暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第41回】
個人が詐欺やハッキングによる盗難等により、自身のウォレットで管理していた暗号資産を失った場合に雑損控除の対象になりうるのか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第44回】「ヤオハン・ファイナンス事件(地判平7.11.9、高判平8.6.19、最判平9.9.12)(その2)」~租税特別措置法66条の6第3項~
本件に係る東京高裁の判決文は、一部を訂正、付加又は削除するほかは静岡地裁の判決を引用しており、また最高裁は上告を棄却していることから、以降では静岡地裁における判決文を検討するものとする。
日本の企業税制 【第126回】「賃上げ促進税制の強化」
令和6年度税制改正に係る「所得税等の一部を改正する法律案」が3月28日、参議院本会議で可決成立し、3月30日に官報特別号外第28号にて公布された。
令和6年度税制改正では、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税・個人住民税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等が盛り込まれている。
相続税の実務問答 【第94回】「相続税の申告期限前に土地建物が被災した場合」
令和5年8月10日に父が亡くなりました。父の相続人は東京に住んでいる私一人です。父は、石川県U町の自宅に一人で住んでいました。父が亡くなった後、何度か帰郷し、実家の片づけをしながら、相続税の申告の準備をしていたところ、令和6年1月1日に能登半島地震が発生しました。この地震により、遺産である実家の建物の敷地に液状化現象が生じ、建物も傾いてしまいました。
相続税の計算に当たり、相続した財産の価額は相続開始時の時価によるとされていますが、相続開始後に相続財産である土地や建物が被災した場合の救済措置はないのでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第60回】「株主総会決議の不存在と役員報酬の返還に係る源泉徴収税額の取扱い」
当社は、株主総会決議不存在確認の訴えを提起された結果、株主総会決議の不存在が確定しました。その後、役員から役員報酬の一部の返還を受けましたが、その際、当社は源泉徴収税額について対応をしませんでした。この場合における源泉徴収税額の取扱いについて教えてください。
基礎から身につく組織再編税制 【第63回】「株式移転の概要」
前回までは「株式交換」について解説してきましたが、今回からは組織再編税制における「株式移転」について解説していきます。まずは「株式移転」に関する基本的な考え方を解説します。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第43回】「ヤオハン・ファイナンス事件(地判平7.11.9、高判平8.6.19、最判平9.9.12)(その1)」~租税特別措置法66条の6第3項~
X社は、平成元年3月末現在、いわゆる軽課税国等の指定を受けていた香港に所在するHXF社の発行株式のすべてを直接保有していた。HXF社は、租税特別措置法(以下「措置法」という) 66条の6に規定するX社に係る特定外国子会社等に該当する。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第130回】「消費税法上の実質行為者課税の原則(その3)」
消費税法上の実質行為者課税の原則が所得課税法における実質所得者課税の原則における法律的帰属説と親和的であり、原因(行為)に着目をした構造になっているという点を論じたが、この点は、消費税法13条の文理解釈から導き出すことができるかもしれない。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第25回】「国税通則法70条・71条」-確定権・課税処分の期間制限(除斥期間)-
国税通則法70条は「国税の更正、決定等の期間制限」という見出しの下、同法71条は「国税の更正、決定等の期間制限の特例」という見出しの下、国税の更正決定等(更正・決定・賦課決定。税通58条1項1号イ参照)について一定の期間制限を定めている。
国際課税レポート 【第1回】「実施段階を迎えたOECD国際課税改革のゆくえ」
令和6年4月以降に開始する事業年度から、令和5年度の税制改正で導入された「国際最低課税額に対する法人税」(グローバルミニマム課税)のうち「所得合算ルール」が適用される。これは、子会社の実効税率が15%未満の巨大多国籍企業に対し、税負担率が15%に達するまで追加課税を行う制度だ。子会社の利益を親会社で合算して課税する点で、タックスヘイブン対策税制に似ているが、目的(法人税率引下げ競争に下限を設ける)や仕組み(税率は法人税23.2%・地方法人税10.3%などでなく、15%までの追加課税を行う)が異なる。