《速報解説》 適格請求書等保存方式に係る制度関連の整備 ~令和4年度税制改正大綱~ 税理士 石川 幸恵 「令和4年度税制改正大綱」(令和3年12月24日閣議決定)において、令和5年10月1日に導入予定の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)に係る見直しが行われた。これらの見直しを分類すると、「登録に関する見直し」と「制度関連の整備」に分けられる。 以下では、制度関連の整備(大綱57頁~58頁)について概説する。 なお、登録に関する見直しの概説は以下の拙稿を参照されたい。 1 制度関連の整備 (1) 仕入明細書による仕入税額控除の適用要件の見直し ① 現行 個人事業者による家事用資産の売却は「事業として」の売却ではないので、課税資産の譲渡等に該当しない。したがって、その個人事業者が適格請求書発行事業者である場合に、買い手から適格請求書の交付を求められたとしても、適格請求書を交付することはできない。 ただし、買い手が仕入明細書を作成して、適格請求書発行事業者である個人事業者(売り手)の確認を受けた場合、買い手では仕入税額控除が可能となる。 ② 改正案 仕入明細書による仕入税額控除は、その課税仕入れが売り手において課税資産の譲渡等に該当する場合に限定することとする。 (2) 電子区分記載請求書による仕入税額控除の経過措置適用について ① 現行 適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、適格請求書等保存方式導入から一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられている(平成28年改正法附則52、53、国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問86)。 この経過措置の適用については、売り手から「書類」により交付された区分記載請求書等の保存が要件となっており、電磁的記録により区分記載請求書等の提供を受けた場合、それを保存しても経過措置の適用は受けられない。 ② 改正案 電磁的記録により区分記載請求書等の提供を受けた場合について、上記の経過措置を受けられることとする。 (3) インボイス経過措置期間における棚卸資産に係る消費税額の調整規定の見直し ① 現行 納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整(消法36)では、その棚卸資産に係る消費税額を仕入税額控除の対象としている。 一方、上記(2)①の経過措置では、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額相当額全額ではなく、一定割合(80%、50%)のみが控除できる。 現行の法令では、納税義務の免除を受けないこととなったタイミングで有する棚卸資産のうち、適格請求書発行事業者以外の者から仕入れたものについて、消法36による調整額は仕入税額相当額全額か、一定割合を乗じた額かが不明である。 ② 改正案 適格請求書発行事業者以外から仕入れた棚卸資産であっても、全額を消法36による調整額とする。 (4) 公売等において適格請求書を交付する場合の特例 ① 現行規定の問題点 公売とは、国税局又は税務署が差し押さえた財産を滞納国税に充てるため、広く不特定多数の買受希望者を募り、入札又はせり売りの方法により売却することをいう。 公売等による財産の売却についての適格請求書等の交付は、滞納者が交付するか、媒介者交付特例(国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問39)を適用して公売等の執行機関が滞納者に代わって交付することとなるが、いずれも困難が伴う。 ② 改正案 滞納者が適格請求書発行事業者である場合には、公売等の執行機関が適格請求書等を交付できることとする。 (5) 特定収入を課税仕入れに充てた場合の仕入控除税額の調整規定の整備 ① 現行 国、地方公共団体、公共・公益法人等については、補助金等の対価性のない収入(特定収入)により賄われる課税仕入れ等に係る税額を、仕入税額控除の対象から除外することとしており、除外する額(調整税額)を算出するための特例計算が設けられている(消法60、消令75)。 現行の特例計算の方法では、適格請求書等保存方式導入後、免税事業者等からの課税仕入れに充てられた部分も調整税額に含まれて算出されてしまい、調整税額が過大となる。 ② 改正案 交付要綱等により使途が特定されている特定収入について、免税事業者等からの課税仕入れに充てたことが国等へ報告することとされている文書等により事後的に確認できる課税期間において、調整税額のうち、免税事業者からの課税仕入れに応じた部分の金額を仕入控除税額に加算できることとする。 (※) 特定収入の5%を超える金額を免税事業者等からの課税仕入れに充てた場合に限る。 2 適用時期 上記の改正案は、令和5年10月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用される。 (了)
