公開日: 2018/04/05 (掲載号:No.263)
文字サイズ

海外移住者のための資産管理・処分の税務Q&A 【第1回】「移住後に国内不動産を賃貸する場合の留意点」

筆者: 島田 弘大

海外移住者のための

資産管理・処分税務

【第1回】

「移住後に国内不動産を賃貸する場合の留意点」

 

税理士・行政書士 島田 弘大

 

連載開始に当たって

昨今では個人事業主、フリーランスや老後の海外移住を始め、中小企業のオーナー社長自身が海外に移住するというケースは珍しいものではなくなった。外務省が公表する「海外在留邦人数調査統計(平成28年10月1日現在)」を見ても、統計を開始した昭和43年以降最多数を記録するなど、海外移住が増えていることは明らかである。

移住する前には様々な検討をする必要があるが、税務については重要な検討事項の1つであろう。例えば、既に保有している国内資産をどのように管理していくべきか、又は移住する際に処分してしまった方が良いのかといった判断を迫られることになるが、この判断にも税務上の留意点をおさえることが非常に重要である。

本連載ではケースごとにこれらの留意点について、特に日本からの移住者が多く筆者もその情勢に詳しいシンガポールの税制を交えて解説していく。

 

Question

私は来年、海外への移住を検討しています。現在、国内に保有している持家については、移住後、賃貸することを検討していますが、税務上気をつける点はありますか。

あるいは、移住前に売却した方が良いでしょうか。

 

Answer

1 はじめに

海外への移住を検討している日本の居住者(個人)が日本に持家を所有している場合、この持家を処分したが方が良いのか、それとも保有し続けても問題は生じないだろうか。国際税務の観点から、以下検討する。

 

2 国外転出時課税

(1) 制度の概要

保有し続ける場合、まず検討しなければならないのが『国外転出時課税制度』である。

国外転出時課税制度(いわゆる出国税)とは、平成27年7月1日以後に出国する「一定の高額資産家」を対象に、出国時に未実現のキャピタルゲインに対して特例的に課税を行う制度である(所法60の2)。

「一定の高額資産家」とは、下記2つの要件を満たす居住者をいう(所法60の2⑤)。

  • 出国時の有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引の合計金額(評価額)が1億円以上の場合
  • 国外転出をする日前10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間が5年超である者

この制度の対象となってしまうと、その資産の含み益に対して出国時に課税されることになるわけだが、上記の通り、有価証券等の「対象資産」を1億円以上持っていなければ国外転出時課税の対象から外れることになる。つまり、「対象資産」が非常に重要と言える。

この「対象資産」に不動産が含まれていなければ、保有していたとしても出国時にその含み益に対して課税されることはない。

(2) 国外転出時課税制度の対象となる資産

それでは次に、具体的にその対象資産がどのように規定されているかを確認する。

所得税法第60条の2において、下記が国外転出時課税の「対象資産」になると規定されている。

・有価証券(株式や投資信託など(※1)

・匿名組合契約の出資の持分

・未決済の信用取引・発行日取引(※2)

・未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)

(※1) 対象資産の有価証券の範囲から次に掲げる有価証券で国内源泉所得を生ずべきものを除く。

(A) 特定譲渡制限付株式等で譲渡についての制限が解除されていないもの

(B) 株式を無償又は有利な価額により取得することができる一定の権利で、その権利を行使したならば経済的な利益として課税されるものを表示する有価証券

(※2) 発行日取引とは、有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引で一定のものをいう。

(3) 不動産は対象とならない

対象資産は上記の通り限定列挙されているが、その中に不動産は含まれていない。つまり、現行法(2018年3月4日時点)においては、不動産は国外転出時課税の対象資産には含まれない。

したがって、不動産を保有したまま出国したとしても、国外転出時課税制度の影響はない。

【参考】 国税庁ホームページ
国外転出時課税制度のあらまし

 

