有価証券報告書における作成実務のポイント 【第15回】 史彩監査法人 パートナー 公認会計士 西田 友洋 今回は、有価証券報告書のうち、【経理の状況】の【注記事項】セグメント情報等と【関連当事者情報】の作成実務ポイントについて解説する。 なお、本解説では2025年3月期の有価証券報告書(連結あり/特例財務諸表提出会社/日本基準)に原則、適用される法令等に基づき解説している。 1 セグメント情報等 セグメント情報等について注記が求められている。また、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、個別財務諸表における注記は不要である。 【事例:(株)キングジム 2025年6月期の有価証券報告書】 【事例:(株)IGポート 2025年5月期の有価証券報告書】 【事例:ブックオフグループホールディングス(株) 2025年5月期の有価証券報告書】 2 関連当事者情報 関連当事者情報について注記が求められている。連結の注記であるため、計算書類の注記と異なり、連結グループ内の取引については注記は不要である。 なお、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、個別財務諸表における注記は不要である。 【事例:千代田化工建設(株) 2025年3月期の有価証券報告書】 【事例:(株)トーメンデバイス 2025年3月期の有価証券報告書】 (了)
〔業種別Q&A〕 労使間トラブル事例と会社対応 【第8回】 「カスタマーハラスメントと企業責任」 〈流通・小売業・卸売業〔Q3〕〉 弁護士法人 ロア・ユナイテッド法律事務所 パートナー弁護士 織田 康嗣 【Q】 顧客のクレーム対応をしていた店舗従業員がメンタル不調を訴えました。顧客対応のマニュアルは作成していたのですが、会社が責任を問われることはあるのでしょうか。 【A】 事案ごとの判断にはなりますが、管理者への相談体制、複数人での対応有無、従業員からの相談への対応状況など、会社が必要な措置を講じていない場合には、損害賠償責任を負う場合があります。 ▲ ▼ ▲ 解 説 ▲ ▼ ▲ 1 カスタマーハラスメント カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」という)とは、「職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの(顧客等言動)により当該労働者の就業環境が害されること」をいう(労働施策総合推進法33条)。具体的には、以下の3つの要素を全て満たす必要がある。 従前、カスハラの定義については、法律上定めがなく、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」や、各自治体のカスハラ防止条例に定めがあるのみであった。もっとも、令和7年に成立した改正労働施策総合推進法によって、法律上もカスハラが定義されることになった。 法律上の定義は、厚生労働省のマニュアルやカスハラ防止条例における定義と若干異なるが、カスハラ該当性の判断に大きな違いが生じるものではないと考えられる。なお、カスハラの行為者(①)として、「取引先」も明記されており、対消費者の関係だけでなく、企業間でも成立し得ることが定義上も明らかになっている。 カスハラ該当性は、主に上記要素の②③の充足性が問題となるところ、結局のところ、正当なクレームとの区別が重要となると解される。その際には、以下のような視点が重要となる。 2 安全配慮義務 労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めている。 顧客からの悪質なクレーム(カスタマーハラスメント)を会社が放置したり、会社として、必要な組織的な対策を講じなかったりした場合には、会社は従業員に対する安全配慮義務違反などを理由に、損害賠償責任を問われる可能性がある。 特にカスハラを原因として、従業員がメンタル不調に陥り、長期休業、退職に至ることがあれば、企業に対し、高額な賠償を求められる懸念もある。 3 小売業に関する裁判例 カスハラに対し、どういった対策を講じることができれば、安全配慮義務を尽くしたと言えるのか、小売業(スーパーマーケット)における事例で参考となるものがあるので、紹介する(まいばすけっと事件・東京地判平成30年11月2日LEX/DB25562253)。当該事例では、スーパーマーケットに訪れた顧客から暴言や乱暴な行為がなされたところ、会社は、マニュアルの配布、緊急連絡先等の掲示、通報用緊急ボタンの設置、深夜勤務でも2名以上の体制とするなどの措置を講じていたこと等から、会社の安全配慮義務違反を否定している。 当該裁判例においては、上述したマニュアル、通報用緊急ボタン、人員配置など、組織的な対応が評価されていることに加え、顧客との対応として、穏便なものから順次実施し、毅然と対応すべき点は対応したことなども評価されている。 この点、クレームを述べる顧客に対し、形だけでも謝罪することが行われることがしばしば見られる。