組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第22回】「裁決例②」
平成18年に会社法が施行されたときに、みなし配当や資本金等の額の規定が整備され、その他利益剰余金の配当については利益積立金額の減額、その他資本剰余金の配当はプロラタ処理を行うことになった。
本号においては、その他利益剰余金とその他資本剰余金の配当を同時に行った場合において、その全額をその他資本剰余金の配当と同一の処理を行うべきであるとされた事件について取り扱う。
税務判例を読むための税法の学び方【56】 〔第7章〕判例の探し方(その3)
『高等裁判所刑事裁判速報』は、各高等検察庁により昭和26年(国立国会図書館の紹介ページでは昭和24年からとなっている。ただし未所蔵)から刊行されているもので、それぞれの高等検察庁が、その高等裁判所における刑事事件の裁判(判決・決定)として実務的有用と判断した判決を編集したものである。最高裁判所図書館で閲覧可能である。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第27回】「消費税法上の「事業」と所得税法上の「事業」(その3)」~租税法内部における同一概念の解釈~
所得税法と消費税法に用いられている用語の意義を考えるに当たって、それぞれの法の趣旨を「担税力」の相違という観点から眺めて、その違いを論じることができたとしても、租税法律主義の要請する法的安定性等の議論は依然として残されているというべきであろう。
租税法中に用いられている概念の意義を他の法分野におけるのと同じ意義に用いることが法的安定性等に資するとして、租税法一般の解釈論において借用概念論が支配しており、また、その中でも統一説が通説的な地位を占めていることを考えると、この点については深慮ある検討が必要であるように思われる。
例えば、相続税の事案であるが、東京地裁平成7年6月30日判決(訟月42巻3号645頁)をみてみたい(注1)。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第1回】「一の契約書で課税物件表の複数の号に該当した場合」
【問】継続してエレベーターの保守契約を結ぶ際には、記載内容により第2号文書の請負に関する契約書と第7号文書の継続的取引の基本となる契約書に該当する場合があると聞きましたが、違いを教えてください。
贈与実務の頻出論点 【第2回】「贈与税の除斥期間」
相続税の申告作業中に被相続人から相続人に対する贈与がありましたが、10年以上前の贈与でした。いまから贈与税の申告が必要でしょうか。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第9回】「改正の内容⑧」
PEの種類の違いによる課税所得の範囲の違いがなくなったことから、みなし事業年度についても所要の整備が行われた(法法14二十三・二十四)。
PEを有しない外国法人が事業年度の途中でPEを有することになった場合は、その事業年度開始の日からその有することとなった日の前日までの期間を、その有することとなった日からその事業年度終了の日までの期間とをそれぞれ事業年度として区分する。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第38回】「法人税基本通達改正の歴史⑦」
昭和54年度から昭和55年度の間には、法人税基本通達等の総点検が行われており、第一次分は昭和54年10月18日付直法2-31通達、第二次分は昭和55年5月15日付直法2-8通達、第三次分は昭和55年12月25日付直法2-15通達として公表されている。
このうち、子会社支援損失についての通達は第二次分として新設され、貸倒損失についての通達は第三次分として改正されている。
本稿では、これらの通達のうち、第二次分の改正である子会社支援損失について解説を行う。
monthly TAX views -No.26-「誤解されている消費税“インボイス”」
与党税制協議会の事業者ヒアリングでも、「インボイスの導入は多大の事務コストがかかる」と反対の意見が圧倒的に多かった。
しかし、仮に生鮮食料品に軽減税率が導入されるとなったらどうだろう。
おそらく事業者の意見は、「軽減税率が導入された場合には、インボイスがなければやってられない」というものに変わる可能性が高い。
~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第2回】「買換え特例の対象となる「一の家屋」の判断基準を示した事例」
納税者(以下「甲」)は、居住の用に供していた土地建物を譲渡して、1棟のマンションの中に存する2つの区分建物(本件各居室)を取得し、当該2つの区分建物を一体として買換え特例制度の適用を受けるものとして確定申告をした。これに対して、原処分庁は、同特例の適用を受けるのは一方の区分建物だけであるとして更正処分等を行ったことから、甲がその取消しを求めた。
争点は、本件各居室が、特例の適用対象となる「買換資産」に該当するか否かである。