公開日: 2026/08/13 (掲載号:No.681)
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PJ Bookmark-August 2026- 「退職金の支給、見落としはありませんか?」

筆者: Profession Journal 編集部

カテゴリ:



B
PJ Bookmark
── August 2026 ──

自宅相続

退職金の支給、
見落としはありませんか?

夏季賞与の支給を終え、それを区切りに職場を去る人が増えてくる時期になりました。

退職金は、制度をどう設計するか、いくら支給するか、どう会計処理するか、そして退職時の手続をどう処理するか・・・関わる分野が税務・会計・労務・経営と広く、それぞれに見落としやすい論点が潜んでいるテーマではないでしょうか。

今回は「退職金」をめぐる実務を、制度・税務・会計・手続の各場面から5本の記事でたどってみます。

 

〇 退職金、それぞれの場面で何を見落とさないか

 

退職金の実務は、まず「どんな制度にするか」という設計から始まります。基本給連動型・定額型・ポイント型など方式ごとに性格が異なり、選び方が後々の運用を左右します →1本目

経営
退職金制度の作り方
【第2回】「退職金制度の種類」
執筆:なりさわ社会保険労務士事務所 代表/特定社会保険労務士 成澤 紀美
退職金制度といっても、その仕組みは一通りではありません。本記事は、基本給連動型・定額型・ポイント型・別メニュー型という4つの方式を、それぞれの長所と短所を対比させながら整理しています。たとえばポイント型は貢献度を反映しやすい一方、ポイント単価の引下げが不利益変更の問題につながりうるなど、方式選びが後の運用にどう響くかが見えてくる内容です。制度設計の入口で全体像をつかんでおきたいときに参考になりそうです。

制度が決まれば、次は支給時の課税です。従業員の退職所得は退職所得控除と1/2課税が基本ですが、勤続年数が短い場合には近年の改正で扱いが変わっています →2本目。役員の場合はさらに論点が増え、過大役員退職給与や分掌変更といった、否認リスクと隣り合わせの判断が求められます→3本目

税務
〔令和3年度税制改正における〕退職所得課税の適正化
【第1回】「退職所得課税の基本と『短期退職手当等』の取扱い」
執筆:公認会計士・税理士 新名 貴則
退職所得は、退職所得控除を差し引いた残額に1/2を乗じるのが基本ですが、勤続年数が短いケースではこの1/2が制限される点に注意が必要です。本記事は、平成24年度改正の「特定役員退職手当等」に続いて導入された「短期退職手当等」を取り上げ、勤続5年以下の従業員について、控除後の残額のうち300万円を超える部分には1/2を適用しない仕組みを、改正前後の計算例を並べて解説しています。数字で効果を追えるので、従業員の退職所得を計算する場面で押さえておきたい内容です。

税務
中小企業経営者の[老後資金]を構築するポイント
【第12回】「役員退職金をめぐる税務の基本と使い途」
執筆:税理士法人トゥモローズ
役員退職金は、従業員の退職所得とは別の論点を抱えています。本記事は、過大役員退職給与の判定で実務上一般的な功績倍率法、分掌変更による退職給与の取扱い(給与のおおむね50%以上の減少が一つの目安とされる点)、死亡退職金のみなし相続財産と非課税枠まで、法人税・所得税・相続税の三面から基本を押さえています。あわせて、相続資金や株価対策といった「使い途」にも触れられており、オーナー経営者への助言を念頭に読んでおきたい一本ではないでしょうか。

支給額が固まれば、今度は会計処理です。中小企業では簡便法による退職給付引当金の計上が選択肢になりますが、適用できる範囲や算定方法にいくつかの分岐があります →4本目

会計
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務
【第25回】「退職給付引当金(簡便法)」
執筆:仰星監査法人/公認会計士 西田 友洋
退職給付引当金は原則として数理計算によりますが、中小企業では簡便法が選択肢になります。本記事は、簡便法を採用できるか(原則として従業員300人未満)の判断から、退職一時金制度・企業年金制度・併用の場合それぞれの退職給付債務の算定方法、引当金・費用の計算、注記までを、フロー・チャートに沿って順を追って示しています。どの分岐をたどればよいかが図で確認できるので、自社やクライアントがどの方法に当てはまるかを整理するのに役立ちそうです。

そして見落とされがちなのが、退職時の社会保険料の処理です。退職日が月末か月末でないかによって、控除すべき保険料の月数が変わってきます →5本目

労務
誤りやすい[給与計算]事例解説
【第4回】「退職時の社会保険料控除」
執筆:税理士・社会保険労務士 安田 大
退職金の支給と同じタイミングで処理が必要になるのが、最後の給与からの社会保険料控除です。本記事は、月末退職の場合に資格喪失日が翌月1日となり、退職月分まで保険料の負担が生じる仕組みを、誤りやすい事例として取り上げています。締め日と支給日の関係で退職月に給与支給がないと、最後の給与から2ヶ月分を控除する必要が出てくるケースなど、退職日が月末か否かで結論が分かれる点が具体的に整理されています。退職処理の最後で取りこぼしを防ぐために確認しておきたい内容です。

Afterword

今回は「退職金」を切り口に5本の記事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。制度の設計から、従業員・役員それぞれの課税、会計処理、そして退職時の手続まで、一つのテーマでも関わる分野は驚くほど広く、それぞれに確認しておきたい論点があることが見えてきたように思います。

4本目にご紹介した西田友洋公認会計士の連載「フロー・チャートを使って学ぶ会計実務」は、2026年7月に書籍化されました。膨大な会計基準のうち主要な論点に絞って、実務での件順序がわかるようフローチャートを示して重点的に解説されています。もしご興味があればぜひ手に取って見てください。

Profession Journal

(了)

「PJ Bookmark」は、不定期の掲載となります。



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── August 2026 ──

自宅相続

退職金の支給、
見落としはありませんか?