3 移住後に持家を賃貸・売却した場合

(1) 非居住者に対する課税

それでは、海外に移住して非居住者となった後に、日本の持家を賃貸又は売却した場合、どのような課税関係になるのか。日本でも確定申告が必要になるのか。

(2) 売却した場合

非居住者が不動産売却に係る譲渡所得については、確定申告が必要となる。

その所得については居住者が受ける場合に準じた所得計算を行うため、他の所得とは分離して課税(申告分離課税)される(所法5②、161①五、164①二、165)。また、長期譲渡所得の課税の特例も原則として非居住者にも適用されるため、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つに区分し、税金の計算も別々に行うことになる(措法31)。

長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの)
・・・15.315%

短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの)
・・・30.63%

なお、「居住用財産の特別控除」などの特別控除や10年超所有の軽減税率なども原則として居住者と同様に適用される。

(3) 賃貸した場合

賃貸して賃料収入を得ている場合も不動産所得として確定申告が必要になる(所法5②、161①七、164①二、165)。

(4) 納税管理人の選任が必要

上記の通り、非居住者となった後も日本の持家を売却又は賃貸すると基本的には日本で確定申告が必要になる。この場合、納税管理人を定めて「所得税の納税管理人の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないため注意が必要である(国通法117)。

(5) 確定申告により還付される場合も

確定申告には「手間がかかる」というデメリットだけではない。確定申告を行うことにより還付される可能性も十分考えられる。

売却した場合も賃貸した場合も、その金額や借り手・買い手の状況等にもよるが、非居住者の場合は売却金額・賃借料について源泉徴収されている可能性がある。

通常、最終的な確定税額よりも多く源泉徴収されている可能性が高く、確定申告をすることにより還付されるケースも多くある。

(6) 住民税の取扱い

住民税は毎年1月1日時点で日本国内に住所を有する者の、その「前年度の所得」に対して課税される。したがって、賃料を受け取った年や譲渡所得を得た年の翌年1月1日時点で日本に居住していなければ、原則としてそれらの所得に対して住民税は課税されないこととなる。

 

4 持家を所有し続けることのリスク

(1) 居住者・非居住者

上記で検討した通り、不動産は国外転出時課税の対象にはならず、また移住後に売却・賃貸した場合も日本で確定申告が必要になり手間がかかるものの、きちんと納税管理人を定めて確定申告を行えば特に問題はないと考えられる。

ただし、所有し続けることのリスクがないわけではない。

それは「居住者・非居住者の判定」である。

(2) 居住者・非居住者の判定の重要性

そもそもなぜ居住者・非居住者の判定に注意しなければならないのか。

日本の税法上、居住者の場合は所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税されることになる。いわゆる、『全世界所得課税』である。つまり、居住者は国外にある不動産の貸付・譲渡による収益などの国外源泉所得に対しても日本で課税されることになる。

一方で、非居住者(居住者以外の個人をいう)の場合は、日本国内において生じた所得(国内源泉所得)に限って課税されるため、上記のような国外源泉所得には課税されない(所法5②)。

したがって、非居住者の方が課税される範囲が少ないため、「居住者か非居住者か」という線引きは非常に大きな意味を持つことになる。

(3) 持家との関連性

実はこの持家について、居住者か非居住者かを判断する際に影響がある可能性がある。

日本の所得税法において、『居住者』とは、国内に『住所』を有し、又は、現在まで引き続き1年以上『居所』を有する個人をいい、『居住者』以外の個人を『非居住者』と規定している(所法2①三・五)。

ここでは詳細の説明は避けるが、条文上はその定義が明確ではないため、実務的にはとても難しい判断をしなければならないケースが多くある。

滞在地が2ヶ国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになる(所基通2-1)。

例えば、移住した後もその持家に家族が引き続き居住者している場合や、帰国した際にはそこに引き続き住む場合などは非常に注意が必要である。

居住者・非居住者は様々な客観的事実をもとに総合的に判断されるため、このような場合でも、直ちに居住者に該当してしまうわけではないが、上述の通り、親族の居住状況や資産の所在についても過去の判例では判断の構成要素とされているため、この居住者・非居住者の判定に影響を与えてしまう可能性も考えられる。

