日本の企業税制 【第35回】「各省庁の税制改正要望からみた平成29年度税制改正の課題(法人課税)」
8月末に各府省庁が取りまとめた平成29年度税制改正要望が、財務省ホームページで公開されている。
この要望から、平成29年度税制改正の主な課題(法人課税)を整理したい。
相続税の実務問答 【第3回】「生前贈与の有無及び贈与金額の確認」
父が今年7月に亡くなりましたので、相続税の申告をしなければなりません。相続人は、私と弟の2人だけです。弟は2年前に父から事業資金の贈与を受けていたようですが、正確な金額を教えてくれません。
相続税の申告期限までに遺産分割協議ができませんので、法定相続分で相続財産を取得したものとして相続税額を計算して、申告を行うこととなります。その際、相続開始前3年以内の父から弟に対する贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算して相続税の計算をしなければならないと聞きました。弟が父から贈与された金額が分からない場合に、どうしたらよいのでしょうか。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q11】「外貨建定期預金の利子及び満期時の課税関係」
私(居住者たる個人)は、資金を日本国内のA銀行の米ドル建定期預金で運用することを考えています。この定期預金の利子及び満期時の課税関係について教えてください。
マイナンバーの会社実務Q&A 【第18回】「本社の移転や社名の変更をした場合の手続き」
当社は、東京都渋谷区から東京都港区へ本社を移転し、同時に社名を変更しました。先日、法務局にて登記が完了しました。これから税務署と都税事務所へ異動届出書を提出する予定です。
法人番号に関して必要な手続きがあれば教えてください。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第19回】「青色申告承認取消処分の事例②」~青色申告承認取消事由(取引を隠ぺい仮装して記載等)に該当すると判断した理由は?~
本連載の最終回となる今回は、青色申告法人X社に対して、架空の試験研究費を計上していた事実等が法人税法127条1項3号に該当するものとして行われた青色申告承認取消処分の理由付記の十分性が争われた、東京地裁平成16年10月15日判決(税資254号順号9780。以下「本判決」という)を取り上げる。
連結納税適用法人のための平成28年度税制改正 【第12回】「その他国際税務の改正・固定資産税の特例措置」
労働力人口の減少や企業間の国際的な競争の活発化等の下での中小企業・小規模事業者・中堅企業の経営の強化を図るため、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(中小企業等経営強化法)を改正し、事業分野ごとに新たに経営力向上のための取組等について示した指針(事業分野別指針)を主務大臣において策定するとともに、この取組を支援するための措置を講ずることとなった。
裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第15回】「反対株主の株式買取請求①」
前回までは、譲渡制限株式の譲渡において、売買価格の決定の申立てがなされた事件について解説を行った。
本稿からは、反対株主の株式買取請求について争われた事件について解説を行う。平成17年改正前商法は「ナカリセバ価格」により評価し、現行会社法は「ナカリセバ価格」と「シナジー価格」のいずれか高い金額により評価することとなっているという点を踏まえて参照されたい。
税務判例を読むための税法の学び方【90】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その18:「「交際費」の範囲①」(東京高裁平15.9.9))
この判例は、交際費の範囲について、それまでの2要件説から、条文に即した3要件説に基づいて判決を出したものである。
これまでは、交際費の範囲について、2要件説により判断されていた。その2要件とは、①支出の相手方が、事業に関係のある者等であること、②支出の目的が、接待、きょう応、慰安、贈答等企業活動における交際を目的とするもの、である。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第45回】「混沌とした租税回避論の再整理(その3)」
まず、租税回避の試みと、結果としての租税回避について考えてみよう。
これは「課税根拠要件の充足をしているか、していないか」という立場での議論である。
【図3】は、いわゆる我が国における従来からの租税回避論であり、課税要件の充足を免れるものが租税回避であると整理されてきたところである。
租税回避、すなわち租税回避の試みが成功したのであれば、課税根拠要件を充足していないため課税はなされない。
他方で、租税回避の試みが失敗し、課税根拠要件を充足することになれば、当然課税対象となるとの理解である。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第16回】「更正処分取消訴訟係属中の相続事件」~最判平成22年10月15日(民集64巻7号1764頁)~
今回紹介する事例の概要は、以下のとおりである。
Zが、Y税務署長から所得税の更正処分を受けたので、Y税務署長指摘の不足額をいったん納付した上、所得税の更正処分について訴訟(別件訴訟)で争っていたところ、別件訴訟係属中にZが死亡し、相続人XがZを相続して別件訴訟も承継した。Xは、別件訴訟係属中に、Zの相続にかかる相続税の申告もした。なお、その際、下記の過納金の還付請求権は、Zの相続財産に含めなかった。
