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居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第51回】「居住用財産の譲渡損失特例に係る「措法41の5」又は「措法41の5の2」の適用を受けるために必要な書類」-居住用財産の譲渡損失特例を受ける場合の添付書類-

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第51回】 (最終回) 「居住用財産の譲渡損失特例に係る「措法41の5」又は 「措法41の5の2」の適用を受けるために必要な書類」 -居住用財産の譲渡損失特例を受ける場合の添付書類-   税理士 大久保 昭佳   Q 居住用財産の譲渡損失特例を受ける場合の必要書類について説明してください。 A 特例の適用を受ける場合には、次の書類を提出しなければなりません。 (1) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5) (2) 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5の2) ●○●○解説○●○● 上記について補足説明を加えると次のとおりです。 ◆ (1)及び(2)の③の書類について ◆ (1)の⑤及び⑥の書類について (連載了)

#No. 441(掲載号)
#大久保 昭佳
2021/10/21

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第64回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第64回】   千葉商科大学商経学部准教授 泉 絢也   ア 概要 本通達は次のとおり定めている。 本通達の内容を図表で示すと次のようになる。 【収益の計上の単位の通則】 本通達は、法人税法における収益計上単位の原則は契約単位であることを明らかにしている。よって、少なくとも、収益認識会計基準を適用しない法人においては、これまでどおり、法人税法上は契約単位で収益計上を行うことが原則であると理解していれば、多くの場面で事足りるであろう。 本通達(1)(上記例外の(1))によれば、システムの設計契約とシステムテスト契約を別々の契約として締結した場合であっても、これらを結合して初めて単一の履行義務になる場合には、その結合した単位を収益計上の単位とすることが認められる。他方、本通達(2)(上記例外の(2))によれば、1つの契約に機械装置の販売と保守サービスの提供という複数の履行義務が含まれている場合に、各履行義務に係る資産の販売等をそれぞれ収益計上の単位とすることが認められる(国税庁「『収益認識に関する会計基準』への対応について~法人税関係~(平成30年5月)」17~18頁)。 イ 「資産の販売等」の定義 本通達の適用対象となる資産の販売等とは何か。 「資産の販売等」の定義について、要旨次のとおり、通達の適用上は収益認識会計基準の適用対象とならない取引については資産の販売等の範囲には含まれないこととしているのであり、同基準を会計方針として採用しているかどうかにかかわらないと説明されている(趣旨説明7~8頁)。 なお、本通達の「資産の販売等」の定義に関する定めについては、原則として、法人税基本通達「第2章 収益並びに費用及び損失の計算」の「第1節 収益等の計上に関する通則」に格納されている各通達に対して、適用があることに注意する必要がある。   (了)

#No. 441(掲載号)
#泉 絢也
2021/10/21

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《固定資産(その2)-ソフトウェア》編 【第1回】「ソフトウェアの取得価額(1)~自社制作した場合」

