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理由付記の不備をめぐる事例研究 【第36回】「寄附金(社員旅行負担金)」~グループ3社の共同社員旅行の負担金が寄附金に該当すると判断した理由は?~

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第36回】 「寄附金(社員旅行負担金)」 ~グループ3社の共同社員旅行の負担金が寄附金に該当すると判断した理由は?~   千葉商科大学商経学部講師 泉 絢也   今回は、青色申告法人X社に対して行われた「グループ3社の共同社員旅行の負担金の一部が寄附金に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成3年7月18日裁決(裁決事例集42号128頁。以下「本裁決」という)を素材とする。   1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記) (注) 素材とした本裁決の裁決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。   2 本件理由付記から読み取ることができる関係図   3 本裁決の判断 本裁決は、大要次のとおり、理由付記に不備はないと判断した。   4 検討 (1) 関係法令等の確認 法人が支出した寄附金とは、金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与であり、いわば事業関連性の有無を問わず、対価を伴わない支出であると解されている(法法37⑦)。ただし、そのような支出であっても、広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものは、寄附金の額から除かれている(法法37⑦括弧書)。 さらに、直接的・個別的な対価を伴わない支出で、かつ、形式上、寄附金の額から除かれる上記広告宣伝費等の費用に該当しないものであっても、その支出を行うことにより、①対価的意義を有するものと認められる経済的利益の供与を受けている場合、又は②営利法人としてこれを受けることなくその支出相当額の利益を手離すことを首肯するに足りる何らかの合理的な経済目的等がある場合には、寄附金の額に含まれないと解されている(大阪高裁昭和53年3月30日判決・高民集31巻1号63頁、東京高裁平成26年6月12日判決・訟月61巻2号394頁参照)。 子会社等の整理・再建に際し、相当の理由(経済的合理性)がある場合のその子会社等に対する債権放棄が寄附金ではなく、そのまま損金の額に算入される旨を明らかにした通達もある(法人税基本通達9-4-1、9-4-2)。 (2) 求められる理由付記の程度 本件更正処分は、X社が、帳簿上、Z社への支払額1,000,000円を福利厚生費として計上した上で、B社からの入金額500,000円を福利厚生費の戻入れとして処理していることを前提としている。その上で、これらの差額500,000円である本件負担額が、X社、A社及びB社のグループ3社が合同で行った慰安旅行の負担金であるとし、この本件負担額500,000円とX社が負担すべきと認められる金額148,111円との差額351,889円について、A社が負担すべきものをX社が負担したもので、A社への経済的利益の無償の供与であり、法人税法37条の寄附金に該当すると判断するものである(理論的には、法人税法22条2項の無償取引に係る収益を一旦認識する構成もありうるであろう)。 そうであれば、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当する(ただし、本件更正処分が、慰安旅行費用の総額、参加人数などX社の帳簿書類に記載されている事実を否認することになるような場合には、帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合に該当する余地もある)。 すると、理由付記の程度としては、更正通知書記載の更正の理由が、そのような更正をした根拠について帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を摘示するものでないとしても、更正の根拠を更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないことになる(最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁等参照)。 (3) 理由付記の十分性 次のとおり、本件理由付記は、法の求める理由付記として十分なものであると考える。 本件理由付記は、X社が、帳簿上、Z社への支払額1,000,000円を福利厚生費として計上した上で、B社からの入金額500,000円を福利厚生費の戻入れとして処理していることを前提としている。その上で、これらの差額500,000円である本件負担額が、X社、A社及びB社のグループ3社が合同で行った慰安旅行の負担金であるとし、この本件負担額500,000円とX社が負担すべきと認められる金額148,111円との差額351,889円について、A社が負担すべきものをX社が負担したもので、A社への経済的利益の無償の供与であり、法人税法37条の寄附金に該当すると記載している。 また、X社が負担すべきと認められる金額148,111円の算出過程について、①その慰安旅行の総額は2,666,000円で、参加人員18名であるので、1人当たりの費用は148,111円となること、②X社からの参加者は2名で、そのうちD男はA社の取締役、E男はA社の代表取締役を兼務しており、勤務状況からしてA社とX社で両名の負担額を折半すべきものと認められるため、X社の負担額は148,111円となることを記載している。 すると、本件理由付記は、その記載内容から法令上の根拠が明らかになるものであり、かつ、法令上の要件に対応する具体的な事実を記載するものである。また、これによって課税庁の判断過程が明らかとなるものといえる。 したがって、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという理由付記の趣旨目的に適うものであると考える。 *  *  * 次回は、「貸倒損失が寄附金に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の事例を取り上げる。 (了)

