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《速報解説》 ASBJ、「税制適格SOに係る会計上の取扱いについて照会を受けている論点に関する解説」を掲載~行使価格に係る法令解釈通達等の改正の影響に言及~

《速報解説》 ASBJ、「税制適格SOに係る会計上の取扱いについて照会を 受けている論点に関する解説」を掲載 ~行使価格に係る法令解釈通達等の改正の影響に言及~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに このほど、企業会計基準委員会のホームページに、「税制適格ストック・オプションに係る会計上の取扱いについて照会を受けている論点に関する解説」として、ASBJの副委員長による解説が掲載された。 昨今、ストック・オプションに関連する税務上の取扱いの改正を踏まえ、ストック・オプションに係る会計上の取扱いに関して照会を受ける機会が増加しているとのことである。 次の点について解説している なお、これは、企業会計基準委員会の公式見解ではないとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 行使価格に係る法令解釈通達等の改正の影響 2023年5月30日に国税庁から「「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施について」が公表されている。 法令解釈通達等が改正された場合、今後、未公開企業において行使価格を(税務上の)1株当たり純資産とするケースの増加が見込まれるとし、費用計上するケースについて説明している。 2 権利確定条件が付されている場合における取扱い 未公開企業が発行するストック・オプションには、「上場するまで行使できない」や、「上場日を起点として1年に50%ずつ行使可能」という条件が付されていることが多く、どのように権利確定日を決めて費用計上すればよいのかという論点がある。 条件の達成に要する期間が固定的ではない権利確定条件が付されている場合には、まず、権利確定日として合理的に予測される日を見積もることになるが、それでも権利確定日として合理的に予測される日を見積もることが困難であり、予測を行わないこととした場合には、付与日に一時に費用計上することになるとのことである。 (了)

#阿部 光成
2023/07/13

プロフェッションジャーナル No.527が公開されました!~今週のお薦め記事~

2023年7月13日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.527を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2023/07/13

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第121回】「節税商品取引を巡る法律問題(その15)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第121回】 「節税商品取引を巡る法律問題(その15)」   中央大学法科大学院教授・法学博士 酒井 克彦     Ⅺ 金融教育としての租税リテラシー教育 1 金融経済教育懇談会 節税商品取引を巡る消費者あるいは投資者保護の検討において、成人向け租税リテラシー教育が重要であることは既述のとおりであるが、そこでは、金融教育における成人向け教育の取組みが参考となろう。 金融庁が主催する金融経済教育懇談会は、平成17年6月付け「金融経済教育に関する論点整理」(以下「論点整理」という。)において、「国民一人一人に、金融やその背景となる経済についての基礎知識と、日々の生活の中でこうした基礎知識に立脚しつつ自立した個人として判断し意思決定する能力、すなわち金融経済リテラシーを身につけてもらい、また、必要に応じその知識を充実する機会を提供することは、今や大きな社会的要請となっていると言える。これが、本懇談会における金融経済教育のイメージである。」と報告している(同論点整理5頁)。 その上で、各人のライフステージを、まず大きく初等中等教育段階と社会人・高齢者段階に分けて、金融経済教育の現状の問題点と今後の課題について議論している。 社会人・高齢者段階については、次のように整理している。 (1) 現状認識 (2) 課題 このような現状認識を共有した上で、課題として、社会人・高齢者向けの金融経済教育において重要な事柄として、「〔筆者注:金融経済教育の〕必要性を認識して主体的に学ぼうとする個人を応援すること、また、そのための動機付け」であるとしている。 そこでは、社会人・高齢者の場合、「教育」というより、むしろ「啓発や意欲のある人の学習」という捉え方が適当であるとする。その上で、この分野の初等中等教育との大きな違いは、対象者が極めて多様である中で、必要とされる教育の内容、担い手、場も多様であるとしている。ここにアンドラゴジーの議論があろう(後述)。 具体的には、教育内容については、知識・スキルの平準化が目的となる初等中等教育段階の教育と異なり、対象者のニーズにより内容は大きく異なってくるとして、大多数の社会人・高齢者に対する教育内容としては次のような点を挙げている。 (3) 教育の担い手 成人向け金融経済教育の担い手としては、多様な担い手の役割がそれぞれ期待されるとする。 これらの中で、具体的には、「投資になじみの薄い顧客層も対象としてきた銀行が、投機と投資を区別し、分散投資という資産管理・運用の基本を教えることに適して」いることから、「今後、銀行を教育の担い手として期待する意見があった」という。他方、これに対し、「一般の人々は、銀行のアドバイスには営業目的があるかもしれないという警戒感を拭いきれず、社会人・高齢者教育の主要な担い手として位置づけることは難しい」との反論もあったようである。 そこでは、「特に、ペイオフ解禁を機に高齢者に銀行が投資商品を販売するケースが目立っており、これについては、銀行とは別に投資の基礎知識を教える主体が求められている」との意見があった。既にこの連載においても指摘したところであるが、これに関連していえば、節税商品取引については、特に、販売員の倫理、知識の向上の必要性も議論されなければならないであろう。 また、金融経済教育の担い手としては地域も期待されるところ、特に生涯学習の面では、地域で面的な広がりをどう持たせていくかが鍵となるとする。 (4) 広報活動と教育活動 社会人・高齢者については、小・中・高生と違い、学校といった特定の場(箱物)が予め設定されているわけでない点が解決されるべき重要なポイントとなる。論点整理では、対象者のニーズにマッチした形で裾野を拡げ、教育の機会を確保することが重要になるとする。特に次のように、論点整理では、ニュース作りという点を指摘している。 また、もともと馴染みの少ない人にも受け入れられるためのエンターテイメント性についても次のように言及している。 (5) 金融教育における政府に求められる役割 論点整理は、金融教育における政府に求められる役割として以下のように整理している。 (続く)