〔事例で使える〕 中小企業会計指針・会計要領 《固定資産(その2)-ソフトウェア》編 【第1回】 「ソフトウェアの取得価額(1)~自社制作した場合」   公認会計士・税理士 前原 啓二     はじめに 「中小企業会計指針」では、研究開発に該当しないソフトウェアの制作費について、社内利用のソフトウェアと市場販売目的のソフトウェアに分けて、それぞれの会計処理を簡単に説明しています。今回は、無形固定資産としてのソフトウェアの取得原価について、社内利用のソフトウェアを自社制作した場合をご紹介します。 【設例1】 当社(3月31日決算)は、当期(X1年4月1日~X2年3月31日)において、社内の業務効率改善(従来と比べて事務部署の人件費を数人分削減)を目的として、2種類の自社制作ソフトウェア(「Xソフト」と「Yソフト」)を制作するために、下記の支出を行い、そのうち1種類のソフトウェア(「Xソフト」)を完成させ、稼働を開始しました。 (1) ソフトウェア制作に使用した特別な消耗品代280,000円。 (2) 当社の情報システム部署の担当社員であるシステムエンジニア2名が、ソフトウェア制作期間内に携わった実績時間に係る人件費15,000,000円。 (3) ソフトウェア制作に使用したパソコン等備品のリース料250,000円。 (4) ソフトウェア制作の一部をB社に委託外注した支払報酬9,000,000円。 (5) このソフトウェアを実際に稼働させるために、当社の情報システム部署の担当社員であるシステムエンジニア2名が調整等に携わった実績時間に係る人件費1,000,000円、さらに、B社に応援を依頼した支払報酬800,000円。 (6) ソフトウェア制作の場所となった情報システム部署エリアに係る光熱水費の配賦金額などソフトウェア制作に要した間接費600,000円。 (7) 制作途中において、自社制作ソフトウェアのうち1種類(「Xソフト」)の制作計画の変更により、もう1種類のソフトウェア(「Yソフト」)が明らかに不要となり制作を中止しました。この不要となった「Yソフト」のそれまでの制作費用は、(1)から(4)の合計で4,500,000円であり、すべて「Xソフト」の制作にはまったく関連のない費用です。「Xソフト」の完成・稼働により、当初の目的通り、従来と比べて事務部署の人件費が数人分削減できました。 このソフトウェア(無形固定資産)の取得原価はいくらでしょうか。   〈ソフトウェア(無形固定資産)の取得原価〉 ⇒ 21,830,000円 「中小企業会計指針」によると、社内利用のソフトウェアは、その利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、取得に要した費用を無形固定資産として計上します。この無形固定資産の減価償却方法について、税法上の取扱いは、定額法により、耐用年数が「複写して販売するための原本」以外のソフトウェアとして5年とされています(耐令別表第三)。ソフトウェアの取得原価について、税務上の取扱いは、特に規定されておらず、自己の建設等に係る減価償却資産の取得原価の規定(法令54①二)に従って、次に掲げる金額の合計額となります。 この設例では、上記①の原材料費が「(1)ソフトウェア制作に使用した特別な消耗品代280,000円」、労務費は「(2)当社の情報システム部署の担当社員であるシステムエンジニア2名がソフトウェア制作期間内に携わった実績時間に係る人件費15,000,000円」、経費は「(3)ソフトウェア制作に使用したパソコン等備品のリース料250,000円」と「(4)ソフトウェア制作の一部をB社に委託外注した支払報酬9,000,000円」と「(6)ソフトウェア制作の場所となった情報システム部署エリアに係る光熱水費の配賦金額などソフトウェア制作に要した間接費600,000円」が該当します。 また、上記②は、「(5)このソフトウェアを実際に稼働させるために、当社の情報システム部署の担当社員であるシステムエンジニア2名が調整等に携わった実績時間に係る人件費1,000,000円、さらに、B社に応援を依頼した支払報酬800,000円」が該当します。 以上を集計すると、下記となります。 このうち、制作費等のために要した間接費、付随費用等で、その制作原価のおおむね3%以内の金額であるものは、重要性の原則等の観点から取得原価に算入しないことができます(法基通7-3-15の3)。この設例では、間接経費(6)600,000円がこれに該当するので、これを取得原価から除くことにしています。 また、自社制作に係るソフトウェアの制作計画の変更等により、仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額は、まったくのロスであることから、取得原価に含めなくてよいとされます(法基通7-3-15の3)。この設例では、(7)(制作途中において、自社制作ソフトウェアのうち1種類(「Xソフト」)の制作計画の変更により、もう1種類のソフトウェア(「Yソフト」)が明らかに不要となり、この不要となったソフトウェアの制作費用は、(1)から(4)の合計で4,500,000円)がこれに該当します。 これらを取得原価から除いて計算すると、ソフトウェアの取得原価は、下記のとおりです。   (了)

