計算書類作成に関する “うっかりミス”の事例と防止策 【第31回】 「「△」のつけ忘れはこんなところでも起こる」 公認会計士 石王丸 周夫 1 今回の事例 計算書類のドラフトにはうっかりミスがつきものです。 たとえば、こんなミスをよく見かけます。 【事例31-1】 負数を示す△が記載されていない。 【事例31-1】は、個別注記表で開示される「税効果会計に関する注記」です。この中に、間違いが1ヶ所あります。事例のタイトルから、△の付け忘れがあるということはすぐにわかると思います。しかし、それがどの数字なのか、一瞬、考えてしまうかもしれません。 2 0の前にも△がつくことがある では、正解を見てみましょう。以下のとおりです。 正解に示したとおり、【事例31-1】では、赤丸を付けた△マークが抜けていました。 繰延税金資産・負債の発生原因別内訳の注記では、貸方残高の数字に△を付します。具体的には、借方サイドの繰延税金資産から控除される「評価性引当額」と、貸方サイドの「繰延税金負債の各項目」の数字です。 【事例31-1】でも、そのような理解で作成されていましたが、1ヶ所だけ△が抜けていました。「繰延税金負債 その他 △0」のところです。 ここで△を付け忘れてしまった原因は、おそらく、数字が0だったからでしょう。0という数字はプラスでもマイナスでもありませんので、△0(マイナスゼロ)という表記を日常で目にすることはありません。したがって、△のない「0」を見ても不自然と感じることはなく、△を付け忘れてしまったのです。 ところが、「0百万円」は「0円」ではありません。「0円」の場合は「-百万円」と表示されます。「0百万円」は「1円~999,999円」の範囲の数字です。これが貸方残高であれば、△表示となり、「△0」となるわけです。 このように、0の前の△というのはミスしやすいので、注意が必要です。 3 これまで紹介した「数字の前の△に関するミス」 この連載では、数字の前の△に関するミスをいくつか紹介してきました。それらのミス事例を整理しておきましょう。 いずれも一見単純なミスでしたが、ミスが起きてしまった背景はそれぞれ異なっていました。 今回の【事例31-1】も単純なミスですが、0の前の△でミスをするという点は、上記の3事例のいずれにも見られなかったことです。△に関するミスにもいろいろあるので、できるだけ多くの事例を頭に入れておくことで、ミスの防止・発見につながります。 〈今回のまとめ〉 0の前に△が付く場合、△が抜けていても気がつかないことが多いので注意しましょう。 (了)
企業結合会計を学ぶ 【第37回】 (最終回) 「被結合企業の株主に係る会計処理④」 -受取対価が現金等の財産と結合企業の株式である場合の 被結合企業の株主に係る会計処理- 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 本連載の最終回となる今回は、被結合企業の株主に係る会計処理のうち、受取対価が現金等の財産と結合企業の株式である場合の被結合企業の株主に係る会計処理を解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 受取対価が現金等の財産と結合企業の株式である場合の被結合企業の株主に係る会計処理(子会社を被結合企業とした企業結合) 現金等の財産(結合分離適用指針268項)と結合企業の株式を対価とする企業結合により、子会社株式である被結合企業の株式が引き換えられた場合、当該被結合企業の株主(親会社)に係る会計処理は、事業分離における分離元企業の会計処理に準じて行う(事業分離等会計基準45項、結合分離適用指針282項)。 被結合企業の株主は、次のように会計処理する(結合分離適用指針282項)。 Ⅲ 受取対価が現金等の財産と結合企業の株式である場合の被結合企業の株主に係る会計処理(関連会社を被結合企業とした企業結合) 関連会社を被結合企業とする企業結合により、現金等の財産と結合企業の株式を対価として関連会社株式である被結合企業の株式が引き換えられ、当該被結合企業(関連会社)に対する持分比率が減少するが、結合後企業が引き続き当該被結合企業の株主の関連会社である場合(関連会社株式から関連会社株式)、被結合企業の株主は次のように会計処理する(事業分離等会計基準46項、結合分離適用指針283項)。 Ⅳ 受取対価が現金等の財産と結合企業の株式である場合の被結合企業の株主に係る会計処理(子会社や関連会社以外の投資先を被結合企業とした企業結合) 子会社や関連会社以外の投資先(共同支配企業を除く)を被結合企業とする企業結合により、対価として子会社株式や関連会社株式以外の被結合企業の株式が、現金等の財産と結合企業の株式とに引き換えられた場合、被結合企業の株主は、金融商品会計基準に準じて会計処理する(事業分離等会計基準47項、結合分離適用指針284項)。 このため、次のように会計処理する。 (連載了)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会社対応のポイント 特定社会保険労務士 第一種衛生管理者 産業カウンセラー 寺本 匡俊 1 はじめに 現在、感染が拡大している「新型コロナウイルス感染症」であるが、もし会社から感染者が出た場合、会社としては、労働力の低下、営業停止の恐れ、風評被害などの業務上のリスクがあることは明らかであり、すでにその影響は大きくなりつつある。 