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2021年改訂コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応 【前編】

2021年改訂コーポレートガバナンス・コードのポイントと 企業実務における対応 【前編】   PwCあらた有限責任監査法人 シニアマネージャー 公認会計士 北尾 聡子   金融庁及び東京証券取引所が事務局を務める「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」において、コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」という)の改訂が提言され、パブリック・コメント期間を経て、2021年6月11日に改訂版が公表された。 2021年4月7日から5月7日のコメント募集期間に、103の団体・個人からコメントが寄せられたが、改訂全般については、改訂案の方向性に賛成する意見が多数を占めていたとのことである。 本稿では、2021年改訂コードのポイントと企業実務における対応のヒントを2回にわたってご説明する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。   〔改訂の概要〕 2021年改訂コードにおいて、5つの補充原則の新設を含む18項目(内容に影響しない語句修正を除く)の加筆・修正がなされた結果、基本原則5項目、原則31項目、補充原則47項目を合わせた各原則の数は83項目となった。 今回の改訂の特徴として、2022年4月4日に移行予定の新市場区分におけるプライム市場の上場会社に関しては、一段高いガバナンス水準を求める内容が6項目追加されたことが挙げられる。また、現在の市場区分におけるマザーズ及びJASDAQの上場会社においては、基本原則5項目のみが適用対象となっているが、新市場区分においてプライム市場又はスタンダード市場を選択する場合には、全原則(83項目)への対応が求められる点に留意を要する。 【2021年コード改訂箇所】 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (出所) コーポレートガバナンス・コード(2021年改訂版)を基に筆者が作成。   〔改訂の背景〕 コロナ禍を契機として、企業は、その取り巻く環境の変化にスピード感をもって対応しなければならない状況に直面している。環境が変化していく中で、課題を先取りし、持続可能性を追求することが求められ、そのためには企業が、取締役会の機能発揮、中核人材の多様性の確保、サステナビリティを巡る課題への取組みといったガバナンスの諸課題に取り組む必要がある。今回の2021年改訂コードにおいては、そういったガバナンスの諸課題に対処するための内容が織り込まれた。 また、2022年4月より東京証券取引所において新市場区分の適用が開始となる。プライム市場は、国際的に見ても魅力あふれる市場となることが期待されることから、プライム市場上場会社には一段高いガバナンス水準を目指した取組みを求める内容が追加されている。   〔2021年改訂コードの主な内容と実務上のポイント〕 ここからは、2021年改訂コードの内容とそれに対応する実務上のポイントについて説明する。 1 取締役会の機能発揮 事業環境の不確実性が高まる中、企業がコロナ後の経営課題を先取りすることは容易ではない。取締役会が、経営者の迅速・果断なリスクテイクを支え重要な意思決定を行うとともに、実効性の高い監督機能を発揮することが期待される。そのための前提条件として、取締役の知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、中長期的な経営の方向性や事業戦略に照らして必要なスキルが全体として確保される必要がある。 また、企業が経営環境の変化を見通し、経営戦略に反映させるためには、他社での幅広い経営経験を備えた人材を独立社外取締役として取締役会に迎え、そのスキルを取締役会の議論に反映させることが求められる。取締役会における独立社外取締役の割合を増やして、取締役会全体の3分の1以上ないし過半数の選任を求めているグローバルスタンダードに近づけ、独立社外取締役が取締役会機能の実効性向上に大きく貢献することが期待されている。さらに、取締役会の機能発揮をより実効的なものにするためには、指名委員会・報酬委員会の独立性を確保し、指名・報酬などに係る取締役会の透明性を向上させることが重要と考えられる。 取締役会の機能発揮の実効性向上といった観点から、2021年改訂コードでは、以下の諸原則について改訂(あるいは新設)が行われた。実務上の対応としては、市場区分の選択ならびに自社の取締役会の構成のあるべき姿について社内で議論を重ね、拙速に独立社外取締役を増員するのではなく、適切な候補者の調査を行うなどしっかりとした検討プロセスに基づいた対応が望まれる。 *  *  * 【後編】では、引き続き、2021年改訂コードの内容とそれに対応する実務上のポイントについて触れていきたい。 (了)

