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組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第62回】

筆者:佐藤 信祐

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組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨

【第62回】
(最終回)

 

公認会計士 佐藤 信祐

 

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《第12章》
平成29年度から平成30年度までの税制改正

1 平成29年度税制改正

平成29年度税制改正についての解説は、下記拙稿において既に本誌で行っているため、本稿では、財務省が公表した『平成29年度税制改正の解説』から読み取れる内容について、追加的に解説を行うこととする。

【関連記事】
「平成29年度税制改正における『組織再編税制』改正事項の確認」(全5回)

  • 【第2回】
    3 スクイーズアウト税制
    (1) 対価要件の見直し
  • 【第3回】
    (2) 全部取得条項付種類株式、株式併合及び株式等売渡請求
    ①  基本的な取扱い
    ② 無対価スクイーズアウト
    ③ 連結納税制度への影響
  • 【第4回】
    4 支配関係継続要件の見直し
    5 株式継続保有要件の見直し
  • 【第5回】
    6 2段階組織再編成の見直し
    7 資産調整勘定の償却の見直し
    8 繰越欠損金、特定資産譲渡等損失の見直し
    9 むすび

まず、スピンオフ税制の制度趣旨は、同書317頁において、

「移転資産に対する支配が再編成後も継続している」かどうかについて、現行の組織再編税制は、グループ経営の場合には、グループ最上位の法人がグループ法人及びその資産の実質的な支配者であるとの観点に立って判断しているという側面もあり(例えば、適格組織再編成における株式の保有関係に関する要件)、この考え方を踏まえれば、グループ最上位の法人(支配株主のない法人)の実質的な支配者はその法人そのものであり、その法人自身の分割であるスピンオフについては、単にその法人が2つに分かれるような分割であれば、移転資産に対する支配が継続しているとして、適格性を認めうると考えられます。

と解説されている。

この点については、やや強引な説明であるとの批判があるが、移転資産に対する支配の継続という概念により組織再編税制を構築しようとした財務省の意図を理解することができる。


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連載目次

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
(全62回)

《序章》・《第1章》(第1回~第8回)

【第1回】

《序 章》

1 はじめに

2 組織再編税制の読み方

【第2回】

《第1章》 平成13年度税制改正前の議論

1 平成13年度税制改正前の状況

【第3回】

2 会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方

(1) 基本的な考え方

【第4回】

(2) 資産等を移転した法人の課税

 移転資産の譲渡損益の取扱い

(ⅰ) 概要

(ⅱ) 企業グループ内の組織再編成

【第5回】

(ⅲ) 共同事業を行うための組織再編成

 資本金の部の金額の取扱い

【第6回】

(3) 株主の課税

 株式の譲渡損益の取扱い

 みなし配当の取扱い

【第7回】

(4) 各種引当金の引継ぎ等

(5) 租税回避の防止

(6) その他

(7) 総括

【第8回】

3 現物出資の課税の特例制度

(1) 制度の概要

(2) 平成10年度税制改正

《第2章》 平成13年度税制改正(第9回~第27回)

【第9回】

1 平成13年度改正税法のすべて(法人税法)