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《速報解説》 住宅借入金等特別控除の見直し ~令和4年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 「令和4年度税制改正の大綱」(令和3年12月24日閣議決定)では、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下、住宅借入金等特別控除という)について、適用期限が4年間延長され、控除率や控除期間等に見直しが行われるとともに、環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置が講じられることとなった。 以下、大綱及び国土交通省から公表されたQ&A等で示された内容について解説を行う。 なお本制度に係る昨年度の税制改正については、下記拙稿を参照されたい。 【1】 適用期限の延長 適用期限が4年間延長され、一定の家屋を令和7年12月31日までの間に居住の用に供した場合を対象とすることとされた。 【2】 借入限度額に係る上乗せ措置の見直し (1) 新築住宅・買取再販住宅 消費税率が8%に引き上げられた際、反動減対策として導入された借入限度額の上乗せ措置(※)は終了し、新たに住宅の性能等に応じた上乗せ措置が講じられる。 (※) 一般の住宅:上乗せ後の上限4,000万円(上乗せ前の上限2,000万円) 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅:上乗せ後の上限5,000万円(上乗せ前の上限3,000万円) 具体的には、新築住宅及びリフォームにより良質化した上で販売する買取再販住宅においては、認定住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅)・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅について借入限度額の上乗せ措置が講じられる。 上乗せ措置の対象となる買取再販住宅の範囲、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅の概要は、次のとおりである。 (注) ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅として住宅借入金等特別控除の適用を受けようとする場合には、確定申告時に一定の証明書類が必要となる見込みである。 なお、新築住宅及び買取再販住宅に係る控除期間は、原則として13年間とされる。 また、東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等特別控除の特例については、適用期限を令和7年12月31日まで4年間延長した上で、借入限度額、控除率及び控除期間が次のとおりとされる。 (※1) 上記は新築等の場合のもの。既存住宅の取得又は住宅の増改築等の場合には、借入限度額3,000万円、控除期間10年となる。 (※2) 居住が令和7年1月1日以後のものについては、警戒区域設定指示等の対象区域外に従前住宅が所在していた場合には適用できなくなる。 (2) 既存住宅 従来、借入限度額の上乗せ措置は新築住宅にのみ適用されていたが、既存住宅が認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅に該当する場合には、既存住宅についても一定の上乗せ措置が講じられる。 なお、既存住宅に係る控除期間は10年間とされる。 また、既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)については、「昭和57年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和される。 【3】 控除率、所得要件の見直し 会計検査院の平成30年度決算検査報告では、住宅借入金等特別控除の控除率である1%を下回る金利で住宅ローンを借り入れている者の割合が78.1%となっているとの指摘があった。 この指摘に対応する観点から、控除率を0.7%に引き下げるとともに、適用対象者の所得要件も合計所得金額2,000万円以下(現行:3,000万円以下)に引き下げることとされた。 【4】 床面積要件の見直し 床面積要件について、令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅において、合計所得金額1,000万円以下の者に限り、40㎡(通常の床面積要件は50㎡)に緩和される。 * * * ここまでの改正についてまとめると、次の表のとおりとなる。 (※) 国土交通省公表資料に筆者一部加筆。 【5】 個人住民税における住宅借入金等特別控除 令和4年分以後の所得税で住宅借入金等特別控除の適用がある者(住宅の取得等をして令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した者に限る)のうち、所得税から控除しきれなかった額を、翌年度分の個人住民税において、控除限度額の範囲内(所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円))において、個人住民税額から控除する措置が講じられる(この措置による令和5年度以降の個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する)。 