#No. 430(掲載号)
#北尾 聡子
2021/08/05

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第47話】「税務職員への公務執行妨害」

〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第47話】 「税務職員への公務執行妨害」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「こんなこともあるんだなあ・・・」 中尾統括官は、朝刊の三面記事をジッと見つめながら、つぶやく。 「・・・納税者ではなく、その代理人である税理士が税務職員へ暴力をふるうとは・・・」 中尾統括官の表情が暗くなる。 「何か・・・ありました?」 浅田調査官は、大きく広げられた社会面の記事を覗く。 「・・・税理士が、仕事の遅い・・・税務職員を殴った?・・・」 そう言いながら、浅田調査官は、食い入るように記事を見る。 「・・・君も注意しないといけないよ。」 中尾統括官は、浅田調査官の顔を見る。 「自慢するわけではありませんが・・・僕の仕事のスピードは、誰にも負けないと思っています。」 浅田調査官は、真面目に答える。 「それにしても、この税理士の年齢は・・・76歳か・・・人間、年をとると、どうしても気が短くなるからなあ・・・」 中尾統括官は、税理士に同情する。 「年をとると・・・気が短くなるのですか?」 浅田調査官は、尋ねる。 「ああ・・・私なんか・・・税務署内の若い職員の仕事ぶりを見ていると、時々、イライラすることがあるよ・・・」 中尾統括官は、苦笑しながら言う。 「僕も・・・ですか?」 浅田調査官は、不満そうに言う。 「・・・いやいや、浅田君はテキパキと仕事をするから、イライラしたことは一度もないよ。」 中尾統括官は、弁明する。 「しかし、年齢を重ねると、一般的に、こらえ性がなくなるといわれているが、私も還暦に近づくと、そう思うことが多いよ・・・もっとも、この税理士のように暴力をふるうようなことはないけれども・・・」 中尾統括官は、ニヤリと笑う。 「税理士の世界も高齢化が進んで、年配の税理士が多くなりますから、税務職員も税務調査では、十分に注意しなければなりませんね。」 浅田調査官は、中尾統括官の顔を見る。 「そうだな。・・・そういえば、逆に税務職員が仕事中に、税理士や納税者に暴力をふるったという話は、聞いたことがないな・・・」 中尾統括官は、突然、真面目な顔で言う。 「ところで、君も、仕事上、公務執行妨害について知っておいたほうがいい・・・刑法95条1項では、次のように規定している・・・」 そう言うと、中尾統括官は、傍らにあるポケット六法を手に取る。 「これって・・・公務員を保護しているのですか?」 浅田調査官が尋ねる。 「いや・・・この公務執行妨害の保護法益は、公務そのもの、すなわち、『公務の円滑な遂行』であって、暴行等を受けた公務員の身体・精神ではない・・・したがって、公務員を特別に保護する趣旨の規定ではないんだ・・・このことは、職務執行が完全に終了した後に公務員へ暴行・脅迫を加えても、公務執行妨害罪は成立しないことからも明らかだ。」 中尾統括官は、30年前に税務大学校の研修で、高名な刑法学者から聞いた話を思い出しながら、説明している。 「・・・さらに公務執行妨害は、公務員によって執行される公務そのものを保護するものであるから、憲法14条(法の下の平等)に反するものではないとされている。」 中尾統括官の説明に、浅田調査官は頷きながら聞いている。 「・・・中尾統括官は、税法ばかりではなく、刑法も詳しいんですね。」 浅田調査官の目は輝いている。 中尾統括官は、照れ笑いしながら、言葉を続ける。 「公務執行妨害の行為は暴行または脅迫だが、この暴行が認められるためには、公務員に向けられた有形力が行使されれば良く、これを『広義の暴行』といい、必ずしも直接公務員の身体に対して加えられる必要はない・・・また、現実に公務の執行を妨害する必要もない・・・もっともこの事件の税理士は、税務職員を拳で殴っているのだから、間違いなく暴行に該当するが・・・」 そう言いながら、中尾統括官は、広げられた新聞をたたみ始める。 「税理士は、税務職員と税法の解釈についてどんなに激しい議論をしても、税務職員がカッとなって税理士に危害を加えることはない・・・だから、訴訟の相手先から逆恨みされて、しばしば危害を加えられる弁護士などと比べると、安全で穏やかな職業だといわれている・・・この事件のように、税理士が税務職員に対して暴力をふるうなんてことは・・・私など、とても想像できないよ・・・」 中尾統括官は、腕を組んで、ため息をつく。 (つづく)

