裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第7回】「募集株式の発行等⑥」
前回は、東京地裁昭和52年8月30日判決、東京地裁昭和56年6月12日判決について解説を行った。
【第7回】に当たる本稿では、大阪地裁平成2年2月28日判決、京都地裁平成4年8月5日判決について解説を行うこととする。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第11回】「寄附金と貸倒損失」~立替金債権の放棄が貸倒損失ではなく、寄附金に該当すると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた寄附金の損金不算入に係る法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁平成19年9月27日判決(税資257号順号10792。以下「本判決」という)を取り上げる。
税務判例を読むための税法の学び方【82】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その10:「租税法律主義の意義③」(最判昭30.3.23))
前回見てきたこの最高裁判決においては、田中真二裁判所調査官が解説を「最高裁判所判例解説昭和30年民事編」27頁以下及び「金融法務事情72号」4頁に著しているが、以下のように問題点を指摘している。
monthly TAX views -No.40-「パナマ文書~G20で何が話し合われたのか~」
会議終了後にG20会合の共同声明が発表された。わが国のマスコミには税の専門家が少なく、この共同声明の中身や意義についてはほとんど触れられておらず、掘り下げた論評もなされていない。
しかし内容をよく読むと、この問題に対する先進国の今後の対応について、極めて重要な事項が話し合われ、合意されていたことがわかる。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第41回】「法人税法にいう『法人』概念(その5)」~株主集合体説について考える~
前回の第一のアプローチとは、いわば借用概念論である。
租税法が法文の中に用いている概念で、それが固有概念であるとはいえず、他の法領域から借用していると思われる概念を理解するに当たっては、当該他の領域で用いられている概念の意義に合わせてかかる概念を理解しょうとする考え方が、通説である。
これは一般的に統一説と呼ばれる考え方であり、租税法律主義が要請する予測可能性や法的安定性の見地からは優れた理論であるといわれている。
~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第9回】「任意組合が行っていた航空機リース事業が終了する際に組合員が受けた債務免除益等の所得区分を判断した事例」
原告(甲)は、他の出資者と共に組合契約を締結して民法上の組合を組成した上、金融機関から金員を借り入れて航空機リース事業を営んでいたが、予定前に航空機を売却して事業を終了することとなった。
包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第14回】「不動産関連の事案」
前回は、最高裁昭和52年7月12日判決(山菱不動産株式会社事件)について解説を行った。
本稿では、不動産関連で否認された事案として、東京地裁平成元年4月17日判決、福岡地裁平成4年2月20日判決、福岡高裁平成11年11月19日判決についてそれぞれ解説を行う。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第27回】「消費貸借に関する契約書①(利率変更契約書)」
【問】既に締結している金銭消費貸借契約の利率を変更するため、変更契約書を作成しました。この場合の印紙税の取扱いはどうなるのでしょうか。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第13回】「未登記新築建物固定資産税等賦課事件」~最判平成26年9月25日(民集68巻7号722頁)~
今回紹介する判例は、Xが平成21年中にY市内に新築した建物(本件建物)につき、翌平成22年1月1日時点では、登記簿にも家屋補充課税台帳(登記されていない家屋で、固定資産税を課税することができるものについて、所要の事項を登録する台帳)にもXが所有者として登記又は登録されていなかったところ、Y市長が、本件建物についての所要の事項を家屋補充課税台帳に登録した上、平成22年度の固定資産税等の賦課決定処分(本件処分)を行ったという事例について判断したものである。
最高裁は、本件処分は適法であると判断した。