#No. 245(掲載号)
#泉 絢也
2017/11/22

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例56(法人税)】 「株式移転完全子法人から設立の日以後最初に受ける配当は100%益金不算入になると説明し、多額の配当が実行されたが、実際には50%が益金算入となる配当であったため、正しい説明を受けていれば配当は行わなかったとして損害賠償請求を受けた事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例56(法人税)】   税理士 齋藤 和助     《基礎知識》 ◆受取配当等の益金不算入(法法23) 法人が他の法人から配当を受けた場合には、二重課税を排除するため、配当の元となる以下の株式等の区分に応じ、配当の額を益金の額に算入しないこととする「受取配当等の益金不算入」の規定がある。 ◆株式等の保有割合(法令22の2、22の3) 株式等の保有割合の判定は、非支配目的株式等の場合は配当の支払に係る基準日であるのに対し、完全子法人株式等及び関連法人株式等の場合は、配当の「計算期間」中継続して保有していなければならない。「計算期間」とは、原則として前回の配当基準日の翌日から、今回の配当基準日までの期間をいう。 したがって、「計算期間」の中途において株式移転により設立された完全親法人に対する配当は、完全子法人株式等及び関連法人株式等のいずれにも該当せず、その他の株式等に該当することとなり、益金不算入割合は100分の50となる。 ただし、平成27年度税制改正前は、関係法人株式等(25%以上保有)に係る配当の「計算期間」の初日については、「株式移転した完全親法人の設立の日」も含まれていた(平成27年度の税制改正によりこの特例規定は廃止)ため、益金不算入割合は100分の100であった。 【参考】 改正前の株式等の区分及び益金不算入割合(平成27年3月31日まで)       (了)

#No. 245(掲載号)
#齋藤 和助
2017/11/22

収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第14回】「開示(表示及び注記)」

収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第14回】 「開示(表示及び注記)」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 前回述べたとおり、「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「収益認識会計基準(案)」という)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「収益認識適用指針(案)」という)では、契約資産、契約負債のように、従来の実務では使用されていなかった新しい用語が見られる。 これらは、会計処理だけでなく、財務諸表の表示及び注記にも関係する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 表示 契約資産、契約負債及び債権は、収益認識会計基準(案)9項から11項において定義されている。 財務諸表の表示は次のようになる(収益認識会計基準(案)76項、85項、収益認識適用指針(案)103項、104項)。   Ⅲ 注記 1 収益認識会計基準(案) 顧客との契約から生じる収益については、企業の主要な事業における主な履行義務の内容及び企業が当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)を注記する(収益認識会計基準(案)77項)。 企業が履行義務を充足する通常の時点とは、例えば、商品又は製品の出荷時、引渡時、サービスの提供に応じて、あるいはサービスの完了時である(収益認識会計基準(案)133項)。 2 注記に関する規定の経緯 収益認識会計基準(案)が会計基準として確定し、早期適用する段階では、各国の早期適用の事例及び我が国のIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の準備状況に関する情報が限定的であり、IFRS第15号の注記事項の有用性とコストの評価を十分に行うことができないと考えられた(収益認識会計基準(案)133項)。 このため、収益認識会計基準(案)は、必要最低限の定めを除いて、基本的に注記事項を定めていない。 本会計基準が適用される時(平成33年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首)まで(準備期間を含む)に、注記事項の定めを検討する予定である(収益認識会計基準(案)133項)。   Ⅳ 開示に関する意見 以下の論点が検討されている(第351回企業会計基準委員会(2016年12月20日)の審議事項(6)-3、9項)。 IFRS第15号のBC323項では、契約資産と債権との区別を行うことは重要であり、その区別により、財務諸表利用者に、契約における企業の権利に関連したリスクに関する目的適合性のある情報が提供されることについて述べられている(両方とも信用リスクに晒されているが、契約資産は、例えば、履行リスクなどの他のリスクにも晒されている)。 (了)

#No. 245(掲載号)
#阿部 光成
2017/11/22

家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第26回】「家族信託の活用事例〈株式編①〉(非上場会社において、親から子への事業承継を予定しているが、子が経営について未熟であるため、株の名義を移したうえで親が意思決定権を保有し続ける事例)」