#No. 430(掲載号)
#八ッ尾 順一
2021/08/05

《速報解説》 会計士協会、「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応 (提言)」を公表~企業、監査事務所ともにリモートワーク下でのコミュニケーションの課題を認識~

《速報解説》 会計士協会、「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応 (提言)」を公表 ~企業、監査事務所ともにリモートワーク下でのコミュニケーションの課題を認識~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月30日付けで(ホームページ掲載日は8月2日)、日本公認会計士協会は、IT委員会研究報告第56号「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応(提言)」を公表した。 これは、リモートワークの導入・進展によって企業の業務プロセス及び内部統制並びに監査人による監査に生じる変化に伴う主要な課題を識別し、公認会計士等に対してその対応の方向性を示すためのものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 提言の作成に当たり、企業や監査事務所へのインタビュー及びアンケートを実施しているとのことである。 1 企業へのアンケート実施結果と主な考察 次のことが記載されている。 2 監査事務所へのアンケート実施結果と主な考察 次のことが記載されている。 3 リモートワーク下での業務プロセスと内部統制の変化への対応と提言 次のことに対して、公認会計士等は、理解し適切に対応することなどについて述べている。 (了)

#No. 429(掲載号)
#阿部 光成
2021/08/04

《速報解説》 監査役協会が「会計監査人との連携に関する実務指針」を改定~KAMの導入や「その他の記載内容」に関する手続の整備に関連した実務対応の追記を行う~

《速報解説》 監査役協会が「会計監査人との連携に関する実務指針」を改定 ~KAMの導入や「その他の記載内容」に関する手続の整備に関連した実務対応の追記を行う~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月30日、日本監査役協会 会計委員会は、「会計監査人との連携に関する実務指針」の改定を行い、公表した。 これは、2021年4月14日に、日本公認会計士協会とともに行った「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正を受けたものであり、主に、監査上の主要な検討事項(KAM)の導入、並びに監査人が監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容(「その他の記載内容」)に関する手続の整備に関連した実務上の対応を追記する改定等を行うものである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 実務指針は、表紙を含めて61ページに及ぶものであるので、以下では主な改定内容について解説する。 1 監査基準等における監査人との連携 「監査基準」、「監査に関する品質管理基準」、「監査における不正リスク対応基準」、「監査基準委員会報告書」について簡明に述べたうえで、次の事項について、監査役等と会計監査人の連携の重要性を述べている。 「その他の記載内容」とは、「監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容」である。 「その他の記載内容」には、会社法上の事業報告及びその附属明細書(会社計算規則126条1項5号)、金融商品取引法上の有価証券報告書の「第一部 企業情報」及び「第二部 提出会社の保証会社の情報」のうち、財務諸表及び監査報告書を除いたものが含まれる。監査人の通読及び検討の結果、その他の記載内容に重要な誤りがある場合には、当該事項が監査役等に報告される。 2 金商法における監査人との連携 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正により、有価証券報告書の記載内容として、監査公認会計士等の選定(再任)に当たって考慮するものとしている方針を含めた理由や監査役(会)等が監査公認会計士等又は会計監査人を評価した場合の内容についての開示が新たに求められている。 このため、財務情報等の信頼性確保の観点から、投資家目線でも監査役等と監査人との連携に対する関心が高まっているといえると述べている。 3 コーポレートガバナンス・コードと監査役等 コーポレートガバナンス・コードの附属文書である「投資家と企業の対話のガイドライン」においては、監査役等が、適正な会計監査の確保に向けた実効的な対応を行うことが求められている。 その中でも、「監査上の主要な検討事項の検討プロセスにおける外部会計監査人との協議」が強調されている。 4 監査役等と監査人との連携の方法及び連携時の留意事項 オンライン会議ツール等を活用する連携の方法について述べ、情報漏洩、コミュニケーション形式の変化に起因する認識齟齬などのリスクの把握と対策について述べている。 また、KAMに関する前広な議論、「その他の記載内容」(会社法の事業報告)の提供のタイミングなどに注意することが述べられている。 5 期末監査時におけるKAMのポイント 監査人は、期末において監査報告書のドラフトを作成する段階で、期中に検討されてきたKAM候補の最終的な絞り込み・決定を行う。 したがって、監査役等は、監査人から提示されるKAMのドラフトに対して、以下のポイントから確認することが考えられる。 「⑬監査役等の監査報告の記載内容」では、KAMに関する監査役等の監査報告について詳細に検討し、監査人の協議の相手方たる監査役等としても、説明責任を果たすべく、監査報告において明示的にKAMについて言及することは十分に検討に値するものと考えられると述べている。 6 期末監査時における「その他の記載内容」のポイント 監査人は、「その他の記載内容」に重要な誤りがあると判断した場合、経営者にその他の記載内容の修正を要請する。 経営者が修正に同意した場合、監査人は修正が行われたことを確認しなければならず、経営者が修正することに同意しない場合、監査人は監査役等に当該事項を報告するとともに、修正を要請しなければならない(監基報720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」16項)。 このような事態をあらかじめ回避する意味でも、「その他の記載内容」を構成する文書並びにその発行方法及び発行時期の予定についての事前の把握だけでなく、草案の入手についての事前の協議は重要であると述べている。 (了)

