家族信託による
新しい相続・資産承継対策
【第16回】
「信託契約作成上の留意点③」
-信託財産の特定-
弁護士 荒木 俊和
前回に引き続き、信託契約作成上の留意点について述べる。
今回は信託契約における信託財産の特定における留意点を紹介したい。
1 信託財産の信託契約における位置付け
信託財産とは、受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産をいう(信託法第2条第3項)。
これまで述べてきた通り、委託者が信託契約において受託者に管理・処分を委ねようとする財産であって、信託の効力発生時に受託者に所有権が移転する財産である。
委託者及び受託者は、この信託財産をいかに管理処分するかを信託契約において約定するのである。
2 信託の対象となる財産
原則的に、譲渡が禁止されている財産を除いて、金銭に見積もれるものであり、積極財産であって、委託者から移転することができる一切の財産が信託の対象となる。
ここで「譲渡が禁止されている財産」とは、委託者の一身専属的な権利や約定により譲渡禁止特約が規定されているような権利をいう。
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