〔令和7年3月期〕 決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】 (最終回) 「「戦略分野国内生産促進税制の創設」 「交際費等の損金不算入制度の見直しと延長」 「少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度の見直しと延長」 「中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻し還付の不適用措置の延長」」 公認会計士・税理士 新名 貴則 令和6年度税制改正における改正事項を中心として、令和7年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。 【第1回】は、「賃上げ促進税制の強化」について解説した。 【第2回】は「戦略分野国内生産促進税制の創設」、「交際費等の損金不算入制度の見直しと延長」、「少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度の見直しと延長」及び「中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻し還付の不適用措置の延長」について解説する。 1 戦略分野国内生産促進税制の創設 令和6年度税制改正において、「戦略分野国内生産促進税制」が創設されている。 中長期的な経済成長を牽引する戦略分野(グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、経済安保等)の、国内投資を推進する産業政策競争が世界的に活発化している。このような戦略分野の中で、生産段階でのコストが高いことなどの理由から投資判断が難しい分野を対象に、生産・販売量に応じた税額控除措置を講じることによって、企業の新たな国内投資を引き出すことを目的として創設されたのが「戦略分野国内生産促進税制」である。 具体的な対象分野は、電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、半導体(マイコン・アナログ半導体)である。 ① 制度の概要 青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法における認定事業適応計画に従って、一定の機械その他の減価償却資産の取得等をし、国内にある事業の用に供した場合に、対象期間(※)の日を含む各事業年度において、一定額の税額控除ができる制度である。 (※) 産業競争力強化法の事業適応計画の認定の日以後10年以内。 ② 適用要件 当該税制を適用するためには、具体的には次の要件を満たすことが必要である。 (※) 事業適応計画に、その計画に従って行うエネルギー利用環境負荷低減事業適応のための措置として、産業競争力強化法における産業競争力基盤強化商品の生産及び販売を行う旨の記載があるものに限る。 ③ 税制優遇措置 産業競争力強化法の事業適応計画の認定の日以後10年以内の日を含む各事業年度において、次のいずれか少ない金額について税額控除ができる。 (※) 既に税額控除の対象となった金額は除く。 ただし、次の金額を税額控除の上限とする。 (※) 半導体生産用資産については20%。 また、4年間(半導体生産用資産については3年)の繰越控除が可能である。 ④ 適用除外措置 所得金額が前事業年度を上回る事業年度(設立事業年度等を除く)においては、次のいずれにも該当しない場合、税額控除を適用できない。ただし、繰越控除の適用は可能である。 ⑤ 適用期間 この改正は、産業競争力強化法の改正法の施行日(令和6年9月2日)から適用される。したがって、令和7年3月期決算申告においては適用が開始されている。 2 交際費等の損金不算入制度の見直しと延長 令和6年度税制改正において、交際費等から除外される飲食費の金額基準が、1人当たり5,000円以下から10,000円以下に引き上げられた上で、交際費等の損金不算入制度が3年間(令和9年3月31日までに開始する事業年度まで)延長されている。 令和6年度税制改正後の交際費等の損金不算入制度の概要は、次のとおりである。 【交際費等の課税関係】 (注) 1人当たり10,000円以下の飲食費(社内飲食費は除く)は、そもそも「交際費等」から除かれ、損金に算入される。 この改正は令和6年4月1日以後に支出する飲食費から適用されるので、令和7年3月期決算申告には適用されることになる。 3 少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度の見直しと延長 令和6年度税制改正において、一部の法人が適用対象から除外された上で、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例が2年間(令和8年3月31日までの取得等まで)延長されている。 ① 制度の概要(令和6年3月期まで) 青色申告書を提出する中小企業者等においては、取得価額10万円以上の減価償却資産であっても、30万円未満であれば少額減価償却資産として取得時に全額損金算入できる。 ただし、次の点に注意が必要である。 ② 改正により除外された法人 令和6年度税制改正により、電子申告義務化法人については、常時使用する従業員数が300人を超える法人が適用対象から除外された。 ③ 適用期間 この改正は令和6年4月1日以後に取得・事業供用した資産から適用されるので、令和7年3月期決算申告には適用されることになる。 4 中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻し還付の不適用措置の延長 令和6年度税制改正において、中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻し還付の不適用措置について、2年間(令和8年3月31日に終了する事業年度まで)延長されている。 (連載了)
〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第69回】 「取締役を解任した法人が 同業類似法人にふさわしくないとされた事例」 税理士 中尾 隼大 ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 辞任と解任の相違 中小法人の取締役が退任する場合、その多くは辞任という形で退任すると思われる。辞任とは、取締役が自らの意思によってその職を辞すことをいい、これは会社法330条における株式会社と取締役の関係は委任によること、そして民法651条における委任契約はいつでも解除できるとの規定が根拠となっている。 これに対して、解任については、会社法339条にて、株主総会の決議によりいつでも取締役を解任することができると示されている。取締役に重大な落ち度がある場合や、取締役と株主(※1)との関係が何らかの事情で悪化した場合等において、株主総会で取締役を解任する場合もあるだろう。この場合、株主総会決議や定款の定めにて役員退職慰労金について決められていた場合、解任された取締役が損害賠償請求を行うことができる。しかし、その解任に正当な理由がある場合、その取締役は解任による損害賠償請求を行うことができない(※2)。 (※1) 中小法人の多くは所有と経営が一致していることから、主要株主兼経営者とその他の取締役との関係悪化が想定される。 (※2) 最高裁昭和57年1月21日判決(最高裁判所裁判集民事135号77頁)。 この点については、正当な理由があるかどうかについてしばしば争われるが、一般的に「正当な理由」とは、 がこれに当たるとされている。なお、辞任と解任以外の退任には、任期満了・欠格事項への該当・死亡・会社の解散等の事由がある。 これに対し、税務上では、役員が退任した場合、役員退職給与の支給の有無やその損金算入の可否が問題となる。ここで、税理士の実務感覚としては、辞任は円満な退任であり、解任は円満ではない退任であるというイメージが強いのではないだろうか。 役員退職給与が不相当に高額かどうかを判断する際、同業類似法人の選定が行われる。しかし、辞任による退職と解任による退職では、役員退職給与の支給状況が異なるため、損金算入限度額を算定する際に、解任による役員退職給与を支給した法人を同業類似法人に含めるべきかどうかが問題となるだろう(※3)。そこで、この点が問題となった事例を以下に紹介する。 (※3) なお、同業類似法人の選定基準については【第36回】参照。 (2) 取締役を解任した事例について同業類似法人とすることが不適切とされた事例 納税者が役員の辞任を前提に役員退職給与を支給した場合において、解任による役員退職給与を支給した法人を同業類似法人に含めるべきではないと判断した事例として、東京地裁令和2年3月24日判決がある(※4)。なお、この事例は【第29回】で触れている通り、1年当たり平均額法が適切であると示された事例でもある。本稿では、この事例について、辞任と解任に焦点を絞りつつ紹介する。 (※4) 税務訴訟資料270号順号13403、TAINS:Z270-13403。 このように、裁判所は、辞任と解任では役員退職給与の額に大きな違いがあることを示している。これは、納税者の「解任という退職の事情は、退職給与の支給額に影響を及ぼす典型的かつ類型的な事情である」という主張がそのまま認められている形である。 これに対し、課税庁は、 と主張したが、採用されなかった。 この点に関する裁判所の判断は支持できるものであると考えられる。というのも、法人税法施行令70条2号の「退職の事情」について、解任である場合は正当な理由の有無についての判断が求められ、係争に発展するケースも十分想定されることから、中小法人において、辞任による円満退任の場合の方が役員退職給与の額は高額となるという傾向は明白であると思われるためである。 (3) 本件裁判例の意義 本件裁判例は、同業類似法人を選定する際には、退任した役員の退任事由も考慮すべきであることを示しており、実務の参考となる。 納税者が確定申告を行う時点で民間データベースによる同業類似法人の選定を行う場合、その際に退任した事由を限定できるのであればそれを活用するべきである。そして、仮に課税庁と係争に発展した際には、課税庁が選定した同業類似法人についても、解任による事例が含まれていないかを確認すべきであるといえるだろう。 (了)