#No. 429(掲載号)
#阿部 光成
2021/08/04

《速報解説》 改正産業競争力強化法、「令和3年8月2日」施行~施行期日政令及び関連政令等が7月30日付け官報特別号外にて公布、DX税制等の適用スタート~

《速報解説》 改正産業競争力強化法、「令和3年8月2日」施行 ~施行期日政令及び関連政令等が7月30日付け官報特別号外にて公布、DX税制等の適用スタート~   Profession Journal編集部   令和3年度税制改正のうち法人税関係の特例措置との関連が深い「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号)」は6月16日に公布されその一部がすでに施行されているものの、上記の通り税制に係る特例措置(本改正法附則第1条本文に定める施行期日)については、公布日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日とされていた。 このたび上記の施行期日を「令和3年8月2日」とする政令(産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行期日を定める政令(令和3年政令第218号))が7月30日に閣議決定され、同日付けの官報特別号外第64号において公布された。 なお官報同号では、産業競争力強化法施行令や中小企業等経営強化法施行令等の改正を含む「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」の他、関連する府令・省令なども公布されている。 これにより、DX投資促進税制・カーボンニュートラル投資促進税制(措法42の12の7)、繰越欠損金の控除上限の特例(措法66の11の4)や中小企業事業再編投資損失準備金制度(措法55の2)などの適用が開始されるが、これらの適用にあたっては、改正産強法及びこれら関連法令等に規定された計画の認定等の手続が必要となる。 (了)

#No. 429(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/07/30

《速報解説》 国税庁の「インボイス制度特設サイト」が更新、登録申請手続の詳細情報が追加される~登録申請から通知までに要する期間は、書面の場合1ヶ月程度、e‐Taxでは2週間程度との目安も~