家族信託による 新しい相続・資産承継対策 【第26回】 「家族信託の活用事例〈株式編①〉 (非上場会社において、親から子への事業承継を予定しているが、子が経営について未熟であるため、株の名義を移したうえで親が意思決定権を保有し続ける事例)」   弁護士 荒木 俊和   今回から「家族信託の活用事例〈株式編〉」として、非上場株式の承継を行う場合の信託の活用事例を解説していく。 今回は非上場会社において、親から子への事業承継を予定しているが、子が経営について未熟であるため、株の名義を移したうえで親が意思決定権を保有し続ける事例を解説する。 - 相談事例 - 私は今年70歳になりますが、従業員を200名ほど抱える運送会社の社長をしています。そろそろ引退して事業承継をしなければならないと考えながらも今日に至りましたが、最近、体調を崩してしまい、万が一の時に備えて株式を早急に引き継がなければならないと考えています。 私の会社には親族ではない取締役が4名いますが、会社は39歳の息子に引き継がせたいと考えています。しかし、息子は大手企業に勤めていたところを私が体調を崩したことを期に会社に戻ってきてもらったばかりで、会社のことを十分に理解できていないところがあります。 そのような状況ですので、息子に株をすべて渡し会社運営まで任せることには未だ抵抗があります。かといって親族ではない取締役を代表にしてしまうと、銀行との関係などで面倒なことになってしまいそうです。 株と代表権を息子に渡した上で、私がしばらく監督できるような形は取れないものでしょうか。   1 家族信託活用のポイント (1) 信託による自益権と共益権の分離 株式は、「自益権の部分」と「共益権の部分」とが一体になったものとされている。 すなわち、自益権は、株主が会社から直接に経済的利益を受ける権利であり、剰余金配当請求権、残余財産分配請求権及び株式買取請求権等がこれに含まれる。 また、共益権は、株主が会社経営に参与し又は取締役等の行為を監督是正する権利であって、株主総会における議決権を中心として、説明請求権、提案権及び総会招集権等の株主総会に関連する権利並びに総会決議の取消訴権、代表訴訟提起権、違法行為の差止請求権、役員の解任請求権及び会計帳簿の閲覧権等の取締役等の行為を監督是正する権利が含まれる。 このような複合的な性質を持つ株式であるが、株式を信託することにより、①自益権のうち金銭等を受領する権利の部分と、②共益権を含むその他の部分とに、実質的に分離することができる。 すなわち、信託を行うことで、①を受益者が保有することになり、②を受託者が保有することになる。 (2) 指図権の活用 一方で、信託においては指図権を用い、受託者に対して(受益者等を含む)第三者が信託財産の管理処分について指図を行えるような設定が可能である。 指図権は信託法上、明示的に認められているものではないが、信託業法第65条において「指図権者」の定義が「信託財産の管理又は処分の方法について指図を行う業を営む者」とされており、家族信託においても指図権者を設定することが可能と解される(ただし「業」として行う者である必要はない)。 指図権を設定することにより、受託者は指図権者の指図に従わなければならず、受託者の裁量の範囲を狭める一方で、指図権者に権限を与えることが可能となる。 株式の信託に関していえば、原則的には受託者が議決権の行使にあたって全権を持つことになるが、指図権を設定することにより、受託者は指図権者の指図に従って議決権を行使しなければならないことになる。 (3) 事業承継の完了状態へ向けた移行 株式の信託は事業承継を円滑に進めるために一時的に用いられるべきものであるため、信託の設定後は、受益権を贈与していくなど、株式の名義人(受託者)に実質的な権限を移行することが、いずれかの段階で必要となる。 このため、信託設定後は、株価の推移等を勘案しつつ、どの段階で信託の設定状況を変更していくかという判断が必要となる。   2 本件におけるスキーム (1) スキームの概要 以上のことから、本件では大要、以下のような家族信託のスキームが考えられる。 (2) 株主権の行使 本件のスキームでは、信託によって株式の名義が受託者である子に移るため、子が議決権を行使することとなる。ただし、同時に指図権が設定されているため、子は指図権者である本人の指示に従ってのみ議決権を行使することができる。 一方で、本人が認知症等により意思能力を失ってしまった場合には、指図権を行使できなくなるため、それに備えた規定(例えば、意思能力がないと受託者が判断した場合には受託者が独自に権限を行使できる等)を設ける必要があると考えられる。 (3) 受益権の贈与 本件では、本人が会社経営を継続できない恐れがあるために、子に権限を委譲するものであるが、信託による議決権等の委譲は一時的なものに過ぎない。このため、実質的にも権限を委譲するために受益権の贈与等を行う必要がある。 ここで、受託者が受益権の全てを保有してから1年を経過した場合には信託の終了原因となるが(信託法第163条第2号)、受益権の準共有持分の一部を保有しているだけでは、信託は終了しない。 このため、株価の下がったタイミングで受益権を贈与する等、税額があまり大きくならないよう留意しつつ受益権を移行することが望ましいと考えられる。また、贈与が完結しないまま本人が死亡した場合に備え、帰属権利者を子として規定しておくことも必要であろう。 (了)

