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《速報解説》 会計検査院、中小企業等の貸倒引当金の特例の適用状況から法定繰入率の貸倒損失発生率との乖離等を指摘~H31.3.31期限切れの繰入限度額の割増措置については適用対象を問題視~

《速報解説》 会計検査院、中小企業等の貸倒引当金の特例の適用状況から 法定繰入率の貸倒損失発生率との乖離等を指摘 ~H31.3.31期限切れの繰入限度額の割増措置については適用対象を問題視~   Profession Journal編集部   会計検査院は平成30年11月30日付けで「租税特別措置(中小企業等の貸倒引当金の特例)の適用状況及び検証状況について」を公表、会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告として、中小企業等の貸倒引当金の特例(措法57の9)の適用状況と減税額、及び関係省庁によるこの特例の検証状況をめぐる検査結果を明らかにした。 今回検査対象となった「中小企業等の貸倒引当金の特例(措法57の9、措令33の7)」は、中小企業又は公益法人等若しくは協同組合等について、一括評価金銭債権(売掛金、貸付金等の一般的な金銭債権)の繰入限度額の計算において、過去3年間の貸倒実績率を用いた原則的方法に代えて、①事業区分ごとの法定繰入率(※1)を用いてその額を計算できる簡便的な方法が認められる措置であり、さらに②公益法人等又は協同組合等の場合、これら計算による繰入限度額からさらに10%の割増を受けられるというもので、②については平成31年(2019年)3月31日までの時限措置となっている(※2)。 (※1) 事業区分ごとの法定繰入率は以下のとおり。 ・卸売及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む):10/1000 ・製造業(電気業、ガス業等を含む):8/1000 ・金融保険業:3/1000 ・割賦販売小売業等:13/1000 ・その他の事業:6/1000 (※2) 平成29年度税制改正により割増率12%→10%への引下げ及び適用期限の2年延長(H29.3.31→H31.3.31)が行われている(詳しくはこちら)。 今回の検査によると、まず①の繰入率特例について、財務省の説明によれば「法定繰入率が必ずしも貸倒実績率に比べて有利となるわけではなく税負担の軽減又は繰延べを行う措置ではない」とし、昭和60年(1985年)度以降、法定繰入率の見直しは行われていないが、会社標本調査の対象となった内国普通法人を対象として(※3)、事業区分ごとの貸倒損失発生率(※4)を算出したところ、下表のように全事業区分において法定繰入率が貸倒損失発生率を大幅に上回っており、特に金融保険業では法定繰入率が貸倒損失発生率の30倍高い状況にある結果となった(報告書p17)。 (※3) 農業協同組合等、信用金庫等及び信用組合等についても貸倒実績率を調査したところ、537対象法人のうち402法人の貸倒実績率が1000分の0.1となっている(報告書p18)。 (※4) 平成23終了事業年度から27終了事業年度までの各終了事業年度について、事業区分ごとにそれぞれの年度に計上した貸倒損失額等が、それぞれの年度の期末一括評価債権額に占める割合を算出し、算出した割合の5か年度分の合計を5で除することで算出。 〈事業区分ごとの法定繰入率及び貸倒損失発生率〉 上記検査結果を踏まえ、報告書では「このように、法定繰入率と貸倒損失発生率との間に大幅なかい離があることなどから、繰入率特例における繰入限度額は合理的に測定されるなどしたものとなっているとはいえないおそれがあると認められる。」としている。 次に②の割増特例については、まず割増特例の目的を「割増特例対象法人について、貸倒引当金の繰入限度額を引き上げることにより財務基盤を強化することなどとされており、財務基盤を強化するためには、内部留保を充実させることが必要であるといわれている」とした。 その上で、e‐Taxデータ(平成27終了事業年度)を基にした分析等を行ったところ、割増適用金融機関(※5)277法人における割増適用減税額は計18億1,472万余円となっており、割増特例を適用している法人1,285法人に係る割増適用減税額の97.6%を占めている点、また割増適用金融機関の多くについて、自己資本比率が銀行平均値である10.7%以上となっており、利益剰余金の額が平均利益剰余金(※6)である8億8,649万円以上となっていることなどから、「その財務基盤は充実していると思料される」との見解を示し「財務基盤の強化を図るという割増特例の目的に照らして、割増特例の対象が必要最小限のものとなっているとはいえないおそれがあると認められる」とした。 (※5) 割増特例を適用している協同組織金融機関(協同組合等であって金融保険業を営む法人である信用金庫等、信用組合等及び労働金庫等並びに預貯金取扱金融機関である農業協同組合等、漁業協同組合等及び農林中央金庫) (※6) 「法人企業統計調査結果(平成27年度)」(財務省)における「金融業、保険業」の平均利益剰余金の額 今回の検査結果から明らかとなった上記のような実態について、会計検査院は、関係省庁による政策評価に基づく検証が一部行われていなかった又は効果的ではなかったと指摘(報告書p31)、所見として以下のようにまとめている。 特に割増特例は来年3月31日で期限切れとなることから、平成31年度税制改正大綱の取りまとめにあたり、その延長可否について議論が行われているだろう。今回の報告がどのような影響を与えるのか、今後の情報に注視されたい。 (了)

