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これからの国際税務 【第24回】「デジタル課税の青写真公聴会の模様と米国の対応」

これからの国際税務 【第24回】 「デジタル課税の青写真公聴会の模様と米国の対応」   千葉商科大学大学院 客員教授 青山 慶二   1 はじめに 昨年10月に公表されたデジタル課税に関する新ルール案(「青写真」と呼ばれ、「第1の柱」と「第2の柱」に区分した諮問文書を公表)は、同12月までに書面によるコメントを求めていたところ、延べで約400団体から合計3,500頁に及ぶ意見が寄せられたとされている。 そのコメントを背景に、今年1月中旬に2日間にわたって実施されたOECD公聴会には、主要な多国籍企業(デジタル関連企業、製薬業界をはじめ主要製造業・サービス業企業を含む)のみならず、主要国の経済団体、コンサルタント業、学識経験者、NGOなどからの約430名がZoom会議に参加し、これを全世界で3,000人に上る同時視聴者が見届けたとされている。 本稿では、このOECD公聴会の概要を、ビジネスからの反応を中心に振り返るとともに、本年半ばまで政治決着が繰り延べられた青写真案の帰趨に大きな影響力を持つ、米国のバイデン政権の下での方針転換を示す最近の情報を紹介して、今後の展開を予測するものである。   2 OECD公聴会の模様 (1) 第1の柱 自動的デジタルサービスと消費者向けブランド製品がもたらす超過収益について、新しく市場国に課税権を付与する「利益A」を中心とする第1の柱については、ビジネスからは、提案趣旨を認めながらも、コンプライアンスコストなどの関係で、より簡素な方法にする必要があり、税の安定性の観点から紛争の予防・解決メカニズムにも関心があるとの意見が多く寄せられた。 なお各論では、利益Aに関して、損失の繰越の必要性や、市場国配分のキーとなる売上の「源泉地決定ルール」、更には、利益Aの二重計上の防止を図る「マーケティング・販売利益セーフハーバー」や二重課税リスクを縮小するための「支払事業体の特定」については、理念的な支持を得ながらも、技術的な仕組みの面では多くの要求が出されていた。 また、基礎的なマーケティング・販売活動事業体に対する一定の利益保証を目的とする「利益B」については、趣旨は理解するものの、具体化策に関しては、利益Aとの調整や更なる簡素化案など多くの見解が表明され、公聴会では検討の方向性を絞り切れない印象を残している。 (2) 第2の柱 法人税について、多国籍企業のタックスヘイブンへの利益留保というBEPS行動への最後の切り札であり、かつ、「底辺への租税競争」を防止する観点から提唱された親会社所在地国等での「ミニマムタックス構想」を実現する第2の柱については、その基本的アプローチに広い支持が集まった。 しかし、第1の柱と同様、アプローチの各段階での細目、例えば、閾値の判定のための実効税率判定の際の企業会計/税務会計間の調整方法や、実質ベースでの適用除外案などについては、多くの意見が提示された。 また、具体的な課税手法のうち、主力となる所得合算ルールの適用対象にかかわる「分割保有ルール」や、補完手段として提起されている「低課税支払いルール」と条約特典享受のための「課税対象ルール」については、重複課税や過剰税負担を訴える意見が出されており、各論全体としても簡素化を求める意見が目立っていた。なお、先行している米国のGILTI税制との併存に関しては、肯定的なコメントがあった。   3 米国バイデン政権の反応 トランプ政権の下で、デジタル課税に関する米国のスタンスは、昨年6月のムニューシン財務長官のEU4ヶ国蔵相への書簡にみられるように、①EUを中心に拡大するデジタルサービス税を、通商法301条により不公正な貿易慣行の観点から調査対象とするなど、圧力を加えるとともに、②G20/OECDが支持する上記青写真についても、利益Aの課税方式の選択を納税者の選択に任せるべきとする、いわゆる「セーフハーバー構想」を展開し、グローバルな合意達成の不安要因を提供してきた。 今年発足したバイデン政権は、目下のところこれらの不安を払拭する以下のシグナルを送っている。 これらの情報は、青写真に係る国際合意の達成に期待を抱かせるグッドニュースとして受け止められている。   4 今後の見通し 米国の方向転換を踏まえれば、これまでG20の支援の下、半年間の延期を得ても達成が困難と予測する向きが多かった青写真の行方に明るさが増したことは否定できない。ただし、まだ楽観は許されない。まずは、公聴会で確認された技術的な解決課題への処方箋の検討であり、次いで、最終的な政治折衝に残された主要な閾値の協議が待ち受けている。なお、これに加えて米国の国際課税幹部スタッフの人事と実質稼働が軌道に乗るまでの時間コストも不確定要因となろう。 コロナ禍という困難な環境下ではあるが、これらの克服に向けた関係者全員の努力が、デジタルサービス税などの暫定措置による国際的な不協和音を削減させ、市場国への適正な課税権配分という当初の目的を達成する力となると思われる。令和3年度の税制改正大綱で、この点についての国際貢献を宣言した我が国には、その合意に至るリーダーシップの役割が求められよう。 (了)

