公開日: 2014/12/25 (掲載号:No.100)
文字サイズ

法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第4回】「改正の内容③」

筆者: 小林 正彦

法人税に係る帰属主義及び

AOAの導入と実務への影響

【第4回】

「改正の内容③」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

連載の目次はこちら

3-1-5-4  PE帰属資本に対応する負債利子の損金不算入

(1) 概要

AOAでは機能リスク分析の結果、PEが分離独立した企業であるとした場合に負担すべきリスクに見合う資本がPEに帰せられるべきとの考え方をとる。PEの有利子負債の額とPE帰属資本相当額(=自己資本+資本配賦額)を比較し、前者が後者を超える部分に相当する支払利子は損金不算入とされる(法法142の4①)。

(算式)

(注) 分子がマイナスになる場合はゼロとする。「分子>分母」の場合は分母の額を上限とする。

(注1) PEを通じて行う事業に係る負債の利子:手形割引料その他経済的な性質が利子に準ずるものが含まれる(法令188⑩)。

(注2) 上記負債利子の額:次のA+B+C-D(法令188⑪)

A:PEを通じて行う事業に係る負債の利子の額(B、Cの金額を除く)

B:内部取引において外国法人のPEが他の本店等に対して支払う利子に該当することとなるものの額

C:本店配賦経費に含まれる負債の利子の額

D:外国銀行等の資本に係る負債利子の損金算入によりPEの帰属所得の計算上損金に算入される金額

(図解) 負債利子の損金不算入額の計算方法のイメージ

(※) 上記及び下記①~⑨の算式・図表については「平成26年度税制改正の解説」(財務省)699~711頁より引用。

 

(2) PE帰属資本相当額

PE帰属資本相当額とは、外国法人の資本に相当する額のうちPEに帰せられるべき金額をいい、独立企業原則との整合性及び執行可能性といった観点から、「資本配賦法」と「同業法人比準法」のいずれかにより計算する(法令188②~⑥)。

イ 資本配賦法
外国法人の資本の額に、PE帰属資産の額の外国法人の総資産の額の割合を乗じて計算した金額による方法であり、外国法人の区分に応じて算定方法が選択できる。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

法人税に係る帰属主義及び

AOAの導入と実務への影響

【第4回】

「改正の内容③」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

連載の目次はこちら

3-1-5-4  PE帰属資本に対応する負債利子の損金不算入

(1) 概要

AOAでは機能リスク分析の結果、PEが分離独立した企業であるとした場合に負担すべきリスクに見合う資本がPEに帰せられるべきとの考え方をとる。PEの有利子負債の額とPE帰属資本相当額(=自己資本+資本配賦額)を比較し、前者が後者を超える部分に相当する支払利子は損金不算入とされる(法法142の4①)。

(算式)

(注) 分子がマイナスになる場合はゼロとする。「分子>分母」の場合は分母の額を上限とする。

(注1) PEを通じて行う事業に係る負債の利子:手形割引料その他経済的な性質が利子に準ずるものが含まれる(法令188⑩)。

(注2) 上記負債利子の額:次のA+B+C-D(法令188⑪)

A:PEを通じて行う事業に係る負債の利子の額(B、Cの金額を除く)

B:内部取引において外国法人のPEが他の本店等に対して支払う利子に該当することとなるものの額

C:本店配賦経費に含まれる負債の利子の額

D:外国銀行等の資本に係る負債利子の損金算入によりPEの帰属所得の計算上損金に算入される金額

(図解) 負債利子の損金不算入額の計算方法のイメージ

(※) 上記及び下記①~⑨の算式・図表については「平成26年度税制改正の解説」(財務省)699~711頁より引用。

 

(2) PE帰属資本相当額

PE帰属資本相当額とは、外国法人の資本に相当する額のうちPEに帰せられるべき金額をいい、独立企業原則との整合性及び執行可能性といった観点から、「資本配賦法」と「同業法人比準法」のいずれかにより計算する(法令188②~⑥)。

イ 資本配賦法
外国法人の資本の額に、PE帰属資産の額の外国法人の総資産の額の割合を乗じて計算した金額による方法であり、外国法人の区分に応じて算定方法が選択できる。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

「法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響」(全15回)