《速報解説》 国税庁の「インボイス制度特設サイト」が更新、登録申請手続の詳細情報が追加される ~登録申請から通知までに要する期間は、書面の場合1ヶ月程度、e‐Taxでは2週間程度との目安も~   Profession Journal編集部   令和5年(2023年)10月のインボイス制度(適格請求書等保存方式)開始に向け、国税庁は本年5月にインボイス制度特設サイトをリニューアルし関連通達やQ&A、パンフレットの公表に加えYouTubeによる動画配信を行うなど、積極的な情報発信を行っている。 さらに10月からはいよいよ適格請求書発行事業者の登録申請の受付が開始されることを受け、国税庁は7月30日付で特設サイトの情報を更新、各コーナーにおいて登録申請手続に係る情報が追加された。 実務において注目すべきは、やはり本制度について詳細なQ&Aが掲載されている「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」だ(個別の設問へのリンクページはこちら)。 今回の更新(改訂)によって以下の16問が新設されたほか、複数の設問が改訂されている。 このうち問4(登録申請から登録通知までの期間)では、「登録申請書を提出してから登録の通知を受けるまでにどの程度の期間がかかりますか。」との問いに対し、提出された登録申請書の件数や個々の審査等に要する期間によって異なり一律に回答することは難しいとしつつ、書面で提出された登録申請書については1ヶ月程度、e‐Taxで提出された登録申請書については2週間程度の期間が見込まれまると回答。e‐Taxによる申請(電子での通知を希望した場合)は税務署での処理後、速やかに電子通知が行われるため、書面より早期に登録通知書を受領することができること等から、その利用を呼びかけている(問3)。 また登録後、国税庁ホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」で公表された情報について変更等があった場合の手続が具体的に示されており(問22)、関連する様式2点(「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」)が「申請手続」ページにアップされている。 なおこの公表サイトは本年10月からの運用開始予定とされており、今回改訂されたパンフレットのうち「適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-(パンフレット)(令和3年7月)」では、TOPページの画面や検索結果画面など、その仕様(概要)が明らかとなっている(21ページ)。 なお、まだ設問の数は少ないが、Q&Aでは今回「Ⅴ 適格請求書等保存方式の下での税額計算」において「課税期間をまたぐ適格請求書による仕入税額の計算(問93)」など5問が新設されており(問90~93、96)、今後は納税者からの質問に応じて、この章の内容が追加・改訂されていくものと思われる。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 429(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/07/30

《速報解説》 会計士協会、「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」、「監査報告書の文例」及び「監査報告書に係るQ&A」の改正案を公表~「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」等を受け、電子化等を進める~

《速報解説》 会計士協会、「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」、「監査報告書の文例」及び「監査報告書に係るQ&A」の改正案を公表 ~「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」等を受け、電子化等を進める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月26日、日本公認会計士協会は、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」における公認会計士法の改正を受けて、次の公開草案を公表し、意見募集を行っている。 これは、2021年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」における公認会計士法の改正並びに2021年5月20日に金融庁から公表された「公認会計士法施行規則(案)」、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令(案)」及び「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令(案)」を受けたものである。 これらの法令の改正により、監査報告書等(監査報告書、中間監査報告書又は四半期レビュー報告書)への自署、押印を求めている規定は署名のみに変更され、さらに監査報告書等の交付を署名された書面に代えて、電磁的方法、すなわち電子化された監査報告書等によって行うことができることとなる。 公認会計士法の改正は2021年9月1日から施行される。 適合修正の対象となる監査基準委員会報告書についても示されている。 上記①及び②の意見募集期間は2021年8月9日までである。 また、上記③の意見募集期間は2021年8月26日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 監査基準委員会報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」 主に次の改正が提案されている。 改正後の監査基準委員会報告書700は、2021年9月1日から適用する予定である。   Ⅲ 「監査報告書の文例」(監査・保証実務委員会実務指針第85号) 主に次の改正が提案されている(項番号は改正案のもの)。 改正後の監査・保証実務委員会実務指針第85号は、2021年9月1日以後に提出する監査報告書から適用する予定である。 文例14の連結計算書類(会社計算規則第120条第1項後段の規定により指定国際会計基準又は同規則第120条の2第3項において準用する同規則第120条第1項後段の規定により修正国際基準で求められる開示項目の一部を省略して連結計算書類が作成されている場合)に対する監査報告書については、2021年12月31日以後終了する連結会計年度に係る監査報告書から適用する予定である。   Ⅳ 「監査報告書に係るQ&A」(監査基準委員会研究報告第6号) 監査報告書について、「自署・押印」から「署名」へ改正する(Q1-1、Q1-4)。 電磁的方法によって監査報告書等を作成することが可能となる予定であることから、「監査報告書の電子化に関するQ&A」として次の事項を記載している。 (了)

