これからの国際税務 【第22回】「包摂的枠組(IF)承認のデジタル課税に関する新ルール案(青写真)の課題」
2020年10月9日、BEPSプロジェクトの最後のテーマである「デジタル経済の課税」について、過去5年間の詳細設計に向けた検討の成果物である「2つの柱からなる新しいルール」を提案する最終草案が、G20/OECDの下で約140ヶ国により構成された包摂的枠組(IF)により承認され、同月12日に公表された。
10月14日のG20財務大臣会議コミュニケは、この報告を歓迎し、これに基づき残存する課題を解決して、2021年半ばまでの最終合意を目指すよう求めている。以下では、その内容を概観するとともに、残された主な課題について考察を行う。
〈令和2年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「令和2年分から適用される改正事項(その2)」
連載第2回は、前回に引き続き令和2年分の所得税から適用される改正事項のうち、年末調整において注意しておくべき事項について解説を行う。また、令和2年分の年末調整で新たに設けられた「基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」の記載方法を示すこととする。
給与計算の質問箱 【第11回】「年末調整書類の様式の変更点」
12月の給与計算時に年末調整を行うにあたり、年末調整書類を役員・従業員へ配付する時期になりました。年末調整書類の様式は、昨年と比較して変更点はあるでしょうか。
組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第12回】「譲渡損益の繰延べ、資産調整勘定」
内国法人が、完全支配関係にある他の内国法人に対して、その有する譲渡損益調整資産を譲渡した場合には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額が繰り延べられ(法法61の13①)、当該他の内国法人において、当該譲渡損益調整資産の譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却その他これらに類する事由が生じた場合に、当該内国法人において実現することになる(法法61の13②)。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第20回】「『役員報酬』と『役員給与』」
当社は一般的な中小企業であり、私は経理と総務の責任者です。
定時株主総会議事録の作成補助や顧問税理士との折衝が日常業務の1つですが、役員に対する人件費のことを「役員報酬」と呼べばいいのか、「役員給与」と呼べばいいのかで疑問に思っています。
どちらも同じ意味に感じていますが、知っておくべきことがあれば教えてください。
相続税の実務問答 【第53回】「遺産の一部が未分割である場合の相続税の申告(法定相続分以上の財産を取得した者があるとき)」
今年の3月に父が亡くなりました。相続人は、母、姉及び私の3名です。
相続人間で遺産分割協議をした結果、自宅土地建物は母、A預金は姉、B預金は私がそれぞれ取得することとなりましたが、C社株式を含むその他の財産については、協議がまとまらず、父の一周忌が過ぎてから改めて協議をすることとなりました。
間もなく相続税の申告をしなければなりませんが、各相続人の課税価格はどのように計算すればよいのでしょうか。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第5回】「居住の用に供されなくなった後で、事業の用に供した場合」-譲渡資産の範囲-
Xは、大阪にある自己所有の家屋に妻とともに居住していましたが、一昨年3月に東京本社への転勤命令があって、大阪の家屋は賃貸に出し、東京の社宅に引っ越しました。
大阪の賃借人が立ち退いて直ぐの本年9月、その家屋をその敷地とともに売却したところ多額の譲渡損失が発生し、銀行で住宅ローンを組んで東京に新宅を購入し、東京の社宅から引っ越して、現在、居住の用に供しています。
他の適用要件が具備されている場合に、Xは当該譲渡について、「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第93回】「法令相互間の適用原則から読み解く租税法(その3)」~後法優位の原則~
「後法は前法に勝る」とか、「後法は前法を破る」という法諺がある。
これは、その効力が同等である2つ以上の法令の矛盾抵触がある場合において、法令の所管事項の原則(本連載「その1」)によっても、法令の形式的効力の原則(本連載「その2」)によっても、特別法優先の原則によっても解決できない場合に時間的に後から制定されたものが前に制定されたものよりも優越するということを表す考え方である(伊藤義一『税法の読み方 判例の見方〔改訂版〕』84頁(TKC出版2007))。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第47回】「租税法律主義の基礎理論」-手続的保障原則-
今回は、租税手続法(租税争訟法を含む)に関する租税法律主義の内容として、適正手続の保障を要請する手続的保障原則を取り上げ検討する。
租税手続法について、「租税の賦課・徴収は公権力の行使であるから、それは適正な手続で行われなければならず、またそれに対する争訟は公正な手続で解決されなければならない。」(金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)88頁)と説かれるのが、このような要請が手続的保障原則である(拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)【27】参照)。