(1) 研究対象

(2) 制度創設の趣旨

(3) 制度の概要

【第10回】

(4) 税制適格要件

 適格合併

(ⅰ) 金銭等不交付要件

(ⅱ) 100%グループ内の適格合併

【第11回】

(ⅲ) 50%超100%未満グループ内の適格合併

(ⅳ) 共同事業を営むための適格合併

【第12回】

 適格分割

(ⅰ) 分割型分割と分社型分割

(ⅱ) 金銭等不交付要件

【第13回】

(ⅲ) 100%グループ内の適格分割

(ⅳ) 50%超100%未満グループ内の適格分割

イ 50%超100%未満グループの判定

【第14回】

ロ 主要資産等引継要件

ハ 従業者引継要件

ニ 事業継続要件

(ⅴ) 共同事業を営むための適格分割

 適格現物出資

【第15回】

(5) 組織再編税制における移転資産等の譲渡損益の取扱い

 移転資産等の譲渡損益の計上に係る取扱いの原則

【第16回】

 適格組織再編成の場合の特例

(ⅰ) 適格合併及び適格分割型分割

(ⅱ) 適格分社型分割及び適格現物出資

【第17回】

(6) 資本の部の金額の取扱い

 概要

 合併

(ⅰ) 資本積立金額

(ⅱ) 利益積立金額

【第18回】

 分割型分割

(ⅰ) 分割法人の税務処理

(ⅱ) 分割承継法人の税務処理

 分社型分割、現物出資

【第19回】

 減資又は残余財産の一部分配・株式の消却・退社又は脱退等

(ⅰ) 株式の消却を伴わない無償減資

(ⅱ) 株式消却を伴わない有償減資、残余財産の一部分配

(ⅲ) 株式消却を伴う有償減資、無償減資、社員の退社又は脱退

(7) みなし配当の取扱い

(8) 株主等の旧株の譲渡損益の取扱い

【第20回】

(9) 個別項目(概要)

(10) みなし事業年度

(11) 受取配当等の益金不算入

【第21回】

(12) 減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法

 概要

 期中損金経理額の損金算入

 損金経理をした金額

 取得価額

 取得日

 中古耐用年数

【第22回】

(13) 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入

(14) 貸倒引当金

【第23回】

(15) 青色欠損金

【第24回】

(16) 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入

(17) 租税回避行為の防止

(18) 総括

【第25回】

2 平成13年版改正税法のすべて(その他の税目)

(1) 所得税法

(2) 登録免許税法

(3) 消費税法

(4) 国税通則法・国税徴収法

(5) 地方税法

【第26回】

3 朝長鑑定

(1) はじめに

(2) 法人税法施行令112条7項5号の解釈

 みなし共同事業要件の制度趣旨

 特定役員引継要件の制度趣旨

(ⅰ) 「特定役員」

(ⅱ) 「特定役員」の就任時期

(ⅲ) 「特定役員」の在任期間

(3) 完全支配関係継続要件における「継続することが見込まれている」の解釈

【第27回】

4 阿部泰久氏のコメント

(1) 概要

(2) 企業組織再編税制の考え方と実務検討(山本守之税理士との対談)

 金銭等不交付要件

 50%超100%未満グループ内の組織再編

 主要資産等引継要件

 従業者引継要件

 事業関連性要件

 事業規模要件及び特定役員引継要件

 みなし共同事業要件

《第3章》 平成14年度から平成17年度までの税制改正(第28回)

【第28回】

1 平成15年度税制改正

(1) 2段階組織再編

(2) 資本積立金額及び利益積立金額の計算の厳格化

(3) 宥恕規定の導入

(4) 耐用年数

2 平成16年度税制改正

3 総括

《第4章》 平成13年から平成17年までの議論(第29回~第32回)

【第29回】

1 法人税基本通達の公表

(1) 1株に満たない端数の処理

(2) 名義株

(3) 従業者の範囲

(4) 主要な事業、売上金額等に準ずるもの

【第30回】

(5) 特定役員の範囲

(6) 主要な資産及び負債の判定

(7) 従業者が従事することが見込まれる業務

(8) 3社合併の取扱い

(9) 特定資産譲渡等損失

【第31回】

2 五枚橋實氏の見解

(1) はじめに

(2) 合併交付金

(3) 未経過固定資産税

(4) 組織再編成前の株式の異動

(5) 支配関係継続要件

【第32回】

(6) 事業継続要件

(7) 従業者引継要件

(8) 事業規模要件

(9) 包括的租税回避防止規定

《第5章》 平成18年度税制改正(第33回~第39回)

【第33回】

1 概要

2 会社法の制定に伴う整備

(1) 資本の部の整備

 資本の部の構成

 自己株式

(a) みなし配当が生じる場合

(b) みなし配当が生じない場合

(c) その他

【第34回】

 DES(デット・エクイティ・スワップ)