しかしながら、対応した従業員に非がなく、明らかにカスハラである状況下において、その場を収めることのみを目的として、当該従業員に謝罪を強要させることがあれば、謝罪の強要を求めた上司の行為がパワハラに該当することもある。 裁判例においては、市立小学校の児童の父と祖父の言動等が理不尽なものであったにもかかわらず、校長がその場で教諭に謝罪を強いたうえで、翌朝には当該教諭に当該児童宅を訪問させ、母親にも謝罪するよう指示した行為について、「事実関係を冷静に判断して的確に対応することなく、その勢いに押され、専らその場を穏便に収めるために安易に行動したというほかない」として、違法であると認定された事例がある(甲府市・山梨県(市立小学校教諭)事件・甲府地判平成30年11月13日労判1202号95頁)。 顧客対応をする従業員を犠牲にして、安易な対応を求めることは避けなければならない。 4 小売業における具体的対応 厚生労働省では、「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」として、スーパーマーケット編を公開している。また、東京都においては、「カスタマー・ハラスメント防止のための各団体共通マニュアル」を策定し、各企業におけるマニュアル策定のための参考資料を提供している。 上記資料で示されている対応方法をもとに、カスハラの一例に対する具体的な対応について、検討してみたい。 (1) 継続的・執拗な言動 (例) 同じ要求が繰り返された場合は、まずは、早い段階でこれ以上対応できない旨を伝えるべきである(例えば、不合理なクレーム2回きたら注意し、3回目にはこれ以上対応できない旨を明確に伝えるなど)。 顧客が聞き入れない場合には、会話の内容等を記録しておき、社内で共有のうえ、管理職が対応を引き継ぎ、今後の連絡をやめてもらうことを伝えることが考えられる。また、予め決められた時間を超えたり、退去しない場合には、警察に相談することを伝え、管理職による退去要求にも応じないような場合には、実際に警察に通報することも検討する。 (2) 暴言や威圧的な言動 (例) 顧客による威圧的な言動に対しては、顧客の挑発に乗らず、また顧客の怒号に慌てて、過度にへりくだらず、「乱暴な言葉はお控えください」などと述べ、冷静に対応することが必要である。顧客に対しても、「そのように怒鳴られると怖いです。」などと述べ、自身の気持ちを率直に伝えることで、従業員も一人の人間であることを認識してもらい、顧客の側にも冷静になってもらうことも考えられる。土下座の要求など、対応困難な要求については、「これ以上はお客様とお話できません」など、明確に対応できないことを伝えるべきである。仮に自社(のサービス等)に一定の瑕疵があったとしても、等価交換以上の謝罪は不要である。 顧客の暴言等が続くような場合には、管理職にも相談し、対応を打ち切るべきである。身の危険を感じるような場合には、警察への通報も検討すべきである。また、事後的に検証できるように、録音・録画や対応記録を残しておくべきである。 (3) セクハラ (例) 性的な言動で不快になったことを明確に伝え、毅然と対応するべきである。もっとも、身の危険を感じるなど、その場で中止を求められない場合には、管理者に報告し、管理者から中止を求めるべきである。また、付きまとい行為など、安全が脅かされる場合には、速やかに警察に相談するべきである。 5 おわりに 小売業は、従業員が多くの消費者と直接対面するため、カスハラが生じやすい業種といえる。カスハラ対策においては、一般的な(抽象的な)マニュアルを策定したり、社内研修を実施するだけでは足りず、実際の現場において、現場管理者も含め、適切に対処できるか否かが重要である。安易に理不尽な要求に応じてしまったり、顧客の挑発に乗って、激しい言い争いに発展してしまえば、かえって問題を深刻化させる場合もある。 現場においてどのように対処するか、具体的な対応方針を定めたマニュアルを定め、社内に浸透させることが必要である。また、悪質なカスハラに対しては、警察や弁護士との連携が必要になるため、どういった場合に警察に通報するのか、弁護士からの対応を求めるのか、対応フローを決めておくことも有用である。 また、カスハラに直面した従業員へのフォローも忘れてはならない。一人で抱え込ませず、組織的にサポートすることが必要である。対応した従業員の心のダメージが大きい場合には、医師への受診を求めたり、カウンセリングを受けてもらうなどして、メンタルケアを行うべきである。 (了)
〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例109】 株式会社クスリのアオキホールディングス 「定時株主総会の付議議案及び株主提案に関する当社取締役会意見に関するお知らせ」 (2025.7.17) 公認会計士/事業創造大学院大学教授 鈴木 広樹 1 今回の適時開示 今回取り上げる開示は、株式会社クスリのアオキホールディングス(以下「クスリのアオキ」という)が2025年7月17日に開示した「定時株主総会の付議議案及び株主提案に関する当社取締役会意見に関するお知らせ」である。 同社の株主であるOASIS INVESTMENTS Ⅱ MASTER FUND LTD.とOASIS JAPAN STRATEGIC FUND LTD.