〈検証〉IFRS適用レポート
~IFRS導入企業65社の回答から何が読み解けるか?~
【第1回】
「IFRS適用レポートにおける4つの重要ポイント」
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
CFOサービスユニット シニアマネージャー 公認会計士
窪田 俊夫
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
CFOサービスユニット コンサルタント
小澤 哲也
はじめに
~IFRS適用レポートとは~
本レポートは2014年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」に基づき、IFRS任意適用企業65社(適用予定企業を含む。以下同じ)に対し、実態調査・ヒアリングを実施し、IFRSへの移行に際しての課題への対応やメリットなどをとりまとめたものである。
IFRS適用レポートにおいては、IFRS導入を検討している企業に関連して、大きく以下の4点がポイントとして挙げられている。
【IFRS適用レポートにおいて挙げられているポイント】
《ポイント1》
IFRS導入の最大のメリットとして「経営管理への寄与(経営管理の高度化)」を挙げている企業が多いこと
《ポイント2》
IFRS導入のコストは各企業の規模・導入目的によってまちまちであり、多様性があること
《ポイント3》
関係者における会計人材の裾野の拡大が期待されること
《ポイント4》
IFRSへの移行プロセスにあたり、他社との連携や他社事例の分析を活用すること
IFRS導入を検討している企業は、本レポートから何を読み解いて、自社にどう活かせるのだろうか。これから5回にわたり、本レポート結果のポイントを解説したうえで、IFRS導入プロジェクトを推進・完遂するための重要な論点を解説する。なお、当該記事は執筆者の私見であり、執筆者が所属する組織の公式見解ではない。
▷IFRS適用レポートにおける4つの重要ポイント
本連載第1回目では、IFRS適用レポートにおいて挙げられている4つのポイントをそれぞれ解説する。
《ポイント1》
IFRS導入の最大のメリットとして「経営管理への寄与(経営管理の高度化)」を挙げている企業が多いこと
IFRS任意適用企業はIFRSの任意適用を決定した理由または移行前に想定した主なメリット、移行後の実際のメリットについて、以下の通り回答しており、移行前に想定していたメリットを実際に享受していると考えられる。
【IFRS移行の主なメリット】
出所:金融庁 「IFRS適用レポート」27頁、66頁より作成
「経営管理への寄与(経営管理の高度化)」を挙げている企業が多い一方で、「比較可能性の向上」や「投資家への説明の容易さ」を挙げた企業も多い。このことから、IFRS任意適用企業は事業投資領域と資金調達領域にそれぞれIFRS導入の目的を見出し、任意適用を決定したのではないかと推測できる。
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