〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第11回】「ワールドファミリー事件-移転価格税制における機能分析の考え方-(地判平29.4.11)(その2)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項1号ロ、第8項~
被告は旧租税特別措置法関係通達66の4(2)-3の規定する「12のテスト」(※8)を用いて、再販売者の果たす機能その他における差異については「その差異により生ずる割合につき必要な調整ができる」としてDWE取引との関係で比較対象性を有しているとした。それに対して原告は「取引及び市場参入に係る時期」において差異があるとし、また取引に共通の無形資産を保有している等の「内部取引の信憑性」の観点から原告の選定した内部比較対象取引(DME取引)の比較対象取引としての合理性を主張している。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第23回】「租税回避の個別的否認規定と個別分野別一般的否認規定との適用関係」-ヤフー事件最判による「重畳的」適用とTPR事件東京高判による制定法踰越的法創造-
前回は異なる個別分野別一般的否認規定(法税132条1項と132条の2)の不当性要件について統一的解釈(個別分野別不当性要件の統一的解釈)に基づく検討を行ったが、今回は個別分野別一般的否認規定について個別的否認規定との適用関係を検討する。
減資を行い税制上の「中小企業」となった企業の決算・申告にあたっての留意点
我が国の法人税においては、資本金が1億円以下か1億円超かによって、適用される税制が異なる場面が多々ある。そのため、あえて資本金を1億円以下まで減資をしていわゆる「中小企業」となることで、節税を図るケースが見られる。
本稿では、このようなケースにおける決算・申告にあたっての留意点について解説する。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例119(相続税)】 「土地区画整理地内の宅地につき、無道路地で評価できるところ、単なる不整形地として評価してしまった事例」
平成S年7月に死亡した祖父甲の相続税申告において、仮換地の指定を受けた宅地につき、無道路地で評価できるところ、単なる不整形地として評価して申告していた。これが令和Y年6月に死亡した母乙の相続税申告時に発覚し、過大納付税額につき損害賠償請求を受けたものである。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第24回】「購入した不動産の内訳について契約書に記載された金額に基づくか、固定資産税評価額による按分額に基づくかで争われた事例」
建物とその敷地の用に供する土地は、同時に取得・譲渡する場合が多い。一般の買い手や売り手は、総額がいくらかには慎重になり、真剣に交渉することが多いが、内訳として土地や建物がそれぞれいくらになるかまで神経質に気に掛ける人はそれほど多くはないと思われる。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第10回】「ワールドファミリー事件-移転価格税制における機能分析の考え方-(地判平29.4.11)(その1)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項1号ロ、第8項~
本稿では、租税特別措置法66条の4第2項及び第8項で表す独立企業間価格を算定する方法について勘案すべき「当事者が果たす機能その他の事情」についてどのように解釈しているか検討する。
日本の企業税制 【第112回】「新たな国際課税制度の創設」
2月3日、「所得税法等の一部を改正する法律案」が、第211回国会に提出された。2月9日の衆議院本会議で法案の趣旨説明が行われ、国会審議が開始した。また、「地方税法等の一部を改正する法律案」も2月7日に国会に提出され、2月14日には衆議院本会議で法案の趣旨説明が行われ、国会審議が開始した。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第46回】「法人の合併と役員退職給与の勤続年数」
当社は、グループ内の法人間で、役員構成が同じ2社を吸収合併により合併させる予定です。対象役員には、被合併法人側で担っていた業務を合併後も合併法人の役員として従来通り担当してもらうため、被合併法人側で役員退職給与を支給することは予定していません。
ここで、将来的に対象役員が合併法人を退職する際、被合併法人の勤続年数を通算して役員退職給与を計算することは可能でしょうか。
〔令和5年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第3回】「「交際費等の損金不算入制度の特例の延長」「少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直しと延長」「暗号資産の時価評価」」
令和4年3月31日までに開始する事業年度までの、税務上の交際費等の課税関係は次表の通りである。これが令和4年度税制改正により、2年間(令和6年3月31日までに開始する事業年度まで)延長されている。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第11回】
この問いが想定するのは、デジタルアートを制作し、そのデジタルアートを紐付けたNFTを知人に無償で贈与し、これにより、その知人は、そのデジタルアートを閲覧することができるようになるケースであり、他人が製作したNFTを購入して、誰かに贈与するケースではないことに注意が必要である。