#No. 527(掲載号)
#酒井 克彦
2023/07/13

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第16回】「国税通則法32条(31条・33条)」-賦課課税方式における賦課決定とこれによる納税義務の確定の「本質」-

谷口教授と学ぶ 国税通則法の構造と手続 【第16回】 「国税通則法32条(31条・33条)」 -賦課課税方式における賦課決定とこれによる納税義務の確定の「本質」-   大阪学院大学法学部教授 谷口 勢津夫   国税通則法32条(賦課決定)   1 「賦課」の意義-課税権の発動方式と税額・納税義務の確定方式- 国税通則法16条1項2号は、賦課課税方式を「納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式」と規定し、同法第2章(国税の納付義務の確定)第3節で「賦課課税方式による国税に係る税額等の確定手続(第31条-第33条)」を定めている。 ここで、まず、「賦課」という語の意義を確認しておこう。これについては、次の用語の整理(中川一郎=清永敬次編『コンメンタール国税通則法』(税法研究所・加除式[1989年追録第5号加除済])E651頁[波多野弘執筆]。下線筆者)が的確であると思われる。 この整理によれば、「賦課」という語は、①賦課課税主義の租税における課税権の発動方式について用いられる場合と、②税額の確定方式ないし納税義務の確定方式について用いられる場合があることになるが、今回検討するのは勿論②の意味での「賦課」である。 なお、上記②の意味での「賦課」については、これを行う国の権利を「課税権又は賦課権ともいうべきもの」と説く見解(田中二郎『租税法〔第3版〕』(有斐閣・1990年)159頁)もあるが、この見解によれば上記①の意味での「賦課」との関係が明確でなくなるおそれがあるように思われるので、次の見解(金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)154頁。太字は原文どおり)のように「確定権」という語を用いるのが妥当であると思われる(谷口教授と学ぶ「税法基本判例」第1回Ⅱ2も参照)。   2 賦課課税方式による国税の範囲 国税通則法は、納付すべき税額が賦課課税方式によって確定される国税を、申告納税方式(16条1項1号)によって確定される国税以外の国税、とのみ定め(同条2項2号)、その国税の範囲は各個別税法の定めるところに委ねているが、ただ、実際上は、戦前における賦課課税方式中心の時代は格別、終戦直前から徐々に納税義務の確定方式が直接税を中心に申告納税方式に移行し、特に国税通則法の制定と同時に酒税等の間接税も原則として申告納税方式に移行し(税制調査会『国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)』(昭和36年7月)9頁参照。第10回4も参照)、その結果、賦課課税方式による国税は極めて限定されたものとなっている(中川=清永編・前掲書E655-E656~658頁[波多野執筆]、金子・前掲書941頁参照)。 要するに、「賦課課税方式による国税は、法定の条件違反その他の違法行為による場合、免税物品が免税目的以外に供される場合、又は関税法上賦課課税方式が適用される場合等の例外的な場合の消費税等、各種加算税及び過怠税で、極く限られているということができる。」(武田昌輔監修『DHCコンメンタール国税通則法』(第一法規・加除式)1733頁。個々の税目については同頁のほか、より詳細には志場喜徳郎ほか共編『国税通則法精解〔令和4年改訂・17版〕』(大蔵財務協会・2022年)279-283頁参照) これに加えて、各個別税法の定めるところにより課税標準申告書の提出義務(税通31条1項)が課されている国税は、更に限定され、「保税地域からの引取りに係る課税物件で申告納税方式によりがたいものに対する消費税等」(志場ほか共編・前掲書415頁)である。