#No. 441(掲載号)
#前原 啓二
2021/10/21

収益認識会計基準を学ぶ 【第15回】「本人と代理人の区分①」

収益認識会計基準を学ぶ 【第15回】 「本人と代理人の区分①」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回と次回(第16回)にわたって、「本人と代理人の区分」について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 履行義務と支配 企業が本人に該当するのか、代理人に該当するのかにより、収益(売上)の会計処理(総額表示又は純額表示)が異なるので、企業が本人と代理人のいずれに該当するのかの判定が重要である。 収益の総額表示又は純額表示については、企業が本人に該当する場合と代理人に該当する場合における履行義務が異なることを考慮して、企業が本人に該当するか代理人に該当するかを判定する(収益認識適用指針135項)。 実務上、本人・代理人の区分に関しては、判断に迷うことも少なくない。 収益認識適用指針は、本人・代理人の区分に関する詳細な設例を設けているので、実務における本人・代理人の区分の判断に資するものと考えられる。   Ⅲ 本人・代理人の区分と会計処理の概要 本人と代理人について、それぞれの区分と会計処理は次のようになる(収益認識適用指針39項、40項、135項)。 「企業が自ら提供する履行義務である」のか「企業が手配する履行義務である」のかの区分と、「支配」の概念がポイントになると考えられる。 収益認識会計基準37項では、「資産に対する支配」について次のように規定している。   Ⅳ 本人と代理人の区分の判定 本人と代理人の区分の判定は、顧客に約束した特定の財又はサービスのそれぞれについて行われる(収益認識適用指針41項)。 特定の財又はサービスとは、顧客に提供する別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束)(収益認識会計基準34項)である。 収益認識会計基準34項は、顧客に約束した財又はサービスは、次の(1)及び(2)の要件のいずれも満たす場合には、別個のものとすると規定している。   (了)

#No. 441(掲載号)
#阿部 光成
2021/10/21

給与計算の質問箱 【第22回】「賃金請求権の時効」

給与計算の質問箱 【第22回】 「賃金請求権の時効」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 当社の社員が9月1日に入社し、同月3日に退職しました。当社の給料は末日締め翌月25日払いです。退職した社員が音信不通になり給与振込の銀行口座が不明なので、9月分給料(10月25日支給)を振り込むことができません。そこで、退職した社員から給料を支払うよう会社に連絡があったら直ちに給料を支払うことにしました。その他、注意点がありましたらご教示ください。 A 注意点は、賃金を会社に請求する権利(賃金請求権)には時効がある点である。賃金請求権の消滅時効期間は当分の間3年とされる。したがって、賃金支払期日の2021年10月25日から3年後の2024年10月25日に時効により賃金請求権が消滅する。2024年10月25日までに退職した社員から給料を支払うよう会社に連絡があれば給料を支払わなければならないが、それ以後に連絡があっても給料は支払わなくてもよい。 参考までに、社会保険と税金の時効を以下にまとめた(起算日は省略)。 (了)

