組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第8回】
公認会計士 佐藤 信祐
(《第1章》 平成13年度税制改正前の議論)
3 現物出資の課税の特例制度
(1) 制度の概要
【第2回】で解説したように、第7回法人課税小委員会(平成12年6月2日)に提出された資料では、平成13年改正前法人税法における現物出資の取扱いについて、以下のように記載されている。
法人が、現物出資により子会社を設立した場合において、次の要件等を満たすときは、圧縮記帳により出資資産の含み益に対する課税を繰り延べることができる(法人税法51、同施行令93)。
① 子会社の株式等の保有割合が95%以上であること。
② 子会社の設立時に、株式等の保有割合が95%未満となることが見込まれていないこと。
③ 子会社が現物出資により受け入れた資産の受入価額を親会社の帳簿価額以下としていること。
なお、現物出資に代えて、金銭出資により子会社を設立し、その後資産を譲渡するいわゆる変態現物出資についても、圧縮記帳により出資資産の含み益に対する課税の繰延べを認めるものとして取り扱われている(法人税基本通達10-7-1)。
この制度は、昭和17年の臨時租税特別措置法により、国の政策の実現のための特別の規定として導入され、その後、昭和23年蔵税2758号通牒、昭和25年の法人税基本通達に一般の会社にも適用できるようになり、さらに、昭和40年の法人税全文改正により、法令に取り込まれるようになったと言われている(※1)。
(※1) 大野新二「圧縮記帳における課税繰越趣旨の再吟味」税大論叢35号18頁(平成12年)。
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