#No. 411(掲載号)
#青山 慶二
2021/03/18

相続税の実務問答 【第57回】「申告期限から5年を過ぎた後に評価誤りが判明した場合(過少申告だった場合)」

相続税の実務問答 【第57回】 「申告期限から5年を過ぎた後に評価誤りが判明した場合(過少申告だった場合)」   税理士 梶野 研二   [答] 相続税の申告書の提出期限から5年が過ぎていることから、相続税の追加納付をすることはできません。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 相続税の申告及び納付 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者(この被相続人に係る相続時精算課税適用者を含みます)は、この被相続人から財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者について相続税額が算出されるときには、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に課税価格、相続税の申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされています(相法27①)。また、申告書に記載した相続税額については、原則として、申告書の提出期限(法定申告期限)までに納付しなければなりません(相法33)。 相続税の申告書を提出した者が、申告書の提出後に、その申告書に記載した相続税の課税価格や税額が少なかったことに気づいた場合には、先に提出した相続税の申告書に記載した課税価格や税額を訂正するために修正申告書を提出することができます(通法19①)。また、その者から修正申告書が提出されない場合には、税務署長は、調査により相続税の課税価格や税額について更正する処分を行うこととなります(通法24)。   2 申告内容の訂正をすることができる期限 修正申告書を提出することができる期限については、国税通則法及び相続税法上に規定は設けられていません。 しかしながら、法定申告期限から5年(偽りその他不正の行為により相続税等の国税を免れた場合には法定申告期限から7年)を経過しますと、税務署長は、更正処分を行うことができないこととされています(通法70①一、⑤一)。 また、国税の徴収権は、その国税の法定納期限から5年間行使しないことによって、時効により消滅するとされています(通法72①)。なお、偽りその他不正の行為により相続税等の国税を免れた場合の時効は、当該国税の法定納期限から2年間は、進行しないこととされていることから(通法73③)、偽りその他不正の行為により過少申告を行った場合には、法定申告期限から7年間行使しないことにより消滅することとなります。ただし、更正の処分が行われた場合又は納税に関する告知や督促が行われた場合など一定の事由が生じた場合には、その事由に係る税額については、一定の期間、時効は完成せず、その期間を経過した時から新たにその進行を始めることとなります(通法73①)。 なお、一般的に時効を主張するためには時効の援用が必要ですが(民法145)、国税の徴収権の消滅時効については、その援用は必要ないこととされています(通法72②)。 以上のことから、偽りその他不正の行為がなく、また、上記の一定の事由がない場合には、法定申告期限から5年が経過しますと、税務署長は、不足している税額について更正処分を行うことはできません。また、修正申告を行ったとしても、既にその国税は時効により消滅していますので、国としては修正申告書に記載された税額を収納することはできません。   3 ご質問の場合 あなたは、法定申告期限である平成27年(2015年)11月までに相続税の期限内申告書を提出し、その申告に係る相続税額は期限内に納付したとのことです。その後、相続税の税務調査は行われず、したがって相続税の更正処分を受けておらず、また、国税の消滅時効を完成させない一定の事由は生じていないと思われます。さらに、相続財産である土地の面積が登記簿上の面積よりも広いことは、今回の測量によってはじめて判明したとのことですから、偽り又は不正の行為により相続税を免れたケースには当たらないと考えられます。 そうしますと、あなたの相続税については、既に法定申告期限から5年が経過していますので、あなたが修正申告を行って不足分の相続税額を納付することはできません。また、税務署長がこの不足分について更正処分をすることもありません。 (了)

#No. 411(掲載号)
#梶野 研二
2021/03/18

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第24回】「特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入特例の創設」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第24回】 「特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入特例の創設」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ 本件は、通常の税理士実務で触れるケースはほぼありえないマイナー論点ではある。 しかし、令和3年度税制改正大綱にて「国際金融都市に向けた税制上の措置」として触れられ、その後、令和3年1月26日付で第204回国会(令和3年常会)に提出された「所得税法等の一部を改正する法律案」に、「租税特別措置法66条の11の2(特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入の特例)」の新設案が盛り込まれているため(※1)、若干の解説を加えておきたい。 (※1) 同様に、連結法人を対象とした内容も改正案が盛り込まれている(租税特別措置法68条の95の2)。   (1) 現状の税制と改正の経緯 現状の法人税法は、業績連動給与の損金算入要件につき、給与の算定方法を有価証券報告書等に記載して開示すること等を求めている(法法34①三イ)。したがって、役員給与に係る3類型のうち、業績連動給与については、適用できる法人が事実上、上場企業に限られることとなる。 業績連動給与(旧・利益連動給与)は、これを認めると安易な課税所得の操作余地があると考えられていたところ、支給の透明性・適正性を確保する一定要件を定めることで多様な役員給与の支給形態により中立的な税制を実現し得るとして創設されたものである(※2)。 (※2) 佐々木浩・長井伸仁・一松旬『平成18年版 改正税法のすべて』(大蔵財務協会、2006)327~328頁。 支給の透明性・適正性の確保のため、有価証券報告書やEDINET等で算定方法等が開示されることが要件とされたことで、事実上、その適用は上場企業に限られたという経緯がある。 この点、非上場企業は業績連動給与の活用ができないため、人材・企業・資金を呼び込むことで国際金融センターの地位確立を目指したい金融庁・経済産業省から税制改正要望が提出された。これには、昨今の香港における政情不安が背景にあると思われる。   (2) 特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入の特例 上記を受け、令和3年度税制改正大綱にて手当がなされることが明記された。すなわち、青色申告法人であることを前提に、特定投資運用業者が、令和3年4月1日から令和8年3月 31日までの間に開始する各事業年度につき、業務執行役員に対して業績連動給与を支給する場合において、投資家の事前承認要件を満たし、業績連動給与の算定方法等を金融庁のウェブサイトへ掲載等した場合には、当該業績連動給与の損金算入を認めるという制度が創設されることが示された。金融庁・経済産業省は恒久措置として要望していたが、5年間の時限措置となる見込みである。 その後、国会に提出された法律案では、以下の内容が明らかにされている(新設・措法66の11の2)。 現状は、法律案で政令委任とされた「投資家への事前承認」の要件(※3)や、法人税確定申告書に添付することが要件とされた「特定業績連動給与に係る明細書」の内容が不明ではあるため、今後明らかになる詳細情報に注目である。特に、法律案には当該明細書添付に当初申告要件が設定され、宥恕規定が設けられていない点が注意点ではないかと考える。 (※3) 令和3年度税制改正大綱では、以下の要件が示されている。 ① その運用財産に係るファンド契約書等においてその業績連動給与を支給する旨及びその算定方法を記載すること。 ② 本制度の適用を受けようとする事業年度開始前にその運用財産に係る投資事業有限責任組合の組合員の集会等においてその業績連動給与を支給する旨及びその算定方法についての報告が行われ、かつ、その議事録にその報告につき組合員等から異議があった旨の記載又は記録がないこと。 (3) その他、関連する改正 その他、上記改正に合わせて、相続税法・所得税法の領域でも手当がなされる予定とされている。詳細は金融庁資料の下図を参照されたい。 (金融庁「世界に開かれた国際金融センターの実現(2021.3)」4頁より筆者一部加工) (了)