#No. 296(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/12/05

《速報解説》 消費税率の引上げに伴う価格設定についてのガイドライン、公表される~ポイント還元など支援予定の記載も~

《速報解説》 消費税率の引上げに伴う価格設定についてのガイドライン、公表される ~ポイント還元など支援予定の記載も~   Profession Journal編集部   消費税率10%引上げ前後の景気変動を抑制する方策については、自由民主党政務調査会・経済成長戦略本部が11月20日付けで政府に対し「消費税率引上げに伴う対策について」として、その具体的措置を織り込んだ申入れを行っており、政府内での検討も大詰めに入っているが、事業者としても来年10月以降の売上減を避けるため、その前後で値引きセールなどの実施を検討したいところ。だが一方で、「消費税はいただきません」といった“消費税還元セール”は消費税の適正な転嫁を阻害するとして消費税転嫁対策特別措置法によって禁止されており、悩ましい問題を抱えている。 このほど関係官庁は連名で、「消費税率の引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」を政府広報オンラインにて公表、事業者が2019年10月前後に行う価格設定に関し、その指針を示した。 ガイドラインではまず、欧州諸国では付加価値税導入後に税率の引上げを積み重ねているが、どのようなタイミングでどのように価格を設定するかは事業者それぞれが自由に判断しているため、税率引上げの日に一律一斉に税込価格の引上げが行われることはなく、大きな駆け込み需要・反動減は発生していないと説明している。 これを踏まえ、冒頭述べたように、消費税率引上げ後に小売業者が値引きを行う場合、消費税転嫁対策特別措置法により消費税と直接関連した形で宣伝・広告を行うことは禁止されているものの、事業者の価格設定のタイミングや値引きセールなどの宣伝・広告自体を規制するものではないとし、例えば、「10月1日以降〇%値下げ」「10月1日以降〇%ポイント付与」などと表⽰することは問題ないとした。 (※) 政府広報オンラインより さらに中小・小規模小売事業者に対しては、消費税率引上げ後の⼀定期間に限り、ポイント還元といった新たな手法などによる支援措置を行う予定であるため、消費税率引上げ前後に需要に応じて柔軟に価格設定できる幅が広がるようになるとし、大企業に対しても、消費税率引上げ後、自らの経営資源を活用して値引きなど自由に価格設定を行うことに何ら制約はないとしている。 ただし、消費税率引上げ後に講じられる一定の支援措置は消費の平準化を図るためのものであるため、事実に反して、消費税率引上げ前に「今だけお得」といった表示を行うことは、消費者に誤認を与え駆け込み購入を煽る行為として景品表示法に違反する可能性があるとしているため注意が必要だ。 なお、価格表示については、消費税転嫁対策特別措置法に規定する総額表示(税込価格の表示)義務の特例として「事業者が表示する価格が税込価格と誤認されないための措置を講じているときは、税抜価格を表示できる」と規定しており、この取扱いについて特に変更はないとのことだ。 (※) 軽減税率の実施に伴う価格表示については、既報のとおり本年5月に指針となる情報(消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について)が中小企業庁等から公表されているため、こちらも合わせて確認しておきたい。 (※) 政府広報オンラインより このように政府としては、事業者の自由な価格設定(自由競争)を促進することにより景気変動の抑制を図っていると考えられるが、転嫁対策法の規定を緩和するものではなく、上記のように消費税の適正転嫁を阻害するようなセール表示は禁止されており、また事業者間取引において消費税増税分の減額を求めるといった行為についても引き続き転嫁Gメンによる監視や関係機関による周知を厳格に行うことも明らかにしている。 (※) 政府広報オンラインより (了)