【6】 確定申告等手続の見直し 本制度適用にあたり確定申告及び年末調整の際に必要とされていた年末の借入金残高証明書の提出又は提示が不要とされ、これに代えて、銀行等が年末の借入金残高等を記載した調書を作成し所轄税務署長に提出することとなる。ただし適用を受ける者は銀行等へ住宅ローン控除に関する申請書を提出する必要がある。 また、新築の工事の請負契約書の写し等についても確定申告書への添付が不要とされるが、確定申告期限から5年間は、税務署長からの提示又は提出の求めに応じる必要がある。 上記の改正は、居住年が令和5年以後である者が、令和6年1月1日以後に行う確定申告及び年末調整について適用する。 【7】 その他 これらの他、住宅関係の所得税の改正項目として、認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除(措法41の19の4)の見直しが示されている。 (了)
《速報解説》 改正電帳法の宥恕規定適用における「やむを得ない事情」が改正通達等で明らかに Profession Journal編集部 既報のとおり12月27日公布の改正省令により改正電子帳簿保存法における宥恕規定が設けられたところだが、国税庁は本日12月28日に関連通達の改正及びQ&Aやパンフレットの内容を更新し、周知を図っている。 今回公表された情報は以下のとおり。 上記のうち①の改正通達では「7-10(宥恕措置における「やむを得ない事情」の意義)」「7-11(宥恕措置適用時の取扱い)」が新設され、7-10では宥恕規定を適用する際に求められる「やむを得ない事情」について、以下のように具体的なケースで示されている。 また②の改正通達の趣旨説明では上記について、以下のように補足されている。 なお③のQ&Aでは関連する下記の問答が追加されており、問41-5では下記のとおり、事前手続が不要との説明がある。 (了)
《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(令和3年4月~6月)」 ~注目事例の紹介~ 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 国税不服審判所は、2021(令和3)年12月15日、「令和3年4月から6月までの裁決事例の追加等」を公表した。追加で公表された裁決は表のとおり、国税通則法と相続税法が各4件、所得税法が2件、登録免許税法と国税徴収法が各1件で、合わせて12件となっている。国税通則法関連の裁決のうち3件も相続税に関するものであり、12件の公表裁決事例のうち半数の6件が相続税に関する賦課決定処分をめぐっての裁決となっている。 今回の公表裁決では、12件のうち11件が国税不服審判所によって、原処分庁の課税処分等の全部又は一部が取り消され、納税者の審査請求が棄却されたものは1件となっている。 【表:公表裁決事例令和3年4月~6月分の一覧】※本稿で取り上げた裁決 本稿では、事例①から③の相続税の申告内容をめぐって争われた事例について、国税不服審判所が、原処分庁による過少申告加算税又は重加算税の賦課決定処分の一部取消しを認めた理由について、その判断を検討したい。 なお、複数の争点が存在する裁決に関しても、賦課決定処分取消しの可否に係る争点のみを取り上げることを、あらかじめお断りしておく。 1 相続財産の申告漏れについて、「正当な理由」を認めた事例・・・① 本件は、税理士である審査請求人が、亡母の相続に係る相続税の申告を行ったところ、原処分庁が、亡母名義の預貯金口座から出金された現金の一部が請求人以外の共同相続人に預けられていたなどとして、相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、当該共同相続人に預けられていたとされた現金は、相続税法第9条により当該共同相続人が贈与により取得したとみなすべきであり、また、請求人は、申告漏れとなった財産の存在を知り得る状況にはなかったのであるから、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当するなどとして当該更正処分の一部の取消し及び当該賦課決定処分の全部の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 争点は以下のとおりであるが、本稿では争点②に関する「正当な理由」の存否に関する国税不服審判所の判断を検討したい。 (2) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、申告漏れとなっていた①被相続人の孫K名義の家屋、②被相続人名義の口座から引き出され、相続開始時においてまだ費消されていなかった現金、③被相続人名義の口座から出金し、相続人Hら名義の口座に入金された金額について、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められる」かについて、次のように判断を示した。 ① 被相続人の孫K名義の家屋 不動産については、一般的には登記簿上の名義人が、当該不動産の所有者と推定することができるところ、本件家屋は、本件相続開始時、所有者をKとする登記がなされており、しかも、請求人が関与税理士として本件家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていること、また、被相続人は、平成21年頃から本件家屋に居住しておらず、譲受人であるKが居住しており、かつ、Kと同じく本件被相続人の孫に当たるQも、本件被相続人から土地の遺贈を受けており、本件被相続人が、Kに本件家屋を譲渡することが、特段不自然、不合理とはいえないことなどの事情からすれば、請求人において、殊更に、本件家屋の売買の有効性を疑うべき状況になかったと認められる。 このような本件家屋に係る相続税の申告以前の状況からみれば、請求人には、本件被相続人とKとの間の本件家屋の売買が有効に成立し、本件家屋の所有権がKに移転したと誤信せざるを得ない事情があったといわざるを得ない。 よって、本件家屋に係る税額については、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があると認められる。 ② 被相続人名義の口座から引き出され、相続開始時においてまだ費消されていなかった現金 請求人は、相続税の申告期限までに本件被相続人名義の各預貯金口座の取引履歴を取得し、当該取引履歴から、本件現金を含む出金の事実及びその使途が不明であることを把握していたものと認められるにもかかわらず、請求人は、本件現金を含む出金された現金の使途について、相続人Hに口頭で数回尋ね、それに対し、相続人Hから本件被相続人のために使った旨の抽象的な返事をされただけで、具体的にその使途を追及し、調査することもなく、本件現金の全額が、本件相続に係る財産に含まれないとして、相続税の各申告書を提出し、過少申告したものである。 したがって、上記の過少申告について、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお請求人に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷であるとはいえないから、請求人に正当な理由があったとは認められない。 ③ 被相続人名義の口座から出金し、相続人Hら名義の口座に入金された金額 上記②と同様に、本件入金額に係る過少申告についても、真に請求人の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお請求人に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷であるとはいえないから、請求人に正当な理由があったとは認められない。 2 被相続人の借入金について、存在を仮装していたと認められないとした事例・・・② 本件は、被相続人の長男である審査請求人が、原処分庁所属の調査担当職員の調査を受けて相続税の修正申告を行ったところ、原処分庁が、相続税の申告において相続税の課税価格の計算上債務控除をしていた借入金は存在しない債務であり、あたかも同債務が存在したかのように装って金銭借用証書を作成し、当該債務控除をしたことが事実の仮装行為に該当するとして重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、当該仮装行為を行った事実はないとして、当該賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 請求人に国税通則法第68条第1項に規定する「仮装」に該当する事実があったか否か。 (2) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、認定した事実関係に基づき、請求人及び本件被相続人は、本件土地の売買契約に係る代金の決済に当たり、当初はその代金の一部を、本件被相続人を借主とする融資をM信用金庫から受けることを予定していたところ、当該融資がとん挫したことが認められ、このような融資のとん挫の経緯や、現金500万円が本件売買契約の代金決済日に近接した日に入金されていること及び本件証書の表題に一時的な貸借であることを意味する「一時」と付されていること等からすれば、本件被相続人が十分な金額の預貯金を有していた事実を踏まえても、請求人が本件被相続人に本件貸付けをすることとしたとしても不自然であるとまではいえないという判断を示した。 そのうえで、審判所の調査及び審理の結果によっても、本件被相続人の請求人に対する本件借入金がなかったと認めることはできないことから、請求人は、存在しない債務を実際に存在するかのように仮装していたとは認められないから、請求人に国税通則法第68条第1項の「仮装」に該当する事実があったとは認められないとして、原処分の一部を取り消す裁決を行った。 3 税理士からの質問に対する、故意の虚偽回答を認めなかった事例・・・③ 本件は、被相続人の長男である審査請求人が、原処分庁所属の調査担当職員の調査に基づき相続税の修正申告をしたところ、原処分庁が、相続財産の一部を申告していなかったことに隠蔽の行為が認められるとして重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、当該隠蔽の行為はないとして、当該処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 請求人に国税通則法第68条第1項に規定する隠蔽又は仮装の行為があったか否か。 (2) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、本件共済契約に係る権利が申告漏れとなった原因として、請求人が相続税の申告代理を依頼した税理士からの「損害保険はどうなっていますか。」との質問に対して「共済は掛け捨てに移行している。」との回答をし、税理士が、当該回答を受けて、被相続人の相続財産中に申告すべき損害保険契約に関する権利はないものと誤解したこと、その後も、請求人は税理士に本件共済契約に係る「共済契約解約返戻金相当額等証明証」を提示することも、本件各権利があることを説明することもしなかったため、税理士が上記の誤解をしたまま、本件申告書を作成したことによるものと考えられると、事実関係を認定した。 そのうえで、上記の請求人の回答について、請求人は、税理士による質問を、損害保険の状況を問われたものと誤認したためであり、その後も本件各共済契約について説明しなかったのは、本件証明書を含めた全ての関係書類が税理士に提出されているものと認識していたことによるものであるという主張について、 などの事実に基づき、「共済は掛け捨てに移行している。」との請求人による回答は、必ずしも虚偽であるとまではいえず、さらに、税理士が上記各普通貯金通帳を子細に確認すれば、本件各権利の存在に気付き、請求人にその事実照会等を行うことも考えられたことに鑑みると、請求人が税理士に対して、本件各共済契約、ひいては、本件各権利を秘匿しようという意図があったとまで認めることはできないという判断を示した。 そのうえで、結論として、請求人が本件申告において本件各権利を申告しなかったことについて、国税通則法第68条第1項に規定する隠蔽又は仮装の行為があったとは認められず、同項の重加算税の賦課要件を満たさないから、原処分の一部を取り消す裁決を行った。 (了)
《速報解説》 宥恕規定に係る電子帳簿保存法改正省令が公布される ~施行規則4条3項の読替え規定を附則にて新設~ Profession Journal編集部 既報のとおり令和4年度税制改正大綱では、来年から施行される改正電子帳簿保存法について宥恕規定を設ける旨が示されたが、本日(令和3年12月27日)付けの官報第645号において改正省令(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令(財務八〇))が公布され、この規定が設けられた(施行は令和4年1月1日)。 具体的には、令和3年度税制改正に係る改正省令(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第25号))の附則第2条第3項として、下記が規定された。 上記の読替えを行った施行規則第4条第3項は以下のとおり(下線部が読替箇所)。 上記の通り読替え後の規定においては、宥恕規定の適用に特段の手続は求められていない。なお、「やむを得ない事情」についての詳細は明らかとなっていない。 (※) 「災害その他やむを得ない事情」による宥恕規定については、国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の問41を参照されたい。 (了)
《速報解説》 ASBJ、「LIBOR を参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」の改正案を公表 ~金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間の延長等示す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2021年12月24日、企業会計基準委員会は、「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第62号(実務対応報告第40号の改正案))を公表し、意見募集を行っている。 これは、「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」(実務対応報告第40号)について、その公表時には金利指標の選択に関する実務や企業のヘッジ行動について不確実な点が多いため、公表から約1年後に、金利指標置換後の取扱いについて再度確認する予定であるとしたことに対応するものである。 意見募集期間は2022年2月24日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間の延長 金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間を米ドル建LIBORとそれ以外の通貨建てのLIBORを分けることなく、一律に2024年3月31日以前に終了する事業年度まで延長する。実務対応報告第40号では、2023年3月31日以前に終了する事業年度までとされている(14項~19項)。 これは、2021年3月に、米ドル建LIBORの一部のターム物について、公表停止時期が2023年6月末に延期されるアナウンスメントが正式になされたこと、また、米ドル以外の通貨建てのLIBORに関する不確実性が完全になくなったということでもないと考えられるためである。 Ⅲ 金利スワップの特例処理等に関する金利指標置換後の会計処理の取扱い 1 金利スワップの特例処理等に関する金利指標置換後の会計処理の趣旨の明確化 実務対応報告第40号の19項になお書きを追加し、金利指標置換後に金利スワップの特例処理に係る金融商品実務指針178項の⑤以外の要件が満たされている場合には、2024年3月31日以前に終了する事業年度の翌事業年度の期首以降も金利スワップの特例処理の適用を継続することができることを明確化する。 