この消費税等については、「申告納税方式によりがたい」とはいえ納税者に一定の情報提供を期待することができると認めて、課税標準申告書の提出義務を課したのであろうが、それら以外の賦課課税方式による国税については、「法律又はこれに基づく命令により定められている条件に違反し、又は違法な行為があつたことその他の事情が原因となつているため、適正な申告又は申告そのものが期待し得ないこと、その他徴収手続上の便宜、沿革上の理由等により、課税標準申告書の提出をさせることは適当でない」(武田監修・前掲書1734頁)と判断されたのであろう。   3 賦課決定による納税義務の確定の「本質」 賦課課税方式による課税標準・納付すべき税額の「決定」(税通32条1項・2項)すなわち賦課決定(同条5項括弧書)は「賦課課税方式による国税の確定手続中最も重要」(中川=清永編・前掲書E710~712頁[波多野執筆])といわれるが、賦課課税方式による国税は、前述のとおり、極めて限定されていることから、賦課決定の重要性は実際上は高いとはいえないであろう。 とはいえ、課税標準申告書の提出義務がない場合における賦課決定(税通32条1項3号)は、賦課課税方式による納税義務の確定手続のなかでは相対的に重要な行為(成立した納税義務の内容を確認し確定する「処分」。税通16条1項2号、75条1項1号も参照)であるが、それだけにとどまらず、申告納税方式を含む納税義務の確定手続全体の観点からみると、納税者の少なくとも一定の情報提供行為を前提とせず税務官庁が単独で行うという意味で、決定(税通25条)と同じく、納税義務の確定手続の「最後の砦」となる重要な行為として位置づけることができよう。つまり、申告納税制度と賦課課税制度とにおいて「決定」は、本質的に区別されるべきものではなく、単に国税通則法の用語上区別されているにとどまると解するのが相当である(税通25条、32条1項・2項・5項括弧書参照)。 申告納税制度の実定的把握における租税徴収の観点からみると、納税義務の確定の場面で「後詰め」としての更正(税通24条)に極めて重要な役割が期待されていることは前回の3で述べたが、賦課決定は期間制限(同70条1項2号・3号)内であれば何度も繰り返し行うことができる(同32条2項。いわゆる再賦課決定)という意味で、賦課決定には、繰り返される更正すなわちいわゆる再更正(同26条)と同様に極めて重要な役割が期待されているといえよう。 そうすると、次の見解(中川=清永編・前掲書E656~658頁[波多野執筆])が説くように、更正・決定・賦課決定に共通する観念は、「賦課」と「徴収」(それぞれの意味については前記1の冒頭の囲み内の用語整理参照)とを一連の行為として一体的に捉える場合における「賦課徴収」であり、しかもこの観念こそがまさしく租税徴収の観点からみた納税義務の確定の「本質」であるといってよいように思われる。 納税義務の確定の「本質」に関するこのような捉え方は、「納税義務の確定制度の実定的把握」(その意義については第11回3における「申告納税制度の実定的把握」の解説参照)と呼ぶことができようが、これは、申告納税方式及び賦課課税方式ともに「納税義務が成立する場合」(税通15条1項)を所与の前提とし、「納税義務は法律の定める課税要件の充足によって成立する、という考え方・・・・・・を暗黙の前提としている」(金子・前掲書886頁)点で、国税通則法の体系的構造(第1回3参照)との関係が極めて希薄なものであるといってよかろう。 (了)

#No. 527(掲載号)
#谷口 勢津夫
2023/07/13

〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第28回】「適格請求書等保存方式における売上税額の計算として積上げ計算を行うための要件」