(以下、関連するファンドやその運営会社をまとめて「オアシス」という)が、クスリのアオキの2025年8月開催予定の定時株主総会に株主提案を行ったのだが、同社の取締役会はそれに反対するという内容である。なお、その後、オアシスによる株主提案は定時株主総会において否決された(2025年8月20日提出臨時報告書)。 2 3回目の株主提案 オアシスは、2023年と2024年のクスリのアオキの定時株主総会にも株主提案を行っており、今回の株主提案は3年連続の3回目である。それに対して、クスリのアオキの取締役会は反対し続けている(2023年7月18日開示「定時株主総会の付議議案及び株主提案に関する当社取締役会意見に関するお知らせ」、2024年7月18日開示「定時株主総会の付議議案及び株主提案に関する当社取締役会意見に関するお知らせ」)。 なお、2023年の株主提案の提案理由には、企業統治上の問題点が複数挙げられていたのだが、2024年と2025年の株主提案の提案理由は、2020年に発行されたストック・オプション(2020年1月9日開示「募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ」、2020年1月28日開示「募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行内容確定に関するお知らせ」)の問題点に絞られている。他の株主の同意を得やすいと思ったのだろうか。 3 賛成票は集まらず 3年連続のオアシスによる株主提案だが、他の株主の同意は得られていない。2024年と2025年の株主提案では、取締役である青木宏憲氏(以下「宏憲氏」という)と青木孝憲氏(以下「孝憲氏」という)の解任が挙げられていた。2024年、宏憲氏の解任への賛成票は149,259個(17.56%)、孝憲氏の解任への賛成票は141,908個(16.70%)だったのだが(2024年8月20日提出臨時報告書)、2025年になると、宏憲氏の解任への賛成票は145,863個(15.42%)、孝憲氏の解任への賛成票は139,516個(14.75%)といずれも減少してしまった(2025年8月20日提出臨時報告書)。 クスリのアオキの有価証券報告書の「大株主の状況」で確認できる限りでは(第26期有価証券報告書、第27期有価証券報告書)、オアシスが所有するクスリのアオキ株式の数は、2024年が10,500千株、2025年が13,191千株である。クスリのアオキの単元株式数は100株なので、議決権の数は2024年が約105,000個、2025年が約131,910個ということになる(有価証券報告書で確認できない所有株式もあるかもしれないため、それらよりも多いかもしれない)。宏憲氏と孝憲氏の解任への賛成票の数と比べると、それらはほぼオアシスによるものだと分かる。 ストック・オプションをめぐる両者の言い分を比べて、どちらが正しいと判断するのは困難だろうと思われるし、そもそも、有価証券報告書の「大株主の状況」などを見る限り、クスリのアオキの株主の多くは安定株主のようであり、彼らが株主提案に賛成する可能性は低いと思われる。 4 オアシスの狙い オアシスが株主提案を通すことは、クスリのアオキの議決権を過半数取得しない限り、難しいだろうと思われる。しかし、クスリのアオキの株主の多くが安定株主のようであるため、過半数の議決権を取得すること自体が難しいだろう。 オアシスは、さすがにもう諦めて、来年度以降は株主提案を行わないだろうか。あくまで筆者の推測だが、おそらく来年度以降も株主提案を行い続けるように思われる。オアシスも、株主提案が承認されないことは分かっているはずである。それでも株主提案を行い続けるのは、クスリのアオキの経営陣の意識を株式非公開化へ向かわせるためである。そして、クスリのアオキが株式非公開化を選択した暁には、オアシスは所有株式を高く買い取ってもらおうと考えているのではないだろうか。 クスリのアオキは、いわゆる創業家が力を持つ会社であるといえる。2023年7月18日開示の「定時株主総会の付議議案及び株主提案に関する当社取締役会意見に関するお知らせ」に添付された「株主提案書」には、「当社創業家は当社社内取締役5名の内3名を占めるだけでなく、合計で当社株式約30%弱を保有し、最高顧問・会長・社長・副社長といった要職を寡占しており、創業家が当社における大きな影響力を持つことは明らかである」という記載があるが(「当社」はクスリのアオキ)、クスリのアオキはそれに対して特に反論はしていない。 なお、現在もクスリのアオキの取締役には、2023年のときと同じ3名の青木氏がいて(第25期有価証券報告書、第27期有価証券報告書)、創業家が所有するクスリのアオキ株式の数は2023年のときよりも増えている(2024年8月22日開示「主要株主である筆頭株主及び主要株主の異動に関するお知らせ」、2024年8月29日開示「主要株主である筆頭株主及び主要株主の異動に関するお知らせ」)。 上場を維持する負担が以前よりも大きくなり、オアシスのようなアクティビストの攻撃にさらされるリスクも大きくなってきたため、株式非公開化を選択する会社が増えている。クスリのアオキにとって、創業家による支配を維持することが重要なのだとしたら、上場を維持することは負担が大きく、得策ではないのかもしれない(同社はプライム市場上場だが、流通株式の上場維持基準をクリアするのは大変なのでは)。オアシスの思う壺になってしまうのだが、もしかすると、今後、クスリのアオキはMBO(経営陣による企業買収)による株式非公開化を検討することになるかもしれない。しかし、そうなった際には、TOB(株式公開買付け)の買付価格をめぐって、オアシスとの間で対立が生じることになるだろう。 (了)