当該取扱いは振当処理にも同様に適用することができる(19-3項)。 2 金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間を1年延長した場合の取扱い 金利指標置換時が2024年3月31日以前に終了する事業年度までに到来していない場合であっても、2024年3月31日以前に終了する事業年度までに行われた契約条件の変更又は契約の切替が金融商品実務指針178項の⑤以外の金利スワップの特例処理の要件を満たしているときには、2024年3月31日以前に終了する事業年度の期末日後に到来する金利指標置換時以後も金利スワップの特例処理を継続することができる(19-2項)。また、適用にあたって一定の歯止めを設ける観点から、契約条件の変更又は契約の切替が公開草案19項の適用期間内に行われることを求めている(58-9項)。 当該取扱いは振当処理にも同様に適用することができる(19-3項)。 Ⅳ 適用時期等 改正された実務対応報告は、公表日以後適用することができる。 (了) ↓直近1ヶ月の会計情報の速報解説をまとめた連載が開始しました↓
《速報解説》 完全子法人株式等及び関連法人株式等の配当に係る源泉徴収の見直し ~令和4年度税制改正大綱~ 太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太 令和3年12月10日公表の「令和4年度税制改正大綱」(与党大綱)において、完全子法人株式等及び関連法人株式等の配当に係る源泉徴収について見直しを行うことが示された。本稿ではその概要について解説を行う。 1 改正の背景 会計検査院は令和2年11月に、完全子法人株式等に係る配当等の全額及び負債利子を控除した関連法人株式等に係る配当等の全額については、益金不算入となるにもかかわらず、これらの配当等について源泉徴収を行った場合、納税者側では、配当等に係る源泉徴収により一時的な資金負担と事務負担が生じ、税務署側でも還付金及び還付加算金を支払うことによる還付事務が生じることとなるという点で、源泉徴収の制度趣旨に必ずしも沿ったものとなっていないと指摘し、本来の趣旨に沿ったより適切なものとするための検討を行うよう求めていた。 これを受け、「令和4年度税制改正大綱」において、完全子法人株式等及び関連法人株式等の配当に係る源泉徴収の見直しが盛り込まれた(P26)。 改正の背景の詳細については、以下の拙稿を参照されたい。 2 改正の概要 大綱に盛り込まれた改正の概要は次の通りである。 一定の内国法人(※)が支払を受ける配当等で次に掲げるものについては、配当等に係る所得税の源泉徴収を行わないこととする。 (※) 「一定の内国法人」とは、内国法人のうち、一般社団法人及び一般財団法人(公益社団法人及び公益財団法人を除く)、人格のない社団等並びに法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされている法人以外の法人をいう。 ①の配当等は、受取配当等の益金不算入制度の配当等の区分における「完全子法人株式等の配当等」と同様と考えられるが、下記3に示す通り、②の配当等は、受取配当等の益金不算入制度の配当等の区分における「関連法人株式等の配当等」と同様ではない可能性がある。 3 受取配当等の益金不算入制度における関連法人株式等に係る受取配当等との比較 受取配当等の益金不算入制度における「関連法人株式等に係る受取配当等」は、内国法人が他の内国法人の発行済株式等の総数等に占める割合が3分の1超となる株式等を配当等の額に係る配当等の基準日等の翌日から今回の配当等の基準日等まで引き続き保有する場合における受取配当等をいい、「3分の1超を保有しているかどうか」の判定については、令和2年度税制改正により、令和4年4月1日以後に開始する事業年度については、完全支配関係がある法人内の法人全体の保有株式数等により判定することとなる。 したがって、源泉徴収を行わないこととなる上記2②の配当等が、「内国法人が直接に保有する他の内国法人の株式等」と直接保有のみを想定しており、完全支配関係がある法人内の法人全体の保有株式数等で判定することとなっていないため、関連法人株式等に係る配当等の源泉徴収がすべて不要となるわけではない点に留意が必要である。 また、3分の1超の保有期間についても、上記2②の配当等では「基準日において」と記載されており、継続保有を求めていないようにも読めるため、今後どのように規定されるかについて確認する必要がある。 4 適用時期 今回の改正は、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用される予定である。 5 今後の留意点 大綱では、 と記載されていることから(P8)、令和5年度税制改正で何らかの見直しがなされる可能性もあるため、今後もその動向に注視する必要がある。 (了)
2021年12月23日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.450を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