〔疑問点を紐解く〕 インボイス制度Q&A 【第28回】 「適格請求書等保存方式における売上税額の計算として 積上げ計算を行うための要件」   税理士 石川 幸恵   【Q】 飲食店を経営する個人事業者です。売上税額の計算として積上げ計算を適用したいのですが、自家消費はどうしたらよいのでしょうか。注意点を教えてください。 〔ポイント〕 売上税額につき、積上げ計算と割戻し計算の併用は認められています。 売上税額の計算として積上げ計算を適用する場合には、適格請求書発行事業者の登録、適格簡易請求書の記載事項、仕入税額の計算の組み合わせに注意が必要です。 *  *  * 【A】 個人事業として飲食店を経営している場合、来店客への売上のほか、自家消費を計上しているものと思われます。売上税額の計算として積上げ計算を検討する場合、この自家消費にも積上げ計算を適用しなければならないのか、自家消費があるために割戻し計算しか認められないのか、気になるところです。 売上税額の計算方法においては、割戻し計算と積上げ計算を併用することが認められています。そこで、来店客への売上は積上げ計算とし、自家消費に係る消費税額は割戻し計算とすればよいと考えられます。 飲食店が売上税額の計算として積上げ計算を適用する場合には、以下の点に注意してください。   (1) 適格請求書発行事業者の登録 売上税額につき積上げ計算を行うことができるのは、適格請求書発行事業者のみです。売上先が消費者であるため適格請求書発行事業者の登録を受ける必要性が高くない場合であっても、積上げ計算を行うためには必ず適格請求書発行事業者の登録を受けてください。   (2) 適格簡易請求書の記載事項、交付、写しの保存 飲食店業を営む場合には、適格請求書の記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができます(インボイスQ&A問25)。適格簡易請求書の記載事項は、「適用税率又は税率ごとに区分した消費税額等」ですが、売上税額につき積上げ計算を適用する場合は、必ず税率ごとに区分した消費税額等を記載してください。「適用税率」のみを記載して交付する場合、積上げ計算を行うことができません(インボイスQ&A問116、インボイス通達3-13)。 飲食店などは売上先が消費者であることが多く、適格簡易請求書を交付しても受け取らない場合も考えられます。この場合でも写しを保存していれば、積上げ計算を行うことが可能です(インボイスQ&A問117)。   (3) 個人事業者の自家消費 個人事業者の自家消費とは、個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業用に使用していたものを家事のために消費又は使用することをいいます。 消費税棚卸資産を自家消費した場合は、その棚卸資産の仕入価額以上の金額かつ通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の額とすることが認められています(消基通10-1-18)。   (4) 自家消費に係る消費税額 売上税額において、割戻し計算と積上げ計算を併用することは認められています(インボイスQ&A問115)。自家消費についてまで適格簡易請求書を交付することは現実的ではありませんので、自家消費は割戻し計算とするのがよいと考えられます。   (5) 仕入税額の計算との組み合わせ 売上税額と仕入税額の計算方法の組み合わせには制限があります。 売上税額の計算において積上げ計算と割戻し計算を併用した場合、仕入税額の計算では割戻し計算を適用することはできません(インボイスQ&A問115、116)。 簡易課税を選択している場合でも売上税額につき積上げ計算を行うことは可能です。簡易課税では控除対象仕入税額を「売上税額 × みなし仕入率」により計算しますので、仕入税額につき積上げ計算か割戻し計算かを考慮する必要はありません。   (了)

#No. 527(掲載号)
#石川 幸恵
2023/07/13

Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第26回】「〔第1表の1〕自己株式を取得した場合の株主判定と所得税基本通達59-6の適用の留意点」