#No. 429(掲載号)
#阿部 光成
2021/07/28

《速報解説》 会計士協会、収益認識基準適用に伴う消費税等の会計処理について注意喚起を行う

《速報解説》 会計士協会、収益認識基準適用に伴う 消費税等の会計処理について注意喚起を行う   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月26日、日本公認会計士協会は、「収益認識基準適用に伴う「消費税の会計処理について(中間報告)」の取扱いについて(お知らせ)」を公表した。 消費税の会計処理に関する会計方針の変更の取扱いについて注意喚起するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号)が適用されている。 同会計基準等の適用に際して、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)の会計処理について、次の注意喚起を行っている。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 429(掲載号)
#阿部 光成
2021/07/26

プロフェッションジャーナル No.429が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年7月21日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.429を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/07/21

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第4回】「課税要件明確主義と立法者の説明責任」-ホステス報酬源泉徴収事件・最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁-

谷口教授と学ぶ 税法基本判例 【第4回】 「課税要件明確主義と立法者の説明責任」 -ホステス報酬源泉徴収事件・最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁-   大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 今回は、租税法律主義(形式的租税法律主義)の要請のうち課税要件明確主義に関してホステス報酬源泉徴収事件・最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁(以下「本判決」という)を取り上げる。 本判決は、「租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきものではな[い]」と判示し、税法の解釈に関する厳格解釈の要請ないし文理解釈の原則(拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)【44】参照)を確立したものとして高く評価されているが(差し当たり、佐藤英明「最高裁判例に見る租税法規の解釈手法」山本敬三=中川丈久編『法解釈の方法論-その諸相と展望』(有斐閣・2021年)341頁、347頁参照)、以下では、本判決が立法者の説明責任の問題を浮かび上がらせた点に着目し、本件に即してこの問題を検討することにする。 その前に、課税要件明確主義と立法者の説明責任との関係という観点から、特に不確定法概念の解釈の文脈で租税法規の趣旨・目的の重要性について述べておこう。   Ⅱ 課税要件明確主義と不確定法概念の解釈 租税法令はその規定の中で「正当な理由」(税通65条4項等)、「必要があるとき」(同74条の2第1項等)、「著しく低い価額」(所税40条1項2号等)、「不相当に高額」(法税34条2項等)、「不当に減少させる」(同132条1項等)など多くの不確定法概念を使用している。このことは、税法が私的経済活動の上に建てられた「家」のようなものであること(前掲拙著【2】の図、谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」【第50回】参照)から、その基礎にある私的経済活動の複雑多様化に対応し、そのときどきにおいて税収の確保及び租税負担の公平を図るために、やむを得ない面もある。いわば「税法の宿命」といってもよかろう。 