 2以上の種類株式を発行する法人が自己株式の取得等をした場合の減少資本金等の額

 非適格合併等に伴い移転を受ける資産等に係る調整勘定等の損金算入制度等整備の創

 株式交換等に係る税制の改正に伴う整備

 支払配当に関する整備

 その他の整備

【第35回】

(2) 有価証券の譲渡損益

 取得請求権付株式等の請求権の行使等による株式の譲渡

 新株予約権付社債に付された新株予約権の行使等による社債の譲渡

 組織再編成による新株予約権の処理

 有価証券の取得価額

 有価証券の譲渡損益の益金又は損金算入時期

【第36回】

(3) 分割型分割その他の組織再編税制に係る所要の整備

 分割型分割の定義

 分割型分割の間接交付化に伴う整備

 移転負債の範囲に含まれる新株予約権交付義務

 反対株主の株式買取請求

 議決権のない株式

【第37回】

3 株式交換等に係る税制

(1) 改正の概要

(2) その後の影響

4 新株予約権を対価とする費用

5 新株予約権の有利発行又は不利発行

【第38回】

6 欠損等法人

【第39回】

7 非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金不算入

(1) 導入の経緯

(2) 非適格合併等の範囲

(3) 資産等超過差額

《第6章》 平成19年度税制改正(第40回)

【第40回】

1 三角組織再編成

2 事業の明確化

3 計算要素にゼロ又はマイナスがある場合の規定の整備

4 その他

《第7章》 平成20年度から平成21年度までの税制改正(第41回)

【第41回】

1 平成20年度税制改正

(1) 1株に満たない端数

(2) 全部取得条項付種類株式

(3) 株式交換又は株式移転により増加する資本金等の額

(4) 自己株式の取得により減少する資本金等の額

2 平成21年度税制改正

《第8章》 平成18年から平成21年までの議論(第42回~第57回)