持家を維持し続ける場合には、この点も注意が必要と言える。

つまり、持家は移住前に必ず売却した方が良いというわけではないが、その持家の利用状況等によっては注意が必要である。

 

5 居住地国の税制と租税条約

ここまで日本の国内法について見てきたが、最後に、移住先である居住地国での税制と租税条約についても触れておきたい。

まず、居住地国の税法によって日本国内の不動産に対しても課税されるか確認する必要がある。例えば、シンガポールであれば個人の国外源泉所得は課税対象とはされていないため特に気にする必要はないが、居住地国において申告・納税義務がないかは確認が必要である。

また、その居住地国と日本との間の租税条約の確認も必要となる。ただ、不動産の賃貸料や譲渡による所得について、租税条約では基本的に不動産の所在する国においてその国の法令に従って課税することができるとされているため、日本側ではで述べた通りの取扱いになると考えられる。

〔凡例〕
所法・・・所得税法
所基通・・・所得税基本通達
措法・・・租税特別措置法
国通法・・・国税通則法
(例)所法161①七・・・所得税法161条1項7号

(了)

「海外移住者のための資産管理・処分の税務Q&A」は、毎月第1週に掲載します。次回は5/10の掲載となります。

海外移住者のための

資産管理・処分税務

【第1回】

「移住後に国内不動産を賃貸する場合の留意点」

 

税理士・行政書士 島田 弘大

 

連載開始に当たって

昨今では個人事業主、フリーランスや老後の海外移住を始め、中小企業のオーナー社長自身が海外に移住するというケースは珍しいものではなくなった。外務省が公表する「海外在留邦人数調査統計(平成28年10月1日現在)」を見ても、統計を開始した昭和43年以降最多数を記録するなど、海外移住が増えていることは明らかである。

移住する前には様々な検討をする必要があるが、税務については重要な検討事項の1つであろう。例えば、既に保有している国内資産をどのように管理していくべきか、又は移住する際に処分してしまった方が良いのかといった判断を迫られることになるが、この判断にも税務上の留意点をおさえることが非常に重要である。

本連載ではケースごとにこれらの留意点について、特に日本からの移住者が多く筆者もその情勢に詳しいシンガポールの税制を交えて解説していく。

 

Question

私は来年、海外への移住を検討しています。現在、国内に保有している持家については、移住後、賃貸することを検討していますが、税務上気をつける点はありますか。

あるいは、移住前に売却した方が良いでしょうか。

 

Answer

1 はじめに

海外への移住を検討している日本の居住者(個人)が日本に持家を所有している場合、この持家を処分したが方が良いのか、それとも保有し続けても問題は生じないだろうか。国際税務の観点から、以下検討する。

 

2 国外転出時課税

(1) 制度の概要

保有し続ける場合、まず検討しなければならないのが『国外転出時課税制度』である。

国外転出時課税制度(いわゆる出国税)とは、平成27年7月1日以後に出国する「一定の高額資産家」を対象に、出国時に未実現のキャピタルゲインに対して特例的に課税を行う制度である(所法60の2)。

「一定の高額資産家」とは、下記2つの要件を満たす居住者をいう(所法60の2⑤)。

  • 出国時の有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引の合計金額(評価額)が1億円以上の場合
  • 国外転出をする日前10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間が5年超である者

この制度の対象となってしまうと、その資産の含み益に対して出国時に課税されることになるわけだが、上記の通り、有価証券等の「対象資産」を1億円以上持っていなければ国外転出時課税の対象から外れることになる。つまり、「対象資産」が非常に重要と言える。

この「対象資産」に不動産が含まれていなければ、保有していたとしても出国時にその含み益に対して課税されることはない。

(2) 国外転出時課税制度の対象となる資産

それでは次に、具体的にその対象資産がどのように規定されているかを確認する。

所得税法第60条の2において、下記が国外転出時課税の「対象資産」になると規定されている。

・有価証券(株式や投資信託など(※1)

・匿名組合契約の出資の持分

・未決済の信用取引・発行日取引(※2)

・未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)