#No. 245(掲載号)
#荒木 俊和
2017/11/22

役員インセンティブ報酬の分析 【第9回】「株式交付信託②」-平成29年度税制改正の影響-

役員インセンティブ報酬の分析 【第9回】 「株式交付信託②」 -平成29年度税制改正の影響-   弁護士・公認会計士 中野 竹司   今回は株式交付信託に対する平成29年度税制改正の影響についてまとめてみたい。   1 役員報酬のための株式交付信託の概要 平成29年度税制改正前の株式交付信託に関する特徴や導入事例については、すでに本連載【第2回】において検討を行った。 ここで簡単に復習すると、株式交付信託(株式給付信託など様々な名称で呼ばれることがある)とは、会社が信託銀行等と信託契約を結び信託を設定したうえで、委託者たる会社が受託者たる信託銀行等に金銭を交付し、受託者たる信託銀行が株式を取得し、受益者たる役員等が受託者から会社の株式の交付を受けるという制度である。 信託は、信託契約により様々な制度設計ができるが、株式交付信託の大まかな流れを図示すると、以下のようなものである。   2 税法上の視点-平成29年度税制改正の影響- (1) 平成29年度税制改正前の株式交付信託に係る税制 これも【第2回】の繰り返しになるが、平成29年度税制改正前の株式交付信託に係る税制の概要は次の通りであった。 株式交付信託は、通常、会社が受益者となる受益者等課税信託として設計されている。このため、信託の受益者である会社が信託財産及び信託財産に帰せられる損益の帰属主体となる。 なお、株式交付信託の税務上の検討を行う際に重要な資料となる、2012年4月17日付の東京国税局による事前照会に対する文書回答事例「従業員持株会を利用した信託型インセンティブプランに係る税務上の取扱いについて」(以下「文書回答」という)においても、受益者等課税信託であることが前提の照会となっている。 株式交付信託が受益者等課税信託である場合、会社が金銭を信託した段階においては、特段の課税関係は生じない。そこで、法人税法上は、一定の要件を満たして、取締役等が株式交付信託の受益者となった時、すなわち株式(場合によっては金銭)の交付権を取得した時の税務処理がポイントであった。 この点、株式交付信託においては、役員への株式交付時点を、役員在職中と設計すること(在任時交付型)も、役員退任時と設計すること(退任時交付型)も可能である。 もっとも、平成29年度税制改正前は、在任時交付型の株式交付信託の場合、「定期同額給与」、「事前確定届出給与」、「利益連動給与」のいずれにも該当せず、法人税法上損金算入が認められなかった。 一方、退任時交付型の株式交付信託の場合は、交付時における時価総額相当額を、退職慰労金の支払いとして損金算入できる可能性があると考えられるが、条文や通達による明確な根拠があるわけではなかった。 (2) 平成29年度税制改正後の株式交付信託に係る税制 本連載【第8回】で述べたように、平成29年度税制改正では、定期同額給与、事前確定届出給与又は業績連動給与という損金算入可能な役員報酬の3類型は維持しつつ、退職給与や新株予約権も役員報酬の中に含めて損金算入の可否を考えることとなった。そのため、平成29年度改正後は、株式交付信託は交付時点が役員在任時か退任時かというのは従来に比して重要ではなくなり、「在任時交付型」は損金算入の可能性が出てきた一方、「退任時交付型」については若干使い勝手が悪くなった。 すなわち、平成29年度税制改正後は、在任時交付型か退任時交付型を問わず、業績や株価に連動した条件が付いていない株式交付信託については、事前確定届出給与の要件を満たすことが損金算入のために必要となり、業績や株価に連動した条件が付いている株式交付信託については、業績連動給与の要件を満たすことが損金算入のために必要となると考えられる。