令和8年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和8年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
2025年9月18日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.636を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
日本の企業税制 【第143回】 「各府省庁の令和8年度税制改正要望が公表」 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 魚住 康博 8月下旬に、各府省庁からの令和8年度税制改正要望が公表された。 今回の要望項目数は、単純合計で国税215項目、地方税212項目で、昨年がそれぞれ163項目、187項目であったことから、全体として項目が大きく増えている。重複排除ベースでは、国税146項目、地方税140項目であり、昨年はそれぞれ110項目、130項目であった。 自由民主党の総裁選が10月4日に行われる予定で、政治の不透明感が高まる状況にあるが、各府省庁ともに期限切れを迎える重要な租税特別措置項目を多く抱える中で重視する政策項目が並んでいる。 (※) ( )は重複排除ベース 廃止・縮減項目数は、単純合計で国税23項目、地方税13項目で、重複排除ベースで国税13項目、地方税7項目であった。 国税では、復興庁の11項目が最多で、農林水産省と国土交通省の各5項目、経済産業省の2項目であった。東日本大震災からの復興支援目的で特定復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除の特例措置や、同区域における開発研究用資産並びに機械及び装置等の特別償却等の特例措置といった所得税や法人税に係る項目のほか、印紙税、登録免許税に係る項目が並んでいる。 地方税では、復興庁の7項目、国土交通省の4項目、農林水産省と経済産業省の各1項目であった。内容としては国税同様に東日本大震災からの復興支援目的の特例措置が含まれ、法人住民税や事業税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税に係る項目が並んでいる。 〇所得税 所得税の主な項目としては、金融庁、農林水産省、厚生労働省、経済産業省が共同で、生命保険料控除制度の拡充の恒久化等を要望している。令和7年度税制改正では、新生命保険料に係る一般生命保険料控除について、居住者が年齢23歳未満の扶養親族を有する場合には、1年間の時限措置として令和8年分における控除額を2万円引き上げて最高6万円とすることが措置された。しかし、生命保険料控除制度の拡充により、国民一人ひとりのニーズに沿った多様な生活保障の準備を推進し、安心かつ豊かでゆとりのある国民生活を確保する目的で、今年度はその恒久化を求めている。 また、経済産業省が単独で、食事支給に係る所得税非課税制度の見直しを求めている。6月13日に閣議決定された「骨太の方針2025」等では、物価上昇が継続していることを踏まえ、予算、税制における長年据え置かれたままの様々な公的制度に係る基準額や閾値について、国民生活へ深刻な影響が及ばないよう、省庁横断的・網羅的に点検し、見直しを進めることとされている。そのため、1984年の見直し以降、食料品価格が上昇する中で、40年以上据え置かれている食事支給に係る所得税の非課税限度額(現行月額3,500円以下)についても速やかな見直しが必要とされている。 さらに、金融庁が単独で、NISAに係る所在地確認の手続きの簡素化等を求めている。金融機関は、顧客が新NISA(及びつみたてNISA)の口座開設をした後、10年経過時(その後5年経過ごと)に顧客の氏名及び住所を確認することとされており、当該確認ができない場合は新規買付が停止となり、顧客の資産形成プランに影響を及ぼすおそれがある。現在求められている郵送等による確認方法では、顧客及び金融機関の負担が大きいことから、金融機関の負担にも配慮しつつ、資格のない者による取引が行われないよう実効性のある代替策の検討が必要となるため、手続の更なる簡素化により、投資家の利便性を向上させ、NISAの更なる普及・利用促進を図ることを目的としている。 その他、厚生労働省が単独で、セルフメディケーション推進のための医療費控除の特例措置の拡充を要望している。令和8年末までの時限措置を恒久化するとともに、医療費適正化効果が見込まれる非スイッチ OTC医薬品や OTC検査薬、薬局製造販売医薬品も税制対象医薬品に追加し、所得控除額の算出方法も見直すことで上限を20万円(現行8万8,000円)に引き上げることを求めている。 