#No. 441(掲載号)
#上前 剛
2021/10/21

社長のためのメンタルヘルス  【第6回】「社長自身も注意したい労災の認定基準」

社長のためのメンタルヘルス 【第6回】 「社長自身も注意したい労災の認定基準」   特定社会保険労務士 第一種衛生管理者 産業カウンセラー 寺本 匡俊   1 今回の趣旨 先月の第5回に引き続き、今回も既存の労災防止の手段を社長にもお使いいただけるという観点から、精神疾患の労災認定基準を題材として解説する。労働者災害補償保険法(労災法)の定めによれば、労災とは「業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等」であるが、業務・通勤によるケガや病気は、社長といえども無縁ではない。 仕事中のケガは、労災認定されやすい。これに比べると、病気は仕事中に発病するとは限らないし、仕事中に具合が悪くなったとしても、仕事が主な原因かどうかは容易には分からない。では具体的に、労災認定を受けやすいケースを公文書から見てみる。労働基準法施行規則の別表第1の2に、認定対象のリストがある。ここでは、その表を含めた一般向けの「リーフレット」(以下「リーフレット①」という)をご案内する。 まずリーフレット①の3ページからご覧いただくと、「一」から「十一」までの区分があり、区分「一」がケガで、それ以外は全て疾病である。基本的に区分「二」から「十」までは、担当業務と病気との因果関係が医学的に証明されている。典型は有機溶剤や熱中症など、一般に「職業病」と呼ばれているもので、最近の例では区分「六」により、医療従事者の新型コロナウイルス感染症が労災認定されている。これに含まれない病気は、区分「十一」にあるように、個々に因果関係を認めてもらわなければならない。 (出典) 厚生労働省リーフレット「労働基準法施行規則別表第1の2が改正されました」(平成22年5月)3ページ このリーフレット①が作成された理由として、新たに「例示疾病に追加」された病気があると記されている(リーフレット①の1ページ参照)。その中に、(1)過重負荷による脳・心臓疾患(いわゆる「過労死」)、(2)心理的負荷による精神障害が含まれている。平成22年まで、過労死やメンタルに関する疾病により労災認定されることは容易ではなかった。しかし、この両者が社会問題にまで発展するほど、職場でも増加・深刻化したため、リーフレット①の3ページの表に、以下のように区分「八」及び「九」として加えられた経緯がある。 今回は上記(2)の「心理的負荷による精神障害」を対象として解説する。なお、この文中にある「障害」とは、法律用語の障害者雇用や障害者手帳の「障害」と異なり、広く疾病全般(以下、便宜的に「精神疾患」という)を指す。要はメンタル不調で、病名が付くほどのレベルになったものである。   2 精神疾患の労災認定基準 職業病と異なり、過労死と精神疾患は、業務と疾病の間に因果関係があることを証明するのは容易ではない。換言すれば、いずれも個人的要因(生活習慣など)や、業務外の要因(育児介護の負担や家族との不和など)も関係することが多いため、「業務上」と「業務外」の要因のどちらが主なのかを行政(窓口は労働基準監督署)が判断する。裁判に至ることも珍しくない。 行政が判断するにあたり、医学会と協同のうえ定めている認定基準を使う。精神疾患の場合、行政用語では「心理的負荷による精神障害の認定基準」であるが、これも一般向けのリーフレット「精神障害の労災認定」(以下「リーフレット②」という)がある。インターネット上でも公開されているので、今回の参照資料とする。この基準はときどき改訂されるため、すでにお手元に資料がある場合、最新版かどうかは、表紙の右下にある「R2.9改訂」(令和2年改訂)でご確認いただきたい。 リーフレット②の1ページに、前回も利用したストレス(心理的負荷)の要因、反応、その他の要素を示したNIOSHモデルがある。今回重要なのは、まずリーフレット②の2ページにある「精神障害の労災認定要件」である。従業員が精神疾患になった場合、下記の①から③までの要件を全て満たさないと労災認定されない。 〈精神障害の労災認定要件〉 ただし、これは労働者の観点からの整理であり、社長にとって重要な情報は、①にある労災認定の対象となる病気(対象疾病)のうち、解説文中(後述する)の病気が職場では多いこと、②では「6ヶ月以内」が、厳しいストレスを受けた後で不調になりやすい期間であること、③の業務外のストレスも精神疾患の多重的な原因となり得る、という知見をご自身の予防にご活用願いたい。 