そこで本稿では、今般の新型コロナウイルス感染症に関し、職場において労使を問わず、その予防(かからない)及び感染拡大の阻止(うつさない)の方策、また、罹患の疑い又は患者が発生した場合の当面の会社対応についてポイントをまとめることとする。 現状、新型のウイルスであり感染拡大中ともあって、公官庁から公表される情報は刻々と更新されていることから、本稿は2020年3月3日午後3時の時点での公開情報に基づくものとする。実際、追加・修正が頻繁であり、例えば厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」(以下、「Q&A」という)も3月2日付で更新され、本稿公開時点(2020年3月5日午前10時30分)において、既に異なる情報が公表されているかもしれない。 2 予防及び感染拡大阻止のための会社対応 「新型コロナウイルス」はいわば通称であり、英語で病名は「COVID-19」、ウイルスは「SARS-CoV-2」と正式に命名された。この「新型コロナウイルス」も、別の「新型」が出れば、改めて固有名詞ができると考えられる。また、ウイルス名から分かるとおり、2003年に流行したSARSの言わば第2号であり、別の病とはいえ医学的に類似点があるのだろう。 SARSの時と同様、新型コロナウイルスも予防薬・治療薬は現在のところ存在しない。そのため予防の手段としては、資料により若干異なるものの、概ね風邪や季節性のインフルエンザと同様である。 主な予防手段の共通点を挙げると、次のようになる これらは一般的な風邪予防の基礎であるが、まずはこれらを従業員に周知することが、社内の安全衛生対策の第一歩となる。 なお、安全衛生対策の参考として、医学界の情報を下記に掲載しておく。 上記の予防手段の3点は私生活においても同様であるが、特に職場や通勤・帰宅においては、不特定多数と接触する機会も多いことから、多くの会社が実施しているように、例えば、次のような方策を徹底するのも重要である。 上記の(4)以降については、「働き方改革」と組み合わせて行うこともできるので、前向きな検討をお勧めしたい。 また報道によれば、新型コロナウイルスの特徴として、発熱する人が多いことや、肺炎にいたる重症者に高齢者が多いことが挙げられる。行政や医学界が、毎日の体温測定を呼び掛けているのも、発熱は個々人で自覚しやすい兆候だからだが、これに関連して一点、注意願いたいことがある。 内閣官房サイトの「新型コロナウイルス感染症の対応について」のなかで、「次の症状がある方は『帰国者・接触者相談センター』にご相談ください」という箇所の「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている」という文言がネット等で強調され、「熱が出ても4日間も待つのか」という苦情が流れているが、これは上記の相談センター(都道府県や保健所に設置されている)にアクセスする際の目安である。その続きの文中にあるように、高熱等でつらいとき、かかりつけ医の診断・治療を受けることを妨げるものではないため、もし罹患の疑いがある従業員が出た場合には、上記のような誤情報ではなく、正しい情報を伝えられるよう情報の取得には留意すべきである。 また、肺炎が死因に占める割合は、高齢になるほど高くなる傾向があるため、高齢者雇用が進んでいる職場では、特に予防には注意を要したい。なお、一部報道によれば本ウイルス検査は、保険診療になる方向で検討がなされているとのことだ。 3 不調者や患者の発生時の会社対応 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界で前回SARSの症例報告数を、早くも上回っている。感染率がかなり高いことを前提として、今回の特徴的症状として報じられている発熱、セキ、倦怠感(だるさ)の自覚・他覚(周囲から見て)がある場合は軽い症状でも、従業員本人の納得・同意を得たうえで、回復するまで極力、会社を休んでもらうことが望ましい。 この場合、その時々で個々人に休業を命ずる場面を避けるため、あらかじめ会社の方針として、早いうちにこの旨をトップから内定者にいたるまでの全員に周知しておくことが重要である。また、休業者が出ると周囲の従業員の仕事が増えることもあるため、労働時間の管理などについてのケアも考慮しておきたい。 次に、発症者又はその疑いのある人が仕事を休んだ場合、休業手当(労働基準法第26条)の取扱いが課題となる。結論からいえば、Q&Aに示されているように、ケース・バイ・ケースの対応となる。 Q&Aによれば、患者発生の場合、「感染症法に基づき、都道府県知事が該当する労働者に対して就業制限や入院の勧告等を行うことができる」とあるように、文面上は都道府県で対応が異なる可能性があり、確認を要する。 とはいえ、私見ながら現状、就業制限の勧告が出ないとは考えづらい。勧告があれば行政の判断として「就業させないでください」となるため、一般に、「使用者の責」とはならない。一方、少し疑わしいという程度で上司の判断により休業を命ずる場合は、会社都合であるから、休業手当の支払い対象となると考えられる。 