#No. 411(掲載号)
#中尾 隼大
2021/03/18

基礎から身につく組織再編税制 【第26回】「非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱い」

基礎から身につく組織再編税制 【第26回】 「非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱い」   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   今回は、非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱いについて解説します。   1 非適格分割型分割を行った場合の資産・負債の受入れ(原則) 分割法人が非適格分割型分割により、分割承継法人にその有する資産・負債の移転をしたときは、分割時の時価による譲渡をしたものとされるため、分割承継法人の移転資産等の取得価額は、分割時の時価となります(法法62)。   2 非適格分割型分割により受け入れた「棚卸資産」の取扱い 移転を受けた棚卸資産については、時価で取得したものとされるため、取得価額は分割時の時価となります。   3 非適格分割型分割により受け入れた「減価償却資産」の取扱い (1) 取得価額 移転を受けた減価償却資産については、時価で取得したものとされます。取得価額は、分割時の時価に事業の用に供するために直接要した費用の額を加算した金額となります(法令54①)。 (2) 耐用年数 耐用年数については、中古資産の耐用年数を使用することができます(耐令3①)。   4 非適格分割型分割により受け入れた「繰延資産・一括償却資産」の取扱い 移転を受けた繰延資産・一括償却資産については、時価で取得したものとされるため、取得価額は分割時の時価となります。一括償却資産に該当するかどうかは、分割承継法人の取得価額が20万円未満かどうかで判定することになります。   5 資産(負債)調整勘定 非適格分割型分割により、分割法人が分割事業に係る主要な資産又は負債のおおむねすべてを分割承継法人に移転する場合に、分割承継法人が受け入れた資産等の時価純資産価額と交付した新株等の価額の合計額(分割対価)に差があるときは、資産(負債)調整勘定を計上することとなります(法法62の8)。 (1) 資産調整勘定 非適格分割型分割による分割対価が、移転資産等の時価純資産価額を超えるときは、超える部分の金額のうち資産等超過差額以外のものが資産調整勘定となります。資産調整勘定として計上された金額は、60ヶ月で損金算入されます(法法62の8①④、法令123の10①④)。 (2) 資産等超過差額 資産等超過差額とは、非適格分割型分割による分割対価の分割時の時価と分割契約時の時価に著しい差異が生じている場合の差異及び実質的に分割法人の欠損金に相当する金額をいいます(法令123の10④、法規27の16)。 資産等超過差額については、損金に算入されることはありません。 (3) 負債調整勘定 非適格分割型分割による分割対価が、移転資産等の時価純資産価額に満たないときは、満たない部分の金額が負債調整勘定となります。負債調整勘定として計上された金額は、60ヶ月で益金算入されます(法法62の8③⑦)。 (4) 退職給与負債調整勘定 ① 内容 退職給与負債調整勘定とは、非適格分割型分割に伴い分割法人から引継ぎを受けた従業者につき、退職給与債務の引受け(②参照)を行った金額に係る負債調整勘定をいいます(法法62の8②)。 ② 退職給与債務の引受け 「退職給与債務の引受け」とは、非適格分割後の退職その他の事由により非適格分割に伴い引継ぎを受けた従業者に支給する退職給与の額につき、非適格分割前における在職期間その他の勤務実績等を勘案して算定する旨を約し、かつ、これに伴う負担の引受けをすることをいいます。 ③ 益金算入額 引継ぎを受けた従業者が退職したとき、又は、引継ぎを受けた従業者の退職給与の支払いを行ったときに、次のいずれかの方法により計算した金額を、益金の額に算入することとなります(法法62の8⑥、法令123の10)。 (5) 短期重要負債調整勘定 ① 内容 短期重要負債調整勘定とは、非適格分割型分割により分割法人から移転を受けた事業に係る将来の債務(②参照)で、その履行が非適格分割型分割の日からおおむね3年以内に見込まれるものについて、分割承継法人がその履行に係る負担の引受けをした場合のその債務の額に相当する金額をいいます。 この場合の「債務の額に相当する金額」は、移転資産の取得価額の20%を超える債務引受け額に限定されています。 ② 将来の債務 「将来の債務」とは、その事業の利益に重大な影響を与えるものに限るものとし、退職給与債務引受けに係るもの及び既にその履行をすべきことが確定しているものを除きます。 ③ 益金算入額 短期重要負債調整勘定については、次の区分に応じて、それぞれの金額を益金の額に算入することとなります(法法62の8⑥)。   6 非適格分割型分割により増加する資本金等の額 分割承継法人において、分割により増加する資本金等の額は、次のとおりです(法令8①六)。 ① 加算項目 (※) 非適格分割型分割により、分割法人が分割事業に係る主要な資産又は負債のおおむねすべてを分割承継法人に移転しない(事業ごと移転しない)場合には、移転資産の価額から移転負債の価額を減算した金額 ② 減算項目 非適格分割型分割により増加する資本金等の額を図にすると、下記のようになります。 〔事業ごと移転する場合〕 〔事業ごと移転しない場合〕   7 非適格分割型分割により増加する利益積立金額 非適格分割型分割の場合には、分割承継法人は分割法人の利益積立金額を引き継がないので、利益積立金が増加することはありません。   8 完全支配関係法人間の非適格分割型分割の取扱い (1) 内容 グループ法人税制により、完全支配関係がある法人間で譲渡損益調整資産((2)参照)を譲渡した場合には、譲渡損益が繰り延べられるため、完全支配関係がある法人間で非適格分割型分割が行われたときも、譲渡損益調整資産については譲渡損益が繰り延べられ、帳簿価額で受け入れたのと同様の結果となります。 (2) 譲渡損益調整資産 「譲渡損益調整資産」とは、固定資産、棚卸資産である土地等、有価証券(売買目的有価証券を除きます)、金銭債権、繰延資産のうち、直前の帳簿価額が1,000万円以上の資産をいいます。   9 具体例 〔前提〕 〔分割承継法人の受入税務仕訳〕   ◆非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱いのポイント◆ 原則として資産・負債は時価で受け入れます。 非適格合併と異なり、分割法人が分割事業に係る主要な資産又は負債のおおむねすべてを分割承継法人に移転するときのみ、資産(負債)調整勘定を計上することとなります。 分割承継法人は分割法人の利益積立金額を引き継ぎません。 完全支配関係がある法人間で非適格分割型分割が行われたときは、譲渡損益調整資産を帳簿価額で受け入れることとなります。   (了)

#No. 411(掲載号)
#川瀬 裕太
2021/03/18

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第21回】「転勤のため単身赴任し、妻子が居住する家屋を譲渡した場合」-配偶者等の居住用家屋の譲渡-