次に、リーフレット②の2ページにある病名のリストが、上記①の「対象疾病」である。解説文中にあるとおり、これも本連載で既出のWHO(世界保健機構)が公表しているICD(精神および行動の障害)を厚生労働省が準用している。 (出典) 厚生労働省リーフレット「精神障害の労災認定」(令和2年9月改訂)2ページ この解説によれば、認知症やアルコール依存症は精神疾患であるが、一般に業務外の原因が主であることから、基本的には労災認定の対象外である。また、「業務に関連して発病する可能性のある精神障害の代表的なものは、うつ病(F3)や急性ストレス反応(F4)」という部分は、職場に多いという点で、社長にとっても重要な現状である。以下、それについて認定基準の概説を行う。   3 心理的負荷の強度 この認定基準においては、職場で受けたストレスの強さを、「心理的負荷の強度」と呼び、各種ストレスの内容・程度に応じて、弱・中・強の3段階評価を行う。原則は「強」の評価で労災認定されるが、「中」や「弱」も組み合わせによっては、認定されることがあるという例外規定もある。 認定基準についてはリーフレット②の3ページに記載がある。労災認定の判断基準として、まず、「①特別な出来事に該当することが起きた場合」は「強」とし、続いて「②特別な出来事がない場合」は、「弱」「中」「強」の評価を行うとある。「特別な出来事」の内訳は以下のとおりである。 (出典) 厚生労働省リーフレット「精神障害の労災認定」(令和2年9月改訂)5ページ 概略すると、類型(パターン)が2つある。1つは「心理的負荷が極度のもの」であり、代表例は仕事中の事故や通勤中の交通事故などで、生死に関わるような、あるいは後遺症が残るような病気やケガ(他者を同じような目に遭わせてしまった場合も同様)、性犯罪レベルのセクシャルハラスメントなどである。いうまでもなく現実に、労使いずれであろうと、会社勤めであろうとなかろうと、これらの出来事は誰にでも起き得るし、それにより、うつ病等の精神疾患になるおそれがある。 「特別な出来事」のもう1つの類型は、「極度の長時間労働」で、発症直前の1ヶ月におおむね160時間を超えるか、それに準ずるほどの長時間労働を行った場合が挙げられている。疾病の原因として、長時間労働の重視は、脳・心臓疾患と同様の発想であり、長時間働くことそのものではなく、過重労働の結果、睡眠や休日・休憩の時間が削がれ、脳に深刻なダメージを与えるという医学の通説に拠る。したがって、実際には通勤時間や接待なども含めて、休むべき時間をどれだけ削ってしまっているかを考える必要がある。 最後に、「特別な出来事」がない場合について、リーフレット②の5ページ以降、計37項目のストレス要因を羅列し、それぞれにおいて、どのような度合であれば、弱・中・強になるのかを例示している。ちなみに、このリーフレット②が令和2年に改訂された理由の1つは、パワーハラスメントの防止に関わる法律が施行されたため、それまでなかった項目29「パワーハラスメント」が追加されたからである。 紙面の都合で全ての項目に触れる余裕はないが、社長にも該当し得るものをピックアップする。項目5「会社で起きた事故、事件について、責任を問われた」、項目6「自分の関係する仕事で多額の損失等が生じた」は、経営責任を含む。項目11「顧客や取引先から無理な注文を受けた」、項目12「顧客や取引先からクレームを受けた」は、取引先・顧客との関係悪化で、社長の場合は親会社や監督官庁も含めて懸念すべき事柄である。後半の諸項目は、人間関係に関するものが大半となっている。これらの中で、ご自身や他の役員ほか職場の関係者に、「強」が起きてはいないかどうか、改めて日々の人事労務の管理・改善をお願い申し上げる。特に、項目37「セクシュアルハラスメント」においては、長期間、反復継続といった、ボディーブローのようなストレスを受け続けた場合、「強」になりやすい(≒メンタル不調になりやすい)。 詳細は略すが、上記37項目に続き、私生活上の出来事においても、精神疾患に結び付きやすいものが例示されている。特に、うつ病は複数の公私の要因が重なって不調となることが多い。また、職場と私生活は、どちらかで大きなストレスを負うと、もう片方も上手くいかなくなることが多い。その意味で本連載では今後、私生活にも関わる事柄にも触れてゆく所存である。 (了)