それ故、税法における不確定法概念については、それが一見すると不明確であるようにみえても、それを用いる規定の趣旨・目的に照らして、その意味を明らかにすることができるのであれば、一見不明確の一事をもって直ちに、その使用が課税要件明確主義に違反するとまではいえないというような定式(以下「不確定法概念解釈定式」という)が、下記の判例も示すとおり(③-1は③-2[下線筆者]でそのような判例として参照されている)、一般に承認されているとみてよかろう(前掲拙著【33】参照)。 ただ、不確定法概念解釈定式については、租税法令が不確定法概念を使用する場合において当該規定の趣旨・目的を明らかにすることができることが、その成立の前提となっていることを忘れてはならない。換言すれば、立法者が当該規定の趣旨・目的について説明責任を十分に果たしているといえなければ、不確定法概念解釈定式は「空虚な決まり文句」になってしまうおそれがあると考えられるのである。 そこで、以下では、租税法規の趣旨・目的に関する立法者の説明責任について、本件における本判決と原審・東京高判平成18年10月18日民集64巻2号487頁(以下「原判決」という)に即して検討することにする。   Ⅲ 租税法規の趣旨・目的に関する立法者の説明責任 1 本判決と原判決における基礎控除方式の趣旨・目的の「捉え方」 本件では報酬・料金等に係る源泉徴収(所税204条)の徴収税額(同205条)に関する「当該支払金額の計算期間」(同令322条)の意義が争われたが、まず、その意義に関する本判決(①)と原判決(②)の判示(下線筆者)におけるホステス報酬源泉徴収に係る基礎控除方式(以下では単に「基礎控除方式」という)の趣旨・目的の「捉え方」をみておこう。 上記の②において原判決は「法におけるホステス報酬等の源泉徴収制度の趣旨・目的」に関するその「原判決」(東京地判平成18年3月23日民集64巻2号453頁)の説示を引用しているが、それは次のとおりである(下線筆者)。 2 基礎控除方式の趣旨・目的に関する立法者の説明責任 このように、本判決と原判決とでは、基礎控除方式の趣旨・目的の「捉え方」が異なることは明らかであるが、その原因は、直接的には、その趣旨・目的の把握に関する裁判官の方法論の違いにあるとしても、突き詰めると、立法者がその趣旨・目的に関する説明責任を十分に果たしてはいなかったことにあると考えられる。 まず、法規の趣旨・目的の把握に関する裁判官の方法論について、要件事実論的思考に基づき、次のような興味深い見解(河村浩「要件事実論における法律の制度趣旨把握の方法論-租税特別措置法35条1項の『居住の用に供している家屋』(譲渡所得に関する特別控除)の要件事実の分析を題材として」伊藤滋夫=岩﨑政明編『租税訴訟における要件事実論の展開』(青林書院・2016年)41頁、52-53頁。下線筆者)が示されている。 この見解に従って基礎控除方式の趣旨・目的について検討すると、本判決は「立法当時の立法者意思」を、原判決は「あるべき制度趣旨」をそれぞれ採用したものと解される。とはいえ、原判決が基礎控除方式の趣旨・目的について、「民主制の原理」すなわち租税法律主義(課税要件法定主義)を尊重しつつも、なぜ「立法当時の立法者意思によったのでは不合理となる例外的な場合」とみて「あるべき制度趣旨」を採用したのかを考えると、内容的な不合理さも問題になり得るとしても、何よりもまず、「立法当時の立法者意思」を明確に示す資料が見出せなかったからではないかと考えられる。本判決も「立法担当者の説明等からうかがわれる」(下線筆者)という控えめな表現でしか「立法当時の立法者意思」を認定していないように思われる(この点については後記3も参照)。 そうすると、結局のところ、本判決と原判決とで基礎控除方式の趣旨・目的の「捉え方」が異なったのは、立法者がその意思を明確に示す説明責任を十分には果たしていなかったためであると考えるところである。この点について、次の指摘(田中治「租税訴訟において法の趣旨目的を確定する意義と手法」伊藤滋夫編『租税法の要件事実〔法科大学院要件事実研究所報第9号〕』(日本評論社・2011年)127頁、129頁)は、本件においても、正鵠を射たものである。 要するに、基礎控除方式の趣旨・目的に関する立法者の説明責任の不十分さが、本判決と原判決によるその趣旨・目的の「把握」の違いに、ひいては結論の違いに帰結したといっても過言ではなかろう。 3 【補論】本判決と原判決における基礎控除方式の趣旨・目的の「使い方」 なお、以上で述べたことに関連して、本判決と原判決における基礎控除方式の趣旨・目的の「使い方」の違いについても、簡単に触れておきたい。 一般に、法規の趣旨・目的の「使い方」には、①文理解釈の「実質的正当化」と②目的論的解釈の「手段」という2通りの「使い方」があると考えられるが、①については、法の解釈に関する下記の「富士山理論」(長尾龍一『法哲学入門』(講談社学術文庫・2007年)171-172頁。