《速報解説》
経産省、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」の
別冊として実施事例集を策定
~策定案への意見に対する経産省の考え方も併せて公表~
公認会計士 阿部 光成
Ⅰ はじめに
2021年2月3日、経済産業省は、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド (別冊)実施事例集」を公表した。これにより、2020年12月23日から意見募集していた案が確定することになる。実施事例集(案)に対する意見とそれに対する経済産業省の考え方も公表されている。
今般、ハイブリッド型バーチャル株主総会のさらなる実務への浸透を図るため、2020年の株主総会における実施状況等を踏まえつつ、実施ガイドの別冊として、実施事例集を策定したものである。
経済産業省は、2020年2月26日に、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を公表している。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅱ 主な内容
実施事例集は、表紙を含めて36ページのものである。
以下では主な内容について解説する。
1 ハイブリッド型バーチャル株主総会
バーチャル株主総会は、取締役や株主等がインターネット等を活用して遠隔地から株主総会に参加・出席することを許容する形態である(5ページ)。
「バーチャルオンリー型」と「ハイブリッド型」の2つの形態があるが、「バーチャルオンリー型」については、現行の会社法下においては解釈上難しいとの見解が示されている。
2020年6月に開催された株主総会では、上場会社のうち、ハイブリッド「出席型」は9社、ハイブリッド「参加型」は113社の実施であった(7ページ)。
▷バーチャルオンリー型
リアル株主総会とは異なり、物理的な会場を設けずに、取締役や株主等が、インターネット等の手段を用いて株主総会に出席するもの。
▷ハイブリッド型
リアル株主総会と同様に物理的な会場を設ける一方で、追加的に取締役や株主等が、インターネット等の手段を用いて株主総会に参加・出席することを許容するもの。
参加型:審議等を確認・傍聴することができる形態
出席型:議決権行使や質問等ができる形態
2 実施事例集(論点別)
参加型・出席型共通の論点として次の事項を取り上げ、各論点に関する考え方や2020年株主総会における実施事例を簡潔に記載している。
① バーチャル株主総会の配信方法
② 取締役等のバーチャル出席
③ インターネット等で出席する取締役等の議決権の行使
④ 株主のバーチャル参加・出席の事前登録
⑤ インターネット等の手段による株主への周知等
⑥ 肖像権等への配慮
⑦ リアル株主総会の会場
また、出席型の論点として次の事項を取り上げ、各論点に関する考え方や2020年株主総会における実施事例を簡潔に記載している。
① 配信遅延への対応
② 通信障害対策
③ 本人確認(なりすまし対策を含む)
④ 株主総会の出席と事前の議決権行使の効力の関係
⑤ 質問の受付・回答方法
⑥ 動議の取扱い
⑦ 賛否の確認方法
(了)