一方、Q&Aの「3 労働者を休ませる場合の措置(休業手当、特別休暇など)」の問1にあるように、休業手当を支払わない場合、次の2つの要件を満たすものでなければならないと解されている。 ②は三六協定を超えた長時間労働や休日不足などの法令違反を避けるのはもちろん、多くの職場でやっているような予防対策(前出の例でいえば、アルコール消毒液の設置、室内の換気、勤務条件の緩和など)を怠らないことだ。 病気以前の問題として、「他の会社がやっていて、うちの会社だけなぜやらない」というような、人事労務に何より重要な労使の信頼関係を損なうような事態を避けるためには、同業他社や地域の企業等との情報交換等を心掛けたい。 なお、休業手当は、会社の責ではない場合、「払わなくてもよい」のであって、「支払ってはならない」わけではない。特に、本人に働く意思があるにもかかわらず会社の命令で休ませるような場合、平均賃金の6割とはいかずとも、何らかの生計補助的な支援ができないか、あらかじめ検討し準備しておくのも一案である。 また、条件を満たせば、今回の影響に伴い実施されている特例で「雇用調整助成金」が出るかもしれない。なお、問合せ先はハローワークとなる。他にも企業支援の方策が検討されている。 4 さいごに 当面は諸情報の追加・修正が続くと考えられるので、厚生労働省の新型コロナウイルスに関する特設ページや「報道発表資料」を毎日確認することをお勧めする。医療、労働法、社会保障など同省の全分野におけるプレス・リリースの内容が、日々更新されている。 また、同省に限らず他省庁や地方自治体からも情報発信があるので、業種・職種・地域により確認いただきたい(下記に新型コロナウイルスに関する公官庁の主要な特設ページ等を参考までに掲載する)。 (了)
空き家をめぐる法律問題 【事例22】 「マンションが空き家の場合の法的責任と対応」 -水漏れ事故の場合- 弁護士 羽柴 研吾 - 事 例 - Aはマンションの一室の区分所有者であるところ、天井から水漏れが発生し、住戸内が水で濡れ家財等にも被害が生じている。その原因は、マンション内の配管の老朽化が原因であることまでは判明したが、上階の住戸に居住者はおらず、生存しているのか死亡しているのかもわからない。 Aは管理組合に対応を相談しているが、このような場合、誰がAに対して損害賠償義務を負うか。 1 マンション空き家の問題 空き家の問題は、一戸建てに限らず、マンションのような集合住宅でも生じている。マンションの場合には、1つの建物に複数の権利者が存在するため、一戸建ての場合以上に問題が複雑化する可能性がある。 そこで今回は、マンションが空き家の場合に、水漏れ事故が生じた事例の法律関係を検討することとしたい。なお、ここでいう「マンション」は、区分所有権の対象となるものであり、いわゆる単一オーナーが賃貸に供しているものではない。 2 専有部分と共用部分とを区別することの意味 住戸の天井から水漏れが生じ、それが上階の住戸の配管の老朽化が原因(保存に瑕疵)と特定でき、それが専有部分に属する場合には、上階の住戸の区分所有者が占有者として損害賠償責任(民法第717条)を負うことになる。これに対して、当該配管が共用部分である場合には、管理組合が共用部分の占有者となることから、管理組合が賠償責任を負う。 この点に関し、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という)第9条は、建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害が生じている場合に、共用部分の設置又は保存の瑕疵と推定する旨規定している。そのため、階下の住戸の区分所有者が、上階の住戸の区分所有者が不在等で現実的に連絡を取れないような場合には、当該推定規定を利用して、管理組合に対して損害賠償請求を行うことになろう。管理組合としては、損害賠償義務を免れるためには、当該水漏れの原因を調査し、配管が専有部分であることを立証する必要がある。 このように、「専有部分」と「共用部分」の区別は、誰が損害賠償責任を負うかの問題を考える上で重要な意味を持つ(後述するとおり、賠償責任を負う者と実際に費用を負担する者は必ずしも一致しないこともある)。しかしながら、区分所有法第2条第4項によれば、共用部分とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第4条第2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいうと規定されているにとどまり、その内容は一義的に明らかではない。そのため、実際の建物の構造等を見て、個別具体的に判断しなければならないという問題がある。 本件のような配管は、建物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にあるため、区分所有法第4条第2項に規定する「建物の附属物」に該当すると解されるところ、従来の一般的な考え方によれば、主配管(本管)については共用部分であり、本管から分岐して各住戸へつながる枝管については専有部分と理解されていた。