税理士が知っておきたい
[認知症]と相続問題
〔Q&A編〕
【第6回】
「管理者による『預金の使い込み』(その1)」
クレド法律事務所
駒澤大学法科大学院非常勤講師
弁護士 栗田 祐太郎
[設問06]
90歳になる私の父は、2年前に中程度の認知症と診断されたのと同時に内臓疾患が見つかったため、手術を行い、その後も長期間の入院を余儀なくされていました。
父は先月亡くなりましたが、遺言書を残していなかったため、相続人となる私と私の姉との2人で遺産の分割を協議することになりました。
しかし、ほぼ唯一の遺産であったはずの父の銀行預金が、死亡時にはわずか数十万円程度しか残っていなかったのです。
◆ ◆ ◆
父の入院中、身のまわりのことは、私の姉がすべて面倒を見ていました。
姉はもともと実家で父と2人暮らしをしていたので、父が入院したとき、自然の流れで父から通帳と印鑑を預かり、必要な入出金を代行することになりました。姉は、病院での付き添い、日用品の買い出し、入院費用等の各種支払い等、まさに父の生活全般をサポートしていました。
認知症となっていた父はひとりでは生活ができず、その中で姉が献身的な働きをしてくれたことには感謝しているのですが、父は入院する以前のまだ元気な頃から、常々、「自分が遺産として残せるのは、約1,500万円の銀行預金しかない。他にめぼしい財産は持っていないので、孫たちのためにもできるだけ無駄遣いはせず、お前たち娘に残してやるつもりだ。」と話していたのです。
約1,500万円あったはずの銀行預金も、わずかこの2年間で無くなってしまったということになります。
◆ ◆ ◆
私は不審に思い、姉に尋ねてみましたが、姉は
お金の管理をしていたのはたしかに私だけれども、病院への支払いや身のまわりの日用品の買い揃え、それから病院と自宅を往復するために古くなった自動車の買い替え、私への手当てその他諸々の支出でお金がかかったのよ。
すべては父のための支出であり、私が自分のために使ったお金は一切無いわ。父の世話を全くしていないあなたが、文句を言える立場にあるの!
姉による財産管理が適切であったかが極めて疑わしい状況のなか、私は一体どうすればよいのでしょうか。
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