公開日: 2015/03/05 (掲載号:No.109)
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土地評価をめぐるグレーゾーン《10大論点》 【第5回】「市街地山林、2つの評価方法」

筆者: 風岡 範哉

土地評価をめぐるグレーゾーン

《10大論点》

【第5回】

「市街地山林、2つの評価方法」

 

税理士法人チェスター
税理士 風岡 範哉

 

取扱い

市街地山林とは、宅地のうちに介在する山林又は市街化区域内にある山林などをいう。

市街地山林の価額は、原則として、その山林が宅地であるとした場合の価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる造成費を控除した金額により評価することとされている(評価通達49)。いわゆる宅地比準方式(路線価地域であれば路線価方式)である。

評価額 = ( 路線価 × 画地補正率 - 宅地造成費 ) × 地積

例 外

ただし、市街地山林について、宅地への転用が見込めない急傾斜地等のように、宅地比準方式を適用すること自体に合理性が認められない場合には、近隣の純山林の価額に比準して評価する。

「宅地への転用が見込めないと認められる場合」とは、①宅地化するには多額の造成費を要するといった経済合理性から判断する場合と、②宅地造成が不可能と認められるような急傾斜地等、その形状から判断する場合がある。

(1) 経済合理性から判断する場合

市街地山林について、宅地造成費に相当する金額を控除して評価する際に、宅地としての価額より宅地造成費相当額の方が大きいため、評価額がマイナスとなってしまう場合である。

このときの土地の価額は、経済合理性からみて宅地化への転用が見込めない場合であっても、土地の所有権を持っていれば、通常、山林としての本来の利用が最低限可能であることから、宅地化期待益等を含まない林業経営のための純山林の価額を下回ることはないと考えられ、純山林としての価額により評価を行う。

なお、比準元となる具体的な純山林は、評価対象地の近隣の純山林、すなわち、評価対象地からみて距離的に最も近い場所に所在する純山林となる。

(2) 形状から判断する場合

市街地山林を宅地比準方式により評価する方法は、評価対象地の価格形成が宅地価額を基に形成されることを前提としている。

したがって、宅地造成が不可能(宅地化が見込まれない)と認められるような形状の市街地山林については、(1)の経済合理性について検討するまでもなく、宅地比準方式を適用する前提を欠いていると考えられている。

ここがグレーゾーン

市街地山林について宅地への転用が見込めない形状とは、どのようなものをいうのであろうか。傾斜度30度超の山林が該当するのであろうか。

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土地評価をめぐるグレーゾーン

《10大論点》

【第5回】

「市街地山林、2つの評価方法」

 

税理士法人チェスター
税理士 風岡 範哉

 

取扱い

市街地山林とは、宅地のうちに介在する山林又は市街化区域内にある山林などをいう。

市街地山林の価額は、原則として、その山林が宅地であるとした場合の価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる造成費を控除した金額により評価することとされている(評価通達49)。いわゆる宅地比準方式(路線価地域であれば路線価方式)である。

評価額 = ( 路線価 × 画地補正率 - 宅地造成費 ) × 地積

例 外

ただし、市街地山林について、宅地への転用が見込めない急傾斜地等のように、宅地比準方式を適用すること自体に合理性が認められない場合には、近隣の純山林の価額に比準して評価する。

「宅地への転用が見込めないと認められる場合」とは、①宅地化するには多額の造成費を要するといった経済合理性から判断する場合と、②宅地造成が不可能と認められるような急傾斜地等、その形状から判断する場合がある。

(1) 経済合理性から判断する場合

市街地山林について、宅地造成費に相当する金額を控除して評価する際に、宅地としての価額より宅地造成費相当額の方が大きいため、評価額がマイナスとなってしまう場合である。

このときの土地の価額は、経済合理性からみて宅地化への転用が見込めない場合であっても、土地の所有権を持っていれば、通常、山林としての本来の利用が最低限可能であることから、宅地化期待益等を含まない林業経営のための純山林の価額を下回ることはないと考えられ、純山林としての価額により評価を行う。

なお、比準元となる具体的な純山林は、評価対象地の近隣の純山林、すなわち、評価対象地からみて距離的に最も近い場所に所在する純山林となる。

(2) 形状から判断する場合

市街地山林を宅地比準方式により評価する方法は、評価対象地の価格形成が宅地価額を基に形成されることを前提としている。

したがって、宅地造成が不可能(宅地化が見込まれない)と認められるような形状の市街地山林については、(1)の経済合理性について検討するまでもなく、宅地比準方式を適用する前提を欠いていると考えられている。

ここがグレーゾーン

市街地山林について宅地への転用が見込めない形状とは、どのようなものをいうのであろうか。傾斜度30度超の山林が該当するのであろうか。

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連載目次

筆者紹介

風岡 範哉

(かざおか・のりちか)

税理士
宅地建物取引士

風岡範哉税理士事務所代表、主に相続税申告を担当している。

【主な著作】
・「〔机上調査→現地調査→役所調査→評価〕4STEPで身につく <入門>土地評価の実務」共著(清文社、2017年)
・「新版 グレーゾーンから考える相続・贈与税の土地適正評価の実務」(清文社、2016年)
・「相続税・贈与税における名義預金・名義株の税務判断」(清文社、2015年)
・「相続税・贈与税 通達によらない評価の事例研究」(現代図書、2008年)
・「財産評価基本通達6項の現代的課題」第28回日税研究賞入選(2005年)
・「土地・取引相場のない株式の評価と租税訴訟」税務事例473号
など。

  

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