下線筆者)の説くところが妥当するであろう。 本判決は、前記1でみたとおり、「当該支払金額の計算期間」にいう「期間」という文言について「一般に、『期間』とは、ある時点から他の時点までの時間的隔たりといった、時的連続性を持った概念である」という解釈を示したが、この文理解釈によって明らかにされた「期間」の意味は、その文言の「中心的意味」であり、特段の「実質的正当化」を必要としないように思われる。本判決が、「立法担当者の説明等からうかがわれる」(下線筆者)という控えめな表現でしか「立法当時の立法者意思」を認定していないのは、そのためではないか(それで事足りると判断したからではないか)とも考えられる。 これに対して、原判決は、基礎控除方式の趣旨・目的を前記②目的論的解釈の「手段」として使用し、もって「期間」という文言の上記の「中心的意味」とは異なる意味でその文言を解釈している。このような「目的論的解釈」は、「文言だけからはある解釈問題のきめ手を導きだせず、文言だけからはいくつかの解釈の可能性が考えられるような場合等においては、当該法条の趣旨・目的を参酌して解釈をしなければならない」(清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)35頁)と説かれる場合の目的論的解釈、すなわち、「文理解釈の補完としての目的論的解釈」(前掲拙著【45】)ではなく、租税法律主義の下での厳格解釈の要請ないし文理解釈の原則に反し、許されない。もしそのような「目的論的解釈」が許されなければ「不合理な結果」が生じるとしても、三権分立制の下では、裁判所は解釈論の限界を認めるにとどめ、国会が自ら立法権を行使してその「不合理な結果」を除去すべきである(前掲拙著の目下改訂作業中[初校ゲラ段階]の「第7版」[今秋刊行予定]【44】参照)。   Ⅳ おわりに 以上で、課税要件明確主義と立法者の説明責任との関係という観点から、不確定法概念解釈定式について租税法規の趣旨・目的の重要性を確認した上で、本判決と原判決との比較を通じて、租税法規の趣旨・目的に関する立法者の説明責任の問題を検討してきた。 この問題は本件特有の問題ではなく、広く租税立法を含む立法一般についてみられる問題であると考えられる。租税立法に限ってみても、内閣が国会に提出するのは法律案(毎年度の税制改正法案等)のみであり、これとともに逐条的な立法理由書が提出されることはないし、国会の側からそのような立法理由書の提出を内閣に求めることもない。せいぜい国会審議の過程で法律案に対する質問が出されればそれに対する答弁の中で立法理由が「断片的に」述べられるにとどまっている。 「質問されれば答える」式の審議では、国会が法律案の審議を通じてその内容について国民に対する説明責任を果たしているとはいえない。税制改正法案について財務省がこれを作成する際には「当然のこととして」条文ごとに理由を検討しているはずであるから、国会としては、せめて「税制改正の解説」(財務省Webサイト)や『改正税法のすべて』(大蔵財務協会)の中で述べられている程度の改正理由(改正規定の趣旨・目的)を記載した「逐条的立法理由書」の提出を内閣に求め、法律案とともに審議に供するべきである(酒井克彦「我が国における租税回避否認の議論」フィナンシャル・レビュー126号(2016年)141頁、172頁脚注128も参照)。 そうすることによってこそ、国会が法律規定の制定に当たってその趣旨・目的を踏まえた審議(そのような審議の例として、ドイツの例であるが、拙著『租税回避論』(清文社・2014年)第4章第2節[初出・2008年]参照)を行うことが可能になり(複雑難解な税制改正法案を「逐条的立法理由書」なしに理解し審議することは如何に「国会議員」といえども「至難の業」であろう)、議会制民主主義の「実質化」を図ることができるとともに、国民も行政も裁判所も、制定された法律規定について、文理解釈の補完として、国会の権威に裏打ちされた「有権的趣旨・目的」を基準とする目的論的解釈を行うことが可能になり、税法の解釈適用の「適正化」に資することになると考えるところである。 最後に今回の主題に話を戻すと、立法者が以上のようにして説明責任を十分に果たすならば、不確定法概念解釈定式が「空虚な決まり文句」に堕することなく、不確定法概念を用いる規定についても課税要件明確主義が実現されることになろう。 (了)

#No. 429(掲載号)
#谷口 勢津夫
2021/07/21
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