家族信託による
新しい相続・資産承継対策
【第21回】
「家族信託の活用事例〈不動産編②〉
(2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を妻に渡し、妻の死後は収益物件自体を子に渡す事例)」
弁護士 荒木 俊和
前回に続き『不動産を信託財産とする家族信託の活用事例』として、「2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を妻に渡し、妻の死亡後には収益物件自体を子供に渡す」という事例を解説する。
- 相談事例 -
私(50歳)には今年80歳になる両親と、東京で働く弟がいます。
父は、所有する土地の一部を賃貸マンションにして、家賃収入と年金で暮らしています。私は、父が高齢で賃貸マンションの管理に手が回らなくなっていることを感じるとともに、将来の相続について不安を感じていました。
一方で、父は相続全般について方針を決めたがらないという問題がありました。
このため、対象を賃貸マンションに限定して、以下2点の方針を確認しました。
・家賃収入は、父他界後は母に渡るようにする。
・私に母の世話を任せるため、母の他界後は私がマンションを相続する。
1 家族信託活用のポイント
(1) 遺言の限界
父親の希望を実現するためには、①父親から母親への賃貸マンションに関する賃料収受権の移転、②母親死亡後の長男への賃貸マンションの所有権移転が必要である。
従来の制度で考えるとすれば、これを遺言によって実現できるか、という点が問題となる。
いわゆる「後継ぎ遺贈」の問題である。
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