〇法人税 法人税の主な項目としては、9,479億円と最大の減税項目で今年度適用期限を迎える試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の拡充及び延長が注目される。経済産業省をはじめ、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省、防衛省、内閣府、復興庁による共同要望である。現行の一般型を土台として民間の創意工夫を分野を問わず支えた上で、戦略技術領域に対する研究開発投資の拡大、大学等における戦略研究拠点との産学連携の促進、中長期的な研究開発投資を促し国際的にイコールフッティングな投資環境の整備等に向けた見直しを求めており、既存の一般型等とは別に、日本の戦略技術領域を対象とした戦略技術領域型の創設が盛り込まれている。 また、経済産業省の単独要望として、大胆な投資促進税制の創設がある。2030年度に135兆円、2040年度に200兆円の新たな官民国内投資目標を設定した中、その達成に向けて、官民一体となった国内投資の拡大を通じて、日本企業の「稼ぐ力」を向上させ、賃上げを含めた好循環を形成するため、5年間を集中投資期間と位置づけた上で、高付加価値化のための大胆な設備投資を促進する税制の創設を求めている。 その他、文部科学省が単独で、地元企業の地域学校協働活動への参画促進に向けた法人税の税額控除の創設を要望している。地元の学校における教育活動へ参画し、地域人材の育成、学校運営上の課題解決等に貢献する地元企業について、当該企業が支出した貢献に係る費用の一定割合を、当該企業の法人税額から控除する3年間の時限措置要望である。人口減少社会における持続可能な地域経済の振興、持続可能な充実した学校教育活動の展開に向け、寄附の損金算入による軽減効果に加え、税額控除のメリットを付与することにより、企業の地域学校協働活動への参画を促進することを目的としている。 〇その他 昨年の与党税制改正大綱において、令和8年度改正において結論を得るとされた車体課税については、経済産業省から抜本見直しの要望が出されている。米国の追加関税等の国内自動車産業への影響も踏まえつつ、市場の活性化に寄与し、2050年カーボンニュートラルの実現にも積極的に貢献するものとすべく、環境性能割の廃止等取得時の負担の軽減を行い、保有時において重量及び CO2排出量削減に資する環境性能に応じて負担を決定する公平・中立・簡素な制度とするとともに、自動車の枠を超えたモビリティ産業の発展に伴う経済的・社会的な受益者の広がりや保有から利用への移行等を踏まえつつ、受益と負担の関係も含め、中長期的な視点に立って検討を行うことを求めている。 (了)
〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第75回】 「法人課税信託に係る課税の適正化」 税理士 中尾 隼大 ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 改正前の取扱い 令和7年度税制改正以前は、受益者等の存在しない法人課税信託を設定した後に受益者等が指定された場合には、その指定された受益者等が受託法⼈から信託財産の帳簿価額(簿価)を引き継ぐこととされており、かつ、その簿価の引継ぎにより⽣じた経済的利益については課税されないとされていた(旧・所法67の3①②)。 この取扱いを適用することで、一部では「株式交付型スキーム」と呼ばれる法人課税信託を利用した税負担の軽減を行うことが可能となっていた。具体的には、①委託者が法⼈課税信託に⾦銭を信託する、②受託者が新株予約権を購⼊した後、③受託者が権利⾏使をして取得した株式を、④役員等を受益者に指定して(この時点で法人課税信託ではなくなる)、⑤役員等の個人に株式を交付するという流れとなる。つまり、受益者となった役員は、交付を受けた株式について、当該株式の譲渡時まで課税を繰り延べると同時に、申告分離課税を適⽤することができていたのである。 この点につき、自由民主党税制調査会資料には以下のような図が用いられており、当該スキームが問題視されていることがわかる。 〈改正前の取扱い〉 (※) 「自由民主党税制調査会資料」(令和6年12月12日)より抜粋の上、一部加工 (2) 改正された背景 ここで、このようなスキームが台頭したのは、国税庁が令和5年5月に「ストックオプションに対する課税(Q&A)」(最終改訂令和6年11月)を公表し、いわゆる信託型ストックオプションの課税関係の取扱いが示されたことが背景にあるのではないかと思われる。というのも、従来から信託型ストックオプションについては、有償ストックオプションと同様に権利行使時に課税関係が生じないものと考えられてきたところ、当該Q&Aの問3では、「役職員が当該ストックオプションを行使して発行会社の株式を取得した場合、その経済的利益は、給与所得となります(所法28、36②、所令84③)」と示されている(※1)。 (※1) なお、これらに関しては【第57回】参照。 