(※1) 対象資産の有価証券の範囲から次に掲げる有価証券で国内源泉所得を生ずべきものを除く。

(A) 特定譲渡制限付株式等で譲渡についての制限が解除されていないもの

(B) 株式を無償又は有利な価額により取得することができる一定の権利で、その権利を行使したならば経済的な利益として課税されるものを表示する有価証券

(※2) 発行日取引とは、有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引で一定のものをいう。

(3) 不動産は対象とならない

対象資産は上記の通り限定列挙されているが、その中に不動産は含まれていない。つまり、現行法(2018年3月4日時点)においては、不動産は国外転出時課税の対象資産には含まれない。

したがって、不動産を保有したまま出国したとしても、国外転出時課税制度の影響はない。

【参考】 国税庁ホームページ
国外転出時課税制度のあらまし

 

3 移住後に持家を賃貸・売却した場合

(1) 非居住者に対する課税

それでは、海外に移住して非居住者となった後に、日本の持家を賃貸又は売却した場合、どのような課税関係になるのか。日本でも確定申告が必要になるのか。

(2) 売却した場合

非居住者が不動産売却に係る譲渡所得については、確定申告が必要となる。

その所得については居住者が受ける場合に準じた所得計算を行うため、他の所得とは分離して課税(申告分離課税)される(所法5②、161①五、164①二、165)。また、長期譲渡所得の課税の特例も原則として非居住者にも適用されるため、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つに区分し、税金の計算も別々に行うことになる(措法31)。

長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの)
・・・15.315%

短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの)
・・・30.63%

なお、「居住用財産の特別控除」などの特別控除や10年超所有の軽減税率なども原則として居住者と同様に適用される。

(3) 賃貸した場合

賃貸して賃料収入を得ている場合も不動産所得として確定申告が必要になる(所法5②、161①七、164①二、165)。

(4) 納税管理人の選任が必要

上記の通り、非居住者となった後も日本の持家を売却又は賃貸すると基本的には日本で確定申告が必要になる。この場合、納税管理人を定めて「所得税の納税管理人の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないため注意が必要である(国通法117)。

(5) 確定申告により還付される場合も

確定申告には「手間がかかる」というデメリットだけではない。確定申告を行うことにより還付される可能性も十分考えられる。

売却した場合も賃貸した場合も、その金額や借り手・買い手の状況等にもよるが、非居住者の場合は売却金額・賃借料について源泉徴収されている可能性がある。

通常、最終的な確定税額よりも多く源泉徴収されている可能性が高く、確定申告をすることにより還付されるケースも多くある。

(6) 住民税の取扱い

住民税は毎年1月1日時点で日本国内に住所を有する者の、その「前年度の所得」に対して課税される。したがって、賃料を受け取った年や譲渡所得を得た年の翌年1月1日時点で日本に居住していなければ、原則としてそれらの所得に対して住民税は課税されないこととなる。

 

4 持家を所有し続けることのリスク

(1) 居住者・非居住者

上記で検討した通り、不動産は国外転出時課税の対象にはならず、また移住後に売却・賃貸した場合も日本で確定申告が必要になり手間がかかるものの、きちんと納税管理人を定めて確定申告を行えば特に問題はないと考えられる。

ただし、所有し続けることのリスクがないわけではない。

それは「居住者・非居住者の判定」である。

(2) 居住者・非居住者の判定の重要性

そもそもなぜ居住者・非居住者の判定に注意しなければならないのか。

日本の税法上、居住者の場合は所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税されることになる。いわゆる、『全世界所得課税』である。つまり、居住者は国外にある不動産の貸付・譲渡による収益などの国外源泉所得に対しても日本で課税されることになる。

一方で、非居住者(居住者以外の個人をいう)の場合は、日本国内において生じた所得(国内源泉所得)に限って課税されるため、上記のような国外源泉所得には課税されない(所法5②)。

