さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第31回】「大島訴訟/サラリーマン税金訴訟」~最判昭和60年3月27日(民集39巻2号247頁)~
Xは、昭和39年において、170万円の給与収入と5万円の雑収入を得た。当時の所得税法の規定によれば、給与所得者であっても、給与収入が一定以上の者は所得税の確定申告をしなければならなかったが、Xはこれをしなかった。そこで、Y税務署長は、Xに対し、所得税の決定処分を行った。Xがこれを争ったのが本件である。
Xは、決定処分の根拠である当時の所得税法の給与所得課税に関する規定は、他の所得者に比べて、給与所得者につき合理的理由なく重く課税するものであり、憲法14条1項(平等原則)に違反して無効であるから、自身に対する決定処分も違法であると主張したが、最高裁は、この主張を認めなかった。
monthly TAX views -No.59-「平成30年度税制改正の隠れた見どころ」
平成30年度税制改正の議論が佳境にさしかかっている。所得税では、「働き方改革への対応」と「所得再分配機能の強化」の2つをメインテーマとして、給与所得者の経費控除である給与所得控除の上限の引下げと合わせて基礎控除の引上げが、ほぼ税収中立(若干のネット増税?)で決まりそうだ。この見直しで増税になる給与収入は800万円程度になる。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第23回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定⑤(「適用前譲渡」又は「適用後譲渡」が著しく低い価額による譲渡の場合)」-譲渡価額要件の判定-
X(兄)は、昨年5月に死亡した父親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地(200㎡)を相続により取得し、その家屋を取り壊し更地にした上で、その敷地の半分(100㎡)を、同年9月に不動産会社へ6,000万円で売却しました。
また、Xは、本年1月に、残りの敷地(100㎡)を通常の取引価額が6,000万円であるところ、Y(妹)へ2,000万円で売却しました。
この場合、Xの譲渡は、「相続空き家の特例(措法35③)」の譲渡価額要件(1億円以下)を満たすこととなるのでしょうか。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第22回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定④(母屋と離れ等の複数の建築物のある敷地等を譲渡した場合)」-譲渡価額要件の判定-
Xは、昨年3月に死亡した母親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得しました。
相続の開始の直前において、母親は一人暮らしをし、母親が所有していた土地(200㎡)は、用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母親が所有していた母屋:80㎡、離れ:40㎡)のある一団の土地でした。
Xは、その土地全部を更地とした上で、本年7月に1億2,000万円で売却しました。
相続の時から取壊しの時まで母屋も離れも空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
この場合、Xの譲渡は、「相続空き家の特例(措法35③)」の譲渡価額要件(1億円以下)を満たすこととなるのでしょうか。
被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔税務面(所得税)のQ&A〕 【Q2】「個別指定による期限延長措置」
本年(×2年)1月に発生した地震によって自宅が全壊する被害を受け、×2年2月末に被災地から離れた地域に転居した。年末調整を受けた給与所得の他に不動産所得があることから毎年確定申告しているが、×1年分については必要な資料を直ちにそろえることができず、期限までに申告することが難しい状況である。
現在住んでいる地域は、地域指定による期限延長措置の対象となっていないので、個別指定による期限延長措置の適用を受けたい。どのような手続が必要か。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第21回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定③(店舗兼住宅等を譲渡した場合)」-譲渡価額要件の判定-
Xは、昨年6月に死亡した父親の家屋160㎡(昭和56年5月31日以前に建築:居住用部分80㎡、店舗用部分80㎡)及びその土地200㎡(居住用部分100㎡、店舗用部分100㎡)を相続により取得して、その家屋を取り壊し更地にした上で、本年9月に1億1,000万円で売却しました。
相続の開始の直前まで父親は一人暮らしをしながら古美術商を営み、その家屋は相続の時から取壊しの時まで空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
この場合、Xの譲渡は、「相続空き家の特例(措法35③)」の譲渡価額要件(1億円以下)を満たすこととなるのでしょうか。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第11回】「滞在期間・住居・生計同一親族による住所の判定」
私(税理士)は、海外と日本を頻繁に行き来する経営者から税務の相談を受けました。
その経営者は日本に親族が住む家があり、家賃の一部を負担していますが、その家があることにより「日本に住所がある」と判定されることになるのですか。
被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔税務面(所得税)のQ&A〕 【Q1】「納税地の異動」
本年(×2年)1月に発生した地震により、自宅が全壊する被害を受けた。被災した自宅のあるA市は、国税庁告示により地震発生日以降に到来する国税の申告・納付等の期限が延長されている(地域指定による期限延長措置)。
×2年2月末に、A市から期限延長の指定地域外にあるB市へ転居しているが、全壊した自宅から必要書類を持ち出すことができないため、×1年分の確定申告を申告期限(×2年3月15日)までに行うことは難しい状況である。
A市に居住しているときに被災しているので、×1年分の確定申告は地域指定による期限延長措置の対象となり、申告期限は自動的に延長されるのか。
〈平成29年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「実務で処理を迷う事項Q&A」
シリーズ最終回は、年末調整実務で処理を迷う事項等について、過去に取り上げていないものを中心にQ&A形式で解説を行う。
取り上げる事項は以下のとおりである。
【Q1】 過去の未払残業代を一時金として支給する場合の年末調整の対象となる給与範囲
【Q2】 企業内保育所で従業員から徴収した保育料と外部保育所の保育料との差額分の取扱い
【Q3】 居住用財産の譲渡益の発生した妻(無職)に係る配偶者控除の適用
【Q4】 再婚した妻の連れ子に係る扶養控除の適用
【Q5】 夫と死別した妻(合計所得金額700万円)の寡婦控除の適用
【Q6】 死亡した夫の住宅ローンを引き継いだ妻の住宅借入金等特別控除の適用
【Q7】 台風で被害を受け居住不可となった自宅の住宅借入金等特別控除の継続適用
相続空き家の特例 [一問一答] 【第20回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定②(相続開始直前において居住用家屋取得相続人に自己の持分がある場合)」-譲渡価額要件の判定-
Xは、母親が相続開始の日(昨年2月1日)まで単独で居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築:母親と共有(各1/2))及びその敷地(母親とX共有(各1/2))の母親持分をその相続により取得し、その家屋の耐震リフォームを行い、相続後は空き家の状態のままで、同年10月に1億1,000万円で売却しました。
母親からの相続分に係る譲渡価額は5,500万円ですが、この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の譲渡価額要件(1億円以下)を満たすこととなるのでしょうか。