土地評価をめぐるグレーゾーン《10大論点》 【第10回】「通達に規定のない土地の減額手法の根拠」
財産評価基本通達には、不整形地や無道路地、がけ地、高圧線下地など様々な土地の評価減額要素について定められている。
しかし、当該通達に定めのあるもの以外にも評価減額要素が存在する。
本連載最終回となる今回は、その取扱いの根拠を確認しておきたい。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第26回】「裁決例⑥」
今回、紹介する事件は、合併に際して被合併法人の株主に交付されたいわゆる合併交付金が、被合併法人の利益の配当であるかの判定に当たり、合併契約書等にその旨の記載がない場合には、合併交付金が支払われた経緯、支払いを受けた株主の認識等を総合的に検討して判断するのが相当であるとした事件である。
組織再編税制が導入された後、最初に税制適格要件について争われた事件であることから、知っておくべき裁決例であると考えられる。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第26回】「確定申告書を紛失したとき」
Q 私は、飲食店を経営する個人事業主です。平成27年3月10日に平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書B(以下、確定申告書)を税務署へ提出しました。ところが、確定申告書の控が見当たりません。どうやら紛失してしまったようです。
確定申告書を紛失したときの対応についてご教示ください。
税務判例を読むための税法の学び方【60】 〔第7章〕判例の探し方(その7)
今回は、戦前の旧憲法下の法制度の下における判例集について紹介する。
(23) 『大審院刑事判決録』『明治前期大審院刑事判決録』
大審院の裁判例であっても、民法など旧憲法下で成立した法令に関するもので、未だに判例としての拘束力をもつものもある。
ただし大審院の判例集は、明治17年までは全判決を掲載していたが、明治18年以降は「将来模範となるものを厳選して」掲載しているため、最高裁の公式判例集同様、大審院で言渡しされた判決のすべてを探すことはできない。
monthly TAX views -No.28-「ピケティ氏による問題提起と金融所得課税」
このような負担の逆転現象が生じる原因は、高所得者に偏った株式譲渡益や配当(金融所得)が、低税率(図表の時点では10%)で分離して課税されるためである。
これが2014年からは20%に引き上げられた。その影響を筆者が簡単に試算したのが図表の薄いグレーの線であるが、1億円でピークをつけることは変わらない。
その原因は、高所得者ほど分離課税となっている株式譲渡益が多いためであり、図表の点線部分がそのことを表している。
マイナンバー制度と税務手続 【第3回】「本人確認の方法(概要)」
税理士等が個人番号関係事務実施者(※1)として個人番号を取り扱う事務については、以下のケースに分類される。
① 自らの事務所の従業員等の給与所得に係る源泉徴収票等の作成、社会保険関係事務を行うために、従業員や扶養親族等の個人番号を収集し、源泉徴収票等に当該個人番号を記載して所轄税務署及び年金事務所等に提出する。
② 業務委嘱契約に基づき顧問先の給与所得に係る源泉徴収票等の作成事務を行うために、当該顧問先の従業員や扶養親族等の個人番号を収集し、源泉徴収票等に当該個人番号を記載して所轄税務署及び各市区町村等に提出する。
③ 業務委嘱契約に基づき顧問先の所得税等の確定申告書等を作成するために、顧問先及び顧問先の扶養親族等の個人番号を収集し、確定申告書等に当該個人番号を記載して所轄税務署等に提出する。
~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第3回】「建物賃貸借契約を合意解約したことに伴って貸主が受領した金員が不動産所得に当たるとされた事例」
納税者(甲)の父(乙)は、ショッピングセンターの一部を区分所有して、A社に賃貸期間20年で賃貸していたが、乙の死亡後に、その権利を承継した甲が、その賃貸借契約を合意解約等した。これにより、A社は甲に対して1億9,000万円余り(本件金員)を支払うこととなった。甲は本件金員を譲渡所得として申告したが、税務署長はこれを不動産所得として更正処分をしたために争いとなったものである。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第5回】「金銭又は有価証券の受取書①(課否判定のチェックポイント)」
【問】当社は物品販売業者です。
商品の販売代金を口座振込みにより受け取った際に、振込人に対して入金済のお礼状を送付していますが、課税文書に該当するのでしょうか。
また、課税文書に該当した場合、印紙税額はいくらになりますか。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第13回】「外国法人の所得税」
帰属主義への見直しにより、国内源泉所得について改正が行われている。これにより、組合事業利益の配分に係る国内源泉所得は、「PEを通じて」組合契約等に基づいて行う事業から生ずる利益の配分で一定のものと改正されている。
この改正に伴い、PEを有しない外国法人が組合事業利益の配分所得を有することはなくなったため、PEを有しない外国法人の課税標準を定める規定を削除するなどの整備を行った(所法178)。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第42回】「法人税基本通達改正の歴史⑪」
平成12年度には、「法人税基本通達の一部改正について(平成12年6月28日、課法2-7)」が公表され、貸倒引当金についての通達が改正されている。主なものは、貸倒損失として計上した金銭債権を個別評価金銭債権に対する貸倒引当金として処理することができるという点(法基通11-2-1の2、なお、平成14年2月15日課法2-1により法基通11-2-2に番号を変更)と、未収利息に対する個別評価金銭債権に対する貸倒引当金について定められたという点(法基通11-2-6の3、なお、平成14年2月15日課法2-1により法基通11-2-8に番号を変更)である。このうち、前者については、貸倒損失と貸倒引当金との関連性を示すものであるため、本稿において解説を行う。
