相続税の実務問答 【第109回】「遺産分割期限の延長が認められるやむを得ない事情の承認申請者」
父が令和3年2月に亡くなりました。相続人は私と妹の2名です。父の遺産は、父と私が居住の用に供していた自宅建物及びその敷地、アパート1棟及びその敷地並びに銀行預金など合わせて3億円ほどです。
相続税の申告期限である令和3年12月までに遺産分割ができていませんでしたので、法定相続分の割合で父の遺産を取得したものとして、それぞれが別の税理士に依頼して相続税の申告をしました。その後、妹との間の遺産分割協議はまとまらず、相続税の申告期限から3年を経過した時点(令和6年12月)では、遺産分割の審判手続きが進められていました。
令和7年7月に審判が確定し、私は、自宅建物とその敷地、妹がアパートとその敷地を取得することとなりました。
相続税の申告期限から3年を経過する日の翌日から2ヶ月以内に、妹は自分の住所氏名のみを記載して「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し、税務署長の承認を受けたようですが、私はこの申請書の提出を失念していました。
私と妹の間で遺産分割ができないやむを得ない事由については、妹が行った承認申請に基づき税務署長が承認していますので、私が取得することとなった自宅建物の敷地について小規模宅地等の特例を適用する宅地等として選択することに妹の同意が得られれば、この自宅建物の敷地について同特例を適用することができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
令和7年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第2回】
通算法人の法人税率については、改正後は以下の取扱いとなる。下線部分が改正されている。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第56回】「従業員持株会から発行法人が株式を取得した場合の留意点」
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〈適切な判断を導くための〉消費税実務Q&A 【第11回】「国境を越えたEC取引に係る適正な課税に向けた課題」
令和7年4月に導入されたプラットフォーム課税は、海外事業者によるゲームやアプリの提供など消費者向け電気通信利用役務の提供を対象としたものです。
ところで、近年は海外発のECサイトによる衣料品などの販売も盛んに行われていますが、こうした国外事業者が関わる物品の販売に関して消費税法上の問題はないのでしょうか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第71回】
トークンをラップする方法は多様であるが、理解を深めるために、BTCをWBTCに変換する仕組みや方法を確認する。
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本稿では、最終的に採決された法案から削除された国際課税関連の条項、すなわち「外国の不公平な税制への対抗規定」(以下「第899条」とも呼ぶ)に焦点を当てる。
monthly TAX views -No.149-「所得に応じた給付のできる仕組みの構築を急げ」
参議院選挙を前に、「消費税減税」か「給付」かというおなじみのテーマでの議論が、国会やSNSで行われている。
これまでバラマキはしないと言っていた石破総理だが、選挙を前に「物価高対策としてすべての国民に、1人2万円の給付金を配り、子どもと所得の低い世帯(住民税非課税世帯)の大人には2万円を上乗せする。財源は3兆円台半ばと見込まれており、24年度税収の上振れを当てる」とした。
令和7年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第1回】
令和7年度税制改正では、グループ通算制度独自の税制(※1)についての改正は行われていないが、単体制度(※2)及び通算制度に共通の税制(※3)について、グループ通算制度特有の取扱いの改正が行われている。
具体的には、令和7年度のグループ通算制度に係る改正事項は次のとおりとなる。