相続税の実務問答 【第104回】 「受贈財産の評価が誤っていた場合の 相続時精算課税の特別控除額の是正」 税理士 梶野 研二 [答] 相続時精算課税の特別控除額は、贈与税の期限内申告書に適用する控除額を記載した場合に限って適用することができます。そのため、あなたが行う修正申告では、A社の株式600株の正しい評価額1,900万円から、期限内申告書に記載した特別控除額1,500万円を控除した残額400万円の20%(一律税率)である80万円の贈与税が算出されることとなります。 ただし、特別控除額を少なく記載してしまったことにやむを得ない事由があったと認められる場合には、修正申告において適用される特別控除額を是正することができます。 この場合の修正申告書の記載は、次のとおりとなります。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 相続時精算課税の特別控除 相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、基礎控除額を控除した後の贈与税の課税価格(注)(令和5年以前の贈与にあっては、相続時精算課税に係る基礎控除額の控除はできません)から、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除します(相法21の12①)。 (注) 相続時精算課税に係る贈与税の課税価格とは、相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産について、特定贈与者ごとにその年中において贈与により取得した財産の価額の合計をいいます(相法21の10)。 この特別控除額の控除は、贈与税の期限内申告書に、控除を受ける特別控除額、前年以前にこの特別控除額の控除した金額がある場合にはその控除した金額及び財務省令で定める一定の事項(注)の記載がある場合に限って適用することができることとされています(相法21の12②)。 (注) 財務省令で定める記載事項は、次のとおりです(相規12)。 ① その年分のその特定贈与者に係る贈与税の課税価格、相続時精算課税に係る基礎控除額及び贈与税額その他の贈与税の額の計算に関する明細 ② 相続時精算課税選択届出書の提出をした税務署名及びその提出年分 ③ 既に当該特定贈与者からの贈与により取得した財産について相続時精算課税に係る特別控除額の控除をした金額がある場合には、当該控除を受けた年分及び当該控除を受けた年分の贈与税の申告書を提出した税務署名 ④ その他参考となるべき事項 したがって、贈与税の期限内申告書に特別控除額の記載がない場合には、原則として贈与税の申告書の提出期限後の手続きにおいてこの特別控除を適用することはできませんし、記載した金額が過少であったとしても、贈与税の申告書の提出期限後にその金額を増額することはできません。 2 贈与税の申告書の提出期限を過ぎた後に特別控除額を増額することの是非 上記1のとおり、各年の贈与税の課税における相続時精算課税に係る特別控除額は、贈与税の期限内申告書に記載した金額が限度となります。 しかしながら、税務署長は、相続時精算課税に係る財産について、適用する特別控除額の記載がない期限内申告書の提出があった場合において、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その記載をした書類の提出があった場合に限って特別控除額の控除を適用することができるとされています(相法21の12③)。 この適用する「特別控除額の記載がない期限内申告書」には、特別控除額の記載はあるものの、控除可能な金額の全額が記載されていなかった場合も含まれると考えられます。 また、税務署長が「やむを得ない事情があると認めるとき」に該当するかどうかについては、事案ごとの事実関係等に基づいて個別に判断されることとなります。 (注) この「やむを得ない事情があると認められるとき」の取扱いは、贈与税の期限内申告書の提出があった場合に限り認められるものです。期限内申告書の提出がなかった場合には、その後、期限後申告等において、相続時精算課税に係る特別控除額の控除は認められません(相法21の12③)。 3 特別控除額を増額する手続き それでは、やむを得ない事情により贈与税の期限内申告書に記載した相続時精算課税に係る特別控除額が過少となっていた場合において、その年に適用する特別控除額を増額するためにはどのような手続きをとることができるのでしょうか。 特別控除額を増額したとしても贈与税額が新たに発生し、又は贈与税額が増加することとなるのであれば、修正申告書を提出することができます。しかしながら、特別控除額を増額したとしても、なお贈与税額が発生しない場合に、修正申告書を提出することができるかどうかについて、疑問が生じるかもしれません。 この点、国税通則法は、納税申告書を提出した者は、一定の事由が生じた場合に、その申告について更正処分があるまでは、その申告に係る課税標準等又は税額等を修正する修正申告書を税務署長に提出することができると定め(通法19①)、修正申告書を提出することができる場合として、一般的な「先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額があるとき」に加え、「先の納税申告書に記載した純損失等の金額が過大であるとき」を掲げています。 そして、この「純損失等」には、「相続税法第21条の12《相続時精算課税に係る贈与税の特別控除》の規定により同条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合における当該金額の合計額を2,500万円から控除した残額」が含まれるとされているところです(通法2六ハ(3))。 つまり、贈与税の期限内申告書に記載した相続時精算課税の適用を受ける財産の価額が過少に評価されていたことから、適用した特別控除額もそれに見合う額としていましたが、当該財産の価額を正しく評価したことにより、贈与税の課税価格が上昇し、それに伴い適用する特別控除額を増額することになれば、必然的に翌年以降に繰り越される特別控除額が減少することとなりますので、新たに贈与税額が発生しないとしても贈与税の修正申告書を提出することができることとなります。 