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第21回】 「転勤のため単身赴任し、妻子が居住する家屋を譲渡した場合」 -配偶者等の居住用家屋の譲渡-   税理士 大久保 昭佳   Q 会社員Xは、6年前に会社から大阪勤務を命ぜられ、妻子を東京に残して単身赴任しました。Xは大阪で社宅住まいをし、妻子はX所有の東京の家屋に引き続き居住していましたが、このほど、東京の家屋と敷地を売却して大阪で家族一緒に住むことにしました。 売却については譲渡損失が発生し、買換物件については銀行で住宅ローンを組んで購入しました。 他の適用要件が具備されている場合に、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。 A 「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができます。 ●○●○解説○●○● 転勤、転地療養等のため、配偶者等と離れ単身で他に起居している場合であっても、その事情が解消したときは、その配偶者等と起居をともにすることとなると認められるときは、その配偶者等が居住の用に供している家屋は、その者にとっても、その居住の用に供している家屋に該当します(措通31の3-2(居住用家屋の範囲)(1)、措通41の5の2-7(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する取扱い等の準用))。 ただし、その者が、その居住の用に供している家屋を2以上所有する場合は、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋のみが、「居住用財産買換の譲渡損失特例」の対象となる家屋に該当することにも留意が必要です(措通31の3-2(居住用家屋の範囲)(1)(注))。 本事例のXは、単身赴任の事情が解消したときは妻子と起居をともにすることとなる場合と認められ、また、大阪のXの住まいは社宅であることから、「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができます。 なお、この取扱い規定は、「特定居住用財産の譲渡損失特例(措法41の5の2)」についても準用されます(措通41の5の2-7(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する取扱い等の準用))。 (了)

