常識としてのビジネス法律
【第25回】
「会社法《平成26年改正対応》(その6)」
弁護士 矢野 千秋
《(その1)はこちら》
第1 総論
第2 株式
1 総論
(1) 株式、株主
(2) 株主平等の原則
2 株式の譲渡制限制度
3 自己株式の取得
(1) 株式の消却の概念の整理
(2) 自己株式の取得手続
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4 募集株式発行(持分価値&持分比率)
(1) 募集株式発行(新株発行および自己株式処分)の手続
(2) 出資を履行する期間の設定
(3) 株主割当
(4) 払込証明
(5) 新株予約権
(6) 支配株主の異動を伴う募集株式の発行等
5 株主
(1) 株主の権利
(2) 単独株主権、少数株主権、行使要件
(3) 基準日
6 株券と株主名簿
7 株式買取請求権
8 端株・単元株
《(その3)はこちら》
第3 機関設計に関する重点ポイント
1 会社の区別
(1) 大会社、非大会社
(2) 公開会社、非公開会社(株式譲渡制限会社)
2 株式会社の機関設計
第4 株主総会に関する重点ポイント
1 開催までの手続
2 招集通知
3 決議
4 非取締役会設置会社における株主総会
5 議決権行使書面
6 議長と議事進行
《(その4)はこちら》
7 質問と説明義務
8 動議
9 総会決議の瑕疵
10 総会議事録
(1) 作成時期、作成通数など
(2) 記載事項
(3) 署名・押印について
(4) 備え置き
第5 取締役・代表取締役・取締役会に関する重点ポイント
1 総説
2 取締役
(1) 取締役の資格、員数
(2) 任期
(3) 選任、解任
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【第24回】 会社法《平成26年改正対応》(その5)
3 非取締役会設置会社の取締役
(1) 意義
(2) 会社の業務執行機関
(3) 会社の代表機関
4 取締役会
(1) 取締役会設置会社の取締役の職務権限
(2) 意義
(3) 意思決定権限
(4) 職務執行の監督権限
(5) 取締役会の招集
(6) 取締役会の決議
(7) 取締役会の書面決議
(8) 代理人による決議
(9) 利害関係人
5 代表取締役
(1) 意義
(2) 選定
(3) 退任
(4) 職務権限
(5) 専務・常務取締役
6 取締役と会社との関係
(1) 善管注意義務と忠実義務
取締役と会社との間の関係は委任に関する規定に従う(330条)ので、取締役は会社に対して善良な管理者としての注意義務を負担する(民644条)。善管注意義務とは、会社の業務および経理等に対して相当程度の知識、経験および能力を有する標準型の人が職務を行うにあたり通常払うであろう注意の程度を指す。
これを具体的に示せば、取締役は法令および定款ならびに総会の決議を遵守し、会社のため忠実にその職務を行う義務を負うことになる(355条)。したがって、忠実義務は善管注意義務を明確にしたもので、これとは別の高度の義務を規定したものではない(最高裁昭和45年6月24日判決)。
しかし、これだけでは不十分なので、競業及び利益相反取引の制限(356条1項)がある。これらはいずれも取締役の職務外の行為であり、職務遂行上の注意義務である善管注意義務などの範囲に入らないものだからである(入るとする考え方もある)。
(2) 競業避止義務
取締役(執行役も。以下(2)(3)において同じ)は、会社の内部情報や営業の機密に通じ、また取引先と個人的な信頼関係を築いている場合も多い。したがって、取締役Aが自己または第三者のために甲会社の事業の部類に属する取引(目的物、市場が競合する取引)を自由にできることにすると、会社の取引先を奪うなど、会社の利益を害する危険が大きい。しかし、子会社に類似の事業を行わせるなど、競業が必要な場合も当然考えられる。
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