公開日: 2018/08/16 (掲載号:No.281)
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平成30年度税制改正における「一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し」 【第3回】

筆者: 安部 和彦

平成30年度税制改正における

「一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し」

【第3回】

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

連載の目次はこちら

4 一般社団法人を用いた節税策と税制改正

(1) 一般社団法人を用いた節税策

一般社団法人は、一定の目的を持った人の集団であり、法人格を有しているという特徴がある。同様の集団として株式会社があるが、営利目的の集団であるということのほかに、重要な相違点がある。それは、一般社団法人には株式会社の株式に相当する「出資持分」が存在せず、設立時に金銭等の出資が求められないため、「資本金」という概念も存在しないという点である。

そのため、一般社団法人の場合、毎期の決算において利益剰余金を計上しても、社員は当該剰余金について分配を受けることはできず、また、解散時においても、残余財産の分配を受けることはできない(法律上、定款にその定めを置くことはできない、一般法人法11②)。

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平成30年度税制改正における

「一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し」

【第3回】

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

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4 一般社団法人を用いた節税策と税制改正

(1) 一般社団法人を用いた節税策

一般社団法人は、一定の目的を持った人の集団であり、法人格を有しているという特徴がある。同様の集団として株式会社があるが、営利目的の集団であるということのほかに、重要な相違点がある。それは、一般社団法人には株式会社の株式に相当する「出資持分」が存在せず、設立時に金銭等の出資が求められないため、「資本金」という概念も存在しないという点である。

そのため、一般社団法人の場合、毎期の決算において利益剰余金を計上しても、社員は当該剰余金について分配を受けることはできず、また、解散時においても、残余財産の分配を受けることはできない(法律上、定款にその定めを置くことはできない、一般法人法11②)。

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連載目次

「平成30年度税制改正における「一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し」」(全5回)

【第1回】

1 はじめに

2 一般社団法人の特徴

(1) 一般社団法人とは

(2) 一般社団法人の設立

(3) 一般社団法人の組織

(4) 一般社団法人の解散

【第2回】

3 一般社団法人に対する課税

(1) 公益法人税制の改革

(2) 一般社団法人に対する課税

① 非営利型法人

② 非営利型法人以外の法人

【第3回】

4 一般社団法人を用いた節税策と税制改正

(1) 一般社団法人を用いた節税策

(2) 一般社団法人を利用した相続税・贈与税の租税回避スキーム

【第4回】

(3) 平成30年度税制改正の内容

① 一般社団法人等に対する贈与税等の課税規定の明確化

② 特定一般社団法人等に対する相続税の課税

【第5回】

(4) 平成30年度税制改正の影響

(5) 租税回避といえないスキームに対する課税

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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