谷口教授と学ぶ 税法基本判例 【第9回】 「課税減免規定の解釈のあり方」 -判例にみられる課税減免規定固有の問題の検討- 大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫 Ⅰ はじめに 前回は、税法が定める課税減免規定の解釈について、その限定解釈の意義・性格及び射程を検討したが、今回は、その解釈のあり方について若干の判例を素材にして検討することにする。 なお、これまで「課税減免規定」という言葉を特に定義することなく用いてきたが、ここでその定義を述べておくと、課税減免規定とは、納税義務の成立に係る課税要件法の定める種々の法律要件のうち、非課税・経費控除・所得控除・税額控除・課税繰延べ等の措置による租税負担の軽減又は排除を定める規定をいう。それは、納税義務の成立を積極的に根拠づける法律要件(課税根拠要件ないし積極的課税要件)を定める規定に対して、納税義務の成立や租税負担の発生を阻害する法律要件(課税阻害要件ないし消極的課税要件)を定める規定である。租税特別措置法が定める租税優遇措置は勿論これに当たるが、所得税法・法人税法・消費税法・相続税法等のいわゆる「本法」が定める、各租税の基本構造を形成する措置(構造的措置)に係る規定の中にも課税減免規定に該当する規定がある。 Ⅱ 解釈の厳格性と解釈の狭義性 税法の解釈については、租税法律主義の下で、法規の文言・法文から離れた自由な解釈を禁止しそれに忠実な解釈すなわち厳格解釈が要請され、そしてその厳格解釈の要請は原則として文理解釈を意味することは、これまでに述べてきたところであるが(第4回Ⅰ、第6回Ⅲ1、第7回Ⅰ等参照)、課税減免規定に関する裁判例の中には、解釈の厳格性を解釈の狭義性と同視し、狭義解釈の要請を殊更に強調するものがみられる。租税法規における非課税要件規定の解釈態度について最判昭和53年7月18日訟月24巻12号2696頁が「正当として是認」した仙台高判昭和50年1月22日行集26巻1号3頁は次のとおり判示している(下線筆者)。 確かに、解釈の厳格性と解釈の狭義性は、感覚的には、同視することができそうである。しかし、厳格解釈の要請に基づく文理解釈は、「一般人の理解」(最判平成9年11月11日訟月45巻2号421頁。第7回Ⅱ参照)に従って、法規の文言の「通常の意味」(金子宏「租税法解釈論序説―若干の最高裁判決を通して見た租税法の解釈の在り方」同ほか編『租税法と市場』(有斐閣・2014年)3頁)ないし「普通の常識的な意味」(田中成明『現代法理学』(有斐閣・2011年)467頁)を解明するものであるが(第7回Ⅱ参照)、その「通常の意味」ないし「普通の常識的な意味」は、同一の文言につき辞書的には複数の意味がある場合には、広義又は狭義のいずれでもあり得る以上、解釈の厳格性と解釈の狭義性とは、論理的には、別次元の問題である(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【48】)。 法規の文言の「通常の意味」ないし「普通の常識的な意味」が辞書的には広義である場合には、解釈の狭義性は当該文言の縮小解釈に帰結することになる。そうすると、課税減免規定の縮小解釈は、結果的には、課税根拠要件ないし積極的課税要件を定める課税要件規定の拡張解釈と同じく、納税義務の創設・拡大ないし租税負担の増大をもたらすことになるが、そのような縮小解釈ないし拡張解釈は租税法律主義の下で許容されるものではない(清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)35頁、金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)123頁参照)。 したがって、税法の解釈において厳格解釈の要請を狭義解釈の要請と混同してはならない。解釈者はこのことを特に課税減免規定の解釈について明確に認識すべきである。 Ⅲ 「課税要件法に組み込まれた手続法」の解釈 1 手続的協力義務 課税減免規定の中には、課税減免を受けるための一定の手続を定めるものがある。そのような規定は、税法の体系上は、課税要件法の領域に属しながら、手続法の性格をも併有するものであることから、筆者は、従来から、これを「課税要件法・租税実体法に組み込まれた手続法」(前掲拙著【48】【97】【134】)として性格づけ、その解釈のあり方について検討してきた(拙稿「錯誤に基づく選択権行使の拘束力に関する一考察(1)(2・完)」税法学491号(1991年)1頁、同492号(同年)1頁等参照)。 そのうち、そのような規定の手続法的性格に着目しその解釈によって、課税減免の適正さを確保するために納税者の手続的協力義務を拡大しようとする場合がある。例えば、消費税の仕入税額控除に係る帳簿書類保存義務(消税30条7項)から税務調査協力義務を導き出し、これを本来の租税手続法上の税務職員の質問検査権と「接合」しようとするものとして、最判平成16年12月16日民集58巻9号2458頁は次のとおり判示している(下線筆者。最判平成16年12月20日判時1889号42頁、最判平成17年3月10日民集59巻2号379頁も同旨)。 