公開日: 2023/11/02 (掲載号:No.542)
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〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第11回】「国税通則法第68条における重加算税の「隠ぺい、仮装」と相続税法第19条の2第5項における「隠蔽仮装行為」の異同点」

筆者: 大橋 誠一

〈事例から理解する〉

税法上不確定概念具体的判断基準

【第11回】

「国税通則法第68条における重加算税の「隠ぺい、仮装」と相続税法第19条の2第5項における「隠蔽仮装行為」の異同点」

 

公認会計士・税理士 大橋 誠一

 

1 大阪国税不服審判所平成28年3月30日裁決(TAINSコード:J102-1-02)

(1) 事実関係の概要

 被相続人は平成24年3月に死亡し、相続人は配偶者、子A及び子Bの3人(請求人ら)である。

 A及びBは平成24年4月にP証券を訪れ名義書換手続を行った。

 Bは、国税庁ホームページの相続税の計算方法等が説明されているページを印刷して、これを基に相続税の額を試算し、所轄税務署を訪れて申告書用紙を入手したが、請求人らは法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかった。

 Aは、被相続人の自宅の臨場調査時の調査担当職員からの「証券会社との取引はなかったか」との問いに対して、「知らない」旨回答した。

 調査担当職員は、Aに香典帳の提示を求め、香典者名及び香典額記載のメモの提示を受けたが、一見して下半分が切り取られていたため、「下半分はどこにあるのか」と質問した。Aは黙して回答しなかったため、宅内の現況調査を行ったところ、「P証券5,000」と記載された香典メモの下半分を発見した。

 Aは、香典メモから下半分を破りとった上で調査担当職員に提示したことを認めた。

 請求人らは、調査を受けて、相続税法第19条の2(配偶者軽減特例)第1項の規定を適用した期限後申告をしたところ、原処分庁は、相続財産を隠ぺいして相続税の申告書を提出しなかったとして、配偶者については配偶者軽減特例を否認する旨の更正処分等を行うとともに、A及びBには重加算税の賦課決定処分をした。

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「国税通則法第68条における重加算税の「隠ぺい、仮装」と相続税法第19条の2第5項における「隠蔽仮装行為」の異同点」

 

公認会計士・税理士 大橋 誠一

 

1 大阪国税不服審判所平成28年3月30日裁決(TAINSコード:J102-1-02)

(1) 事実関係の概要

 被相続人は平成24年3月に死亡し、相続人は配偶者、子A及び子Bの3人(請求人ら)である。

 A及びBは平成24年4月にP証券を訪れ名義書換手続を行った。

 Bは、国税庁ホームページの相続税の計算方法等が説明されているページを印刷して、これを基に相続税の額を試算し、所轄税務署を訪れて申告書用紙を入手したが、請求人らは法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかった。

 Aは、被相続人の自宅の臨場調査時の調査担当職員からの「証券会社との取引はなかったか」との問いに対して、「知らない」旨回答した。

 調査担当職員は、Aに香典帳の提示を求め、香典者名及び香典額記載のメモの提示を受けたが、一見して下半分が切り取られていたため、「下半分はどこにあるのか」と質問した。Aは黙して回答しなかったため、宅内の現況調査を行ったところ、「P証券5,000」と記載された香典メモの下半分を発見した。

 Aは、香典メモから下半分を破りとった上で調査担当職員に提示したことを認めた。

 請求人らは、調査を受けて、相続税法第19条の2(配偶者軽減特例)第1項の規定を適用した期限後申告をしたところ、原処分庁は、相続財産を隠ぺいして相続税の申告書を提出しなかったとして、配偶者については配偶者軽減特例を否認する旨の更正処分等を行うとともに、A及びBには重加算税の賦課決定処分をした。

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連載目次

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税法上不確定概念具体的判断基準

【参考記事】
「〔顧問先を税務トラブルから救う〕不服申立ての実務」(全20回)

筆者紹介

大橋 誠一

(おおはし・せいいち)

公認会計士(平成16年第二次試験合格)・税理士(平成7年5科目合格)。

有限責任監査法人トーマツ・デロイトトーマツ税理士法人を経て、平成26年から大阪国税不服審判所国税審判官として相続税等の審査請求事件の調査・審理に従事。
退官後、相続税専門の税理士法人チェスター審査部部長を経て、現在は不服申立代理人業務・相続税を中心とした審理業務(提出前の相続税申告書の審査件数は年間300件を超える)、弁護士等と協働した相続対策業務、執筆業務等に従事している。

【著書】
相続専門税理士法人が実践する 相続税申告書最終チェックの視点』(共著 清文社)
 

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