これにより、信託型ストックオプションについては実務上、権利行使時に給与所得課税となるという取扱いが浸透したといえるため、この代替手段として株式自体を受益者に交付する当該スキームにニーズがあったのではないかと思われるためである。 (3) 令和7年度税制改正にて手当された内容 しかし、令和7年度税制改正にて、当該スキームに蓋がされることとなった。その趣旨として、「信託財産に属する株式を受益者等として指定した役員等に交付する場合には、株式の譲渡時まで課税を繰り延べることが可能となっていました。このような場合にも給与所得等として課税を行うことで給与等を現金で得ている者とのバランス等を図る観点から、・・・受益者等が指定されて法人課税信託に該当しなくなった場合には、その時に、受益者等のその株式の取得に係る経済的利益について給与所得等として課税を行うこととし、その受益者等はその時の価額によりその株式を取得したものとされました」と説明されている(※2)。 (※2) 島谷和孝他編「令和7年版 改正税法のすべて」(大蔵財務協会、2025)101頁。 改正の具体的な内容は、一定の要件を満たす特定法人課税信託の信託財産に属する特定株式について、受益者等が指定されたために法人課税信託に該当しなくなった時は、当該受益者等のその株式に係る経済的利益を給与所得等とみなして課税がなされることとなった。そして、当該受益者等はその時の価額によってその株式を取得したものとされることとなった(所法67の3③)。 ここで、「特定法人課税信託」とは、その信託財産に属する特定株式に係る発行法人等が委託者となる受益者等の存在しない信託である法人課税信託で、当該特定株式の発行法人の役員等の勤続年数等を勘案して当該役員等が受益者等として指定されるものをいう(所法67の3④一)。また、「特定株式」とは、譲渡制限その他の条件が付されている株式以外の株式をいうとされている(所法67の3④二、所令197の3②)。 これらの内容を図示すると以下の通りとなる。 〈改正イメージ〉 (※) 「自由民主党税制調査会資料」(令和6年12月12日)より抜粋の上、一部加工 なお、令和7年度税制改正大綱には適用時期が明記されていなかったが、当該改正は令和7年4月1日以降に効力が生じる特定法人課税信託について適用されることとなっている(改正法附則5)。 (了)
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正 -防衛特別法人税等の企業への影響- 【第5回】 公認会計士・税理士 荒井 優美子 12 課税標準法人税額から納付税額の計算 【第4回】は基準法人税額から課税標準法人税額の計算の過程について解説を行ったが、【第5回】では課税標準法人税額から納付税額の計算の過程を説明する。 防衛特別法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額に4%の税率を乗じて計算される(防衛財確法14①、15)。ただし、基準法人税額に留保税額が含まれている場合の課税標準法人税額は、加算前基準法人税額から基礎控除額を控除した金額である(防衛財確法14②)。 防衛特別法人税の納付税額の計算においては、法人税や地方法人税と同様に、外国税額控除、控除対象所得税額等相当額の控除、分配時調整外国税相当額の控除及び仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う減少法人税額(防衛特別法人税額)の控除の制度が適用される。なお、税額控除の順番も法人税や地方法人税における税額控除の適用がある場合と同様で、①分配時調整外国税相当額の控除、②控除対象所得税額等相当額の控除、③仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除、④外国税額の控除の順番とされる(防衛財確法20)。 【図表7】防衛特別法人税の納付税額の計算 13 外国税額控除 内国法人が外国税額控除(法法69①、地法法12①)の適用を受ける場合において、その課税事業年度の控除対象外国法人税の額が法人税の控除限度額(法法69①)及び地方法人税控除限度額(地法法12①)の合計額を超えるときは、防衛特別法人税の控除限度額の範囲内で控除することとされる(防衛財確法16①)。 防衛特別法人税の控除限度額は、以下の算式で計算される(防衛特別法人税に関する政令(以下「防衛特法令」)3①)。 法人税の外国税額控除の適用に係る「控除限度超過額」は、当期の控除対象外国法人税の額が、当期の法人税の控除限度額、地方法人税の控除限度額及び防衛特別法人税の控除限度額と地方税の控除限度額の合計額を超える場合におけるその超える部分の金額に相当する金額として計算される(【図表8】の「控除されない」金額)。この「控除限度超過額」は、3年間の繰越による控除が可能である。 一方で、「国税の控除余裕額」は、当期の控除対象外国法人税の額が、当期の法人税の控除限度額に満たない場合における差額の金額として計算され、防衛特別法人税についてはそのような仕組みは設けられていないため、「国税の控除余裕額」は従前と同様である。「地方税の控除余裕額」については、当期の控除対象外国法人税の額が防衛特別法人税からも控除される結果、「地方税の控除余裕額」が増大することが考えられる。 