」が取りまとめられた。
今回の税制改正大綱における中心テーマは「安いニッポン」の解消である。
その観点から、国民の可処分所得の向上(所得税・個人住民税の定額減税、賃上げ税制等)及び生産性・潜在成長力の向上(戦略分野国内生産促進税制、イノベーションボックス税制、ストックオプション税制等)を目指した大胆な措置が講じられる。
相続税の実務問答 【第90回】「第一次相続と第二次相続の相続人が1人である場合の第一次相続における配偶者の税額軽減等の適用」
令和4年2月に父が亡くなりました(第一次相続)。父の相続人は、母と私の2名でした。父の遺産は、両親と私が居住していたA建物(私は、今でもA建物に居住しています)とその敷地、それに銀行預金でした。相続税の申告期限までに遺産分割ができませんでしたので、法定相続分に従って相続税の課税価格を計算して申告及び納税を済ませました。
その後も父の遺産について遺産分割協議ができないまま、令和5年9月に母が亡くなってしまいました(第二次相続)。
母が亡くなってしまったため、父の相続人及び父の相続人である母の相続人は、私1人となってしまい、他に父及び母の相続人はいません。また、父も母も遺言を残していませんでしたので包括受遺者もいません。このような場合、もはや父の遺産の分割協議はできないと言われましたが、父の相続税について、配偶者の税額軽減の規定や小規模宅地等の特例を適用することはできないのでしょうか。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第37回】「同族株主である個人が株式を個人又は法人に売却する場合の子会社株式の評価方法」
甲は昭和40年にA社を設立し建設業を営んでいます。A社は昭和60年に資本金1,000万円でB社を設立し、現在に至るまでB社の株式を100%所有しています。
甲は、令和5年に代表取締役を辞任し、甲の甥である乙が新たに代表取締役に就任しました。甲はA社の株式を100%保有しており、乙に株式の承継を検討していますが、その方法として下記のいずれかの方法を考えています。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第47回】「共有で相続した家屋とその敷地を譲渡する場合」-共有に係る個々の特別控除額-(令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡)
X(兄)、Y(妹)、Z(弟)は、昨年4月に死亡した母親の居住用家屋等(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を、各持分1/3共有で相続し、その家屋を取り壊して更地にし、本年10月に合計9,000万円で譲渡しました。
相続開始直前まではその家屋に母親が1人で暮らし、取壊し時まで空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
この場合、XとYとZは、それぞれ3,000万円の特別控除額を限度として、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用を受けることができるでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第56回】「役員が関連法人から金員の支給を受けた場合の課税関係」
当社の役員は、様々な理由で関連法人から直接、金員の支給を受けることがあります。この場合に、税務上何らかのリスクはありますか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第33回】「移転価格税制と住民訴訟(地判平7.3.6、高判平8.3.28)(その2)」~旧日米租税条約11条、25条1項、租税条約実施特例法7条、8条、国税通則法23条2項3号、同施行令6条1項4号~
本件地方税還付は、本件日米合意に端を発する手続きの流れによってもたらされた(前回図解参照)。Xは、この流れを遮断すべく、まず(1)Zらに相互協議を申し立てる権利がなかったとし、次いで(2)合意後の国税の減額更正処分の手続きに、さらに(3)国税に連動する地方税の減額更正手続きに、各々瑕疵があると主張した。