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《速報解説》
消費税率10%引上げは平成31年(2019年)10月へ2年半延期
~税制関連法案は秋の臨時国会での成立を目指す
Profession Journal編集部
〔2016/11/28公開〕
《速報解説》
消費税率引上げ延期に係る税制関連法が11月28日付け官報号外第261号にて公布、同日施行~10%引上げ及び軽減税率導入は平成31年10月1日へ
〔2016/8/3公開〕
《速報解説》
秋の臨時国会における税制関連法案の成立へ向け、与党、「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」を公表~インボイスまでの経過期間は4年を存置、大規模事業者の税額計算特例は「措置せず」
昨日(6月1日)の安倍首相の記者会見により、消費税率の10%引上げの時期が平成31年(2019年)10月1日まで2年半延期されることが明らかとなった。軽減税率の導入も同様に2年半の延期が明言された。
現在は平成28年度税制改正を踏まえ、下記のスケジュールで消費税率10%引上げ等が行われることとなっている。
- 平成28年(2016年)10月1日
⇒経過措置に係る指定日 - 平成29年(2017年)4月1日
⇒10%引上げ+軽減税率スタート(区分記載請求書等保存方式) - 平成31年(2019年)4月1日
⇒適格請求書発行事業者の登録申請受付スタート - 平成33年(2021年)4月1日
⇒インボイス(適格請求書等保存方式)導入
これが今回の延期により、次のスケジュールとなる見込みだ。
- 平成31年(2019年)4月1日
⇒経過措置に係る指定日 - 平成31年(2019年)10月1日
⇒10%引上げ+軽減税率スタート(区分記載請求書等保存方式)
今回の消費税率引上げの延期、及び既報のように直系尊属からの住宅取得等資金贈与特例など法律上の手当ては、秋の臨時国会で審議される予定であり、提出される改正法案により詳細が明らかになる見込みだ。
また、現在、募集を行っている軽減税率対策補助金制度についても、平成28年3月29日から平成29年3月31日までに導入または改修等が完了したものが支援対象とされているため、今後の動向に注意したい。
〔追記2016/6/2〕
中小企業庁ホームページにおいて、補助金の受付を継続することが公表されました。
延長後の受付期限については事務局ホームページで案内されるとのことです。
▷中小企業庁ホームページ「軽減税率対策補助金の受付は継続いたします」
さて、区分記載請求書等保存方式による4年の経過期間を経たインボイス制度だが、その導入(及び発行事業者の登録開始)時期については、消費税率アップと同様に2年半延期されるかは未定だ。インボイスは現在から準備できるものとして、財務省は軽減税率の導入にかかわらず、平成33年から当初の予定どおり導入するのではないかとの憶測も広がっている。
すでに来年4月からの税率引上げ及び複数税率への対応を始めていた企業や業界団体にとっては予算管理も含めスケジュールの見直しが求められるものの、引上げまで1年を切った現在としては、今回の延期は実務家にとって朗報ともいえよう。
なお、当面の対応は不要となるものの、インパクトの大きい改正であることには変わりないことから、特に軽減税率については経営上の問題点の洗い出しやシステム改修の検討等の対応について、綿密なスケジュールを立て着実に進めておきたい。
また、秋の臨時国会では、昨日の安倍首相の「総合的かつ大胆な経済対策を講じてアベノミクスをいっそう加速させていく」との発言にあったように経済対策を盛り込んだ今年度第2次補正予算案が編成されることから、税制についても何らかの手当てが行われる可能性もあり、7月10日の参議院選挙後の与党及び政府の動向にも注視が必要だ。
(了)
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