日本の企業税制 【第29回】「軽減税率に係る消費税法の構造」
今回の改正の中でも大きな改正が行われるのが、軽減税率制度やインボイス制度が創設される消費税法である。
平成29年4月1日から消費税の軽減税率が導入されるものの、インボイス(適格請求書)の導入は平成33年4月1日からという時期のずれがあることから、まず、平成29年4月1日からの4年間の経過期間中の規定は、改正法案附則第34条以下で手当てされ、平成33年4月1日以後のインボイス導入後の姿が、消費税法本則の改正として規定されている。
したがって、当面の実務対応にあたっては、改正法附則を参照する必要がある。
~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第8回】「電化手数料が「資産の譲渡等の対価」に当たるかについて、書面ではなく実体に即して判断された事例」
不動産賃貸業を行う納税者(甲)は、オール電化設備を各戸に備えた居住用賃貸マンション(本件マンション)の建設を発注し、電力会社から電化手数料名目で金員(電化手数料)を受領した。
甲は、電化手数料が課税売上に当たるとして、それを受領した課税期間の課税売上を100%として、マンション取得に関する建築請負代金等に係る消費税額の全額を仕入税額控除の対象として還付申告書を提出した。
monthly TAX views -No.37-「国会での消費税議論-「益税」「減収額」「簡易課税」」
甘利大臣問題に隠れがちだが、予算委員会・財政金融委員会で軽減税率についての議論が盛り上がると思われる。背景には、軽減税率に対する国民の見方が変化しており、NHKの世論調査などでも、反対が賛成を上回っているという状況がある。民主党としては、ここで給付付き税額控除の代替案を出して、国民にアピールしたいところであろう。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第19回】「消費税の軽減税率を検証する」
わが国の消費税は、平成元年に導入された時から高い免税点、簡易課税方式などを使った不合理なものとなっており、益税が生ずるなど本来の付加価値税ではなくなっていました。
今後ともみなし方式を使うなどEU方式とは異なり、益税が生ずるなど問題点を抱えています。財務省はこの税に対する反省点を持たないで、EU方式は古いなどと批判しているなど、本当の付加価値税とはなっていません。
なぜ、インボイスを嫌うのでしょうか。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第8回】「渡邉林産事件」~最判平成16年12月20日(集民215号1005頁)~
今回紹介する判例は、Yの職員が、Xの税務調査の際、消費税法30条7項に規定する帳簿等の提示を求めたが、Xが格別の理由なく拒み続けたのを受けて、Y税務署長が、同条1項の仕入税額控除を認めない内容の消費税等の更正処分等をしたという事案であり、最高裁は、その取消を求めたXの請求を認めなかった。
monthly TAX views -No.36-「本年の焦点は『1兆円の社会保障財源』の確保」
2017年4月の消費税率10%引上げ時に、食料品や新聞への軽減税率の導入が決まり、1兆円の社会保障財源に穴が空くこととなった。
これについては、「平成28年度末までに安定的な恒久財源を確保する」という与党間の合意がなされているので、今年の税制議論の焦点は、『1兆円の財源を具体的にどのような形で決めるのか』という点になる。
国境を越えた役務の提供に係る消費税課税の見直し等と実務対応 【第7回】「リバースチャージ方式等の導入に伴う実務上注意すべき取引」
改正により、「電気通信利用役務の提供」に該当する場合には、当該役務の提供を受けた者の住所等で内外判定を行うこととなった。それでは、「電気通信利用役務の提供」に該当するか否かの判定はどのように行うのであろうか。これについては財務省が事例を挙げているので以下の表で示すこととしたい。
国境を越えた役務の提供に係る消費税課税の見直し等と実務対応 【第6回】「国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式の見直し」
国外事業者が国内において行う芸能・スポーツ等の役務の提供について、その取引に係る納税義務を、役務の提供を行う事業者から役務の提供を受ける事業者に転換することとなった。これは【第4回】4(4)で説明した「リバースチャージ方式」の導入を意味する。当該改正は、平成28年4月1日以後に行われる役務の提供について適用される。
国境を越えた役務の提供に係る消費税課税の見直し等と実務対応 【第5回】「国外事業者申告納税方式と登録国外事業者制度」
「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、「消費者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者が消費税の納税義務者とされる(国外事業者申告納税方式)。これは、B to C取引に関して、一般消費者に消費税の納税義務を課すことは現実的ではないためである。
monthly TAX views -No.34-「軽減税率問題、欧州型インボイスの導入が決められるか」
1ヶ月前のこの連載で、「見えない『日本型軽減税率』の行方」と題して、筆者なりの予想をした。
しかしその予想は、見事に外れた。
自民党税制調査会長を更迭するという荒業を駆使して、安倍官邸は、公明党への配慮を優先させ、消費税率10%引上げ時の軽減税率の導入が決まった。
もっとも「この問題の本質は財源問題だ」という認識は的外れではなさそうで、線引きを巡っての議論が11月中旬まで続く。民主党の主張してきた総合合算制度のとりやめ(財源4,000億円)と軽減税率の導入のどちらがわが国にとって重要か、そのような検証は新聞でも一切なされていないまま、突っ走っている。
一方、驚きの展開を見せているのが、インボイスである。