夏季賞与の支給を終え、それを区切りに職場を去る人が増えてくる時期になりました。

退職金は、制度をどう設計するか、いくら支給するか、どう会計処理するか、そして退職時の手続をどう処理するか・・・関わる分野が税務・会計・労務・経営と広く、それぞれに見落としやすい論点が潜んでいるテーマではないでしょうか。

今回は「退職金」をめぐる実務を、制度・税務・会計・手続の各場面から5本の記事でたどってみます。

 

〇 退職金、それぞれの場面で何を見落とさないか

 

退職金の実務は、まず「どんな制度にするか」という設計から始まります。基本給連動型・定額型・ポイント型など方式ごとに性格が異なり、選び方が後々の運用を左右します →1本目

経営
退職金制度の作り方
【第2回】「退職金制度の種類」
執筆:なりさわ社会保険労務士事務所 代表/特定社会保険労務士 成澤 紀美
退職金制度といっても、その仕組みは一通りではありません。本記事は、基本給連動型・定額型・ポイント型・別メニュー型という4つの方式を、それぞれの長所と短所を対比させながら整理しています。たとえばポイント型は貢献度を反映しやすい一方、ポイント単価の引下げが不利益変更の問題につながりうるなど、方式選びが後の運用にどう響くかが見えてくる内容です。制度設計の入口で全体像をつかんでおきたいときに参考になりそうです。

制度が決まれば、次は支給時の課税です。従業員の退職所得は退職所得控除と1/2課税が基本ですが、勤続年数が短い場合には近年の改正で扱いが変わっています →2本目。役員の場合はさらに論点が増え、過大役員退職給与や分掌変更といった、否認リスクと隣り合わせの判断が求められます→3本目

税務
〔令和3年度税制改正における〕退職所得課税の適正化
【第1回】「退職所得課税の基本と『短期退職手当等』の取扱い」
執筆:公認会計士・税理士 新名 貴則
退職所得は、退職所得控除を差し引いた残額に1/2を乗じるのが基本ですが、勤続年数が短いケースではこの1/2が制限される点に注意が必要です。本記事は、平成24年度改正の「特定役員退職手当等」に続いて導入された「短期退職手当等」を取り上げ、勤続5年以下の従業員について、控除後の残額のうち300万円を超える部分には1/2を適用しない仕組みを、改正前後の計算例を並べて解説しています。数字で効果を追えるので、従業員の退職所得を計算する場面で押さえておきたい内容です。

税務
中小企業経営者の[老後資金]を構築するポイント
【第12回】「役員退職金をめぐる税務の基本と使い途」
執筆:税理士法人トゥモローズ
役員退職金は、従業員の退職所得とは別の論点を抱えています。本記事は、過大役員退職給与の判定で実務上一般的な功績倍率法、分掌変更による退職給与の取扱い(給与のおおむね50%以上の減少が一つの目安とされる点)、死亡退職金のみなし相続財産と非課税枠まで、法人税・所得税・相続税の三面から基本を押さえています。あわせて、相続資金や株価対策といった「使い途」にも触れられており、オーナー経営者への助言を念頭に読んでおきたい一本ではないでしょうか。

支給額が固まれば、今度は会計処理です。中小企業では簡便法による退職給付引当金の計上が選択肢になりますが、適用できる範囲や算定方法にいくつかの分岐があります →4本目

会計
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務
【第25回】「退職給付引当金(簡便法)」
執筆:仰星監査法人/公認会計士 西田 友洋
退職給付引当金は原則として数理計算によりますが、中小企業では簡便法が選択肢になります。本記事は、簡便法を採用できるか(原則として従業員300人未満)の判断から、退職一時金制度・企業年金制度・併用の場合それぞれの退職給付債務の算定方法、引当金・費用の計算、注記までを、フロー・チャートに沿って順を追って示しています。どの分岐をたどればよいかが図で確認できるので、自社やクライアントがどの方法に当てはまるかを整理するのに役立ちそうです。

そして見落とされがちなのが、退職時の社会保険料の処理です。退職日が月末か月末でないかによって、控除すべき保険料の月数が変わってきます →5本目

労務
誤りやすい[給与計算]事例解説
【第4回】「退職時の社会保険料控除」
執筆:税理士・社会保険労務士 安田 大
退職金の支給と同じタイミングで処理が必要になるのが、最後の給与からの社会保険料控除です。本記事は、月末退職の場合に資格喪失日が翌月1日となり、退職月分まで保険料の負担が生じる仕組みを、誤りやすい事例として取り上げています。締め日と支給日の関係で退職月に給与支給がないと、最後の給与から2ヶ月分を控除する必要が出てくるケースなど、退職日が月末か否かで結論が分かれる点が具体的に整理されています。退職処理の最後で取りこぼしを防ぐために確認しておきたい内容です。

Afterword

今回は「退職金」を切り口に5本の記事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。制度の設計から、従業員・役員それぞれの課税、会計処理、そして退職時の手続まで、一つのテーマでも関わる分野は驚くほど広く、それぞれに確認しておきたい論点があることが見えてきたように思います。

4本目にご紹介した西田友洋公認会計士の連載「フロー・チャートを使って学ぶ会計実務」は、2026年7月に書籍化されました。膨大な会計基準のうち主要な論点に絞って、実務での件順序がわかるようフローチャートを示して重点的に解説されています。もしご興味があればぜひ手に取って見てください。

Profession Journal

(了)

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連載目次

筆者紹介

Profession Journal 編集部

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