Q&Aでわかる 〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第26回】 「〔第1表の1〕自己株式を取得した場合の株主判定と 所得税基本通達59-6の適用の留意点」   税理士 柴田 健次   Q A株式会社の取締役である甲の相続発生に伴い、A社の株式10,000株(議決権総数の10%に相当する株式)を相続した乙が発行法人であるA社に売却を検討しています。 A社株主の親族構成と株式保有状況は、下記の通りとなります。 発行済株式総数は100,000株であり、1株につき1議決権を有しているものとします。 A社の役員は、甲の死亡後は丙及び丁のみとなります。 【親族構成及び株式保有状況】 A社株式は最近において売買されたことはなく、A社と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額もないため、所得税基本通達59-6の定めにより財産評価基本通達を準用して1株当たりの価額を求めるものとします。 A社株式の1株当たりの類似業種比準価額と純資産価額が次の通りである場合には、乙がA社に株式を売却する場合の1株当たりの価額はいくらになりますか。 なお、A社の会社の規模区分は大会社に該当し、A社は特定の評価会社には該当しません。 また、A社の代表取締役である丁の父である丙がA社の株式を10,000株保有していますが、丙が発行法人であるA社に売却する場合には、所得税基本通達59-6の定めにより財産評価基本通達を準用して求めた1株当たりの価額はいくらになりますか。 A 乙がA社に株式を売却する場合の1株当たりの価額は、14,000円となります。 丙がA社に株式を売却する場合の1株当たりの価額は、42,000円(14,000円 × 50% + 70,000円 × 50%)となります。  ◆  ◆  ◆ ① 発行法人に株式を売却した場合の税務上の取扱い 発行法人に株式を時価よりも著しく低い価額で売却した場合には、みなし譲渡(所法59①二)の問題や譲渡した者から既存株主への贈与税の課税問題(相基通9-2)が生じることになりますので、税務上の適正価額で売却する必要があります。 自己株式等の時価は、所得税基本通達59-6(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」)により算定するものとされており、低額譲渡の判定は、株主等に交付された金銭等の額が著しく低い価額の対価であるかどうかにより判定することになります(措通37の10・37の11共-22)。具体的には、株主等に交付された金銭等の額が譲渡の時の自己株式等の時価の2分の1に満たない場合には、低額譲渡に該当することになります(所令169)。 したがって、自己株式等の時価を所得税基本通達59-6(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」)により算定することが重要となります。   ② 発行法人に株式を売却した場合の「その時における価額」の算定 自己株式等の時価は、下記の所得税基本通達59-6(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」)により算定することになります。 所得税基本通達59-6(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」) (下線部は筆者による) 上記通達の定めによれば、「その時における価額」は、所得税基本通達23~35共-9に準じて算定した価額とされており、非上場株式(公開途上にある株式を除く)の「その時における価額」は、次の手順で算定することになります。 本問の場合には、売買事例もなく、事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額もないため、純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額により求めることになります。実務的には、時価純資産価額又は一定の条件により財産評価基本通達を準用して算定した価額を使用することになります。 一定の条件については、上記通達の(1)から(4)の通りとなりますが、(1)の定めにより、株主判定は譲渡前の議決権数に基づきその判定を行うことになります。 同族株主がいる場合の株主判定の手順は、下記の通りとなります。 【個人から法人に売却した場合において同族株主がいる場合の株主判定の手順】 ◎用語の意義と当てはめ ▷同族株主 課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます(評価通達188(1))。本問の場合には、譲渡前で株主判定を行うことになりますので、乙、丙及び丁が同族株主に該当します。 ▷同族関係者 法人税法施行令第4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいいます(評価通達188(1))。 特殊の関係のある個人は、例えば株主等の親族などをいいます。本問の場合には、乙の同族関係者に丙及び丁も含まれることになります。 ▷中心的な同族株主 課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいいます(評価通達188(2))。 本問の場合には、譲渡前で中心的な同族株主の判定を行うことになりますが、乙、丙及び丁の判定は次の通りとなります。 乙:10% < 25% ∴中心的な同族株主に該当しない 丙:10% + 80% = 90% ≧ 25% ∴中心的な同族株主に該当する 丁:80% + 10% = 90% ≧ 25% ∴中心的な同族株主に該当する ◆本問の場合における株主判定 譲渡直前における筆頭株主グループの議決権割合は100%となり、50%超の区分に該当することになります。 乙及び丙は、譲渡直前の議決権割合は、5%以上所有していますので、いずれも原則的評価方式が適用される株主に該当することになります。   ③ 乙がA社に株式を売却する場合の1株当たりの価額の算定 乙は譲渡直前において中心的な同族株主に該当しませんので、所得税基本通達59-6(2)の適用はなく、類似業種比準価額で計算することができます。 したがって、大会社の区分で算定した類似業種比準価額14,000円が1株当たりの価額となります。仮に相続開始日の属する月に乙が発行法人にA社株式を売却する場合には、財産評価基本通達を準用して算定した価額と乙が相続で取得したA社株式の相続税評価額は同額となります。   ④ 丙がA社に株式を売却する場合の1株当たりの価額の算定 丙は譲渡直前において中心的な同族株主に該当することになりますので、所得税基本通達59-6(2)の適用により小会社に該当するものとして計算することになります。したがって、類似業種比準価額の使用割合であるLの割合は50%となり、「類似業種比準価額 × 50% + 純資産価額 × 50%」で計算することになります。 この場合の類似業種比準価額を求める際の斟酌割合は小会社としての斟酌割合(0.5)ではなく、A社の会社規模区分(大会社)としての斟酌割合(0.7)となりますので、採用する類似業種比準価額は14,000円となります(令和2年9月30日国税庁資産課税課情報第22号)。 また、純資産価額は、所得税基本通達59-6(3)及び(4)の定めにより、土地及び上場有価証券は相続税評価ではなく時価により算定し、法人税額等相当額の控除もしない価額(70,000円)となります。 したがって、1株当たりの価額は42,000円(14,000円 × 50% + 70,000円 × 50%)となります。   ☆実務上のポイント☆ 個人から法人に売却した場合には、譲渡直前の株主状況に基づき株主判定を行い、原則的評価方式が適用されるのか、特例的評価方式が適用されるのかを確認するとともに譲渡した者が中心的な同族株主に該当するか否かを確認しておく必要があります。本問の場合のように同じ原則的評価方式が適用される株主であったとしても中心的な同族株主に該当するか否かで株式の価額が異なることもあります。 (了)