なお、業績連動給与の要件については【第8回】を参照していただきたい。 もっとも、すでに解説した(特定)譲渡制限付株式、ストック・オプションと同様に、株式交付信託についても平成29年10月1日以後の交付決議分から平成29年度改正の規定が適用される。すなわち、平成29年9月30日までは、改正前の取扱いということになる。 その際、平成29年10月1日前に株式交付信託制度を導入している企業においても、同10月1日以後の支給決議で新任役員等を株式交付信託の対象とした場合は、当該新任役員等に関する取扱いは平成29年度改正法が適用される点に注意が必要である。 なお、平成29年度税制改正に対応した株式交付信託制度の見直しについては、今後事例が発生してくると思われることから、導入事例についても注目していきたい。 (3) その他の留意点 株式交付信託により付与された株式の価値が不相当に高額である場合や、隠ぺい又は仮装経理によるものである場合にも、役員報酬として法人税法上損金算入できない点に留意が必要である。   3 経済産業省「役員報酬に関する手引」の改定 経済産業省は、平成29年度税制改正により、改正税法が10月1日に施行となる特定譲渡制限付株式等の部分の記載内容や、改正法施行後に解釈が明確になった事項があることから、平成29年9月29日、同年4月28日に公表された「「攻めの経営」を促す役員報酬 ~企業の持続的成長のための インセンティブプラン導入の手引~」(「役員報酬に関する手引」)を改定した。 この更新には、株式交付信託に直接関する事項も含まれており、その主なものは「株式報酬、業績連動報酬に関するQ&A」における以下の2問(Q2・Q16)といえるであろう。 まず、Q2において、導入済みの株式交付信託に新任役員が加わった場合は、「選任の決議」の時にその給与の支給が決議されたものとして、損金算入の可否が決議されること、また既に導入済みの株式交付信託の中で、予め役員の地位の変動があった場合の支給額が定められている場合に、その地位の変更のあった役員に対する給与については、導入時の支給の決議をした時期によって適用関係を考えるという見解が示されている。 また、Q16において、株式交付信託では株式の一部を役員に交付する時期に金銭に換えて役員には株式と金銭を交付することが実務上行われているが、この場合でも、全体として株式を交付することが目的の給与であることが株主総会議案で明らかにされ、一定の割合の株式を源泉徴収等のために換金するものであることが役員報酬規程等で予め明らかにされ、株式の換金が受益権確定の時期に近接した時点で行われていれば、全体として確定した数の株式とされ損金に算入できるという見解が示されている。 なお上述したとおり、平成29年度税制改正は、定期同額給与、事前確定届出給与又は業績連動給与という損金算入可能な役員報酬の3類型は維持しつつ、退職給与や新株予約権も役員報酬の中に含めて損金算入の可否を考えるというものであるから、役員報酬に関する手引の他のQ&Aについても、株式交付信託の設計にあたって参考になる記述が含まれていると考えられるので、一読をお薦めする。   4 まとめ 平成29年度税制改正を踏まえて設計された株式交付信託については、平成29年10月1日以後に導入されてくるものと思われる。 企業にとって、株式交付信託による役員インセンティブの付与という面では、「在任時交付型」は損金算入の可能性が出てきた一方、「退任時交付型」については若干使い勝手が悪くなり、その分他のインセンティブ報酬の付与又は組み合わせを考える企業が増える可能性があると思われる。 平成29年度税制改正に対応した株式交付信託制度については、今後適時開示等で詳細が明らかになると思われるので、本連載でも適宜これをフォローしていくつもりである。 (了)

