法人税に係る帰属主義及び
AOAの導入と実務への影響
【第11回】
「内国法人の法人税②」
税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦
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3-2-1-2 国外所得金額の計算
(1) 国外所得金額の計算の概要
外国税額控除の控除限度額の計算の基礎となる国外所得金額は、国外源泉所得に係る所得に対してのみ法人税を課するものとした場合に課税標準となるべき当該事業年度の所得の金額とされ、国外事業所等に帰せられるべき資本に対応した利子の損金不算入相当額について加減算の調整を行う必要がある(法法69①、法令141の2①)。
前回述べたように、国外源泉所得は16種類が定められているが、国外事業所等帰属所得とそれ以外の国外源泉所得に区分して検討する必要がある。国外事業所等帰属所得は国外事業所等ごとに独立の事業者と擬制して帰せられるべき所得を計算する必要がある。その結果、国外事業所等帰属所得に係る国外所得金額は、内国法人全体として算出される所得金額と一致しないこととなる。
他方で、国外事業所等帰属所得以外の国外源泉所得に係る国外所得金額は、内国法人全体として算出される所得金額の範囲内に収まる。
(2) 国外事業所等帰属所得に係る国外源泉所得の認識時期
国外事業所得等帰属所得は独立して事業を行う事業者と擬制するので、収益認識の時期も独立の事業者であるとした場合に所得を認識すべき時期となる。例えば、支店から本店に商品の販売を行った場合は、内国法人全体として収益が実現していない場合でも、支店の収益を認識することとなる。
(3) 国外事業所等が内部取引により取得した資産
例えば、国外事業所が本店等から商品を取得して外部に販売した場合は、外国税額控除における国外所得金額の計算上は、本店等における取得価額ではなく、その内部取引における取得価額を基礎として売上原価の計算を行うことになる。
(4) 内外共通費用の配分
当期の所得金額の計算上損金算入された販売費・一般管理費その他の費用のうち国外源泉所得を生ずべき業務とそれ以外の業務の双方に関連して生じた共通費用がある場合は、収入金額、資産の価額、使用人の数その他の基準のうち内国法人の行う業務の内容及び費用の性質に照らして合理的と認められる基準によって国外所得金額の計算上の損金の額として配分する必要がある(法令141の2③)。
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