#No. 527(掲載号)
#柴田 健次
2023/07/13

〈徹底分析〉租税回避事案の最新傾向 【第10回】「分割型分割による株式譲渡損の創出」

〈徹底分析〉 租税回避事案の最新傾向 【第10回】 「分割型分割による株式譲渡損の創出」   公認会計士 佐藤 信祐     12 分割型分割による株式譲渡損の創出 (1) 分割承継法人株式の譲渡 被買収会社の株主が内国法人である場合には、みなし配当が生じたとしても受取配当等の益金不算入を適用することができる。そのため、下図のような非適格分割型分割を利用する手法も考えられる。 【非適格分割型分割を利用した手法】 この場合には、非適格分割型分割におけるX社(支配株主)の仕訳は以下の通りとなる。 【X社における仕訳(※33)】 (※33) 分割法人の簿価純資産価額に占める移転純資産価額の割合(分割移転割合)に応じて、①分割法人株式の帳簿価額から分割承継法人株式の帳簿価額に付け替えるべき金額、②みなし配当の金額をそれぞれ計算することになる。 このように、みなし配当に相当する金額だけ被買収会社株式(分割承継法人株式)の帳簿価額を引き上げる効果があることから、被買収会社株式を譲渡した時点の株式譲渡益を小さくするか、株式譲渡損を大きくする効果が期待できる。 さらに、分割法人の株主が保有する分割法人株式の帳簿価額に比べて、分割法人株式の時価が小さい場合には、みなし配当として発生する金額が軽微であったとしても、株式譲渡損が発生することが考えられるため、分社型分割に比べて有利な手法になることが考えられる。 それでは、分社型分割ではなく、分割型分割を採用したことが不自然・不合理であるとして、包括的租税回避防止規定(法法132の2)が適用される可能性があるかどうかについて検討すると、分社型分割と分割型分割とでは、実務上の手間がほとんど変わらないことから、分社型分割を選択することに経済合理性があり、分割型分割を選択することに経済合理性がないとはいい難い。そのため、分割型分割を選択したということだけで包括的租税回避防止規定を適用すべきではないと考えられる。 (2) 買収会社又はそのグループ会社に対する吸収分割 被買収会社の事業を買収会社又はそのグループ会社に統合することを予定している場合には、新設分割を行った後に分割承継法人株式を譲渡するのではなく、被買収会社から買収会社又はそのグループ会社に吸収分割をするという手法が選択されることがある。 もし、現金交付型吸収分割(分社型分割)を行った場合には、分割法人の株主に株式譲渡損益が生じるはずがなく、現金交付型吸収分割(分割型分割)を行った場合であっても、分割法人とその株主との間に完全支配関係があるときは、「第24条第1項各号に掲げる事由(第2項の規定の適用がある合併、第4項に規定する金銭等不交付分割型分割及び第8項に規定する金銭等不交付株式分配を除く。)により金銭その他の資産の交付を受けた場合(当該他の内国法人の同条第1項第2号に掲げる分割型分割、同項第3号に掲げる株式分配、同項第4号に規定する資本の払戻し若しくは解散による残余財産の一部の分配又は口数の定めがない出資についての出資の払戻しに係るものである場合にあっては、その交付を受けた時において当該所有株式を有する場合に限る。)」に該当することから、株式譲渡損益を認識することができない(法法61の2⑰)。 そして、無対価分割を行った場合において、分割法人が分割承継法人株式を有していない場合には、分割型分割として取り扱われるものの(法法2十二の九ロ)、法人税法61条の2第4項では、「内国法人が所有株式(当該内国法人が有する株式をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の行った分割型分割により分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けた場合」に株式譲渡損益を認識することが規定されていることから、無対価分割を行った場合には、株式譲渡損益を認識することができないと考えられる(※34)。 (※34) 法人税法施行令119条の3第21項、22項、119条の4第1項に規定する分割法人株式の帳簿価額を分割承継法人株式の取得価額に付け替えるという取扱いも、①分割承継法人株式その他の資産が交付される分割型分割と、②対価の交付を省略したと認められる分割型分割に限られており、条文上、対価の交付を省略したと認められない分割型分割を行った場合には、分割法人の株主において何ら税務処理を行う必要がないと解される。 そうなると、被買収会社から買収会社又はそのグループ会社に対して吸収分割を行う場合において、被買収会社の株主で株式譲渡損益を認識するためには、分割承継法人株式を交付する分割型分割を行った後に、当該分割承継法人株式を買収会社に買い戻してもらう必要がある。 このような分割承継法人株式を交付する吸収分割を行った後に、買収会社側が分割承継法人株式を買い戻すという手法は、不動産取得税の非課税要件の1つである金銭等不交付要件(地法73の7二、地令37の14柱書)を満たすために行われることがある。具体的には、下図の通りである。 【分割承継法人株式の買戻し】 〈ステップ1:吸収分割〉 〈ステップ2:株式譲渡〉 地方税法上、同族会社等の行為計算の否認又は包括的租税回避防止規定が適用されるのは、事業税の負担を不当に減少させた場合に限られていることから(地法72の43)、不動産取得税を減少させたとしても、これらの規定が適用されることはない。そのため、上記の手法は、不動産取得税を軽減するために頻繁に行われているが、被買収会社の株主において株式譲渡損益を認識することが主目的となっている場合に、法人税法上、包括的租税回避防止規定が適用されるかどうかについて検討が必要になる。 この点については、現金交付型分割と比べると迂回的な取引であると認められることから、経済合理性に疑義があると考えられる。それでは、制度趣旨に反するのかといえば、分割の時点で株式譲渡損益を認識しないのは、分割対価資産として分割承継法人株式のみの交付を受けていることから、株主における投資が継続していると認められるためである。しかしながら、本件においては、交付を受けた分割承継法人株式を速やかに譲渡していることから、実質的には投資が継続していないと考えられる。投資が継続していないのであれば、分割の時点で株式譲渡損益を認識し、かつ、当該株式譲渡損益に相当する金額を資本金等の額の増減として取り扱うことが、組織再編税制及びグループ法人税制の制度趣旨に合致すると考えられる。このように制度趣旨に反しているだけでなく、経済合理性も認められないことから、包括的租税回避防止規定が適用される可能性があると考えられる。 (3) 買収会社又はそのグループ会社との吸収合併 分割型分割を行った後に、買収会社側が分割承継法人株式を取得し、かつ、分割承継法人を被合併法人とし、買収会社又はそのグループ会社を合併法人とする吸収合併を予定していた場合には、被買収会社から買収会社又はそのグループ会社に対する吸収分割(現金交付型合併)を行うことに合理性が認められ、分割型分割+株式譲渡+吸収合併というステップを踏んだことは迂回行為であることから、包括的租税回避防止規定が適用される可能性がある(法法132の2)。 ただし、包括的租税回避防止規定が適用されるためには、被買収会社側における税負担減少の意図が必要になってくるのに対し、買収会社側で吸収合併を行うことを被買収会社側が知らなかった場合には、被買収会社側からすれば分社型分割で譲渡をしたとしても、分割型分割で譲渡をしたとしても、事務上の手間は大きく変わらないことから、包括的租税回避防止規定が適用されるべきではない。すなわち、買収会社側で吸収合併を行うことを予定しており、かつ、買収会社側で現金交付型分割による簡易な手法を望んでいたにもかかわらず、被買収会社側の希望により迂回的な手法が用いられたと認められる場合にのみ包括的租税回避防止規定が適用されるべきであると考えられる。 (了)

