家族信託による
新しい相続・資産承継対策
【第26回】
「家族信託の活用事例〈株式編①〉
(非上場会社において、親から子への事業承継を予定しているが、子が経営について未熟であるため、株の名義を移したうえで親が意思決定権を保有し続ける事例)」
弁護士 荒木 俊和
今回から「家族信託の活用事例〈株式編〉」として、非上場株式の承継を行う場合の信託の活用事例を解説していく。
今回は非上場会社において、親から子への事業承継を予定しているが、子が経営について未熟であるため、株の名義を移したうえで親が意思決定権を保有し続ける事例を解説する。
- 相談事例 -
私は今年70歳になりますが、従業員を200名ほど抱える運送会社の社長をしています。そろそろ引退して事業承継をしなければならないと考えながらも今日に至りましたが、最近、体調を崩してしまい、万が一の時に備えて株式を早急に引き継がなければならないと考えています。
私の会社には親族ではない取締役が4名いますが、会社は39歳の息子に引き継がせたいと考えています。しかし、息子は大手企業に勤めていたところを私が体調を崩したことを期に会社に戻ってきてもらったばかりで、会社のことを十分に理解できていないところがあります。
そのような状況ですので、息子に株をすべて渡し会社運営まで任せることには未だ抵抗があります。かといって親族ではない取締役を代表にしてしまうと、銀行との関係などで面倒なことになってしまいそうです。
株と代表権を息子に渡した上で、私がしばらく監督できるような形は取れないものでしょうか。
1 家族信託活用のポイント
(1) 信託による自益権と共益権の分離
株式は、「自益権の部分」と「共益権の部分」とが一体になったものとされている。
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