#No. 441(掲載号)
#寺本 匡俊
2021/10/21

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第22回】「相続税の財産評価における鑑定評価の位置付け」~財産評価基本通達による無道路地補正だけでは不十分とされた特別の事情~

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第22回】 「相続税の財産評価における鑑定評価の位置付け」 ~財産評価基本通達による無道路地補正だけでは不十分とされた特別の事情~   不動産鑑定士 黒沢 泰     1 大阪地裁平成29年6月15日判決のあらまし この判決は、無道路地を接道させ宅地として使用するためには財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます)に定める無道路地補正を行っただけでは不十分であり、評価通達によっては適正な時価を算定することができない特別の事情があると認められた事例です(※1)。 (※1) 裁判所ホームページ「裁判例情報」掲載資料によります。 本事例では、相続した不動産(6件の土地と1件のマンション)の相続税評価額が争点となり、そのうち5件の土地とマンションについては特別の事情はないとされましたが、残り1件の土地については「特別の事情あり」とする納税者の主張が認められています。 この土地は、戸建住宅に囲まれた住宅街の中にある相当不整形な土地で、建築基準法上の接道義務を満たしておらず、いわゆる無道路地でした。そして、この土地を接道させ実際に宅地として使用するためには、評価通達が定める無道路地補正(=無道路地であることによる減額割合の適用)だけでは著しく不十分である旨判定されています。 なお、(※1)の資料には対象地の図面が添付されておらず、かつ、評価額の算出過程も掲げられていないため、本解説は公開された資料から読み取れる範囲内でのコメントであることを予めお断りしておきます。 (1) 事案の概要 納税者(Xら)は、平成21年〇月、被相続人(Y)から甲土地をはじめとする6件の土地及び1件のマンション(以下「Fマンション」といい、6件の土地を合わせて「本件各不動産」といいます)を取得しました。そして、Xらは本件各不動産につき相続税評価額を算定の上、相続税の申告をしました。 その後、Xらは当初申告した本件各不動産の評価額が過大であったという理由で2度にわたり更正の請求をしたところ、課税庁(原処分庁)に受け容れられなかったことから、これを不服として争っていたものです。 以下、判決文の記載のうち、本件事例に特に関連する個所のみ掲げます。 (2) 当事者の主張 本件の争点は、本件各不動産(甲土地、乙土地、丙土地、A土地、D土地、E土地及びFマンション)の評価額が相続開始時の時価を上回っているかどうかでした。これに関する当事者の主張は以下のとおりです。 ① 課税庁(原処分庁)の主張 (※2) 筆者注。時価を意味しているものと推察されます。 ② 納税者(Xら)の主張 (3) 裁判所の判断 ① 一般的な考え方 ② 本件の場合 (※3) 本件審理においては、本件各不動産(甲土地、乙土地、丙土地、A土地、D土地、E土地及びFマンション)についてそれぞれ特別の事情の有無が検討されていますが、紙数の関係から本稿では特別の事情が認められた「丙土地」のみ掲げます。 〇丙土地について   2 上記判決における鑑定評価の位置付け 以下、本件審理に当たった裁判所が丙土地について下した判定結果につき、特別の事情との関連から筆者の見解を述べておきます。 本件裁判例で丙土地の評価が争点となったのは、丙土地が無道路地であることによる補正率(無道路地補正率)を評価通達の定めにより算定することが妥当か否かというところにありました。すなわち、丙土地の道路との位置関係からして通路開設費用相当額が著しく多額にのぼることから、評価通達の定めにより算定した無道路地補正率では丙土地の実情を反映できないのではないかという点です。 評価通達では、無道路地補正は、実際に利用している路線の路線価に基づき、不整形地補正をした価額から100分の40の範囲内で通路開設費用相当額を控除する方法で行うこととされています(実際に利用している路線が複数ある場合は、その路線に至る距離が最も短いものを選択します)。 本件裁決例の場合、((※1)の資料には図面や補正率等の算定過程が掲げられておらず、判決文から把握できる範囲内での推測となりますが)、客観的に見積もられた通路開設費用相当額が不整形補正後の価額の100分の40を大きく上回る状況であれば、最早、100分の40の範囲内で無道路地補正率を算定すべしとする規定はその根拠を問われることとなります。このような状況が、評価通達によっては適正な時価を算定することができない特別の事情に該当し、本件判決の結果に反映されたのではないでしょうか(本件においては納税者側で不動産鑑定士に鑑定評価を依頼したことが判決文から読み取れます)。 (了)

#No. 441(掲載号)
#黒沢 泰
2021/10/21

《速報解説》 会計士協会、監基報580「経営者確認書」の改正案を公表~収益認識会計基準等の公表を受け、記載例における文例の改正等行う~

《速報解説》 会計士協会、監基報580「経営者確認書」の改正案を公表 ~収益認識会計基準等の公表を受け、記載例における文例の改正等行う~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年10月18日、日本公認会計士協会は、「監査基準委員会報告書580「経営者確認書」の改正について」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、「収益認識に関する会計基準」などの公表を受けたものである。 意見募集期間は2021年11月18日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 経営者確認書の記載例において次の文例が示されている。 1 売上関連 次の文例が示されている。 なお、個別に確認すべき重要な検討事項(例えば、変動対価、独立販売価格や履行義務の充足に係る進捗度等の見積り)について確認項目として追加する必要があると判断した場合には、その内容を記載する。 2 金融商品関連 次の文例への改正が示されている。   Ⅲ 適用時期等 2022年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する予定である。 (了)