#No. 411(掲載号)
#大久保 昭佳
2021/03/18

2021年3月期決算における会計処理の留意事項 【第3回】

2021年3月期決算における会計処理の留意事項 【第3回】   RSM清和監査法人 公認会計士 西田 友洋   Ⅶ LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い   2014年7月の金融安定理事会(FSB)による提言に基づき金利指標改革が進められ、LIBORの停止が議論され、2021年3月5日にLIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationより、一部を除き、LIBORについて、2021年12月をもって公表を停止することが公表された。そして、LIBORが停止された場合に、ヘッジ会計の取扱いをどのようにするのかが論点として挙げられる。そこで、ASBJより、2020年9月29日に実務対応報告第40号「LIBOR を参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い(以下、「LIBOR取扱い」という)」が公表されている。 なお、金利指標の選択に関する実務や企業のヘッジ行動について不確実な点が多いため、ASBJにおいて、LIBOR取扱いの公表から1年後に、金利指標置換後の取扱いについて再度確認される予定である(LIBOR取扱いの「公表にあたって」参照)。 【用語(LIBOR取扱い4(3)~(5))】   1 適用範囲 LIBOR を参照する金融商品について金利指標を置き換える場合に、その契約の経済効果が金利指標置換の前後で概ね同等となることを意図した金融商品の契約上のキャッシュ・フローの基礎となる「金利指標を変更する契約条件の変更のみが行われる金融商品」及び「この契約条件の変更と同様の経済効果をもたらす契約の切替(既存の契約をその満了前に中途解約し、直ちに新たな契約を締結すること)に関する金融商品」が適用範囲となる。また、LIBOR取扱い公表後に、新たにLIBOR を参照する契約を締結する場合、その金融商品も適用範囲に含まれる(LIBOR取扱い3、4)。 なお、LIBOR取扱いは、LIBOR を対象としているが、LIBOR 以外の金利指標でも、金利指標改革に伴い公表停止が見込まれる場合には、当該金利指標を参照している金融商品についても、LIBOR取扱いを参考にすることが考えられる(LIBOR取扱い28)。 【LIBOR取扱い適用対象の例(LIBOR取扱い30、31、32、33)】 (※1) 金融リスクのみにさらされている金融商品だけでなく、固定金利と変動金利を交換する通貨スワップ(金利通貨スワップ)のように商品性として為替リスクも包含する金融商品の契約条件の変更又は契約の切替も含む。 (※2) LIBOR取扱いの適用対象外の金融商品については、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」及び企業会計審議会「外貨建取引等会計処理基準」等が適用される。 (※3) スプレッドの変更が行われた場合、LIBOR と後継の金利指標の差分を調整するためのスプレッド調整であるのか、信用リスクのスプレッドの変更であるのかの判断が難しいことも想定される。経済効果が概ね同等となることを意図したものであるか否かの判断にあたっては、一律に定量的な分析が求められるわけではなく、定性的な分析を行うことが想定されている。   2 LIBOR取扱いにおける会計処理 LIBOR取扱いにおいては、「金利指標置換前」、「金利指標置換時」、「金利指標置換後」と3つの時点、それぞれについて特例的な会計処理を定めている。 (1) 金利指標置換前 ① 金利指標改革に起因する契約の切替 金利指標改革に起因する契約の切替が行われたときであっても、ヘッジ会計を終了又は中止せずに、ヘッジ会計の適用を継続することができる(LIBOR取扱い5)。 ② 予定取引 ヘッジ対象である予定取引が実行されるかどうかを判断する際に、金利指標置換前においては、ヘッジ対象の金利指標が、金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなすことができる(LIBOR取扱い6)。 ③ ヘッジ有効性の評価 ④ 包括ヘッジ 包括ヘッジを適用する場合、金利指標置換前においては、個々の資産又は負債のリスクに対する反応とグループ全体のリスクに対する反応が、ほぼ一様であると認められなかった場合であっても、包括ヘッジを適用することができる(LIBOR取扱い9)。 例えば、個々の資産又は負債の時価の変動割合又はキャッシュ・フローの変動割合が、ポートフォリオ全体の変動割合に対して上下10%の範囲内にあるかどうかにより、個々の資産又は負債はリスクに対する反応がほぼ一様であるかどうかを判断している場合、個々の資産又は負債の時価の変動割合又はキャッシュ・フローの変動割合が、ポートフォリオ全体の変動割合に対して上下10%の範囲外となった場合であっても、包括ヘッジの適用を継続することができる(LIBOR取扱い44)。 ⑤ 時価ヘッジ 金利指標置換前においては、繰延ヘッジを適用する場合について定めた上記③及び④と同様の取扱いとすることができる(LIBOR取扱い10)。 ⑥ 金利スワップの特例処理 金利スワップの特例処理を適用する場合、金利スワップの特例処理の適用条件のうち以下の条件を満たしているかどうかの判断にあたって、金利指標置換前においては、ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなすことができる(LIBOR取扱い11)。 金利スワップの特例処理の適用条件の1つである「金利スワップの契約期間とヘッジ対象資産又は負債の満期がほぼ一致していること」の条件については、当初契約時に金利スワップの契約期間とヘッジ対象資産又は負債の満期がほぼ一致しているかどうかの判断を行うことが想定されている。 例えば、金利スワップの契約の切替が発生した場合には、金利スワップの新たな契約期間とヘッジ対象の満期が一致しないことが考えられるが、金利スワップとヘッジ対象の残存期間が同一であれば、当該条件を満たすとみなすことができると考えられる(LIBOR取扱い47)。 ⑦ 振当処理 振当処理を適用する場合、金利指標置換前においては、円貨でのキャッシュ・フローが固定されているかどうかの判断にあたって、ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなすことができる(LIBOR取扱い12)。 (2) 金利指標置換時 ① 金利指標改革に起因する契約の切替 金利指標改革に起因する契約の切替が行われたときであっても、ヘッジ会計を終了又は中止せずに、ヘッジ会計の適用を継続することができる(LIBOR取扱い5)。 ② 繰延ヘッジ 当初のヘッジ会計開始時にヘッジ文書で記載したヘッジ取引日(開始日)、識別したヘッジ対象、選択したヘッジ手段等を変更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができる(LIBOR取扱い13)。 ③ 時価ヘッジ 上記②と同様の取扱いとすることができる(LIBOR取扱い10)。 (3) 金利指標置換後 ① 金利指標改革に起因する契約の切替 金利指標改革に起因する契約の切替が行われたときであっても、ヘッジ会計を終了又は中止せずに、ヘッジ会計の適用を継続することができる(LIBOR取扱い5)。 ② 繰延ヘッジ 事後テストに関するLIBOR取扱い第8項の取扱い(上記(1)③〔事後テスト〕参照)を適用していたか否かにかかわらず、金利指標置換時以後、同項の取扱いを適用し、2023年3月31日以前に終了する事業年度までヘッジ会計を継続することができる。また、同項の取扱いを継続している間、再度金利指標を置き換え、ヘッジ文書の記載を変更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができる(LIBOR取扱い14)。 ③ 包括ヘッジ 金利指標置換前においてLIBOR取扱いの適用範囲に含まれる金融商品を含むグループをヘッジ対象として包括ヘッジを適用していた場合、包括ヘッジに関するLIBOR取扱い第9項(上記(1)④)の取扱いを適用していたか否かにかかわらず、金利指標置換時以後、同項の取扱いを適用し、2023年3月31日以前に終了する事業年度まで包括ヘッジの適用を継続することができる。また、同項の取扱いを継続している間、再度金利指標を置き換え、ヘッジ文書の記載を変更したとしても、包括ヘッジの適用を継続することができる(LIBOR取扱い18)。 ④ 時価ヘッジ 金利指標置換後においてはLIBOR取扱い第14項、第15項、第16項及び第18項(上記②及び③参照)の取扱いと同様の取扱いとすることができる(LIBOR取扱い10)。 ⑤ 金利スワップの特例処理 金利指標置換前においてLIBOR取扱いの適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会計を適用していた場合、金利スワップの特例処理に関するLIBOR取扱い第11項(上記(1)⑥参照)の取扱いを適用していたか否かにかかわらず、金利指標置換時以後、同項の取扱いを適用し、2023年3月31日以前に終了する事業年度まで金利スワップの特例処理の適用を継続することができる。 また、この特例的な取扱いを継続している間、再度金利指標を置き換えたとしても、金利スワップの特例処理の適用を継続することができる(LIBOR取扱い19)。 ⑥ 振当処理 LIBOR取扱い第12項(上記(1)⑦)の取扱いを適用していたか否かにかかわらず、金利指標置換時以後、同項の取扱いを適用し、2023年3月31日以前に終了する事業年度まで振当処理の適用を継続することができる。 また、この特例的な取扱いを継続している間、再度金利指標を置き換えたとしても、振当処理の適用を継続することができる(LIBOR取扱い19)。   3 注記事項 LIBOR取扱いを適用することを選択した場合、以下を注記する必要がある(LIBOR取扱い20)。また、当該注記は、2023年3月31日以前に終了する事業年度まで行う必要がある(LIBOR取扱い21)。 連結財務諸表において注記している場合、個別財務諸表での注記は要しない(LIBOR取扱い20)。 また、LIBOR取扱いは、ヘッジ関係ごとにその適用を選択することができるため、一部のヘッジ関係にのみ適用する場合には、その理由を注記する(LIBOR取扱い20、23)。 なお、計算書類においても、重要性に応じて注記が必要かどうか検討する必要がある。   4 適用時期 公表日以後適用することができる。ただし、公表日より前にヘッジ会計の中止又は終了が行われたヘッジ関係には、LIBOR取扱い第17項(上記2(3)②【その他留意事項】参照)を除き適用することができる。 Ⅷ 取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い   2019年12月に成立した改正会社法により、上場株式を発行している株式会社が、取締役等の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないことが新たに定められた(会社法202の2)。これを受けてASBJでは、2021年1月28日に実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い(以下、「株式取扱い」という)」を公表した。 また、以下の会計基準の改正も公表した。   1 適用範囲 会社法第202条の2に基づく取締役の報酬等として株式を無償交付する取引を対象としている(株式取扱い3)。また、当該取引は、「事前交付型」と「事後交付型」が想定されている(株式取扱い4(7)(8))。   2 会計処理 会社法第202条の2に基づく取締役の報酬等として株式を無償交付する取引は、ストック・オプションと類似しているため、ストック・オプション基準に準じて会計処理を行う(株式取扱い38)。 一方、会社法第202条の2に基づく取締役の報酬等として株式を無償交付する取引には、「事前交付型」と「事後交付型」があるため、株式が交付されるタイミングが異なる点や、事前交付型において、株式の交付の後に株式を無償で取得する点については、取引の形態ごとに異なる会計処理を行う(株式取扱いの公表に当たって「■会計処理」参考)。 (1) 事前交付型の会計処理 事前交付型の会計処理について、「新株発行」の場合と「自己株式の処分」の場合に分けて規定されている(株式取扱い5~14、40、42、46)。 (※) 「没収」とは、事前交付型において、権利確定条件が達成されなかったことによって、企業が無償で株式を取得することが確定することをいう(株式取扱い4(16))。 設例① P社(3月決算)は、X5年6月の定時株主総会において、取締役に対して、会社法第202条の2に基づく新株発行又は自己株式の処分(いずれも譲渡制限あり)を行うことを決議した。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※1) 10,000株 × 10名 × @4,000円 = 400,000,000 (※2) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 9ヶ月/60ヶ月 = 60,000,000 (※3) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 21ヶ月/60ヶ月 - 60,000,000= 80,000,000 (※4) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 33ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000)= 80,000,000 (※5) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 45ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000 + 80,000,000)= 80,000,000 (※6) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 57ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000 + 80,000,000 + 80,000,000)= 80,000,000 (※7) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-3名)× 60ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000 + 80,000,000 + 80,000,000 + 80,000,000)= △30,000,000 (※8) 10,000株 × 3名 × @4,000円 = 120,000,000 (2) 事後交付型の会計処理 事後交付型の会計処理について、「新株発行」の場合と「自己株式の処分」の場合に分けて規定されている(株式取扱い15~18)。 設例② P社(3月決算)は、X5年6月の定時株主総会において、一定の条件を達成した場合に、取締役に対して、会社法第202条の2に基づく新株発行又は自己株式の処分を行うことを決議した。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※1) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 9ヶ月/60ヶ月 = 60,000,000 (※2) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 21ヶ月/60ヶ月 - 60,000,000= 80,000,000 (※3) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 33ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000)= 80,000,000 (※4) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 45ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000 + 80,000,000)= 80,000,000 (※5) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-2名)× 57ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000 + 80,000,000 + 80,000,000)= 80,000,000 (※6) 10,000株 × @5,000円 ×(10名-3名)× 60ヶ月/60ヶ月 -(60,000,000+ 80,000,000 + 80,000,000 + 80,000,000 + 80,000,000)= △30,000,000 (※7) 10,000株 × 7名 × @4,000円 = 280,000,000 3 注記事項 会計処理はストック・オプション基準に準じているため、注記についてもストック・オプション基準及びストック・オプション指針を基礎として、注記事項が定められている(株式取扱い52)。 (1) 注記事項 年度の財務諸表において、以下の事項を注記する(株式取扱い20)。 注記に関する具体的な内容や記載方法、株式取扱いに定めのない会計処理に係る注記については、ストック・オプション指針第27項、第28項(2)、第29項、第30項、第33項及び第35項に準じて注記を行う(株式取扱い21)。 (2) 1株当たり情報 (3) 関連当事者注記 取締役の報酬等として株式を無償交付する取引は、資本取引の側面よりも報酬等としての側面を重視して、関連当事者との取引に関する開示は要しない(株式取扱い55)。 (4) 後発事象注記 改正会社法は、2021年3月1日施行であり、株式取扱いはその日以後に生じた取引から適用される(以下4参照)。一方、上場会社が取締役等の報酬等として株式を無償交付する場合には株主総会の決議が必要となるため、2021年3月31日までに発行されることは稀であると考えられる。 ただし、2021年3月期の定時株主総会で決議する場合には、重要な後発事象の注記が必要ないかどうか検討する必要がある。   4 適用時期 改正会社法の施行日である2021年3月1日以後に生じた取引から適用する。なお、その適用については、会計方針の変更には該当しない(株式取扱い23)。 Ⅸ 会社計算規則等の改正   1 会社計算規則の改正 2020年8月12日に「会計上の見積りの開示に関する会計基準」等の公表に伴い、会社計算規則が改正されている。2021年3月期に関係する改正については、【第2回】のⅣ及びⅤを参照されたい。   2 会社法施行規則の改正 (1) 2020年会社法施行規則の改正 改正会社法の成立及び公布に伴い、2020年11月27日に会社法施行規則が改正され、原則2021年3月1日から施行されている。 ① 株主総会参考書類の記載の改正 株主総会参考書類の記載について、以下の改正が行われている。 (注) 上記以外にも、有価証券報告書提出会社で監査役会設置会社(公開会社かつ大会社に限る)については、社外取締役が義務化されたため、社外取締役を置いていない場合の社外取締役を置くことが相当でない理由を株主総会参考書類に記載しなければならない規定が削除された。当該改正は、2022年3月期から適用される。 ② 事業報告の記載の改正 (注) 上記以外にも、有価証券報告書提出会社で監査役会設置会社(公開会社かつ大会社に限る)については、社外取締役が義務化されたため、社外取締役を置いていない場合の社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告に記載しなければならない規定が削除された。当該改正は、2022年3月期から適用される。 (2) 2021年会社法施行規則等の改正 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、2021年1月29日に会社法施行規則及び会社計算規則が改正されている。 ◎ウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正 (ⅰ) 改正内容 2020年5月に会社法施行規則及び会社計算規則が改正され、ウェブ開示によるみなし提供の拡充が行われたが、当該改正の効力は2020年11月15日をもって失われている。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響は収まっていないため、引き続きウェブ開示によるみなし提供を拡充する必要があることから、会社法施行規則及び会社計算規則が改正された。みなし提供制度の拡充対象は、以下のとおりである(前回と同様である)。 なお、上記を提供する際には、株主の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならない。 (ⅱ) 施行期日 施行日(2021年1月29日)から2021年9月30日までに招集の手続が開始された定時株主総会に係る事業報告及び計算書類の提供に適用される。   3 企業内容等の開示に関する内閣府令の改正 改正会社法の成立に伴い、2021年2月3日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」が改正され、有価証券報告書の記載が拡充されている。当該改正は、改正会社法の施行の日(2021年3月1日)から施行される。主な改正点は、以下のとおりである。 (了)

