〔2017/6/29 AM10:30公開しました〕
『財産評価基本通達改正案からみた「広大地の評価見直し」の要件確認と影響分析』
《速報解説》
広大地の新たな評価方法を規定した
財産評価基本通達の改正案(パブコメ)が公表
~《地積規模の大きな宅地の評価》を新設、「規模格差補正率」による評価へ~
税理士 風岡 範哉
6月22日、国税庁から財産評価基本通達の改正案についてのパブリックコメントが実施された(意見・情報受付締切日は2017年7月21日)。
本稿においては、広大地補正についてのパブリックコメントの内容を紹介する。
なお、本改正案の詳しい内容や影響分析、具体的な計算例については、6月29日公開の本誌上において解説することとする。
【平成29年度税制改正大綱の内容】
昨年末に発表された平成29年度税制改正大綱において、広大地の評価について、以下の4つの理由から改正すべきとの記載がなされた。
(イ) 広大地補正は面積に応じて比例的に減額する評価方法であり、土地の形状が加味されていないことから、整形であっても不整形や無道路であっても評価額は同額となってしまう。
(ロ) 広大地補正は評価が40%以上最大65%下がることから減額割合が大きく、取引価格と大きく乖離している事例が多数発生している。
(ハ) 富裕層の節税策に利用されている。
(ニ) 広大地補正の適用要件が不明確である。
そこでは、「現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する」こととされていた。
【改正案の概要】
今回公表されたパブリックコメントにおいては、改正後の広大地補正(以下、「規模格差補正」という)について、下記のように改正案が示されている。
地積規模の大きな宅地(三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、それ以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいい、次の(1)から(3)までのいずれかに該当するものを除く)で14-2《地区》の定めにより普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区として定められた地域に所在するものの価額は、15《奥行価格補正》から20《不整形地の評価》までの定めにより計算した価額に、その宅地の地積の規模に応じ、次の算式により求めた規模格差補正率を乗じて計算した価額によって評価する。
(1) 市街化調整区域(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条《定義》第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除く)に所在する宅地
(2) 都市計画法第8条《地域地区》第1項第1号に規定する工業専用地域に所在する宅地
(3) 容積率(建築基準法第52条《容積率》第1項に規定する建築物の延べ床面積の敷地面積に対する割合をいう。)が10分の40(東京都の特別区においては10分の30)以上の地域に所在する宅地
なお、上記の改正案については、平成30年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用することとされている。
(了)