公開日: 2014/11/27 (掲載号:No.96)
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法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第2回】「改正の内容①」

筆者: 小林 正彦

法人税に係る帰属主義及び

AOAの導入と実務への影響

【第2回】

「改正の内容①」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

連載の目次はこちら

3 改正の内容

3-1 外国法人の法人税

3-1-1 改正の概要

《改正前》

外国法人は国内源泉所得について、法人税の納税義務があるとされている(法法4③)。

国内源泉所得は法人税法138条に規定する11種類の類型に分けられていたが、1号所得がすべてであり、2号所得以下は1号所得のうち源泉徴収を要する所得との位置づけであった。

課税標準は、法人税法141条の定めにより、下記の表のとおり、外国法人の態様に応じて定められていた。

(表:改正前)
【外国法人に対する課税関係の概要(網掛け部分が法人税の課税範囲)】

(注)1 事業の所得のうち、組合契約事業から生ずる利益の配分については、20.42%の税率で源泉徴収が行われます。

2 措置法第41条の12の規定により、割引債(特定短期公社債等一定のものを除きます。)の償還差益については、18.378%(一部のものは16.336%)の税率で源泉徴収が行われます。

3 資産の譲渡による所得のうち、国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物の譲渡による対価(所令281の3に規定するものを除きます。)については、10.21%の税率で源泉徴収が行われます。

(※) 国税庁「平成26年版 源泉徴収のあらまし(平成25年11月)」より

支店等の1号PEを有する外国法人については、内国法人と同様の課税を行うという観点から11種類すべての国内源泉所得に課税された。2号建設PE及び3号代理人PEを有する外国法人は、1号から3号所得まではすべての国内源泉所得に課税したが、4号所得から11号所得までは国内事業に帰せられる所得に限って課税された。

また、PEがない外国法人は、一定の国内源泉所得を除いて源泉徴収のみで課税関係が完結することとされた。具体的には、PEがない外国法人は「事業の所得」は非課税となり、1号所得のうち「事業の所得」以外の「資産の運用又は保有による所得」と「資産の譲渡による所得」と2号、3号所得が総合課税され、4号所得以下は源泉分離課税方式による所得税の課税で完結する方式を採っていた。

《改正後》

外国法人は国内源泉所得に課税するという点は変更されていない(法法4③)。
国内源泉所得と課税標準については改正された。

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法人税に係る帰属主義及び

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【第2回】

「改正の内容①」

 

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3 改正の内容

3-1 外国法人の法人税

3-1-1 改正の概要

《改正前》

外国法人は国内源泉所得について、法人税の納税義務があるとされている(法法4③)。

国内源泉所得は法人税法138条に規定する11種類の類型に分けられていたが、1号所得がすべてであり、2号所得以下は1号所得のうち源泉徴収を要する所得との位置づけであった。

課税標準は、法人税法141条の定めにより、下記の表のとおり、外国法人の態様に応じて定められていた。

(表:改正前)
【外国法人に対する課税関係の概要(網掛け部分が法人税の課税範囲)】

(注)1 事業の所得のうち、組合契約事業から生ずる利益の配分については、20.42%の税率で源泉徴収が行われます。

2 措置法第41条の12の規定により、割引債(特定短期公社債等一定のものを除きます。)の償還差益については、18.378%(一部のものは16.336%)の税率で源泉徴収が行われます。

3 資産の譲渡による所得のうち、国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物の譲渡による対価(所令281の3に規定するものを除きます。)については、10.21%の税率で源泉徴収が行われます。

(※) 国税庁「平成26年版 源泉徴収のあらまし(平成25年11月)」より

支店等の1号PEを有する外国法人については、内国法人と同様の課税を行うという観点から11種類すべての国内源泉所得に課税された。2号建設PE及び3号代理人PEを有する外国法人は、1号から3号所得まではすべての国内源泉所得に課税したが、4号所得から11号所得までは国内事業に帰せられる所得に限って課税された。

また、PEがない外国法人は、一定の国内源泉所得を除いて源泉徴収のみで課税関係が完結することとされた。具体的には、PEがない外国法人は「事業の所得」は非課税となり、1号所得のうち「事業の所得」以外の「資産の運用又は保有による所得」と「資産の譲渡による所得」と2号、3号所得が総合課税され、4号所得以下は源泉分離課税方式による所得税の課税で完結する方式を採っていた。

《改正後》

外国法人は国内源泉所得に課税するという点は変更されていない(法法4③)。
国内源泉所得と課税標準については改正された。

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連載目次

「法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響」(全15回)

