常識としてのビジネス法律
【第1回】
「ビジネスと文書(その1)」
弁護士 矢野 千秋
1 ビジネスにはなぜ文書が必要か
ビジネスには文書が必要とされる場合が多く、そのうち権利義務に関するものや、それを証明するものを「法律文書」と呼ぶ。
その代表例は、営業関係でいえば、領収証、請求書、注文書、注文請書、催告書、報告書、契約書、委任状などであるが、その形式について、どのように作るべきかなどの法律上の制約は、原則として存在しない。
これは、もともと私的自治の原則(私法上の大原則)とそれから派生する契約自由の原則(締結の自由、相手方選択の自由、内容決定の自由、方式の自由。この4つの自由が含まれている)に由来する。
「私的自治の原則」とは、簡単に言うと、他人に迷惑をかけない限り私人間のことは自由である、官は余計な規制をしない、という意味であり、歴史上、人民が国家権力から勝ち取ってきたものである。
したがって、方式も内容も規制がなく、書面にするかしないか、どのような内容を盛り込むかも自由なのであるが、実務上は重要なものであれば書面化が望ましいし、内容的にも、最小限「いつ」「誰が」「どのような内容を」「誰宛に」(4W)書いたかを明らかにすることが必要である。
上記のように方式に法律上の制約がないのであれば、文書を作っても作らなくてもよいはずなのに、なぜ文書を作成することが望ましいのか。
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