#No. 440(掲載号)
#阿部 光成
2021/10/20

《速報解説》 改正監基報720で求められる「その他の記載内容」への対応に伴い、会計士協会が監査人の作業内容及び範囲に関する留意事項を示す

《速報解説》 改正監基報720で求められる「その他の記載内容」への対応に伴い、 会計士協会が監査人の作業内容及び範囲に関する留意事項を示す   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年10月12日付けで(ホームページ掲載日は2021年10月13日)、日本公認会計士協会 監査基準委員会は、「「その他の記載内容」に関する監査人の作業内容及び範囲に関する留意事項」を公表した。 これは、「監査基準の改訂に関する意見書」(2020年11月6日)で明確にされた「その他の記載内容」に対する監査人の作業内容及び「その他の記載内容」の範囲に関する論点について、会員の実務の参考に資するためのものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 概要 「その他の記載内容」とは、監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容をいう。 「監査基準の改訂に関する意見書」(2020年11月6日)を受けて、2021年1月14日に、監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」(以下「監基報720」という)及び関連する他の監査基準委員会報告書の改正が行われている。 「その他の記載内容」を通読し、その他の記載内容と監査人が監査の過程で得た知識の間に重要な相違があるかどうかを検討する等、新たに改正後の監基報720 において求められる「その他の記載内容」への対応は法定監査又は任意監査にかかわらず求められており、監査人はそれぞれの監査業務における「その他の記載内容」の範囲、また「その他の記載内容」に対して監査人に求められる作業内容等を正しく理解した上で業務を実施する必要がある。 2 基本的な考え方 監基報720では、監査人はその他の記載内容を通読し、また、その通読の過程において、次のことを行わなければならないとされている(監基報720第13項)。 監査人は、監基報720 第13項に従ってその他の記載内容を通読する過程において、財務諸表又は監査人が監査の過程で得た知識に関連しないその他の記載内容について、重要な誤りがあると思われる兆候に注意を払わなければならない(監基報720第14項)。 監基報720 は、監査人の責任について、次のように規定している。 したがって、その他の記載内容を通読し、財務諸表や監査人が監査の過程で得た知識とそれぞれ相違があるかどうかの検討等を実施する際には、監査人は、保証業務や監査ではないということを認識した上で、作業の種類や範囲を決定するものと考えられるとのことである。 3 その他の記載内容と財務諸表の間に重要な相違があるかどうかの検討 その他の記載内容には、財務諸表の数値又は数値以外の項目と同一の情報、要約した情報又はより詳細な情報を提供することを意図した情報が含まれる場合があり、これらについて財務諸表との間に重要な相違があるかどうかを検討することになる(監基報720のA25項)。 次のことに留意する。 なお、具体的なイメージとして「検討の対象となる箇所(例示)」や「主な手続」が記載されている。 4 その他の記載内容と監査人が監査の過程で得た知識の間に重要な相違があるかどうかの検討 検討の際に、監査人は、その他の記載内容の誤りが重要な誤りとなり得る項目に焦点を当てることがある(監基報720のA33項)。 監査人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうかを検討する対象や実施する手続の種類及び範囲については、その他の記載内容に対する監査人の責任も考慮の上、職業的専門家として判断して決定するものと考えられるとのことである。 なお、具体的なイメージとして「手続の例」が記載されている 5 財務諸表又は監査人が監査の過程で得た知識に関連しないその他の記載内容について、重要な誤りがあると思われる兆候への注意 その他の記載内容には、財務諸表に関連しておらず、また、監査人が監査の過程で得た知識の範囲を超える事項に関する記述が含まれることがある。 これらの財務諸表又は監査の過程で得た知識に関連しないその他の記載内容については、監査人は一般的な知識との相違やその他の記載内容における不整合などに注意しながら、重要な誤りの兆候に注意を払うことになると考えられる(監基報720のA38項)。 次のことに留意する。 監基報720のA37項では、財務諸表や監査の過程で得た知識の範囲を超える情報として温室効果ガスの排出に関する記述が例示されている。 6 「その他の記載内容」の範囲 統合報告書等、英文アニュアルレポート等における取扱いについて、詳細に記載されている。 (了)