したがって、非居住者の方が課税される範囲が少ないため、「居住者か非居住者か」という線引きは非常に大きな意味を持つことになる。

(3) 持家との関連性

実はこの持家について、居住者か非居住者かを判断する際に影響がある可能性がある。

日本の所得税法において、『居住者』とは、国内に『住所』を有し、又は、現在まで引き続き1年以上『居所』を有する個人をいい、『居住者』以外の個人を『非居住者』と規定している(所法2①三・五)。

ここでは詳細の説明は避けるが、条文上はその定義が明確ではないため、実務的にはとても難しい判断をしなければならないケースが多くある。

滞在地が2ヶ国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになる(所基通2-1)。

例えば、移住した後もその持家に家族が引き続き居住者している場合や、帰国した際にはそこに引き続き住む場合などは非常に注意が必要である。

居住者・非居住者は様々な客観的事実をもとに総合的に判断されるため、このような場合でも、直ちに居住者に該当してしまうわけではないが、上述の通り、親族の居住状況や資産の所在についても過去の判例では判断の構成要素とされているため、この居住者・非居住者の判定に影響を与えてしまう可能性も考えられる。

持家を維持し続ける場合には、この点も注意が必要と言える。

つまり、持家は移住前に必ず売却した方が良いというわけではないが、その持家の利用状況等によっては注意が必要である。

 

5 居住地国の税制と租税条約

ここまで日本の国内法について見てきたが、最後に、移住先である居住地国での税制と租税条約についても触れておきたい。

まず、居住地国の税法によって日本国内の不動産に対しても課税されるか確認する必要がある。例えば、シンガポールであれば個人の国外源泉所得は課税対象とはされていないため特に気にする必要はないが、居住地国において申告・納税義務がないかは確認が必要である。

また、その居住地国と日本との間の租税条約の確認も必要となる。ただ、不動産の賃貸料や譲渡による所得について、租税条約では基本的に不動産の所在する国においてその国の法令に従って課税することができるとされているため、日本側ではで述べた通りの取扱いになると考えられる。

〔凡例〕
所法・・・所得税法
所基通・・・所得税基本通達
措法・・・租税特別措置法
国通法・・・国税通則法
(例)所法161①七・・・所得税法161条1項7号

(了)

「海外移住者のための資産管理・処分の税務Q&A」は、毎月第1週に掲載します。次回は5/10の掲載となります。

連載目次

筆者紹介

島田 弘大

(しまだ・こうた)

税理士・行政書士

・所属団体:東京地方税理士会、神奈川県行政書士会、Singapore Institute of Accredited Tax Professionals
・事務所名:島田&アソシエイツ国際税理士事務所(http://shimada-associates.com/

神奈川県出身。早稲田大学商学部卒業後、新日本アーンスト&ヤング税理士法人(現EY税理士法人)、BNPパリバ証券株式会社を経てシンガポールに移住。現在は日本に帰国し、「国際税務」と「シンガポール進出」に特化した税理士事務所を日本とシンガポール両国で運営。シンガポール移住・進出サポートの実績も多数有する。

関連書籍

路線価による土地評価の実務

公認会計士・税理士 名和道紀 共著           長井庸子 共著

新・くらしの税金百科 2025→2026

公益財団法人 納税協会連合会 編

評価通達がない不動産評価 判例・裁決40

税理士・不動産鑑定士 下﨑 寛 著 税理士・不動産鑑定士 関原教雄 著

顧問先との会話から引き出す資産対策提案テクニック

101会 税理士 山本和義 他 編著

資産税の取扱いと申告の手引

井上浩二 編 信永 弘 編

空き家の法律問題と実務対応

弁護士・税理士 羽柴研吾 著

読解 不動産登記Q&A

司法書士 飯川洋一 著 弁護士 官澤里美 著 土地家屋調査士 高橋一秀 著 司法書士 佐藤光洋 著

図解でわかる 不動産オーナーの相続対策

税理士 今仲 清 著 税理士 坪多晶子 著

不動産鑑定評価の常識

不動産鑑定士 黒沢 泰 著

「配当還元方式」徹底活用ガイド

税理士 山本和義 著

ここが違う! プロが教える土地評価の要諦

税理士・不動産鑑定士 東北 篤 著

新着情報

もっと見る

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#