〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載13〕 従業員から役員になった場合の退職金計算の問題点【その2】
本誌 No.5(2013/2/7公開)に掲載した拙稿「従業員から役員になった場合の退職金計算の問題点」(以下「前回分」という)において、従業員が役員になった場合の退職金支給方法は様々なパターンが考えられるが、大きく分けると、以下の2つであることを示した。
【1】 役員退任時に、従業員分と役員分をまとめて払う場合(前回分参照)
【2】 従業員退任時に従業員分を、役員退任時に役員分を支給する場合
前回分では【1】について述べたが、今回は【2】について解説を行うこととする。前回分と併せてご覧いただきたい。
後発的事由による更正の請求と未分割財産
Q 父の2回目の命日に、母と私と兄と姉の4人は、協議によりその遺産分割を完了しました。法定申告期限までに相続税の申告書は提出済みですが、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の減額特例を適用したところで申告し直したいと思います。更正の請求は、いつまでにすればよいのでしょうか。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第16回】税率変更の問題点(15) 「税込処理における消費税の転嫁に関する問題」
平成9年4月の税率改正時においても問題となった項目であるが、消費税につき税込価格を前提として事業を行っている事業者が1円単位まで徴収することが可能かどうかといった問題点がある。
今回の税率改正では、平成16年4月の総額表示義務規定の創設により、平成9年の改正時よりも価格の表示や設定につき厳密に取り扱われる可能性があり、注意が必要である。
この問題において、特に注意が必要な事業として、事業の性質上、消費税込みの対価の額を10円単位や100円単位で設定しなければならない事業者が考えられる。
『日米租税条約 改定議定書』改正のポイントと実務への影響 【第3回】「徴収共助の拡大」
“徴収共助”とは、異なる国家間における租税債権の徴収に関する相互協力の枠組みをいう。
例えば、外国企業が我が国から撤退する際に税金の滞納をしたままであった場合、我が国の滞納税金の徴収を当該外国企業の所在地を管轄する外国政府に要請し、外国政府が税金を徴収して送金してくれるといったことを可能にする。
これには相互協力が基本なので、逆に我が国が外国から要請された場合は、国税庁が外国の税金を徴収し、外国政府に送金しなければならない。
〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制─企業戦略への影響と対策─ 【第4回】「控除対象受取利子等合計額」 及び「関連者純支払利子等の額」
前回は、本制度による損金不算入額計算の第一段階である「関連者支払利子等の額」に関して、確認すべきポイントを解説した。
今回は第二段階として、その「関連者支払利子等の額」の合計額から控除されることとなる「控除対象受取利子等合計額」及び控除した残額となる「関連者純支払利子等の額」について解説を行う。
「関連者支払利子等の額」の合計額から控除されることとなる「控除対象受取利子等合計額」とは、法人の事業年度の受取利子等の額の合計額を、その事業年度の関連者支払利子等の額の合計額のその事業年度の支払利子等の額の合計額に対する割合で按分した金額として、次の算式により計算した金額をいう(措法66の5の2③、措令39の13の2⑯)。
平成26年1月から施行される「国外財産調書制度」の実務と留意点【第8回】
次の行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するとされている。
ただし、②については情状により刑を免除することができることとされている。
① 国外財産調書に偽りの記載をして提出したとき(送金等法10①)
② 正当な理由なく国外財産調書を提出期限までに提出しないとき(同10②)
③ 職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(同改正附則(平成24年3月31日)59、同法7)
④ 物件に提示又は提出の要求に対し、正当な理由なくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出したとき(同法7)
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載12〕 配当優先の限界
税務上、配当優先株式の優先配当は、どの程度まで認められるのか。また、認められる金額を超えた部分の課税関係は、どのようになるのか。本稿では、これを検討する。
Ⅰ 会社法上の規制
1 財源規制
まず、会社法上の配当上限には、分配可能額の範囲内であることという財源規制がある(会461)。
この財源規制は、株主と債権者との間の利害調整事項であり、本稿の検討における当然の前提である。
2 配当に関する株主平等の原則
種類株式である配当優先株式を発行している場合には、財源規制に加えて、配当優先株主と普通株主(配当劣後株主)との種類株主間での利害調整が必要になってくる。
この点に関して、会社法は、配当決議は株主の有する株式の数に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定し、まず、株主平等の原則を示している(会454③)。
資本関係が生ずる前の欠損金額の外国子会社合算税制における取扱い
当社(3月決算)は、平成24年5月に、他の内国法人A社から外国法人S社の持分(100%)を取得しました。
外国法人S社(12月決算)は、外国子会社合算税制における特定外国子会社等に該当し、当社の平成25年3月期において、合算課税がされる見込みです。
S社には、当社との資本関係が生ずる前の事業年度に生じた欠損金額(下図①・②)があります。
外国子会社合算税制において、この資本関係が生ずる前の欠損金額は、当社の平成25年3月期に合算課税されるべき金額の計算において、控除されることになるのか否か、ご教示下さい。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第15回】税率変更の問題点(14) 「経過措置に関する注意点(その5)」
所得税法又は法人税法において、事業者が工事の請負を行った場合には、資産の譲渡等の時期につき、長期大規模工事では工事進行基準が強制適用され、長期大規模工事以外の工事では工事完成基準又は工事進行基準のいずれかを選択することとなる。
工事進行基準が強制適用される長期大規模工事とは、次の3つの要件に該当する工事(製造、ソフトウエアの開発を含む)をいう。