法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例87】
「火災事故による代替資産の取得に伴う保険差益に係る特別勘定と損金算入」
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、関東地方のとある県庁所在地に隣接する市に本社がある産業廃棄物処理業を営む株式会社X(資本金3,000万円で3月決算)において、総務部長を務めております。
わが業界の業務内容を一言で言えば、事業活動に伴って生じた廃棄物を収集運搬・処分する活動であるということになりますが、取り扱う廃棄物の性状は顧客である排出事業者ごとに多岐にわたっているのが実情です。また、先に挙げた業務内容から、わが業界は更に、産業廃棄物を収集・運搬する事業(産業廃棄物収集運搬業)と、産業廃棄物を中間処理ないし最終処分を行う事業(産業廃棄物処分業)とに分類されます。
わが社の業務は後者の産業廃棄物処分業に分類されますが、中でも中間処理を主たる業務としております。産業廃棄物の中間処理とは、一般に、事業者から排出される廃棄物に対し、その安全化、安定化、減量化を目的として、物理的、化学的又は生物学的な手段によって変化を与える行為とされていますが、そのような前処理を行うことにより、リサイクルや最終処分をしやすくするという効果があるものと考えられます。労働市場が売り手市場の昨今、業務内容が厳しく避けられがちなわが業界は採用も苦戦しておりますが、その社会的意義は大きいものと自負しており、日々業務に勤しんでおります。
さて、そのようなわが社に対し、先日から税務署の税務調査を受けております。そこにおいて今問題となっているのは、わが社の処理施設において生じた火災に伴い、焼失した機械装置の代替資産を保険金で取得した際の経理処理についてです。調査官は、そもそも焼失したとされる機械装置の解体や撤去に係る証憑書類が保存されていないため、その事実があったかどうかすら疑わしく、その費用を損金に算入することはできないと息巻いております。実際のところ、焼失した機械装置に係る保険金は入金されており、また、解体・撤去を担当した業者の見積書もあるのであるから、その金額を損金に算入するのは当然と考えるのですが、税法上はどのように考えるのが妥当でしょうか、教えてください。
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