当該控除制度の適用は、申告書への明細書の添付が要件とされている(防衛財確法16⑮)。 【図表8】防衛特別法人税における外国税額控除の仕組み (出典:財務省ホームページ「令和7年度税制改正の解説」) 14 分配時調整外国税相当額の控除 分配時調整外国税相当額控除とは、集団投資信託の収益の分配等の支払を受ける場合に、所属税法等により源泉徴収される金額から控除された金額のうち分配時調整外国税相当額については、法人税の額から控除する制度である。 分配時調整外国税とは、外国の法令に基づき信託財産につき課される税で、源泉徴収に係る所得税に相当するもののうち、その外国所得税の課された収益を分配するとしたならばその収益の分配につき所得税を徴収されるべきこととなるものに対応する部分をいう。 内国法人が各課税事業年度において法人税及び地方法人税における分配時調整外国税相当額の控除(法法69の2①、地法法12の2①)の適用を受ける場合に、その課税事業年度の分配時調整外国税相当額がその内国法人のその課税事業年度の基準法人税額及び基準法人税額に対する地方法人税の額(所得地方法人税額、地法法11)の合計額を超えるときは、その超える金額をその課税事業年度の防衛特別法人税の額から控除することとされている(防衛財確法17①、防衛特法令4①)。当該控除制度の適用は、申告書への明細書の添付が要件とされている(防衛財確法17④)。 15 控除対象所得税額等相当額の控除 控除対象所得税額等相当額とは、内国法人が外国子会社合算税制の適用を受ける場合において、外国関係会社に対して課される所得税等の額のうち、その課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額に対応する部分の金額に相当する金額をいい(措法66の7④)、外国税額控除制度とは別枠で、内国法人の法人税及び地方法人税の額から控除される(措法66の7④、⑩)。 内国法人が課税事業年度の控除対象所得税額等相当額が、当該課税事業年度の法人税の額及び地方法人税額の合計額を超えるときは、その超える金額をその課税事業年度の防衛特別法人税の額から控除することとされる(防衛財確法18①、43①)。当該控除制度の適用は、申告書への明細書の添付が要件とされている(防衛財確法18③)。 課税事業年度の控除対象所得税額等相当額が、法人税の額、地方法人税額及び防衛特別法人税の額の合計額を超える場合には地方税(住民税)から控除される。 16 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除 法人税について仮装経理に基づく過大申告があった場合には、納税者の減額更正の請求に基づき、税務署長が行った更正による減少法人税額は、その減額更正の日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税の額から控除される(法法70、135)。防衛特別法人税の算定の基礎となる基準法人税額は、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除適用前の金額であることから、仮装経理に基づく過大申告により法人税額が過大であるときは、防衛特別法人税額も過大となる。 そこで、防衛特別法人税においても、法人税法第70条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)及び第135条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)と同様の制度が設けられている(防衛財確法19、35①)。 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正があった場合、すなわち内国法人の各課税事業年度開始の日前に開始した課税事業年度の防衛特別法人税につき税務署長が更正をした場合には、その更正に係る仮装経理防衛特別法人税額を、その更正の日以後に終了する各課税事業年度の防衛特別法人税の額から控除する。内国法人の各課税事業年度開始の日前に開始した課税事業年度には、適格合併が行われた場合の被合併法人課税事業年度を含むこととされており、この場合は合併法人の課税事業年度の防衛特別法人税から控除されることになる。 (続く)
相続税の実務問答 【第111回】 「非課税特例の適用を受けた住宅取得等資金の相続税の課税価格への加算-令和6年以降に相続時精算課税を適用した場合」 税理士 梶野 研二 [答] お父様から贈与を受けた住宅取得等資金の額40,000,000円から、住宅取得等資金の非課税特例を適用した金額10,000,000円と相続時精算課税に係る基礎控除額1,100,000円を控除した残額28,900,000円が相続税の課税価格に加算される金額となります。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 生前贈与財産の相続税の課税価格への加算等 被相続人からの生前贈与が相続時精算課税の適用に係るものでない場合には、相続税法第19条第1項の規定により、相続開始前7年以内に被相続人から贈与により取得した財産の価額を、相続税の課税価格に加算しなければなりません(※)。 (※) 平成12年までに相続が開始した場合には、経過規定により加算対象期間が縮小されています(平成5年所得税法等の一部を改正する法律附則19②③)。また、加算される贈与により取得した財産のうち、相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産については、その合計額から100万円を控除した残額が相続税の課税価格に加算されます(相法19①)。 また、被相続人からの生前贈与が相続時精算課税の適用に係るものである場合には、相続税法第21条の15及び同法第21条の16の規定により、生前贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算又は算入することとなりますが、令和6年以降の相続時精算課税の適用に当たっては、受贈者ごとに110万円の基礎控除が認められていますので、当該生前贈与を受けた金額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額が相続税の課税価格に加算又は算入されることとなります(平成5年所得税法等の一部を改正する法律附則19④、相法21の11の2①②、措法70の3の2①)。 2 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例 父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、この住宅取得等資金のうち非課税限度額までの金額は贈与税の課税価格に算入しません(措法70の2①)。この特例が、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例です(本稿ではこの特例を「住宅取得等資金の非課税特例」といいます。)。 この非課税特例を適用した金額については、相続税法第19条第1項の規定の適用においても、相続税法第21条の15第1項及び同法第21条の16の規定の適用においても、相続税の課税価格への加算又は算入の対象とはなりません(相法19①、21の15①、21の16①、措法70の2③)。 3 ご質問の場合 あなたは、お父様から相続により預金などを相続されるとのことですので、お父様からの生前贈与で、相続時精算課税の適用に係るものの金額は、相続税法第21条の15第1項の規定により、相続税の課税価格に加算しなければなりません。 しかしながら、あなたが、お父様から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、住宅取得等資金の非課税特例を適用した金額については、その贈与が相続時精算課税の適用に係るものであったとしても、相続税の課税価格に加算する必要はありません。 また、令和6年以降の相続時精算課税に係る贈与については、基礎控除額を控除した残額を相続税の課税価格に加算することとされています(相法21の15①)。 一方、相続時精算課税に係る特別控除額に相当する部分については、この金額を加算の対象から除外する旨の特段の規定は設けられていませんので、相続税の課税価格に加算することになります。 したがって、令和6年にお父様から贈与により取得した住宅取得等資金40,000,000円のうち、住宅取得等資金の非課税特例を適用した10,000,000円及び相続時精算課税に係る基礎控除額1,100,000円を控除した残額28,900,000円を相続税の課税価格に加算することとなります。 なお、あなたが令和6年分の贈与税として納付した780,000円は、算出された相続税額から控除し(相法21の15③)、控除しきれない金額がある場合には、その控除しきれない金額の還付を受けることができます(相法33の2①)。 (了)
給与計算の質問箱 【第69回】 「役員が入院のため役員報酬を減額した場合の注意点」 税理士・特定社会保険労務士 上前 剛 Q 当社は12月決算です。代表取締役Aが病気のため9月から3ヶ月程度入院することになりました。入院予定の9月~11月の3ヶ月間の役員報酬を月額100万円から月額0円に減額した場合の注意点についてご教示ください。 A 以下に解説する。 * * 解 説 * * 1 定期同額給与に該当 病気のために職務執行ができないとして役員報酬を減額した場合、臨時改定事由による改定と認められ、定期同額給与に該当する(役員給与に関するQ&A[Q5]参照)。 2 傷病手当金の受給 健康保険から傷病手当金が支給される。 支給の条件として、以下の①~④の要件のすべてを満たさなければならない。 3 月額変更届の提出は不要 3ヶ月連続で2等級以上の報酬の増減があった場合には月額変更届を年金事務所へ提出しなければならないが、病欠の場合については月額変更届の提出は不要とされる。したがって、月額100万円にかかる健康保険料、厚生年金保険料は変更なしである。 4 給与計算 社会保険料は免除されない。役員報酬が月額0円だと月額100万円にかかる健康保険料、厚生年金保険料を控除できないことから、代表取締役から会社の口座に振り込んでもらうなどの対応が必要である。 (了)