#No. 411(掲載号)
#西田 友洋
2021/03/18

値上げの「理屈」~管理会計で正解を探る~ 【第12回】「値上げする対象を選ぶ」~学割を使えるうちに~

値上げの「理屈」 ~管理会計で正解を探る~ 【第12回】 「値上げする対象を選ぶ」 ~学割を使えるうちに~   公認会計士 石王丸 香菜子   登場人物 *  *  * あくまでも一般論ですが、商品やサービスの価格が高くなれば需要は減り、価格が低くなれば需要は増えます。単純化すると次のようなイメージです。 レッスン1回の受講料が@6,000円で、40人が申し込んで受講したとします。レッスン1回を運営するための変動費(花材代など)は@2,000円です(単純化のため固定費については考慮外とします)。需要曲線上に、これを表してみましょう。 *  *  * *  *  * 顧客が商品やサービスに対して支払ってもよいと考える金額を「顧客支払意思額(Willingness to Pay:WTP)」と言います。WTPは、顧客によってバラバラです。受講料としてリミちゃんが支払ってもよいと考える金額は@4,000円でも、あるマダムが支払ってもよいと考える金額は@8,000円かもしれません。 上記の需要曲線を前提とすると、受講料が@4,000円の場合、リミちゃんのような顧客まで取り込むことはできますが、限界利益は減ってしまいます。 一方、受講料が@8,000円の場合、お客さんはさらに絞られて、やはり限界利益は減ってしまいます。 *  *  * *  *  * ここで、各図をよく眺めてみましょう。いずれも、限界利益に取り込めなかった2つの空白ができています。 *  *  * *  *  * 商品やサービスの販売価格を1つに設定する場合、 はどうしても生じてしまいます。 *  *  * *  *  * 仮に、顧客一人一人に、いくらまでなら支払う意思があるかを聞いて、マダムは@8,000円、リミちゃんは@4,000円・・・、と、個々の支払意思額に対応した金額を受講料とする(!)なら、この取り損ないをなくして、大きな利益を獲得できます。ただし、現実的な方法ではないですね。 利益を増やす現実的な手段の1つとして、顧客をいくつかのカテゴリーに分け、それぞれに異なる価格設定を行うことが挙げられます。【第7回】でも取り上げた「価格差別」です。 *  *  * *  *  * 価格を3つに設定した場合を図にしてみます。 複数の価格を設定すると、利益のエリアが広がることがわかります。顧客をいくつかのカテゴリーに分け、カテゴリーを選んで値上げ(もしくは値下げ)することで、利益を増やせる可能性があるのですね。 *  *  * (了)