4 ご質問の場合 あなたは、相続時精算課税を適用した贈与税の申告書を提出期限内に提出し、その申告において、お父様から贈与により取得した株式の価額から相続時精算課税に係る特別控除額を控除する旨を記載しています。しかし、最近になって、その株式の評価額に誤りがあり、正しい評価額に基づいて申告をしたならば、適用することのできる特別控除額は、期限内申告額よりも大きい金額であったとのことです。 あなたが、贈与を受けた株式の価額を過少に評価し、その結果、相続時精算課税に係る特別控除の適用額が過少になっていたことについて、やむを得ない事情があると認められる場合には、正しい評価額により計算した贈与税の課税価格に見合う特別控除額を適用し、翌年以降に繰り越される特別控除額を期限内申告書に記載した金額から減額する修正申告書を提出することができます。この修正申告書を提出する際には、「やむを得ない事情」についての説明資料を添付すべきでしょう。 お尋ねの場合には、このような修正申告書を提出することにより、納付すべき贈与税額は算出されないこととなります。 (注) 修正申告において、相続時精算課税に係る特別控除額を増額しない場合には、期限内申告書に記載した「翌年以降に繰り越される特別控除額」を翌年以降のお父様からの贈与に適用することができます。したがって、今後も、お父様からの贈与が見込まれるのであれば、適用する特別控除額を期限内申告書に記載した金額のままとし、納付すべき贈与税額を算出したうえで、「翌年以降に繰り越される特別控除額」を期限内申告書に記載した額と同額とする修正申告を行うことも選択肢としてはあり得ます(この場合、加算税及び延滞税の負担も考慮する必要があります)。 (了)
〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第65回】 「みずほ銀行事件 (地判令3.3.16、高判令4.3.10、最判令5.11.6) (その1)」 ~旧租税特別措置法66条の6第1項、 旧租税特別措置法施行令39条の16第1項・2項1号~ 税理士 松田 祐弥 1 関連法令等 (1) 租税特別措置法66条の6第1項 (2) 租税特別措置法施行令39条の16(内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象金額の計算等) ※下線筆者 2 事件の概要 (1) 概要 本件は内国法人であるX(原告・控訴人・被上告人)が、平成27年4月1日から同28年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」)の法人税及び地方法人税(以下「法人税等」)の申告をしたところ、処分行政庁から租税特別措置法(以下「措置法」)66条の6第1項の規定(以下「本件委任規定」)により、ケイマン諸島で設立されたXの子会社B及びC(以下「本件各子会社」)の課税対象金額に相当する金額が、Xの本件事業年度の所得金額の計算上、益金の額に算入されるなどとして、法人税等の各増額更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を受けたものである。 Xは、本件事業年度の法人税等について更正の請求をしたことについても、処分行政庁から更正をすべき理由がない旨の各通知処分(以下「本件各通知処分」)を受けた。そこで国であるY(被告・被控訴人・上告人)を相手に、上記各増額更正処分(後の各減額更正処分により一部取り消されたもの)の一部及び上記各賦課決定処分並びに本件各通知処分の取消しを求めた(※1)。 (※1) 増額更正処分後の更正の請求と通知処分の取消しの訴えの争点について本稿では扱わないものとする。 (2) 事実関係 本件各子会社は、平成20年にケイマン諸島の法令に基づき設立された外国法人で、Xに係る特定外国子会社等であった。Aは同年にケイマン諸島の法令に基づいて設立された法人であり、その発行する普通株式の全部をXの親会社である株式会社Mグループが有していた。Aは平成20年12月29日、額面1億円の優先出資証券3,550口(以下「A優先出資証券」)を発行し、投資家に販売した。本件各子会社は同日、併せて額面1億円の優先出資証券3,550口(以下「本件優先出資証券」)を発行し、Aは、A優先出資証券の発行により調達した資金を原資として本件優先出資証券の全部を購入した。本件優先出資証券の保有者は原則として普通株主に優先して配当受領権を有する一方、議決権を有しないものとされていた。 本件各子会社は、同日、本件優先出資証券の発行により調達した資金を原資としてXに対し劣後ローン(以下「本件劣後ローン」)により金銭を貸し付けたところ、本件劣後ローンの利息の発生期間の終期は、本件優先出資証券及びA優先出資証券に係る配当の支払い日の前日とされていた。本件劣後ローン利息は、ほぼ全て本件優先出資証券の配当に当てられ、本件各子会社に利益が留保されたり、本件各子会社の発行する普通株式に配当がされたりすることは予定されていなかった。 本件各子会社は、平成27年6月30日、Xから本件劣後ローンの全額の返済を受けたうえで、これを原資として本件優先出資証券に係る資金及び配当金をAに送金し、本件優先出資証券を償還した。この結果、本件各子会社の平成26年12月30日から同27年12月3日までの事業年度(以下「本件各子会社事業年度」)の終了の時における発行済株式等は、Xが有する普通株式のみとなった。 