【第1回】 「改正の趣旨と背景」

1 はじめに

2 改正の趣旨と背景

2-1 総合主義から帰属主義へ

2-2 AOAの導入

2-3 改正の概要

2-3-1 外国法人の日本支店の課税所得計算の見直し(概要)

2-3-2 内国法人に影響する改正点(概要)

【第2回】 「改正の内容①」

3 改正の内容

3-1 外国法人の法人税

3-1-1 改正の概要

3-1-2 国内源泉所得(ソ-スル-ル)の改正

3-1-3 課税標準の改正

3-1-4 PEの定義の不変更

【第3回】 「改正の内容②」

3-1-5 恒久的施設帰属所得金額の計算

3-1-5-1 恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算

3-1-5-2 還付金等の益金不算入

3-1-5-3 保険会社の投資資産及び投資収益

【第4回】 「改正の内容③」

3-1-5-4 PE帰属資本に対応する負債利子の損金不算入

【第5回】 「改正の内容④」

3-1-5-5 外国銀行等の資本に係る負債利子の損金算入

3-1-5-6 法人税額から控除する外国税額の損金不算入

3-1-5-7 本店配賦経費に関する書類の保存がない場合における本店配賦経費の損金不算入

3-1-5-8 PEの閉鎖・再進出の扱い

【第6回】 「改正の内容⑤」

3-1-6 恒久的施設非帰属所得に係る所得金額の計算

3-1-7 繰越欠損金

3-1-8 税額の計算

【第7回】 「改正の内容⑥」

3-1-9 中間申告

3-1-10 確定申告

3-1-11 納付

3-1-12 還付

3-1-13 更正の請求

3-1-14 青色申告

【第8回】 「改正の内容⑦」

3-1-15 PEに係る取引に係る文書化

3-1-16 更正及び決定

3-1-17 帳簿書類の備付け等

【第9回】 「改正の内容⑧」

3-1-18 PEの定義

3-1-19 外国法人の内部取引に係る課税の特例(独立企業原則の適用)

【第10回】 「内国法人の法人税①」

3-2  内国法人の法人税

3-2-1 外国税額控除の改正

3-2-1-1 国外源泉所得

【第11回】 「内国法人の法人税②」

3-2-1-2 国外所得金額の計算

【第12回】 「内国法人の法人税③」

3-2-1-3 控除限度額の計算

3-2-1-4 外国税額控除の対象とならない外国法人税の額

3-2-1-5 文書化

3-2-1-6 適格合併が行われた場合の繰越控除限度額等

3-2-2 連結事業年度における外国税額の控除

【第13回】 「外国法人の所得税」

3-3 外国法人の所得税

3-3-1 外国法人に係る所得税の課税標準

3-3-2 国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例

【第14回】 「企業活動への影響」

4 企業活動への影響

4-1 外国法人・内国法人に共通の影響

4-1-1 AOA導入国がまだ少ないことによる影響

4-1-2 移転価格並みの独立企業間価格の計算と文書化が必要なこと

4-1-3 重要な人的機能の認識により所得配分のあり方が変わること

4-1-4 資本配賦計算が必要になること

4-2 日本に支店をもつ外国法人への影響

4-3 外国支店を有する内国法人への影響

【第15回】 「適用開始日までに準備すべき事項」

5 適用開始日(平成28年4月1日以降開始事業年度)までに準備すべき事項

5-1 外国法人の日本支店の準備

5-2 国外PEを有する内国法人の準備

筆者紹介

小林 正彦

(こばやし・まさひこ)

デロイト トーマツ税理士法人 東京事務所
移転価格サービス
パートナー/税理士

1957年生まれ
長野県松本市出身

【職歴】
・1980年4月東京国税局採用
・1980年から2006年まで、国税庁、東京国税局調査部、東京国税局管内税務署において移転価格・相互協議、APA審査、法人税調査、所得税調査、源泉税調査事務等国際課税関係事務を中心に幅広い国税に関する実務を経験
・2006年7月税大研究部教授を最後に国税庁を退官、税理士法人トーマツに入社
・2008年7月パートナー就任
・現在、移転価格サービス所属パートナー、租税争訟支援サービスチームのヘッドとして、移転価格を含む税務調査対応、不服申立て、移転価格プランニング、APA申請、相互協議等に幅広い分野に関するコンサルティング業務に従事

【著書】
・『平成25年1月施行の実務に対応!税務調査のすべてQ&A』共著(清文社)

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