#No. 411(掲載号)
#石王丸 香菜子
2021/03/18

計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第36回】「「ダブルチェック」ではなく、「クロスチェック」を実践せよ」

計算書類作成に関する “うっかりミス”の事例と防止策 【第36回】 「「ダブルチェック」ではなく、「クロスチェック」を実践せよ」   公認会計士 石王丸 周夫   1 明らかにどちらかが間違っている 計算書類にはうっかりミスがつきものです。 実際、こんなミスが起きています。 【事例36-1】 貸借対照表の自己株式の残高が株主資本等変動計算書の残高と合わない。 (出所) 株式会社木曽路「第71回定時株主総会招集ご通知(訂正前のもの)」 (出所) 株式会社木曽路「第71回定時株主総会招集ご通知に際してのインターネット開示事項」 【事例36-1】は、同じ会社、同じ年度の貸借対照表と株主資本等変動計算書ですが、自己株式の残高が異なっています。 ここは必ず一致しなければいけない箇所です。「例外なく」です。したがって、明らかにどちらかの数字が間違っているのですが、どちらが間違っているのかを特定するのは容易ではありません。 計算チェックをすればわかりそうなものですが、この【事例36-1】ではうまくいきません。なぜなら差額が小さいからです。表示単位が百万円の決算書では、2百万円の差額は、それが数字の間違いによるものか、端数の切り捨てによるものかが、計算チェックではわからないのです。 結局、元データである試算表を持ってきて、自己株式の残高が「△927」なのか「△929」なのかを確認する必要があります。   2 「クロスチェック」は「ダブルチェック」とどう違うのか 【事例36-1】の会社は、【事例36-1】を含む定時株主総会招集通知を2020年6月2日に公表し、2020年6月10日に記載事項の一部訂正を行っています。それによると、貸借対照表の自己株式の残高は「△927」ではなく、「△929」が正しいとのことでした。 こうしたミスを決算書公表前に発見するには、上で見たように、異なる書類の一致すべき数値を突合すればよいのですが、これは「クロスチェック」とも呼ばれます。突合の結果、一致していれば問題なし、不一致ならばいずれかが間違いというわけです。 この「クロスチェック」というのは、「ダブルチェック」とは違うものだということは覚えておいてください。 ダブルチェックというのは、作成者が一度チェックしたことを、別の誰かがもう一度チェックすることです。たとえば、計算書類作成者が貸借対照表の計算チェックを行った後、別の誰かが同じ計算チェックを行うことです。 これに対してクロスチェックというのは、何らかのチェックをした後、その方法とは異なる方法でもチェックをするところにポイントがあります。その場合、作成者自身が両方のチェックを行っても十分に効果が期待できます。たとえば、貸借対照表の計算チェックを行った後、純資産の部の残高を株主資本等変動計算書と突合するというもので、これらのチェックを作成者が1人で行っても構わないのです。   3 実は予想できたミスだった ところで、【事例36-1】のミスは、起こることが予想できたミスでした。後出しじゃんけん的な指摘になりますが、実は【事例36-1】のミスは、この連載の【第1回】で紹介済みなのです。以下の事例です。 【事例36-1】で、貸借対照表の間違った数字「自己株式 △927」が何の数字だったかお気づきでしょうか。この「△927」は前期末の自己株式残高なのです。株主資本等変動計算書の期首残高を見るとわかります。 おそらく、貸借対照表の数字を手入力していく際に、前期の貸借対照表のデータに上書きしていったのでしょう。「△927」は「△929」とぱっと見には似ているので、上書きし忘れてしまったと考えられます。 自己株式というのは、前期末と当期末の残高がほとんど変わらないことがよくあるので、上書き忘れが起こりやすいのです。そして、その後のチェックでも見逃しやすく、計算チェックをしてもわかりません。それゆえ、自己株式残高に前期末の数字が残っているというミスが起きるのです。それが【事例1-4】でした。 うっかりミスというのは、一度経験した事例であれば、回避できる可能性も高まります。【事例1-4】を知っていれば、【事例36-1】は回避できたかもしれません。そう思いたくなるのが今回の事例でした。   〈今回のまとめ〉 書類間の数値突合(クロスチェック)をしっかりやりましょう。 (了)