#No. 440(掲載号)
#阿部 光成
2021/10/14

《速報解説》 国税庁、「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例(措法28)」の適用について会計検査院の改善要求受け様式新設等を対応

《速報解説》 国税庁、「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例(措法28)」の適用について 会計検査院の改善要求受け様式新設等を対応   Profession Journal編集部   所得税法では共済契約に係る掛金の経費計上は認められていないが、「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例」(措法28)では同条1項2号において、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための同法第2条第2項に規定する共済契約に係る掛金については、必要経費への算入が認められている。 このたび会計検査院法第36条の規定に基づき、この特例措置(以下、倒産防止共済特例)の適用に関して会計検査院から国税庁長官に対し、改善の処置が要求された。 今回、倒産防止共済特例について会計検査院が指摘したのは次の2点。 1点目が、倒産防止共済特例を適用する際には、所得税の確定申告において、必要事項を記入した明細書の添付が必要となるが(措法28②)、その様式は定められておらず、確定申告書及びその添付書類において、①倒産防止共済特例に係る基金への拠出の事実が客観的に分かる記載、及び、②倒産防止共済特例に係る基金への負担金の額が他の必要経費科目に係る金額と明確に区分できる記載がある場合に、明細書の添付と同様の適用の意思表示に必要な記載があるものとし、これを適用の意思表示として認めていた。 (注) 中小企業基盤整備機構では以前よりホームページ上で、明細書の様式例が紹介されていた。 ただし、国税庁は、このような意思表示に係る考え方について納税者に周知するなどの措置をとっておらず、会計検査院が調査したところ、特例適用の旨の記載はあるが特例適用額の記載がなかったり、いずれの記載も確認できなかったりしていて、適用の意思表示が明確でないのに倒産防止共済特例を適用していると思料されるものが、調査対象1,567者(掛金納付額計12億7,414万余円)のうち906者(同計5億9,457万余円)に見受けられたとした。 なお、「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例」は法人税においても規定されているが(措法66の11)、こちらは明細書の様式が定められている(法人税申告書別表10(7)のⅢ)。 この指摘を受け、国税庁は本年6月29日付け「「『個人課税事務提要(様式編Ⅰ)』の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」(課個4-33他)において、「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を新設した。 2点目の指摘が、この共済契約を解約した際の税務処理について。倒産防止共済特例を適用した場合、解約により支給される解約手当金(返戻金)の額を総収入金額に算入(収入計上)することとされているが、国税庁は納税者に対し具体的に周知していなかったと指摘。調査対象者464者(返戻金額計12億1,840万余円)のうち40.7%である189者(同計3億2,640万余円)について、税務署に確定申告書等が提出されていなかったり、確定申告書等において返戻金額の収入計上が確認できなかったりしていて、相当数の任意解約者の返戻金額の収入計上が適切に行われていないなどの疑義が認められるとした。 また、国税庁による書面審査の状況についても、税務署の書面審査の際に必要となる情報を入手するための資料情報制度を活用した資料の収集等の検討を行うなど、返戻金額の収入計上に係る審査体制を整備していなかったことから、税務署は、納税者が共済契約の解約者であることなどを判断するために必要となる情報を利用することができず、返戻金額の収入計上に係る審査を適切に行うことができない状況となっていたとした。 合わせて下記の事例が示されている。 この指摘に対し国税庁は、上記新様式の記載要領において「なお、解約返戻金の支払を受けた場合は、事業所得に係る総収入金額に算入する必要があります。」と記載するなど周知を図っているが、会計検査院からは下記の改善処置が要求されている。 (了) ↓お勧め連載記事↓

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2021/10/14
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