税効果会計における「繰延税金資産の回収可能性」の基礎解説 【第9回】「その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い」
筆者:田中 良亮
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税効果会計における
「繰延税金資産の回収可能性」の
基礎解説
【第9回】
「その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い」
仰星監査法人
公認会計士 田中 良亮
1 はじめに
前回は役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異の取扱いについて通常の将来減算一時差異とどのように異なるのかを説明した。
今回はその他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱いについて説明する。
2 その他有価証券評価差額金とは
まず、「その他有価証券評価差額金」とはどのような会計事象によって生じる勘定科目であるかを確認したい。
会計上、企業が保有する有価証券は以下の種類に区分される。なお、有価証券の種類については次の連載を参照されたい。
【参考】
経理担当者のためのベーシック会計Q&A(金融商品会計①~⑮)
- 【第1回】 金融商品会計① 「有価証券の取得」
- 【第2回】 金融商品会計② 「満期保有目的の債券の期末評価」
- 【第3回】 金融商品会計③ 「割引手形の会計処理」
- 【第48回】 金融商品会計④ 「その他有価証券の評価」
- 【第49回】 金融商品会計⑤ 「子会社株式・関連会社株式の評価」
- 【第50回】 金融商品会計⑥ 「満期保有目的債券の評価」
- 【第51回】 金融商品会計⑦ 「ゴルフ会員権の評価」
- 【第86回】 金融商品会計⑧ 「貸倒見積高の算定の際の債権の区分」
- 【第87回】 金融商品会計⑨ 「一般債権における貸倒引当金」
- 【第88回】 金融商品会計⑩ 「貸倒懸念債権における貸倒引当金」
- 【第89回】 金融商品会計⑪ 「破産更生債権等における貸倒引当金」
- 【第124回】 金融商品会計⑫ 「デリバティブの時価評価、繰延ヘッジ」
- 【第125回】 金融商品会計⑬ 「金利スワップの特例処理」
- 【第131回】 金融商品会計⑭ 「任意組合、匿名組合、パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ等への出資の会計処理」
- 【第132回】 金融商品会計⑮ 「建設協力金」
① 売買目的有価証券
定義
時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券
② 満期保有の債権
定義
満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債権
③ 子会社株式及び関連会社株式
定義
子会社または関連会社の株式
④ その他有価証券
定義
①から③以外の有価証券
このうち、④のその他有価証券は時価をもって貸借対照表価額とすることが求められているため、期末に時価評価を行う必要がある。しかしながら、現行の会計ルールでは評価益の計上は認められておらず、また、評価損は著しい時価の下落があったときに計上するものとされている(本稿では全部純資産直入法を前提とする)。
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連載目次
税効果会計における「繰延税金資産の回収可能性」の基礎解説
(全11回)
- 【第1回】 税効果会計の目的と繰延税金資産の回収可能性が論点になるワケ
- 【第2回】 繰延税金資産の回収可能性の判断手順
- 【第3回】 会社分類とは(前編)-分類1・2・3-
- 【第4回】 会社分類とは(後編)-分類4・5-
- 【第5回】 タックス・プランニングの実現可能性に関する取扱い
- 【第6回】 解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異の取扱い
- 【第7回】 固定資産の減損損失に係る将来減算一時差異の取扱い
- 【第8回】 役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異の取扱い
- 【第9回】 その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い
- 【第10回】 繰延ヘッジ損益に係る一時差異の取扱い
- 【第11回】 法定実効税率と税効果考慮後の負担率の差異
筆者紹介
田中 良亮
(たなか・りょうすけ)
公認会計士
2011年に仰星監査法人に入所
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
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