ただ、このような解釈によって納税者の手続的協力義務を拡大しようとすると、仕入税額控除の帳簿書類保存要件につき上記引用判示の(3)の解釈に帰結することになるが、この解釈は仕入税額控除という消費税法上の構造的措置としての実体的措置の適用を左右するものであることからすると、課税減免規定の解釈は、課税減免規定の手続法的性格を考慮した「目的・手段思考」に基づく緩やかな解釈(目的達成の観点から手段について行う緩やかな解釈)に帰結しないよう、その厳格性を慎重に吟味して、これを行うべきである。その意味で、前掲最判平成16年12月20日における滝井繁雄裁判官の反対意見は正当である。少し長くなるが、仕入税額控除の性格・位置づけも含め関連部分を以下に引用しておこう(下線筆者)。 なお、滝井裁判官は仕入税額控除を「消費税額を算定する上での実体上の課税要件にも匹敵する本質的な要素とみるべきもの」(上記引用中の2つ目の下線部)として課税要件そのものとはみていないが、このことも妥当である。というのも、税額控除は、課税要件としての課税標準に対して同じく課税要件としての税率を乗じて算出された金額(算出税額)から控除されるものであり、税法の体系上は、納税義務の成立に係る課税要件法の領域には属さないものの、算出税額から控除され実際の租税負担(納付税額)を決定するものであることから、成立した納税義務の消滅原因の1つである免除のうち納税義務の成立と連動する特殊な形態の免除であり、租税実体法の領域には属するからである(前掲拙著【95】参照)。筆者は課税減免規定を、前記Ⅰで述べたとおり、納税義務の成立や租税負担の発生を阻害する法律要件(課税阻害要件ないし消極的課税要件)を定める規定と定義しているが、税額控除は租税負担の発生を阻害することから課税減免規定に該当すると考えるのである。 2 意思主義 課税減免規定のうち課税減免を受けるための一定の手続を定めるもの(課税要件法・租税実体法に組み込まれた手続法)において、納税者がその選択を誤った場合の救済については、その選択をしなかった場合に係る宥恕規定の適用を除き、実定税法上特段の救済措置は講じられていないため、実定税法の解釈によって対応することはできない。そこで、その救済措置を法創造によって創設することができるかどうかが問題になる。 租税法律主義の下では、行政による法創造が許容される余地はなく、裁判官による法創造も原則として認められない(例外的に法創造を認めた判例については、拙稿「租税法律主義と司法的救済保障原則ー裁判官による文理解釈の『適正化』のための法創造根拠理由の研究ー」税法学586号=日本税法学会創立70周年記念号(2021年)377頁、386頁以下、特に下記の判例の検討については390-392頁参照)。とりわけ課税要件法の領域では、「私法上の債務関係の成立に必要な意思の要素に代わるもの」(金子・前掲書156頁。前掲拙著【88】も参照)としての課税要件はすべて法律で定められなければならない(課税要件法定主義)ので、この建前上は、少なくとも納税義務の成立については、課税減免規定に係る選択が納税者の意思表示であるとしても、近代法の基本原理としての意思主義が働く余地はない。 もっとも、課税減免規定のうち選択に係る手続法の側面に着目すると、意思主義に基づく法創造による救済の余地を認めることができるように思われる。そのような余地を社会保険診療報酬に係る概算経費の選択(措置法26条3項)について認めた判例として、最判平成2年6月5日民集44巻4号612頁がある。この判決は、概算経費選択を「意思表示」とみて、錯誤に基づく概算経費選択の取扱いについて次のとおり判示した(下線筆者)。 「近代法の構造というものは、すべて個人の意思を中心に構成されている」(伊藤正己『近代法の常識〔第3版〕』(有信堂・1992年)163頁)が、税法は租税法律主義の支配する領域にあるとはいえ究極的・原理的には近代法を基礎とするものである以上、課税減免規定がその適用を納税者の選択にかからしめその選択の法的性格が意思表示と解される場合には、税法についても意思主義の妥当性を認め、それに基づく法創造による救済を認める余地はあると考えられる。そのような法創造を行った前記判決は、税法における裁判を受ける権利(憲法32条)の実効的保障を目的とする司法的救済保障原則(前掲拙著【27】参照)の観点から、錯誤に基づく概算経費選択に係る実定税法上の救済措置の不備を補い司法的救済を実現するものとして、高く評価すべきものである(前掲拙稿(税法学586号)400頁参照)。 なお、この判決は、修正申告の事案に関するものであるが、「錯誤に基づく概算経費選択の意思表示」の撤回に基づく実額経費(所税37条1項)の控除により申告税額が減少する場合には、更正の請求(税通23条1項)が認められると解される(金子・前掲書969頁、前掲拙稿(税法学586号)392頁参照)。 Ⅳ おわりに 以上において、前回に引き続き、課税減免規定の解釈について検討した。課税減免規定も税法が定める規定である以上、その解釈も原則として税法一般の解釈と異ならないと考えられるものの、通常の課税要件規定(課税根拠規定ないし積極的課税要件規定)とは異なる固有の解釈方法論を必要とする場合もあるように思われる。 今回は、特に課税減免規定の解釈について厳格性と狭義性との混同の問題性を指摘し(Ⅱ)、また、「課税要件法・租税実体法に組み込まれた手続法」という観点から、課税減免規定の解釈のあり方について検討し、納税者の手続的協力義務の拡大の問題性及び誤った選択に関する、意思主義に基づく法創造による救済の必要性を明らかにした(Ⅲ)。 (了)