実際に、国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)の共用部分の例示についても、「雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管」を共用部分としており(別表第2)、枝管は専有部分であることを前提としている。 もっとも、近時の裁判例の中には、上記の一般的な考え方と異なり、各住戸を区分する構造躯体のコンクリートの下に配管が設置される、いわゆる床スラブ下配管(床スラブ貫通配管)が共用部分に該当すると判断したものがある(最判平成12年3月21日判タ1038-179参照)。当該裁判例は、当該床スラブ下配管が特定の住戸からの汚水を流すためのものであり、配管を修理するためには、当該住戸からではなく、階下の住戸の天井裏から修理をしなければならない点を重視したものである。 建築年数の浅いマンションは床スラブ上配管となっており、枝管も専有部分と解される可能性が高いが、築年数の古いマンションの中には床スラブ下配管となっているものもあるため、枝管から漏水した場合でも、管理組合が損害賠償義務を負う可能性があることに留意が必要である。 3 修繕費用の負担者について 上記2のとおり、マンションで漏水等の問題が生じた場合、共用部分からの漏水であれば管理組合が修繕費用を負担し、専有部分であれば区分所有者が負担することになる。しかしながら、その区分は必ずしも明らかではないため、管理組合として修繕費用を負担できるかどうかの判断も容易ではない。他方で、管理組合としては、他の区分所有者の専有部分の損傷等に起因して被害に遭っている区分所有者がいる場合には、修繕に向けて活動をすることも求められる。 そこで、配管のような、共用部分と構造上一体として供されている設備については、管理規約で、管理組合が第一次的に当該設備の修繕等を行えるように定めておくこともできる(なお、管理規約に定めがないような場合には、管理組合総会で決議をすることも可能である)。このような条項が管理規約にある場合には、管理組合が第一次的に専有部分の修繕を行うことが可能となる。 問題は、当該住戸の区分所有者が不在である場合や、区分所有者の相続人が相続放棄をしているような場合に、修繕費用を回収することができるかという点である。この点については、管理組合が利害関係人として不在者財産管理人や相続財産管理人の選任申立てを行い、不在者の財産や相続財産の換価代金から回収を図る方法もあるが、選任申立ての際に予納金として、相当の費用(30万円~100万円程度)を負担する必要があるため、現実的には保険等で費用を填補していくことになると思われる。 4 本件の場合 Aの住戸への水漏れの原因が配管の老朽化にあることは特定可能であることから、Aは、管理組合に対して、損害賠償請求をすることが考えられる。 一方で、管理組合が水漏れの原因を調査した結果、床スラブ下配管となっている枝管の老朽化であることが判明したような場合には、Aは、連絡の取れない上階の区分所有者に対して損害賠償請求をせざるを得ないことになる。 このような場合に、当該マンションの管理規約に管理組合が修繕できる旨の条項等があれば、管理組合に修繕を依頼し、そのような対応が難しい場合には自らの保険等を利用することが現実的な対応になるものと思われる。 (了)
2020年株主総会における 実務対応のポイント -新型コロナウイルスへの対応を中心に- 三井住友信託銀行 証券代行コンサルティング部 部長(法務管掌) 斎藤 誠 いよいよ株主総会準備のシーズンとなった。改正会社法が昨年12月に成立したものの、未施行のため、今年の総会への影響はなく、総会実務に影響するような目立った法改正もない。株主総会準備において今年は平穏なものとなるはずであったが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応が喫緊の課題となっている。このため、まずは株主総会での新型コロナウイルス対策から説明する。 なお、文中意見にわたる部分は、筆者の私見であることをあらかじめお断り申し上げる。 1 新型コロナウイルス対応 (1) 会場の準備関係 本格的に新型コロナウイルス対応の株主総会が実施されたのは、2月に開催された株主総会からである。総会で実施された対策をまとめてみると、会場準備では、マスク、消毒薬の準備がある。株主にはマスクの着用と消毒薬での消毒をお願いする事例が多い。受付スタッフもマスクを着用して対応することが考えられる。 入場前に株主の体温を測定することも考えられなくもないが、事前に体調には十分注意して来場することを注意喚起し、株主からの申し出又はスタッフから見て体調が悪そうな株主を見かけた場合には体温測定をお願いするなど、お願いベースでの対応にとどまっている。当日の受付にはマスクの着用と消毒のお願いについて表示し、スタッフからも声掛けを行うことが考えられる。 株主控室等で株主へ給茶機でのお茶の提供をしている場合には、ペットボトル又はパックのお茶等への切替えや、そもそも控室自体を廃止してしまうことも考えられる。また、軽食の提供や株主への会社説明などを行っている総会後の懇親会なども中止することが考えられる。 (2) 当日の運営関係 感染リスクを低減させるよう短時間での総会運営を行うため、株主には円滑な議事進行についての協力依頼を行うことになる。