#No. 296(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/12/04

《速報解説》 「監査上の主要な検討事項」(KAM)の記載事項を織り込んだ改正監査証明府令等が公布される~原則平成33年3月31日以後終了年度から適用も経過措置規定あり~

《速報解説》 「監査上の主要な検討事項」(KAM)の記載事項を織り込んだ 改正監査証明府令等が公布される ~原則平成33年3月31日以後終了年度から適用も経過措置規定あり~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年11月30日、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令及び企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第54号)が公表された。「『財務諸表等の監査証明に関する内閣府令』の取扱いに関する留意事項について(監査証明府令ガイドライン)」の一部改正も行われている。 これにより、平成30年9月26日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、「監査基準の改訂に関する意見書」(企業会計審議会、平成30年7月5日)により、監査報告書において「監査上の主要な検討事項」を記載することなどを受けたものである。 「『財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)』等に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」が公表されているので、監査証明府令の理解に資するものと考えられる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」の一部改正 監査報告書等の記載事項について、次のように規定する。 2 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の一部改正 「企業内容等の開示に関する内閣府令」19条の臨時報告書の記載内容等に関する改正である。   Ⅲ 適用時期等 改正後の府令は公布の日(平成30年11月30日)から施行する。 以下の経過措置が規定されている。 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の一部改正に伴う経過措置も規定されている。 (了)

#No. 296(掲載号)
#阿部 光成
2018/12/03

プロフェッションジャーナル No.296が公開されました!~今週のお薦め記事~

2018年11月29日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.296を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2018/11/29