Xは、本件各子会社の本件各子会社事業年度終了の時における発行済株式等のうちXの有する本件各子会社の請求権勘案保有株式等の占める割合(以下「本件保有株式等割合」)は0%であり、本件各子会社事業年度における課税対象金額は0円であるとして、本件事業年度に係る法人税等の申告をした。 処分行政庁は平成29年11月に、Xに対し、本件保有株式等割合は100%であり、本件各子会社の適用対象金額の全額が課税対象金額となるなどとして、法人税等の各増額更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。その後、処分行政庁は令和元年7月にXに対し上記各処分に係る法人税等の各減額処分及び過少申告加算税の各変更決定をした(以下「本件各増額更正処分」。各変更決定により一部が取り消された後の各賦課決定処分と合わせて「本件各増額更正処分等」とする)。 〈図表1:本件資金調達スキーム〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 〈図表2:時系列〉 3 争点 本件は、①「外国子会社が請求権の内容の異なる株式等を発行している場合」の判断の時期、②内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象金額の計算等について定める措置法施行令39条の16第1項(以下「本件規定」)が本件委任規定の「政令で定めるところにより計算した金額」という政令委任の範囲を逸脱したものであるかどうかが争点となった。 ((その2)へ続く)
リース会計基準を学ぶ 【第3回】 「リースの識別」 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 今回は、リースの識別について解説する。 リース会計基準における「リースの識別」は、「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)では置かれていなかった規定である(リース適用指針BC165項)。 「リースの識別」の規定に従って、契約がリースを含むか否かを判断することになるので、当該規定は、リースに関する会計処理を行うにあたって重要なプロセスであると考えられる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 契約の締結時におけるリースの識別 リース会計基準では、「リース」を次のように定義している(リース会計基準6項)。 このように、「リース」とは、「契約又は契約の一部分」とされており、リースの識別の判断に際しては、契約の締結時に、契約の当事者は、当該契約がリースを含むか否かを判断するとされている(リース会計基準25項)。 リースの識別に関する規定の概要は、次のとおりである(リース会計基準25項~30項、リース適用指針5項~16項)。 Ⅲ リースの識別の判断 契約がリースを含むか否かを判断するにあたり、契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、当該契約はリースを含むとされている(リース会計基準26項)。 つまり、契約は、①資産が特定され、かつ、②特定された資産の使用を支配する権利を移転する場合に、リースを含むと判断される(リース会計基準26項、リース適用指針5項)。 このため、リースの識別の判断に際しては、次の2つを理解することがポイントになると考えられる。 前述のとおり、「リースの識別」は新たに規定されたものであり、理解が難しいものと思われる。 また、以下に記載するように、リースの識別の判断に際しては、多くの要件を検討する必要がある。 リース適用指針は、下記のように「[設例1]リースの識別に関するフローチャート」を設けて、リースの識別の判断に資するように工夫されており、リース会計基準を実務に適用する際には、当該フローチャートを利用することが便利であると考えられる。 (※) ASBJホームページより 1 資産が特定されているかどうかの判断 資産は、通常は契約に明記されることにより特定される(リース適用指針6項)。 ただし、資産が契約に明記されている場合であっても、次の(1)及び(2)のいずれも満たすときには、サプライヤーが当該資産を代替する実質的な権利を有しており、当該資産は特定された資産に該当しない(リース適用指針6項)。 リースの識別において、「借手」及び「貸手」の用語を使用せずに「顧客」及び「サプライヤー」という用語を使用しているのは、リースの識別の判断の段階は契約がリースを含むか否かを判断する段階であり、契約がリースを含まない場合があるためである(リース適用指針BC9項)。 「顧客」及び「サプライヤー」は、リースを含む場合には、それぞれ「借手」及び「貸手」に該当することになる(リース適用指針BC9項)。 2 契約に明記されているかどうか 前述のとおり、資産は、通常は契約に明記されることにより特定される(リース適用指針6項)。 IFRS第16号「リース」では、資産が契約に明記されない場合でも黙示的に定められることによって特定され得るとの定めがあるが、リース適用指針は当該定めを取り入れなかった(リース適用指針BC10項)。 これは、当該定めを置かなくとも、顧客が資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有し、かつ、顧客が当該資産の使用を指図する権利を有している場合には、資産が契約に明記されていなくとも事実と状況によりリースが含まれることが明らかであるときがあり、このときにはリースの識別に関する適切な判断がなされると考えられるためであると説明している。