総会の時間全体で大きなウェイトを占めるのは事業報告、計算書類の報告と議案の説明であるから、これらの報告を簡素化することが効果的である。 もちろん株主の質問を制限することは難しいが、株主に円滑な議事進行についての協力をお願いすることになる。総会の時間の短縮には、一括審議方式の採用も効果的である。株主の質問に際してハンドマイクを使用している場合には、スタンドマイクを設置して株主が直接マイクに触れるのを防ぐことが考えられる。 なお、会場の設営に際して株主席の配置に余裕を持たせることも考えられるが、それにも限界があるので、従来より規模を縮小して総会を実施することとし、株主へは事前に協力を依頼しておくことが現実的であろう。 (3) 株主への事前の案内 株主へは来場に際して体調管理に配慮してもらうこと、少しでも体調に不安がある場合には来場を見合わせることなどを依頼する。また議決権行使書の返送やインターネットによる議決権行使での投票などの依頼が考えられる。株主への事前の案内は、狭義の招集通知の欄外余白等に記載することになろう。 (4) 有価証券報告書の提出、決算発表等の対応 新型コロナウイルスの影響で中国子会社への監査業務が継続できないなど、やむを得ない理由により期限までに有価証券報告書を提出できない場合への猶予措置について、金融庁より「新型コロナウイルス感染症に関連する有価証券報告書等の提出期限について」が公表されている。 新型コロナウイルス感染症の影響により決算手続き等に遅延が生じた場合の対応については、東証から「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた適時開示実務上の取扱い」が公表されている。 いずれも所定の手続きからの柔軟な対応を認めるものであり、決算等への影響については、事前にこれら関係各所と十分に連携して対応することが必要である。 なお、定時株主総会自体は基準日から3ヶ月以内に開催することが予定されており、新型コロナウイルスの影響で、基準日から3ヶ月以内の開催ができない場合には、再度基準日を設定して開催することになる。定時株主総会の開催日と基準日との関係については、法務省より「定時株主総会の開催について」が公表されているので、こちらも参照されたい。 2 招集通知関連 招集通知作成の工夫としては、「任意の記載事項」への対応がポイントである。例えば、受付開始時間の記載は一般的となりつつあり、総会の直前に集中しがちな来場者を分散する効果もあると思われ、株主にとっても来場時間の目安となる親切な記載である。 また、株主の関心の高いお土産に関しては、お土産の用意がない旨や、お土産を廃止した旨、1人1個であることなどの記載がある。特にお土産を廃止した場合には、株主が確実に認識できるように目立つ記載としている事例が多い。 なお、今年の対応として、前記の新型コロナウイルス関連の注意事項を記載する場合など、任意の記載事項が多数にわたる場合には、特に目立たせる必要のある事項については、色を付ける、下線を引く、太字にする等の工夫も必要である。 3 議案関係の記載 議案関係の記載では、「役員選任議案」がポイントである。特にここ数年は役員選任議案の冒頭に役員候補者の氏名のほか、新任・再任の別、地位や担当、在任年数や取締役会への出席状況などを一覧表形式で記載する事例が増加している。機関投資家の判断において取締役会における社外取締役の比率や、取締役会の多様性なども注目されており、理解しやすい情報提供としても一覧表形式を採用する会社が増加しつつある。 社外役員の独立性に関して機関投資家の議決権行使基準も厳格化しており、十分な情報提供のため独立役員に指定する旨や会社が定めた独立性基準を議案に掲載する事例も多くみられる。さらに踏み込んで選任基準や方針、指名委員会等の関与の状況について記載する事例もあり、役員選任議案の記載内容は年々充実している。また、役員候補者の顔写真の掲載なども株主にとって分かりやすい情報提供である。 いずれにしても役員選任議案については法的に適切な情報開示はもちろんのこと、機関投資家の判断においても十分な情報開示を行う必要があることから、法的な側面だけではなく、機関投資家目線でも必要十分な情報開示となっているかに留意することが必要である。そのためにも機関投資家の議決権行使基準の最新動向を踏まえた上で、議案を作成していくことが望ましい。 4 改正開示府令への対応 企業内容等の開示に関する内閣府令の改正(以下、「改正開示府令」という)により、2019年3月期の有価証券報告書から「建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報」が拡充され、主に業績連動報酬に関する開示の充実化や政策保有株式の開示対象が拡大された。 いずれも機関投資家の関心の高い事項であり、記載内容については本年も見直しをしておくことが考えられる。また、本年3月期の有価証券報告書では、さらにリスク情報の開示など追加で開示が必要となる項目もあり、引き続きその対応には留意することが必要である。 5 おわりに 本年の総会対応は、冒頭での新型コロナウイルス対応がクローズアップされているが、状況は日々変化しているので常に情報収集を行い、適切に対応することが望まれる。 当日の運営は、基本的には簡素化し議事進行もコンパクトにする形が多くなると思われるが、機関投資家の議決権行使は引き続き厳格化しており、議案の可決に向けた活動についても注意を払う必要がある。 (了)
〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第30話】 「海外不動産の節税封じ改正」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一 「こんな改正は・・・当然行われるべきだ。」 中尾統括官は、「令和2年度税制改正大綱」を見ながらうなずく。 「不動産所得をマイナスにして、他の所得と損益通算をするというスキームは、昔からいろいろと行われていたからな・・・」 中尾統括官はつぶやく。 「航空機リース事件(名古屋高裁平成17.10.27判決)も・・・不動産所得をマイナスにして他の所得と損益通算をしたものだが・・・これは課税庁が裁判で負けているものの、平成17年度税制改正(措法41の4の2)で、今はもうこのスキームは使えなくなっている・・・」 そこへ浅田調査官が、中尾統括官の傍らにやって来る。 「統括官は、まだ施行されていない令和2年度税制改正をもう勉強しているのですか・・・」 浅田調査官は、中尾統括官の開いている冊子を覗きながら言う。 「この改正に関する記事は、以前・・・どこかで見たことがありますね・・・」 浅田調査官は、大綱をもう一度、首を伸ばして確認する。 「そうだな。この改正は、もともと会計検査院の平成27年度決算報告書で指摘されたことがきっかけで行われたものだ。」 そう言うと、中尾統括官は、会計検査院の報告書のコピーを浅田調査官に見せる。 「大綱では『国外中古建物』という表現になっているけれども・・・土地よりも耐用年数を過ぎた中古建物の方が価額が高いという・・・アメリカの実情を念頭に置いて改正されたものだろうな。」 中尾統括官が説明する。 「ところで、この国外中古建物とは・・・大綱によると、次の3つの方法によって算定しているものとなってますが・・・要は、簡便法や見積法による減価償却を採用することによって、大きな損失を発生させることができるということなのですね。」 浅田調査官は、大綱に載っている①から③の3つの方法を指さしながら、中尾統括官の顔を見る。 「中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができる。これは減価償却資産の耐用年数に関する省令で規定されているが、この省令3条では、その方法を次のように規定している。」 「・・・ということは、この省令で規定している方法を採用して減価償却すると、国外不動産所得の損失の金額のうち、その償却費に相当する部分の金額は、認めないということですね。」 浅田調査官の質問に、中尾統括官は黙ってうなずく。 「大綱では、『国外不動産所得の損失の金額』について・・・不動産所得の金額の計算上生じた国外中古建物の貸付けによる損失の金額をいう・・・となっていますから、事業として国外の中古建物を使用する場合・・・すなわち、事業所得の金額の計算で中古建物に簡便法を採用しても、この規定の適用は受けないということですか?」 浅田調査官は尋ねる。 「そりゃあそうだろう・・・この規定は、不動産所得に係る損益通算等の特例なのだから、事業所得では適用外となる。」 中尾統括官は答える。 「だいたい、今まで行われてきた所得税の租税回避や節税の類いのものは、不動産所得でマイナスを発生させて、そのマイナスを他の所得(給与所得、事業所得等)と損益通算するという手法が圧倒的に多い。そして、マイナスを創り出すために、減価償却を利用するといったパターンだな。」 中尾統括官は、腕を組みながら、机の上にある大綱を見る。 「今回の防止規程は、簡便法等で計算した減価償却費を不動産所得の損失の範囲内で認めないということですから・・・」 そうつぶやきながら、浅田調査官は、ペンを取る。 「君はなかなか・・・図が上手いな。」 中尾統括官は、図を見ながら微笑む。 「・・・もし、この減価償却費が損失よりも小さければ、その不動産所得の減価償却費を除いた損失は認められるのですよね。」 浅田調査官は確認する。 その言葉を聞くと、今度は中尾統括官がペンを取って、浅田調査官の描いた図の一部を訂正する。 「なるほど・・・中尾統括官も・・・なかなか上手く図を描きますね。」 中尾統括官は照れくさそうな表情を浮かべる。 「ところで、この国外中古建物を譲渡したときには、譲渡所得の金額はどうなるのですか?」 浅田調査官が尋ねる。 「この場合、このように規定している」 と言って、中尾統括官は浅田調査官に大綱を見せる。 「・・・ということは、この防止規程は、結局、課税の繰延べをしているということですね・・・もっとも、国外中古建物の譲渡は、航空機リース事件と同様、取得後5年を経過してから行い、2分の1の課税を狙っているのですが、償却費を取得費に加算することによって長期譲渡所得の金額は少なくなり、その結果、節税効果は小さくなる・・・」 浅田調査官の説明に、中尾統括官は大きくうなずく。 (つづく)