#No. 245(掲載号)
#中野 竹司
2017/11/22

《速報解説》 自民党 中小企業・小規模事業者政策調査会及び経済産業部会、「中小企業・小規模事業者の円滑な世代交代・事業承継に資する支援策の抜本拡充を求める決議」を取りまとめ~事業承継税制の抜本的見直し等、税制支援による承継時の負担軽減を求める~

 《速報解説》 自民党 中小企業・小規模事業者政策調査会及び経済産業部会、 「中小企業・小規模事業者の円滑な世代交代・事業承継に資する支援策の抜本拡充を求める決議」を取りまとめ ~事業承継税制の抜本的見直し等、税制支援による承継時の負担軽減を求める~   Profession Journal 編集部   来月にも公表される「平成30年度税制改正大綱」を前に、自由民主党 中小企業・小規模事業者政策調査会及び経済産業部会は「中小企業・小規模事業者の円滑な世代交代・事業承継に資する支援策の抜本拡充を求める決議」を取りまとめた。 決議では冒頭、「今後10年で中小企業・小規模事業者の経営者の6割が70歳を越え、うち半数の後継者が決まっていないという状況は、日本経済、地域経済にとって未曾有の危機」であるとし、「この10年に集中して、事業承継の準備段階から承継後まで、切れ目のない支援を抜本的に拡充し、中小企業・小規模事業者の事業承継を強力に後押し」することを促すとしている。 今回の決議は次の3項目からなる。 このうち「2 税制支援による承継時の負担軽減」では、一部報道で30年度税制改正における要件の見直しが議論されているとする「事業承継税制(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度)」について、承継を後押しする強力な税制としつつも利用実績が年500件に満たず危機を乗り越えるには不十分な制度と指摘し、以下の要件や株式評価のあり方等について、10年間の集中取組が必要との観点から抜本的に見直し、承継に躊躇している事業者も含め、承継を一気に進める必要があるとした。 どの程度の要件緩和がなされるかは税制改正大綱の公表を待つばかりだが、過去の税制改正で実施されてきた要件の見直しとは一線を画す規模の改正になると見られる。 また、税制支援においてさらに提言されているのが「M&Aを通じた第三者承継を支援する税制措置」だ。こちらは「近年増加傾向にある第三者承継を強力に後押しするため、M&Aを実施する際の税負担等を軽減すべき」との表記にとどまっているが、8月31日に公表された経済産業省の「平成30年度経済産業省税制改正要望」では が示されており、これらの案がたたき台となって議論されていくものと考えられる。 なお、冒頭の3項目のうち2以外の「1 事業承継の準備段階の支援」「3 承継後のチャレンジの支援」を含め、今回の決議については概ね7月に中小企業庁が公表した「事業承継5ヶ年計画」に近い内容となっている。 5ヶ年計画では他にも「小規模M&Aマーケットの形成」や「経営スキルの高い人材を事業承継支援へ活用」といった事業承継推進策を掲げており、上記決議と合わせて確認しておきたい。 いずれにせよ来年は税制以外においても中小企業の事業承継問題解決への取組みが加速する契機になるといえよう。 *  *  * なお、上記の内容を含む、平成30年度税制改正に関し今後各省庁等から公表される情報については、本誌上の「平成30年度税制改正に関する《資料リンク集》」において随時リンク先の更新を行っているため、ブックマークする等して活用されたい。 (了)

#No. 244(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/11/21

プロフェッションジャーナル No.244が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年11月16日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.244を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/11/16

