「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例118(消費税)】 「「簡易課税制度選択不適用届出書」の提出失念に気付いたため、事業年度を変更して、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出したが、事業年度変更により、基準期間が変わり、免税事業者となったため、賃貸用店舗建設に係る消費税の還付が受けられなくなってしまった事例」
令和Z年5月期の消費税につき、賃貸用店舗建設に係る消費税の還付を受けようとしたが、令和Y年3月期の決算作業中に「簡易課税制度選択不適用届出書」の提出失念に気付いたため、事業年度を3月から5月に変更して、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出したが、事業年度変更により、基準期間が令和X年3月期から令和Y年3月期となったため、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者となり、還付が受けられなくなってしまった。これにより、還付不能額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第69回】「相続発生後に賃貸併用住宅を建て替えた場合における小規模宅地等の特例の適用の可否」
被相続人である甲(相続開始は令和5年1月21日)は、賃貸併用住宅(区分所有登記はされていません)とその敷地であるA土地を所有し、1階から4階までを賃貸用(8部屋で各部屋の床面積は同一、そのうちの4部屋は令和3年から空室で募集もしていません)として5階部分を甲とその配偶者である乙及び長男である丙の居住の用に供していました。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第9回】「租税条約上の情報交換(地判平29.2.17)(その2)」~日星租税協定26条1項及び3項、日蘭租税条約25条1項及び3項、新国税通則法74条の11第1項及び第6項~
原告は、他国から要請があれば相手国は情報収集・提供義務を負い、原告に対して情報の開示を法的に強制するため、日本の情報要請は処分であるとして情報要請の取消しを求めたが、被告は、情報要請は行政機関同士の行為で処分性はなく、取消請求の対象にはならないとした(処分性の有無)。
日本の企業税制 【第111回】「令和5年度税制改正大綱における電子帳簿等保存制度の見直し」
電子帳簿等保存制度に関しては、令和4年度税制改正で電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存について猶予措置が講じられたが、令和5年度税制改正大綱ではさらに一歩進んで、新たな猶予措置を講ずるとともに、他者から受領した電子データとの同一性が確保された電磁的記録の保存を推進する観点から検索機能の確保の要件が緩和されるなど、さらに実務に配慮した改正が行われることとなった。
令和4年分 確定申告実務の留意点 【第3回】「特に注意したい事項Q&A」ー給与所得者の副業に関する税務上の取扱い等ー
最終回は、確定申告において注意が必要と考えられるもののなかから、近年増加傾向にある給与所得者の副業に関する税務上の取扱い等、雑所得に関連する5項目についてQ&A形式でまとめることとする。なお、本稿では特に指定のない限り、令和4年分の確定申告を前提として解説を行う。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第9回】
暗号資産を譲渡したが、取引履歴を残していないため、譲渡した暗号資産の取得価額がわからない場合はどうすればいいかという問題がある。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第8回】「租税条約上の情報交換(地判平29.2.17)(その1)」~日星租税協定26条1項及び3項、日蘭租税条約25条1項及び3項、新国税通則法74条の11第1項及び第6項~
本件は、日本に居住する裕福な夫婦の所得税等調査中に、同夫婦が外国の関連会社等を介在させ、所得や財産を海外に移し租税回避を行なっているものと見込んだ国税庁が、シンガポール及びオランダの税務当局に関連情報の提供を要請したところ、それら当局から調査を受けることになった同夫婦の子や外国法人が、東京地裁に情報要請の取消しやプライバシー等侵害に対する損害賠償を求めた行政訴訟である。
相続税の実務問答 【第79回】「各相続人の相続税額を計算するときの「あん分割合」と更正の請求」
私の父が昨年1月に亡くなりました。相続人は、母、長女である私と妹の3人です。9月には遺産分割が調い、10月に3人で共同して相続税の申告をしました。
相続税の申告書の概要は次のとおりです。
各相続人の相続税額は、相続税の総額に、課税価格の合計額に各相続人の課税価格の占める割合(以下「あん分割合」といいます)を乗じて算出しますが、私たちの申告における「あん分割合」については、小数点以下2位未満の端数について、次のとおり、私の割合を切り上げ、母の割合を切り捨てる調整をしました。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第68回】「賃貸併用住宅の建築中等に相続が発生した場合における小規模宅地等の特例の適用の可否」
被相続人である甲(相続開始は令和5年1月16日)は、賃貸併用住宅(区分所有登記はされていません)とその敷地であるA土地を所有し、1階から4階までを賃貸用(8部屋で各部屋の床面積は同一)として5階部分を甲とその配偶者である乙及び長男である丙の居住の用に供していました。
賃貸の用に供して50年以上経過し建物も老朽化してきたため、建替えを行うことになりました。建替え後の建物は、1階から3階までを賃貸用(6部屋で各部屋の床面積は同一)として4階は甲及び乙の居住用として、5階は丙の居住用として利用することになっています。