《速報解説》 企業情報開示の充実の要請を受け、会計士協会が審理通達を公表 ~開示書類におけるその他の記載内容に関する手続実施上の留意事項を記載~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年2月20日付(ホームページ掲載日は2020年2月28日)で、日本公認会計士協会は、「開示書類におけるその他の記載内容に関する手続実施上の留意事項」(業務本部 2020年審理通達第2号)を公表した。 これは、「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日、内閣府令第3号)により、有価証券報告書の記述情報についてより充実した開示が求められることから、監査基準委員会報告書720「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任」に関する留意事項をまとめたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 内閣府令第3号 内閣府令第3号により、役員報酬、政策保有株式等のガバナンス情報の拡充、経営戦略、経営者による経営成績等の分析(MD&A)、リスク情報等の記述情報の充実及び監査関係の情報の拡充が行われた。 2 監査基準委員会報告書720 その他の記載内容は監査意見の対象ではなく、監査人は、その他の記載内容が適切に記載されているかどうかを判断する特定の責任を有していない。 しかしながら、監査した財務諸表とその他の記載内容との重要な相違によって、監査した財務諸表の信頼性が損なわれることがあることから、監査人は、監査した財務諸表との重要な相違を識別することを目的に、その他の記載内容を通読することが求められている(監査基準委員会報告書720「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任」)。 そして、監査人は、監査報告書日の前にその他の記載内容を入手できるように、その他の記載内容を入手する時期について経営者と適切に調整しなければならない(監査人に対する通読の要求は、監査人がその他の記載内容を監査報告書日の前に入手したか、後に入手したかにかかわらず同じ)。 3 留意事項 審理通達は、次の留意事項について述べている。 (了)
《速報解説》 会計士協会、「前任監査人の監査調書の閲覧に関する留意事項」を記載した審理通達を公表 ~非効率的な監査業務の引継ぎに対する企業からの指摘に対応~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年2月20日付(ホームページ掲載日は2020年2月28日)で、日本公認会計士協会は、「前任監査人の監査調書の閲覧に関する留意事項」(業務本部 2020年審理通達第1号)を公表した。 これは、2019年10月25日に金融庁が公表した「監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告)」において、監査人交代に際しての監査調書の閲覧に関して、引継ぎが効率的ではないとの企業からの指摘を受けたことに対応するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 企業からの指摘 「監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告)」(2019年10月25日、金融庁)では、監査業務の引継ぎにおける監査調書の閲覧について、閲覧する側が手作業で書き写すことは認めるものの、複写機でのコピーや電子データのコピーは原則として認められないという運用が見られ、こうした運用について、企業から「未だにこのような非効率な方法が採られていることには疑問がある」と指摘されていた(第二次報告19ページ)。 2 監査調書の閲覧に関する留意事項 次の監査基準委員会報告書に関連する規定がある。 審理通達は、監査調書の閲覧の目的を示し、それを十分理解した上で、少なくとも、大量の監査調書を書き写すといった引継ぎとならないよう、引継ぎの方法(引継ぎ期間や監査調書の閲覧機会の十分な確保を含む)について、前任監査人と後任監査人が十分に協議し、協力することが重要であることに改めて留意すると述べている。 (了)
《速報解説》 「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」が意見募集を経て正式公表される ~遠方株主の総会参加・出席の拡大が期待される一方、留意すべき点も~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年2月26日、経済産業省は、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を公表した。これにより、2019年12月26日から意見募集していた実施ガイド(案)が確定することになる。実施ガイド案の意見募集結果も公表されている。 これは、ハイブリッド型バーチャル株主総会を実施する際の法的・実務的論点、及び具体的取扱いを明らかにするためのものである。 