国税通則
国税通則法に関する制度解説および実務上の論点をまとめたカテゴリです。更正・決定、修正申告、更正の請求、不服申立て、延滞税や加算税など、国税手続全般の基本ルールと適用関係を整理しています。税務調査への対応や行政手続の流れ、期限管理など、実務に直結するテーマも取り上げ、条文の趣旨や裁決事例を踏まえて解説しています。法人税や所得税など各税目と横断的に関わる基礎法規としての視点から情報を掲載しています。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第19回】「税務上「錯誤無効」が許容される余地はあるか」
① 監督官庁の許認可を要する法人である審査請求人(請求人)は、株式会社A(A社)を分社型分割により新たに設立し、請求人の純資産額(資本金等の額1,000万円+利益積立金額3億7,300万円)の85%に当たる資産(3億2,600万円)をA社に承継し、その対価としてA社からA社普通株式200株の発行を受けた。
② 請求人と請求人代表者の弟であるBは、請求人が有するA社株式200株をBに譲渡し、その対価として、Bが有する請求人の普通株式170株を請求人が譲り受ける旨の株式譲渡契約(本件譲渡契約)を締結した。
③ 原処分庁は、本件譲渡契約に基づきBが請求人からA社株式の譲渡を受けたことは、いわゆるみなし配当の対象になるとして、源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をした。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第27回】「国税通則法第7章の2」-質問検査総説-
国税通則法第7章の2は平成23年度[11月]税制改正における同法の改正によって創設されたが、その創設は、「昭和36年の国税通則法制定に関する答申では、質問検査権を統一的に同法に盛り込むべきとしたが、質問検査の内容や態様がかなり相違するとして見送られた経緯がある。」(日本弁護士会連合会日弁連税制委員会編『国税通則法コンメンタール 税務調査手続編』(日本法令・2023年)148頁[舘彰男執筆])といわれる、税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)」(昭和36年7月)の答申内容の単なる「復活」ではない。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第18回】「租税法律主義において信義則違反の主張はどう評価されるか」
本件調査担当職員は、原処分に係る調査において、請求人らの関与税理士に対して、本件貸付金債権の価額を、元本の価額である5,000万円として修正申告の慫慂に応じるのであれば、その利息の額である1,765万4,793円は課税しないと発言した。
このことは、請求人らに対する誤指導であり、当該発言が、調査の終了していない段階でされたことを含めて、原処分は信義則に反する違法な処分である。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第26回】「国税通則法72条・73条(・74条)」-徴収権の期間制限(消滅時効)-
前回は租税債権の期間制限(前回1参照)のうち確定権の期間制限について検討したが、今回は徴収権の期間制限について検討することにする。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第25回】「国税通則法70条・71条」-確定権・課税処分の期間制限(除斥期間)-
国税通則法70条は「国税の更正、決定等の期間制限」という見出しの下、同法71条は「国税の更正、決定等の期間制限の特例」という見出しの下、国税の更正決定等(更正・決定・賦課決定。税通58条1項1号イ参照)について一定の期間制限を定めている。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第24回】「国税通則法68条(69条)」-附帯税(3) 重加算税の「隠蔽・仮装要件」-
重加算税(税通68条)は、過少申告加算税(同65条)、無申告加算税(同66条)及び不納付加算税(同67条)の各賦課要件に該当する場合(自発的修正申告、自発的期限後申告又は自発的納付の場合を除く。前回4(1)参照)において、納税者が「その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税」(同69条)の課税標準等又は税額等(同19条1項柱書参照)の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を「隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき」(以下「隠蔽・仮装要件」という)納税申告書を提出し、法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定納期限までに租税を納付しなかったときは、これらの加算税に「代え」より大きな賦課割合で課される金銭的負担であり、それぞれの場合に応じて過少申告重加算税ないし重過少申告加算税、無申告重加算税ないし重無申告加算税、不納付重加算税ないし重不納付加算税と呼ばれる。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第15回】「申告納税制度が納税者救済のハードルを上げている法令解釈」
更正の請求を期間制限することなく無制限に認めることとした場合には、税務行政の円滑な運営を著しく阻害し、申告納税制度の根幹を揺るがす結果となるから、本件更正の請求を認めることはできない。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第23回】「国税通則法65条(~67条)」-附帯税(2) 過少申告加算税とその加重及び減免-
加算税は、附帯税(税通2条4号)のうち制裁目的で課される金銭的負担であり、行政罰の一種である(前回1参照)。加算税の対象は、申告納税方式(税通16条1項1号)による国税については納税申告義務に対する違反、源泉徴収等による国税(同2条2号)については源泉徴収及び特別徴収に係る義務(徴収納付義務)に対する違反である。加算税は、それらの行政上の義務について適正な履行を間接的にあるいは心理的に強制し、もって適正な履行を担保しようとする措置(行政上の義務履行担保措置)である。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第22回】「国税通則法60条(~63条)・64条」-附帯税(1) 延滞税と利子税-
附帯税とは、「国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税」(税通2条4号)をいい、これらの租税は国税通則法第6章(60条~69条)に規定されている。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第13回】「国税通則法第63条の延滞税の取消しの主張は認容されるか」
① 被相続人の相続人は配偶者、子であるA(請求人)及びBの3名であるが、法定申告期限までに遺産分割協議が整わず、関与税理士から入手した相続税申告書は第1表のみであった。
② 請求人は第1表と納税用の現金を持って原処分庁の総合受付を訪れ、申告書を提出したい旨を伝えたところ、担当職員に「これでは受け付けられない」旨を告げられ、「他の相続人の申告書と照合してほしい」と尋ねたが、「これだけでは無理で、受付はするが受理はできない」とも告げられた。
③ 1度その場を辞去し、「受付はできるのならしてもらおう」と再度訪れると、別の担当職員に簡単に受け付けされたため、「後で照合ができて受理した旨の連絡が税務署からあるのだろう。受理したという連絡をもらってから納付しても延滞税はかからないだろう」と考えた。
④ 原処分庁は、法定納期限を経過した後も相続税が完納されていないとして、相続税と延滞税の督促処分を行った。