反対に、リースが含まれていないことが明らかな場合にまでリースの識別の判断を行う必要はないと考えられるとしている(リース適用指針BC10項)。 企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等に対する「主なコメントの概要とそれらに対する対応」のNo.56は、役務提供契約に含まれているリースの識別についてのコメントである。 当該コメントに対して、企業会計基準委員会は、契約の中に実質的に資産の使用の対価が含まれる場合で当該資産の使用を借手が支配しているときには、契約の実質を優先し、リースとして識別することが借手の経済実態を忠実に表現することになると考えられると述べている。 3 資産の使用を支配する権利が移転しているかどうかの判断 特定された資産の使用期間(リース適用指針4項(1))全体を通じて、次の(1)及び(2)のいずれも満たす場合、当該契約の一方の当事者(サプライヤー)から当該契約の他方の当事者(顧客)に、資産の使用を支配する権利が移転する(リース適用指針5項、BC9項)。 4 使用を指図する権利 「使用を指図する権利」に関して、顧客は、次の(1)又は(2)のいずれかの場合にのみ、使用期間全体を通じて特定された資産の使用を指図する権利を有している(リース適用指針8項)。 5 その他の留意事項 「リースの識別」の規定の適用により、これまで「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)により会計処理されていなかった契約にリースが含まれると判断される場合があると考えられている(リース適用指針BC165項)。 リース会計基準等の開発に際して、次の契約についても審議されたが、いずれの契約においてもサービスの要素を区分した後に、リースの定義を満たす部分が含まれる場合があるとし、当該部分についてリースの会計処理を行うことについて記載されている(リース会計基準BC31項)。 「設例」では、「[設例3]小売区画(特定された資産)」、「[設例5]ネットワーク・サービス(使用を指図する権利)」の例などが示されている。また、「Ⅱ 借手のリース期間」の設例([設例8-1]~[設例8-5])であるが、普通借地契約及び普通借家契約に関する設例も示されている。 (了)
給与計算の質問箱 【第62回】 「同月得喪の社会保険料」 税理士・特定社会保険労務士 上前 剛 Q 1月1日にA(18歳)とB(25歳)が当社に入社しましたが、どちらも1月10日に退職しました。 当社は末日締めの翌月25日支給で給料計算を行っています。AとBの1月分の給料(1月31日締め2月25日支給)から社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)は控除するのでしょうか。 A 控除する。なお、AとBが退職後、1月中に他社へ入社した場合及び1月中は無職だった場合の取扱いについても以下で解説する。 * * 解 説 * * 1 同月得喪の社会保険料 社会保険の資格取得日は入社日の1月1日、資格喪失日は退職日の翌日の1月11日である。社会保険料の支払期間は、資格取得日の属する月から資格喪失日が属する月の前月までである。資格取得日と資格喪失日が同じ月である同月得喪の場合、資格喪失日の属する月の前月は存在しないが、その月の社会保険料は発生することとされている。 したがって、1月分の社会保険料は発生するので、1月分の給料から健康保険料と厚生年金保険料を控除する。 2 退職後、1月中に他社へ入社して社会保険に加入した場合 例えば、1月10日に当社を退職し、1月20日に他社へ入社して社会保険に加入した場合、資格取得日が1月20日となり、他社においても1月分の社会保険料が発生する。他社の給料計算が末日締め翌月25日支給の場合、1月分の給料(1月31日締め2月25日支給)から社会保険料を控除する。 1月分の社会保険料を当社と他社で二重に支払うことになるが、健康保険料と厚生年金保険料で取扱いが異なる。健康保険料は二重払いのままである。 一方、厚生年金保険料は先に資格喪失した当社の厚生年金保険料の納付は不要とされる。当社が1月分の社会保険料を納付後、年金事務所から厚生年金保険料の還付のお知らせが当社へ届き、当社の銀行口座へ1月分の厚生年金保険料が還付される。その後、当社から退職者したAとBへ1月分の給料から控除した厚生年金保険料を還付する。 3 退職後、1月中は無職だった場合 A(18歳)とB(25歳)で取扱いが異なる。国民年金は日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満で厚生年金保険に加入していない者が加入することになっている。 Aは、1月10日に退職し、1月11日~31日は無職だった場合、国民年金に加入する義務はなく、上記2の厚生年金保険料の還付はされない。 Bは、1月10日に退職し、1月11日~31日は無職だった場合、1月11日に国民年金に加入し、1月分の国民年金保険料を納付する。また、上記2の厚生年金保険料の還付がされる。 (了)