【第1回】 「改正の趣旨と背景」

1 はじめに

2 改正の趣旨と背景

2-1 総合主義から帰属主義へ

2-2 AOAの導入

2-3 改正の概要

2-3-1 外国法人の日本支店の課税所得計算の見直し(概要)

2-3-2 内国法人に影響する改正点(概要)

【第2回】 「改正の内容①」

3 改正の内容

3-1 外国法人の法人税

3-1-1 改正の概要

3-1-2 国内源泉所得(ソ-スル-ル)の改正

3-1-3 課税標準の改正

3-1-4 PEの定義の不変更

【第3回】 「改正の内容②」

3-1-5 恒久的施設帰属所得金額の計算

3-1-5-1 恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算

3-1-5-2 還付金等の益金不算入

3-1-5-3 保険会社の投資資産及び投資収益

【第4回】 「改正の内容③」

3-1-5-4 PE帰属資本に対応する負債利子の損金不算入

【第5回】 「改正の内容④」

3-1-5-5 外国銀行等の資本に係る負債利子の損金算入

3-1-5-6 法人税額から控除する外国税額の損金不算入

3-1-5-7 本店配賦経費に関する書類の保存がない場合における本店配賦経費の損金不算入

3-1-5-8 PEの閉鎖・再進出の扱い

【第6回】 「改正の内容⑤」

3-1-6 恒久的施設非帰属所得に係る所得金額の計算

3-1-7 繰越欠損金

3-1-8 税額の計算

【第7回】 「改正の内容⑥」

3-1-9 中間申告

3-1-10 確定申告

3-1-11 納付

3-1-12 還付

3-1-13 更正の請求

3-1-14 青色申告

【第8回】 「改正の内容⑦」

3-1-15 PEに係る取引に係る文書化

3-1-16 更正及び決定

3-1-17 帳簿書類の備付け等

【第9回】 「改正の内容⑧」

3-1-18 PEの定義

3-1-19 外国法人の内部取引に係る課税の特例(独立企業原則の適用)

【第10回】 「内国法人の法人税①」

3-2  内国法人の法人税

3-2-1 外国税額控除の改正

3-2-1-1 国外源泉所得

【第11回】 「内国法人の法人税②」

3-2-1-2 国外所得金額の計算

【第12回】 「内国法人の法人税③」

3-2-1-3 控除限度額の計算

3-2-1-4 外国税額控除の対象とならない外国法人税の額

3-2-1-5 文書化

3-2-1-6 適格合併が行われた場合の繰越控除限度額等

3-2-2 連結事業年度における外国税額の控除

【第13回】 「外国法人の所得税」

3-3 外国法人の所得税

3-3-1 外国法人に係る所得税の課税標準

3-3-2 国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例

【第14回】 「企業活動への影響」

4 企業活動への影響

4-1 外国法人・内国法人に共通の影響

4-1-1 AOA導入国がまだ少ないことによる影響

4-1-2 移転価格並みの独立企業間価格の計算と文書化が必要なこと

4-1-3 重要な人的機能の認識により所得配分のあり方が変わること

4-1-4 資本配賦計算が必要になること

4-2 日本に支店をもつ外国法人への影響

4-3 外国支店を有する内国法人への影響

【第15回】 「適用開始日までに準備すべき事項」

5 適用開始日(平成28年4月1日以降開始事業年度)までに準備すべき事項

5-1 外国法人の日本支店の準備

5-2 国外PEを有する内国法人の準備

筆者紹介

小林 正彦

(こばやし・まさひこ)

デロイト トーマツ税理士法人 東京事務所
移転価格サービス
パートナー/税理士

1957年生まれ
長野県松本市出身

【職歴】
・1980年4月東京国税局採用
・1980年から2006年まで、国税庁、東京国税局調査部、東京国税局管内税務署において移転価格・相互協議、APA審査、法人税調査、所得税調査、源泉税調査事務等国際課税関係事務を中心に幅広い国税に関する実務を経験
・2006年7月税大研究部教授を最後に国税庁を退官、税理士法人トーマツに入社
・2008年7月パートナー就任
・現在、移転価格サービス所属パートナー、租税争訟支援サービスチームのヘッドとして、移転価格を含む税務調査対応、不服申立て、移転価格プランニング、APA申請、相互協議等に幅広い分野に関するコンサルティング業務に従事

【著書】
・『平成25年1月施行の実務に対応!税務調査のすべてQ&A』共著(清文社)

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#