マンション評価に関する通達案の概要と論点整理
~明らかとなった6割水準評価等への理論・実務的な検証~
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
1 はじめに
去る7月21日に国税庁から「居住用の区分所有財産の評価について」に係る法令解釈通達の案が公表され、意見公募手続(パブリックコメント)が実施されることとなった(締切は8月20日)。
当該通達案は、昨年4月の最高裁判決(最高裁令和4年4月19日判決・民集76巻4号411頁(TAINSコード:Z888-2406)(※1))を受けて、昨年末の与党税制改正大綱で「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」(※2)という旨が指摘されており、これに呼応する形で国税庁が、主として納税者の予見可能性を確保する観点(※3)から、「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」を本年1月から3回にわたって開催し検討した成果である。
(※1) 判例評釈として、例えば、拙稿「〈判例評釈〉相続マンション訴訟最高裁判決-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例【前編】・【後編】」Profession Journal No.472、473等参照。
(※2) 自由民主党・公明党「令和5年度 税制改正大綱」(令和4年12月16日)21頁。
(※3) 国税庁「第1回 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」(令和5年1月30日)別添2資料1頁参照。
本稿では、当該通達案の内容を紹介するとともに、現在考えられる論点や疑問点を理論・実務の双方から検討して、パブリックコメントや今後の実務の参考資料を提供できればと考えている。
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