日本の企業税制 【第49回】「米国下院による税制改革法案」-法人税関係の主な改正点-

日本の企業税制 【第49回】 「米国下院による税制改革法案」 -法人税関係の主な改正点-   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   11月2日、米国下院歳入委員会(COMMITTEE ON WAYS AND MEANS、ケビン・ブレイディ委員長)は、税制改革法案(Tax Cuts and Jobs Act)を発表し、9日には歳入委員会で承認され、早ければ翌週には本会議で採決が行われる見込みである。 この法案は、個人所得税、法人税など多岐にわたるものであるが、法人税関係の主な改正点を整理したい。   〇法人税率 連邦法人税率を現行の35%から20%へ引き下げることとしている。この引下げは、2018年以降に開始する事業年度に適用される。なお、別途上院財政委員会が9日に公表した案では、その適用は2019年に先送りしている。 この結果、米国(カリフォルニア州)の法人実効税率は、40.75%から27.07%に低下すると見込まれる。   〇減価償却 2017年9月27日以後に事業の用に供した固定資産(耐用年数20年以下の資産、ソフトウエアなど)については、以後5年間(2022年末まで)にわたり、即時償却とする。   〇交際費 現行制度では、交際費の50%が損金不算入とされているが、改正法案では、一定の飲食費を除き、原則として全額損金不算入となる。   〇欠損金 現行制度では、欠損金は2年の繰戻し還付、20年の繰越控除が認められているが、改正法案では、2018年以降に開始する事業年度に係る欠損金について、繰戻し還付は廃止(小規模事業者のみ1年)される一方、繰越控除は無期限となる。 ただし、繰越控除の場合、繰越控除前の課税所得の90%を上限とする利用制限も設けられる。また、2018年以降の欠損金については、繰越期間中、毎期、短期連邦利率(short-term Applicable Federal Rate)に4%ポイントを加えた利率を乗じて増額修正することとされている。   〇支払利子 2018年以降に開始する事業年度において、純支払利子のうち、調整後課税所得金額(いわゆるEBITDAに相当する金額)の30%を超える部分の金額を損金不算入とすることとされている。損金不算入となった超過額については5年間の繰越しが認められている。これは、1989年に導入されたアーニングス・ストリッピング・ルール(内国歳入法163条(j))を置き換えるもので、現行制度では調整所得金額の50%を超える金額とされているところ、30%への引下げが行われることとなる。 これに加えて、多国籍企業グループ(財務諸表上の連結グループ、グループ売上げが3年平均で1億ドル超に限る)に含まれる米国法人の純支払利子については、この多国籍企業グループ全体の純支払利子に対するこの米国法人の純支払利子の占める割合が、この多国籍企業グループ全体のEBITDAに対するこの米国法人のEBITDAの占める割合の110%を超える場合には、その超える部分に相当する金額が損金不算入とされる。損金不算入となった超過額については5年間の繰越しが認められている。なお、前段の損金不算入制度と併用され、いずれか不算入額の大きい制度が適用される。   〇国外法人配当 国際課税制度に関しては、これまでの全世界所得課税方式からテリトリアル方式へと転換する。具体的には、持分割合10%以上の国外法人からの配当(2018年以降に配当決議されたもの)については全額益金不算入となる。 これに伴い、間接外国税額控除制度は廃止され、また、益金不算入となる配当について課された外国源泉税等も損金不算入となる。 また、持分割合10%以上の国外法人の未配当原資累積額(1986年から2017年11月2日又は2017年12月31日までに生じた米国で課税対象とされていない利益剰余金(いずれか大きい方の金額)のうち、米国法人の持分相当額)に対して、1回限りの課税が行われる。税率は、現金又は現金等価物については12%、その他の資産は5%である。その税額は8年間で分割払いが可能とされる。   〇CFC税制 CFC税制の対象となる所得(サブパートF所得)に国外子会社(持分割合50%超)の超過利益を加えることとされている。この合算対象となる超過利益とは、国外子会社の有する償却可能な固定資産等に係る一定の運用利回り(短期連邦利率に7%ポイントを加えた率)を超える金額とされる。なお、課税部分に対応する外国税額の80%を上限に外国税額控除が適用される。   〇国外関連会社への支払いへの課税 多国籍企業グループ(財務諸表上の連結グループ)で、グループの米国法人から国外関連会社への支払額が3年平均で1億ドル超の場合に、その米国法人から国外関連会社への支払額に対して、法人税率に相当する20%の“excise tax”が課される。その支払額には、支払利子は含まれないが、売上原価に含まれるものや減価償却資産の取得価額となるものが含まれる。 国境調整税の残滓とも見えるが、輸出免税が適用されない点や、多国籍企業グループ内の関連者取引に限定される点で、異なっているともいえる。 なお、9日に公表された米国上院財政委員会の提案では、“excise tax”の規定がない一方で、“base erosion minimum tax”が提唱されており、予断を許さない状況である。 (了)