#No. 527(掲載号)
#佐藤 信祐
2023/07/13

令和5年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第4回】

令和5年度税制改正における 『グループ通算制度』改正事項の解説 【第4回】   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   (3) 特別試験研究費に係る税額控除制度(オープンイノベーション型) ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (続く)

#No. 527(掲載号)
#足立 好幸
2023/07/13

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第55回】「公益財団法人へすべての財産を遺贈した場合の課税関係」

事例でわかる[事業承継対策] 解決へのヒント 【第55回】 「公益財団法人へすべての財産を遺贈した場合の課税関係」   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) パートナー 税理士 佐藤 達夫   相談内容 私は上場会社X社の創業者であるAです。私は、現在、X社の役員を退任していますが、X社の株式を15%所有しており、その時価は15億円になります。 私には妻がいましたが、5年前に死別しており、また、子供、両親及び兄弟姉妹もいませんので、私には相続人となる親族がいません。そのため、私が所有する財産は、X社の関連団体である公益財団法人Yへすべて遺贈することを考えています。なお、私は、公益財団法人Yの評議員を務めています。 私の所有する財産のすべてを公益財団法人Yへ遺贈するため、遺言書を作成するにあたっての留意点や課税関係について教えてください。 〈A氏所有の財産〉 ■ □ ■ □ 解 説 □ ■ □ ■ [1] 遺言書の作成について 遺言者は、包括又は特定の名義で、財産の全部又は一部を処分することができます(民964)。これを遺贈といいますが、遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類あります。 なお、遺贈を受ける者として遺言で定められた者を受遺者といいます。 ご相談によれば、A氏所有の財産のすべてを公益財団法人Yへ遺贈したいとのことなので、公益財団法人Yへの遺贈は包括遺贈に該当します。そのため、公益財団法人Yは、相続人と同一の権利・義務を有することになりますが、公益財団法人Yは遺言書の存在を知りうる立場にはないため、遺言の執行をスムーズに行うため、遺言執行者として弁護士等を定めておくことが望ましいです。また、包括受遺者である公益財団法人Yは、A氏の準確定申告における所得税の納税義務を承継するため、譲渡所得税額相当の現金も併せて遺贈することが必要です(下記[2]参照)。   [2] 課税関係について (1) A氏(遺贈者)の課税関係 A氏から公益財団法人Yへ遺贈をした場合、その資産が譲渡所得の対象となる資産のときは、所得税法上、遺贈財産を時価により譲渡したものとみなして、譲渡所得課税が行われます(所法59①)。包括受遺者である公益財団法人Yは、A氏の納税義務を承継するため、A氏の相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、準確定申告書を所轄税務署へ提出しなければなりません(所法125①)。 ただし、公益法人等へ遺贈した場合、A氏の相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に申請書を提出し、公益の増進に著しく寄与するなどの一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、譲渡所得税は非課税となります(措法40①)。 この譲渡所得税の非課税制度は、次のすべての要件を満たしたときに適用があります(措令25の17)。 (※) 株式などその財産の性質上その財産を公益目的事業の用に直接供することができないものである場合には、各年の配当金などの果実の全部を公益目的事業の用に供するかどうかにより、公益目的事業の用に直接供されているか判断します。そのため、不動産を賃貸の用に供し、その賃貸収入を公益目的事業の用に供する場合は、不動産を直接公益目的事業の用に供したものとは扱われません。 X社株式は、譲渡所得税の非課税要件を満たすことが可能と考えられますが、遊休不動産は、公益財団法人Yの公益目的事業に直接供することができないため、譲渡所得税の非課税要件を満たすことができず、譲渡所得税の課税対象となります。 公益財団法人Yが納税義務を承継することとなる譲渡所得税額は、譲渡所得税の非課税の適用の有無により、次のとおり大きく異なります。 【譲渡所得税の非課税制度を適用しない場合(原則)】 (※) X社株式の取得費は、概算取得費(譲渡収入×5%)を採用しています。 【譲渡所得税の非課税制度を適用した場合】 公益財団法人Yが譲渡所得税の非課税制度を適用するためには、A氏の相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、租税特別措置法第40条に係る承認申請書をA氏の納税地の所轄税務署に提出し、非課税となる要件を満たすよう公益財団法人Yを運営していかなければなりません。 (2) 公益財団法人Y(受遺者)の課税関係 公益財団法人Yは法人であるため、原則として、A氏から遺贈された財産に対する相続税を支払う義務はありません。ただし、遺贈により遺贈者の親族これらの者と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、公益財団法人Yを個人とみなして、相続税が課されます(相法66)。 なお、次のすべての要件を満たす場合は、相続税又は贈与税の負担が不当に減少すると認められるときには該当しないものとされています(相令33③)。 一般的には、租税特別措置法第40条の譲渡所得税の非課税要件を満たす公益法人等に該当すれば、公益財団法人Yを個人とみなして相続税が課されることはないと考えられます。   [3] 結論 A氏から公益財団法人Yへの財産の遺贈にあたっては、原則として、遺贈財産を時価により譲渡したものとみなし、譲渡所得税が課されます。ただし、租税特別措置法第40条の譲渡所得税の非課税要件を満たす場合には非課税となります。この非課税要件を満たすためには、公益財団法人Yの定款の定め等もかかわってくるため、遺言書の作成にあたっては、事前に公益財団法人Yと協議しておくことが望ましいと考えられます。 遺言書の作成や租税特別措置法第40条の譲渡所得税の非課税承認の申請をお考えの場合には、弁護士、税理士等の専門家と相談されることをお勧めします。   (了)

#No. 527(掲載号)
#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2023/07/13

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第88回】「神奈川県臨時特例企業税事件」~最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第88回】 「神奈川県臨時特例企業税事件」 ~最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 527(掲載号)
#菊田 雅裕
2023/07/13
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