《税理士のための》 登記情報分析術 【第21回】 「贈与の登記」 ~不動産の生前贈与における士業間の連携~ 司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎 相続対策のために税理士が顧客に不動産の生前贈与を提案することがある。不動産の生前贈与の場合、登記が必要になるため司法書士との連携が必要となる。そこで本稿では、円滑に生前贈与を進めるために司法書士の視点からみて大切なポイントについて解説を行う。 1 贈与の登記に必要な書面等 贈与を原因として所有権(持分)移転登記を行う場合に必要となる書類は、以下のとおりである。 【贈与者の必要書類】 ※このほか登記記録上の贈与者の住所と現在の住所が異なる場合には、沿革を付けるため住民票等が必要になる場合がある。 【受贈者の必要書類】 正式には司法書士から顧客に対して必要書類の案内を行うことになるが、事前に税理士からもこれらの書類が必要になることを伝えておくと、顧客としても心づもりができスムーズに手続を進めることができる。 2 見積りには評価額の情報が必要になる 税理士から司法書士に対して贈与の登記の案件を紹介する場合、まずは見積りから依頼をすることになると思われる。見積りには登録免許税を計算するために、最新年度の固定資産税評価額が分かる固定資産税の評価証明書か納税通知書が必要となるため、物件情報とともに提供するとよいだろう。 3 贈与する持分について 司法書士に対しては、税理士から贈与の対象となる持分の情報もあわせて提供する必要がある。贈与税等の税務の観点から、どれくらいの持分を贈与の対象とすべきかという判断は司法書士ではできないため、税理士から提供される情報を信頼して登記を行うことになる。 いったん贈与による持分移転登記が終わった後に、贈与すべき持分が間違っていた場合、誤った登記を正しく直す「更正」の登記を行うことになるが、少なくない労力がかかることになる。税理士と司法書士間での正確な情報の連携がポイントとなる。 【更正の登記の登記記録例】 4 本人確認・意思確認が重要 贈与の登記を司法書士が受任する場合、贈与者及び受贈者双方の本人確認と意思確認を行うことになる。贈与の登記は親族間で行われることが多いため、本人確認・意思確認についてはあまり厳格でなくともよいのではないかという考えもありうるが、筆者としては親族間で行われるからこそ原則通り本人確認・意思確認を行うことが重要であり、事後に疑義が生じることを防止する効果があると考えている。 高齢化が進み判断能力に問題が生じる人が増えているからこそ、原則に従って手続を進めていくことが最終的に顧客を守ることにつながるだろう。 (了)
税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第62回】 「アスベストの使用と建物価格への影響」 不動産鑑定士 黒沢 泰 1 はじめに 前回は、建物に関する「有害な物質の使用の有無及びその状態」について、ポリ塩化ビフェニル(PCB)の使用状況及び保管状況の調査や建物価格との関連を中心に述べました。 今回は、PCBと同じく不動産鑑定評価基準運用上の留意事項に掲げられている「建設資材としてのアスベストの使用の有無及び飛散防止等の措置の実施状況」(留意事項Ⅱ.2.(1))に関連する調査及び建物価格への影響について述べていきます。 2 アスベストとは アスベストとは、石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれる天然の繊維状の鉱物を指しています(原石をほぐして繊維状にしたものです)。 そして、日本では輸入された以下の3つのものが大半を占めるといわれています。 〈アスベストの種類〉 ご承知のとおり、現在、これらについては製造や輸入が禁止されています。 アスベストは、耐熱性が高い、薬品にも強く絶縁性がある、柔軟性がある等の点から建設資材の原料として使用されてきました。 しかし、次の理由により、昭和50年以降段階的に使用が禁止(又は中止)され、平成24年3月以降は全面的に禁止されています(※1)。 (※1) アスベストの使用が段階的に禁止(又は中止)されてきた経緯については、東京都環境局「アスベストQ&A基本的知識」に解説があります。 3 アスベストの使用されている用途 東京都環境局の資料(上記(※1))によれば、アスベストの使用用途は3,000種類以上に上るといわれ、その9割以上が建築物の壁材、屋根材、外装材、内装材に利用されています。そして、住宅や倉庫では、軒裏、外壁、屋根等にセメント板が使用され、ビルでは、空調機械室等の天井、壁に吹付け材が使用されていることも報告されています。 それだけでなく、自動車のブレーキ、電線の被覆材、器具の断熱材、シーリング材等として使用され、一部の家電製品にも使用されていましたが、現在市販されているものに関しては、アスベストは使用されていないとされています。 4 アスベスト使用の有無の調査と建物価格への影響の評価 アスベスト使用の有無の調査と建物価格への影響の評価ですが、これに当たっては次の2段階を経ることになります。 すなわち、鑑定評価に当たってのポイントは、アスベストが使用されている場合でも、その影響は建物撤去時に顕在化するため、建物を継続使用することが最有効使用であれば特段の減価は必要ないという捉え方です。 仮に、対象建物が老朽化し撤去することが合理的と判断され、しかもアスベストが使用されているという場合には、その除去費用を織り込んだ建物撤去費(通常よりも割高となります)を更地価格から控除して評価することが必要となります。このような場合に撤去費が割高となる理由としては、建物を撤去する際にその建物に使用されているアスベストが周囲に拡散されるのを防ぐため、除去作業を外気と隔離して実施する必要があることがあげられています。 5 アスベストの除去費用 (1) アスベスト除去(処理)費用の目安 国土交通省ホームページ「アスベスト対策Q&A(Q40)」には、アスベスト除去費用の目安が以下のとおり示されています(公表されている資料としては数少ないものです)。 