#No. 411(掲載号)
#石王丸 周夫
2021/03/18

給与計算の質問箱 【第15回】「社会保険の料率の変更」~令和3年度対応~

給与計算の質問箱 【第15回】 「社会保険の料率の変更」 ~令和3年度対応~   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 来月から新年度(令和3年度)になりますが、各種社会保険の料率の変更はあるでしょうか。 A 労災保険、雇用保険、厚生年金保険、子ども・子育て拠出金の料率の変更はない。健康保険、介護保険(第2号被保険者)の料率は変更がある。 * * 解 説 * * 1 料率の変更がないもの (1) 労災保険 労災保険料は、会社が全額負担し従業員の負担はないことから、給料計算には関係しない。 〔労災保険率表〕 (※) 厚生労働省ホームページより (2) 雇用保険 一般の事業の雇用保険料率は、会社負担が0.6%、従業員負担が0.3%である。従業員は、給料の総支給額×0.3%=雇用保険料を給料から天引きされる。 例えば給料の総支給額300,000円の場合、300,000円×0.3%=900円の雇用保険料を給料から天引きされる。 〔令和3年度の雇用保険料率〕 (※) 厚生労働省「令和3年度の雇⽤保険料率について」より (3) 厚生年金保険 厚生年金保険の料率は、18.3%を折半して会社負担が9.15%、役員・従業員負担が9.15%である。役員・従業員は、標準報酬月額×9.15%=厚生年金保険料を給料から天引きされる。 例えば標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×9.15%=27,450円の厚生年金保険料を給料から天引きされる。 〔令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)〕 (※) 協会けんぽホームページより (4) 子ども・子育て拠出金 子ども・子育て拠出金は、会社が全額負担し従業員の負担はないことから、給料計算には関係しない。 子ども・子育て拠出金の料率は、0.36%である。子ども・子育て拠出金の額は、被保険者個々の厚生年金保険の標準報酬月額×0.36%の総額である。 例えば厚生年金保険の標準報酬月額300,000円の役員1名だけが社会保険に加入している会社の場合、300,000円×0.36%=1,080円の子ども・子育て拠出金を年金事務所へ支払う。   2 料率の変更があるもの (1) 健康保険 協会けんぽに加入の東京の会社の令和3年2月分(3月納付分)までの健康保険の料率は、9.87%を折半して会社負担が4.935%、役員・従業員負担が4.935%だった。令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険の料率は、 0.03%引下げの9.84%を折半して会社負担が4.92%、役員・従業員負担が4.92%になった。 役員・従業員は、標準報酬月額×4.92%=健康保険料を給料から天引きされる。例えば、標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×4.92%=14,760円の健康保険料を給料から天引きされる。 (2) 介護保険(第2号被保険者) 第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の役員・従業員をいう。40歳未満及び65歳以上の役員・従業員の給料からは介護保険料を天引きしない。 協会けんぽに加入の東京の会社の令和3年2月分(3月納付分)までの介護保険の料率は、1.79%を折半して会社負担が0.895%、役員・従業員負担が0.895%だった。令和3年3月分(4月納付分)からの介護保険の料率は、 0.01%引上げの1.8%を折半して会社負担が0.9%、役員・従業員負担が0.9%になった。 役員・従業員は、標準報酬月額×0.9%=介護保険料を給料から天引きされる。例えば、標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×0.9%=2,700円の介護保険料を給料から天引きされる。 (了)

#No. 411(掲載号)
#上前 剛
2021/03/18

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第15回】「現況地目が「農地」でも鑑定評価では「宅地」として扱われることがある」~その根拠は?~

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第15回】 「現況地目が「農地」でも鑑定評価では「宅地」として扱われることがある」 ~その根拠は?~   不動産鑑定士 黒沢 泰   前回の連載では、鑑定評価における地域の捉え方には特徴的なものがある旨を述べ、その典型例として用途的地域(用途地域とは異なります)につき解説いたしました。 今回も、前回の延長線上にある内容ですが、鑑定評価において欠かすことのできない地域分析の基本について述べてみたいと思います。冒頭に掲げたタイトルは何とも理解し難い内容のように受け止められるかも知れませんが、鑑定評価における地域分析の考え方を把握していただくことにより、その根拠を明確にすることができると存じます。 ところで、税理士の皆様をはじめ世間一般では、土地を評価する際、現況地目が農地であれば、すべて農地という前提で評価するのが通常であると思われているのではないでしょうか。これは、一面では当を得ています。 しかし、鑑定評価で価格を求める際には、その農地の属する地域一帯ではどのような利用方法が一般的であり、どのような利用をすればその土地の効用を最大限に発揮し得るか(=最有効使用の方法は何か)という視点からアプローチしていくため、現況が農地であるからといって、価格的にも農地としての水準がストレートに当てはまるとはいえない点に留意が必要です。 以下、鑑定評価の特徴を検討する意味で、固定資産税や相続税の財産評価における地目別評価の規定と対比させつつ、鑑定評価における地域分析の特徴を取り上げていきます。   1 固定資産税等における地目別評価 固定資産税や相続税の財産評価では、土地は地目別に評価することとされており、その根拠規定は以下のとおりです。 (1) 固定資産税の評価 「土地の評価は、次に掲げる土地の地目の別に、それぞれ、以下に定める評価の方法によって行うものとする。(以下省略)」(固定資産評価基準第1章第1節通則「一 土地評価の基本」) (2) 相続税の財産評価 「土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。(中略)地目は、課税時期の現況によって判定する。」(財産評価基本通達7) なお、同通達7の(注)では、「地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて行う」ことが規定されています。   2 鑑定評価における地域分析の特徴 不動産鑑定評価基準では、次のとおり、「地域の種別」及び「土地の種別」という特有の概念を設けています(下線は筆者)。 このように、不動産鑑定評価基準では、宅地、農地等の区分を土地の地目ではなく、その土地の属する用途的地域の種別に基づいて判定しています(用途的地域とは、都市計画法上の用途地域とは別の概念であり、現実に利用状況の類似するひとかたまりの地域を指すことは前回述べたとおりです)。 すなわち、不動産の属する地域を、(上記規定に沿い)宅地地域、農地地域等の種別により分類し、その地域が宅地地域にあればこれに属する土地を宅地、農地地域にあればこれに属する土地を農地として判定しています。 ちなみに、宅地地域の場合、居住、商業活動、工業生産活動等の用に供される建物、構築物等の敷地の用に供されることが、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的と判断される地域と定義されることから、宅地地域に属する土地は現況の地目に関係なく、鑑定評価上の土地の種別は宅地とみなされます。すなわち、宅地地域にあっては、現に耕作の用に供されている土地(いわゆる現況農地)であっても、鑑定評価上は農地としてではなく、宅地として取り扱われた上で、価格のアプローチがなされることになります。以下の図はそのイメージを示したものです。 その結果、宅地地域に属する農地の価格を求める際には、宅地としての価格から宅地化に要する費用を控除して価格を試算する等の手法も併用しているわけです(この他に、状況の類似する土地の取引事例が収集できれば、実証性という観点から説得力が増すことはもちろんです)。   3 まとめ 以上述べた内容を整理すれば、たとえ現況が農地であるといっても、それだけで画一的に価格水準を判定するわけにはいかないということになります。 その土地が不動産鑑定評価基準にいう宅地地域のなかにある場合もあれば、農地地域のなかにある場合もあります。同じ現況農地といっても、前者の場合には宅地としての価格形成要因が織り込まれ、後者の場合は純粋な農地として(すなわち耕作を前提に)土地利用を行うという視点から価格を求めることが基本となり、この点に大きな相違がみられます。 ◆  ◆  ◆ 本文では直接述べませんでしたが、例えば財産評価基本通達(第2章第3節)では、農地をその利用状況に基づき、純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地など、いくつかの形態に分類し、それぞれに応じた評価方法を採用しています。これに対して、鑑定評価では「地域の種別」という視点を重視して宅地地域、農地地域等の区分を行い、評価対象となっている農地が宅地地域に属する土地であれば、「土地の種別」を宅地として捉えた上で価格にアプローチしている点に留意が必要です。 これを念頭に置くことにより、冒頭の疑問点の解消に少しでも役立てられれば幸いです。 (了)

#No. 411(掲載号)
#黒沢 泰
2021/03/18
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