【第42回】

1 法人税基本通達の改正

(1) 平成19年3月13日改正

 概要

 合併の日、分割の日

 1株未満の端数

 特定役員

 他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合

(2) 平成21年12月28日改正

【第43回】

2 国税庁の公式見解

(1) 新設合併等の登記が遅れた場合の取扱いについて

(2) 共同事業を営むための組織再編成(三角合併等を含む)に関するQ&A

 総論

 各論

【第44回】

(3) 三社合併における適格判定について

(4) 投資法人が共同で事業を営むための合併を行う場合の適格判定について

 事業性

 従業者引継要件

【第45回】

(5) 組織再編税制の手引

 概要

 合併編

(ⅰ) 税制適格要件の判定

(ⅱ) 個別資産及び負債の引継ぎ

(ⅲ) 繰越欠損金の引継ぎ

(ⅳ) 資産調整勘定の計上

【第46回】

 分割編

 現物出資編

 申告調整編

【第47回】

3 国税局職員の講演

4 筆者(佐藤信祐)の見解

(1) はじめに

(2) 税制適格要件

 おおむね100分の80の考え方

(ⅰ) 平成21年当時の見解

(ⅱ) 従業者引継要件の制度趣旨

(ⅲ) 実務上の留意点

【第48回】

 合併の1ヶ月前のリストラと従業者引継要件の判定

(ⅰ) 平成21年当時の見解

(ⅱ) 現在の私見

 事業規模の縮小と従業者引継要件、事業継続要件

(ⅰ) 平成21年当時の見解

(ⅱ) 現在の私見

【第49回】

 持株会社における事業関連性要件の判定

 持株会社における事業規模要件の判定

 創設債務の設定と金銭等不交付要件

 未経過固定資産税と金銭等不交付要件

【第50回】

 非按分型分割

(ⅰ) 平成21年当時の見解

(ⅱ) 現在の私見

(ⅲ) 現行法上の問題点

 主要な資産及び負債を移転しなくてもよい場合

【第51回】

 主要な資産及び負債がない場合

 事業に関連性のない資産の移転

 分割事業とそれ以外の事業に従事している者の取扱い

 事業の一部のみの移転

【第52回】

(3) 繰越欠損金

 繰越欠損金を利用するための適格合併

 繰越欠損金を利用するための企業買収と適格合併

 100%子会社化後の適格合併

【第53回】

 時価が帳簿価額以上である資産と特定資産譲渡等損失相当額の計算

(ⅰ) 平成21年当時の見解

(ⅱ) 現在の私見

 特定資産を適格分社型分割により移転する場合

 貸倒引当金と特定資産譲渡等損失額

(ⅰ) 平成21年当時の見解

(ⅱ) 現在の私見

 営業権と時価純資産超過額の計算

(ⅰ) 平成21年当時の見解

(ⅱ) 現在の私見

【第54回】

(4) のれん

 賞与引当金

 早期退職慰労金

 役員退職慰労金

 資産調整勘定及び負債調整勘定を認識することができない会社分割

【第55回】

(5) 債務超過会社の組織再編成

 基本的な取扱い

 武田昌輔教授の見解

 その後の議論

 子会社支援税制との比較

 組織再編税制が等価な経済取引を前提としているという点について

【第56回】

5 税務専門家の見解

(1) 欠損等法人における「事業」の定義

 長谷川芳孝氏の見解

 その他の議論

(2) 不動産取得税における従業者引継要件

【第57回】

(3) 分割型分割により取得した分割承継法人の株式に係る相続税額の取得費加算

(4) 負ののれんと消費税

(5) 組織再編と事業所税

(6) 小括

《第9章》 平成22年度税制改正(第58回・第59回)

【第58回】

1 概要

2 100%グループ内の法人間の取引等

(1) 総論

(2) 適格現物分配

【第59回】

3 清算所得課税の廃止

4 残余財産確定の場合の欠損金の引継ぎ

5 組織再編税制の見直し

(1) 繰越欠損金の引継制限、使用制限、特定資産譲渡等損失の損金不算入

(2) 分割型分割のみなし事業年度の廃止

(3) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金、短期売買商品等の時価評価損益

(4) 無対価組織再編成

(5) その他

6 みなし配当の生ずる取引に課する課税の適正化

《第10章》 平成23年度から平成28年度までの税制改正(第60回)

【第60回】

1 平成23年度税制改正

2 平成24年度税制改正

3 平成25年度税制改正

4 平成26年度及び平成27年度税制改正

5 平成28年度税制改正

《第11章》 平成22年度から平成28年度までの議論(第61回)

【第61回】

1 日本租税研究協会が公表した研究報告

2 国税局の見解

(1) 平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例

(2) 文書回答事例

(3) 質疑応答事例

3 ヤフー、IDCF事件

《第12章》 平成29年度から平成30年度までの税制改正
《終 章》 まとめ (第62回)

【第62回】

1 平成29年度税制改正

2 平成30年度税制改正

終章 まとめ

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筆者紹介

  • 佐藤 信祐

    (さとう・しんすけ)

    公認会計士・税理士、法学博士
    公認会計士・税理士 佐藤信祐事務所 所長

    平成11年 朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)入所
    平成13年 公認会計士登録、勝島敏明税理士事務所(現 デロイトトーマツ税理士法人)入所
    平成17年 税理士登録、公認会計士・税理士佐藤信祐事務所開業
    平成29年 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(法学博士)

    【主な著書】
    ・『ケース別に分かる企業再生の税務』(共著、中央経済社)
    ・『企業買収・グループ内再編の税務─ストラクチャー選択の有利不利判定─』(共著、中央経済社)
    ・『組織再編税制 申告書・届出書作成と記載例』(共著、清文社)
    ・『制度別逐条解説 企業組織再編の税務』(共著、清文社)
    ・『組織再編における株主課税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
    ・『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』(中央経済社)
    ・『債務超過会社における組織再編の会計・税務』(共著、中央経済社)
    ・『グループ法人税制における無対価取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
    ・『組織再編・グループ内取引における消費税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
    ・『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
    ・『これだけ!組織再編税制』(共著、中央経済社)
    ・『グループ法人税制・連結納税制度における組織再編成の税務詳解』(共著、清文社)
    ・『消費税 個別対応方式の実務 プラス 100Q&A』(共著、清文社)
    ・『組織再編による 事業承継対策』(共著、清文社)
    ・『組織再編の会計と税務の相違点と別表四・五(一)の申告調整』(共著、清文社)
    ・『中小企業のための組織再編・資本等取引の会計と税務』(共著、清文社)
    ・『条文と制度趣旨から理解する 合併・分割税制』(清文社)

    その他M&A、グループ内再編、事業再生及び事業承継に関する書籍多数。

        

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