ハイブリッド型バーチャル株主総会とは、取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所で株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル株主総会の場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加/出席することができる株主総会のことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 実施ガイドは、上場会社をはじめとする、株主が地理的広範に分散している株主総会を念頭に、株主総会へのIT活用の第一歩として、ハイブリッド型バーチャル株主総会における法的・実務的論点について述べている。 ハイブリッド型バーチャル株主総会には、①ハイブリッド参加型バーチャル株主総会と②ハイブリッド出席型バーチャル株主総会がある(2ページ)。 下記におけるリアル株主総会とは、基本的に、取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所において開催される株主総会のことである(2ページ)。 実施ガイドは、会社の株主総会の在り方として、必ずしもハイブリッド型バーチャル株主総会が望ましいという方向性を提示するものではなく、会社が自社の株主総会の在り方を検討するときの追加的な選択肢を提供することを目的とするものである(5ページ)。 1 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会とは、リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の開催場所に在所しない株主が、株主総会への法律上の「出席」を伴わずに、インターネット等の手段を用いて審議等を確認・傍聴することができる株主総会をいう(2ページ)。 遠方株主の株主総会参加・傍聴機会の拡大などのメリットが期待される一方、円滑なインターネット等の手段による参加に向けた環境整備の必要性などに留意が必要である(7ページ)。 議決権行使、参加方法、コメント等の受付と対応について記載されている。 2 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とは、リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の場所に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて、株主総会に会社法上の「出席」をすることができる株主総会をいう(3ページ)。 遠方株主の出席機会の拡大などのメリットが期待される一方、質問の選別による議事の恣意的な運用につながる可能性などに留意が必要である(7ページ)。 前提となる環境整備、株主総会の運営に際しての法的・実務的論点(株主の本人確認、株主総会の出席と事前の議決権行使の効力の関係、株主からの質問・動議の取扱いなど)について記載されている。 3 今後の取組について 株主総会プロセスを巡る近年の内外の制度整備や実務の積み重ねを踏まえ、さらなる対話のための環境整備等について検討を行い、検討の取りまとめは報告書として公表する予定である。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 新型コロナウイルス対策として 確定申告の申告期限が4月16日(木)まで延長される Profession Journal編集部 新型コロナウイルスの国内感染者数が増加の一途をたどり、厚生労働省の専門家会議でもここ1~2週間の動向が国内で急速に感染が拡大するかどうかの瀬戸際としているなか、国税庁は今月17日から始まった令和元年分の確定申告について、令和2年4月16日(木)まで申告期限を延長することを公表した(公表日は2月27日(木))。 令和元年分の確定申告は、申告所得税(及び復興特別所得税)並びに贈与税の申告期限が3月16日(月)まで、個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限が3月31日(火)までとされていたが、ともに4月16日(木)まで延長されることになる。この措置に伴い、申告所得税及び個人の消費税の振替納税の振替日についても延長される。 また国税庁は下記の特設ページで感染症の感染拡大防止に関する情報を随時公表しているが、全国の確定申告相談会場には毎年多くの来場者があることから、国税庁は来場予定者に対し手洗い・マスクの持参(着用)などの感染予防を要請するとともに、確定申告会場に出向くことなく、自宅等からスマホやパソコンなどでインターネットにより申告できるe‐Taxの利用を呼びかけている(マイナンバーカードや税務署で発行されるID・パスワードが必要)。 確定申告の相談会場には高齢者が訪れることも多い。もしe‐Taxの利用が難しい場合は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書を印刷し、郵送等で提出することも可能なため、この機会に利用を検討してみてはいかがだろうか。 なお税理士としてはクライアントへの周知を徹底しつつ、提出を受ける資料については期限延長にかかわらず余裕をもって入手するのが良策といえよう。 (了) ↓お勧め連載記事↓