#No. 244(掲載号)
#小畑 良晴
2017/11/16

〈平成29年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「実務で処理を迷う事項Q&A」

〈平成29年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第3回】 (最終回) 「実務で処理を迷う事項Q&A」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   シリーズ最終回は、年末調整実務で処理を迷う事項等について、過去に取り上げていないものを中心にQ&A形式で解説を行う。 取り上げる事項は以下のとおりである。 なお、過去の拙稿(年末調整のポイント)では以下の事項について紹介しているので、あわせてご参照いただきたい。   - 解 説 - 未払残業代を一括して支給する場合、交渉等により一時金(精算金等)として支給するケースと、過去の実労働時間に基づいて支給するケースがある。 各ケースにおいて、所得税が課税される年は次のとおりとなる(所基通36-9(1)(3))。 一時金として支給した場合には、支給した年分の給与となるため、支給日の属する年分の年末調整の対象とする。一方、実労働時間に基づいて支給した場合には、本来の残業手当が支払われるべきであった過年分の年末調整をやり直すこととなる。   - 解 説 - 企業が福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該施設を利用した役員又は従業員が受ける経済的利益については、その額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象とした施設である場合を除き、課税しなくて差し支えないとされている(所基通36-29)。 なお、外部の保育園を利用している役員又は従業員に対し、企業内保育所を利用した場合に受ける経済的利益相当額を支給する場合には、支給額が給与として課税される。   - 解 説 - 配偶者控除の対象となる控除対象配偶者とは、所得者と生計を一にする配偶者(青色事業専従者及び白色事業専従者を除く)で、合計所得金額が38万円以下である人をいう(旧所法2①三十三)(※)。 (※) 平成30年以後は控除対象配偶者の規定が変更されているため留意されたい(詳しくは前回参照)。 合計所得金額の計算にあたり、土地建物等の譲渡所得は特別控除前の金額とされることから、Aの妻の合計所得金額は200万円となる(所基通2-41(2))。 なお、次のような所得金額は、合計所得金額に含まれない(所基通2-41(1))。   - 解 説 - 扶養控除の対象となる控除対象扶養親族とは、所得者と生計を一にする親族(青色事業専従者及び白色事業専従者を除く)で、合計所得金額が38万円以下である16歳以上の人をいう(所法2①三十四・三十四の二)。 養子縁組をしていない妻の連れ子は、Bの子には該当しないが、一親等の姻族に該当する。したがって、CはBの控除対象扶養親族に該当する。   - 解 説 - 寡婦控除の対象となる寡婦(寡夫)の要件をまとめると、次のとおりとなる(所法2①三十・三十一、所令11、11の2、措法41の17①)。 〈寡婦・寡夫の要件〉 扶養親族又は生計を一にする子(総所得金額等の合計額が38万円以下)を有していれば、所得にかかわらず「一般の寡婦」に該当する(上表「一般の寡婦」①)。 一方、扶養親族又は生計を一にする子を有していない場合は、合計所得金額が500万円以下でなければ「一般の寡婦」に該当しない(上表「一般の寡婦」②、離婚の場合は適用なし)。   - 解 説 - 住宅借入金等特別控除の対象となる借入金は、住宅の取得等に要する資金に充てるための借入金(償還期間10年以上)であり、次のものが該当する(措法41①一・四、措令26⑧)。 相続により住宅を取得するとともに借入金を引き継いでも、それは相続による債務の承継であり住宅を取得するための借入金には該当しない。   - 解 説 - 住宅借入金等特別控除の適用を受けるには、取得等した家屋をその年の12月31日まで引き続き居住の用に供していることが要件となる(措法41①)。しかし、災害により家屋を居住の用に供することができなくなった場合には、居住の用に供することができなくなった日まで居住していれば、適用期間内は引き続き住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる(措法41[24項])。 なお、この取扱いは、平成28年1月1日以後の災害により居住の用に供することができなくなった場合に、平成29年分以後の所得税について適用される。 本制度について、詳しくは【第1回】を参照いただきたい。 (連載了)

#No. 244(掲載号)
#篠藤 敦子
2017/11/16

相続空き家の特例 [一問一答] 【第20回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定②(相続開始直前において居住用家屋取得相続人に自己の持分がある場合)」-譲渡価額要件の判定-

相続空き家の特例 [一問一答] 【第20回】 「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定② (相続開始直前において居住用家屋取得相続人に 自己の持分がある場合)」 -譲渡価額要件の判定-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、母親が相続開始の日(昨年2月1日)まで単独で居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築:母親と共有(各1/2))及びその敷地(母親とX共有(各1/2))の母親持分をその相続により取得し、その家屋の耐震リフォームを行い、相続後は空き家の状態のままで、同年10月に1億1,000万円で売却しました。 母親からの相続分に係る譲渡価額は5,500万円ですが、この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の譲渡価額要件(1億円以下)を満たすこととなるのでしょうか。 A Xがもともと所有していた持分に係る譲渡対価も含めて判定することから、譲渡価額要件を満たさず、「相続空き家の特例」の適用を受けることができません。 ●○●○解説○●○● 「相続空き家の特例」は、被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡の対価の額が1億円以下であることが、その適用要件の1つとされています(措法35③)。 そして、居住用家屋取得相続人が相続の開始直前において所有していた譲渡資産も「対象譲渡資産一体家屋等」の判定については、含まれるとされています(措通35-22(「対象譲渡資産一体家屋等」の判定)(1))。 したがって、本事例の場合、Xがもともと所有していた持分に係る譲渡対価5,500万円も含めて判定することから、譲渡価額要件を満たさず、「相続空き家の特例」の適用を受けることができないこととなります。 なお、居住用家屋取得相続人以外の者(被相続人居住用家屋も被相続人居住用家屋の敷地等もその相続により取得していない者)が、その相続の開始の直前において所有していた資産と一体としてその被相続人が利用していたとしても、その資産の譲渡は、「対象譲渡資産一体家屋等」には該当しないため、その資産の譲渡に係る対価の額を1億円の判定に加算しないことにも留意が必要です。 (了)

#No. 244(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/11/16
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