詳細は同ホームページを参照ください。なお、このなかには、仮設、除去、廃棄物処理費等のすべての費用が含まれます。 (2) 上記(1)の資料の取扱い方 上記(1)の資料は、(そのなかに付されている)国土交通省の解説にもみられるとおり、費用の目安については、施工実績データの費用単価分布から処理件数上下15%を除いたものであり、施工条件によってはこの値を大きく上回ったり、下回ったりする場合があり得ます(※2)。そのため、当該資料はあくまで目安値として考える必要があります。 (※2) 筆者注。この他に、障害物の有無や足場設置の必要性等によっても費用は大きく異なるようです。 また、次の点についても追記されているため留意が必要です。 6 鑑定評価上の条件との関係 前回も述べましたが、不動産の鑑定評価に当たり、不動産鑑定士の通常の調査の範囲では、対象不動産の価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な特定の価格形成要因が存する場合には、これを価格形成要因から除外する(=調査範囲等条件を付す)ことも可能とされています。アスベストの取扱いについてもその対象とされています。 ただし、このような条件を付して鑑定評価を行えるのは、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に限られています。 不動産鑑定士としては、仮に調査範囲等条件を設定して鑑定評価を行う場合でも、本稿で述べた必要最低限の調査を省略することはできません。併せて、アスベストの使用の有無と価格上の取扱いについて鑑定評価書に明記しておくよう留意しています。 (了)
《速報解説》 会計士協会、補助金等に関する会計基準の不存在を踏まえ、 「補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告」の公開草案を公表 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2025年2月19日、日本公認会計士協会は、会計制度委員会研究報告「補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、補助金等に関する会計処理及び開示について研究したものである。 意見募集期間は2025年4月19日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 我が国には、現時点においては補助金等に関する会計基準は存在しておらず、補助金等に係る会計処理及び開示について、様々な実務が行われていることが想定されるとのことである。 以下に述べる問題のほか、圧縮記帳や補助金等の会計処理について詳細に検討している。 1 会計処理 我が国においては補助金等の認識に関する会計基準は存在しない。 このため、「企業会計原則」などの定めを参考に、補助金等の交付額確定通知の受領時や付帯条件を満たした時点等、具体的にどの時点で企業が計上すべきかについて、事実と状況に応じて判断することになると考えられる。 なお、補助金等の交付に付帯条件が付された場合には当該条件を満たしているか、満たす可能性が確実かどうかの検討が必要となると考えられる。 2 表示 原則として、事業対象に係る費用と補助金等を純額処理することはなく、補助金等は営業外収益に計上することになると考えられる。 3 実務上の課題 研究開発助成金について、原則として、研究開発費と助成金を純額処理することはなく、助成金は営業外収益に計上することになると考えられるとしている(純額処理した場合には追加情報の開示)。 雇用調整助成金について、政府は、雇用を維持する企業(事業主)に対して雇用の安定を図るために雇用調整助成金を支給するものであり、政府が従業員に対して支給することを目的として企業(事業主)に支給するものではないため、雇用調整助成金が支給される場合、人件費のマイナスではなく、当該支給金額を営業外収益として表示することが考えられるとしている(純額処理した場合には追加情報の開示)。 4 会計方針 補助金等の会計処理は会計事象等に関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に該当すると考えられ、重要性がある場合には重要な会計方針として注記することが考えられるとしている(「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)4-2項等)。 (了)
《速報解説》 JICPAより「独立監査人が実施する中間財務諸表に対するレビュー」等の改正(公開草案)が公表される ~一部記載の明確化等を行い2025年4月1日以後の期中レビューから適用~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2025年2月14日、日本公認会計士協会は、「独立監査人が実施する中間財務諸表に対するレビュー」(期中レビュー基準報告書第1号)などの期中レビューに関する報告書を改正する公開草案を公表し、意見募集を行っている。 意見募集期間は2025年2月28日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な改正内容 主な改正内容は次のとおりである。 Ⅲ 適用時期等 2025年4月1日以後開始する期中財務諸表に係る会計期間の期中財務諸表に対する期中レビューから適用する予定である。 (了)