これからの国際税務 【第10回】「ポストBEPSにおける『税の安定性プロジェクト』の進捗」

これからの国際税務 【第10回】 「ポストBEPSにおける『税の安定性プロジェクト』の進捗」   早稲田大學大学院会計研究科 教授 青山 慶二   1 増幅が懸念される「税の不安定性」リスクへの対応 BEPSプロジェクトの成果物は、国際課税ルールの間隙をついて二重非課税の便益を不当に得ている多国籍企業をターゲットにした各種処方箋であり、BEPS防止措置実施条約の締結や移転価格税制の改正などがその具体例である。 しかし、近年はBEPSプロジェクト以前から、二重課税事案の解決のための相互協議が増加しその解決が遅延していることが問題視されていたことから、新規の処方箋については、その解釈・適用の如何によっては新たな二重課税リスクを追加し、納税者・当局の双方にとって予測可能性をさらに弱めることが懸念されていた。条約における主要目的テスト(PPT)や評価困難な無形資産への移転価格税制の適用など、BEPSが新規導入した課税メカニズムの中には、各国での経験が豊かとはいえないものも含まれていることも、その懸念を増幅させていたのである。加えて、BEPSの実行段階において、国内法制の整備に際してBEPS合意の枠を超えた一国限りの立法も急に目立ち始めた。 G20の政治リーダーシップをバックにした「税の安定性(Tax Certainty)プロジェクト」は、そのような状況下での税の不安定がもたらす諸リスクを解消すべく、BEPSプロジェクトの推進主体であるOECD等の国際機関によって、BEPSと並行的に取り組まれている。納税者からの期待の高い分野であるので、今回は本プロジェクトの理念と代表的なプログラムを紹介する。   2 税の安定性確保に向けた3つの設計指針 本プロジェクトは、国際課税の文脈では、国境越えの貿易及び投資に悪影響を及ぼす二重課税発生等の不安定性を除くことに尽きるが、そのための施策設計に当たっての3つの指針を、以下の通り示している。 まず1つ目は、各国の税制立法において複雑性を除去し明確な条文とすることであり、手続き上は立法過程での事前コンサルテーションや遡及適用の回避などが求められている。2つ目は執行段階の留意点であり、税務当局によるタイムリーな解釈通達の開示や、個別案件における事前合意を含む納税者指導が内容とされた。また、3つ目は、効率的な紛争解決メカニズムの装備であり、BEPS行動14でミニマムスタンダードとされた諸施策の実行を内容としている。 そして、国際機関の下での取り組みでは、共有した課税情報の調和された評価に向けたプログラムと、国際合意に沿った調和された課税を実現する方向で途上国の弱い立法・執行能力に対し実施する支援プログラムが進行中であるので、以下に代表的なものを紹介する。   3 特に注目すべきパイロットプロジェクト (1) 国際コンプライアンス保証プログラム(ICAP) 国際コンプライアンス保証プログラム(ICAP:International Compliance Assurance Programme)とは、OECDの税務長官会議を構成する主要8ヶ国(我が国を含む)による、課税上低リスクの多国籍企業にコンプライアンス上の安心感を保証するパイロットプログラムである。 ICAPは、具体的には、国別報告書(グループ企業の国別の収入、税引前利益、納税額、従業員数、保有資産等を開示するもの)をはじめとした多国籍企業グループの活動情報に基づき、税務リスクの有無について協調した評価をグループ企業の所在地国当局間で合意することにより、低リスクと認定された場合には、事後2年間は関係国による照会や調査などの接触をしないで済ませるというスキームである。ただし、その分析に際しては国別報告書のみならずマスターファイル、ローカルファイル、バリューチェーン分析、税務上の和解等の資料も共有して行うこととされている。 本来は、課税主権のもとで課税リスクの評価は各国が勝手に行う建前であり、その結果同じ事実について評価が異なることにより二重課税が発生すると、厄介な事後的紛争解決手続きが不可欠とされてきた。このプロセスでの税務コストは納税者と当局の双方にとって膨大であり、改善が求められてきていたのである。 各国から保証レターが発出されることにより確定される強力なリスク評価の保証の対象となるのは、当面、移転価格と恒久的施設帰属所得が中心であるが、将来はその他の項目への拡大も予定されている。また、ICAPのメリットとしては、上記のリスク評価過程に納税者も参加でき、当局における国別報告書等の活用のされ方を知ることができる点も挙げられる。 なお、申請者はノーリスク・低リスクだと思っていたが、検討してみると税務リスクが認識された場合には、より詳細で包括的なリスク評価手続きが用意されている。すなわち、すぐに各国の調査に委ねるわけではなく、ICAPの枠内で参加国の協調した調査により対応し、二重課税リスクは極小化される方向となっている。 (2) 途上国における税の協調のためのプラットフォームとツールキット 途上国における税の安定性を図るための特別なプロジェクトの代表として、「税の協調のためのプラットフォーム(PCT)」に向けた各種ツールキット(施策マニュアル)の作成が挙げられる。 G20の開発ワーキンググループからのmandate(委任)によりPCTを立ち上げたのは、IMF、OECD、国連、世銀グループであり、そこでは、国際法人課税で8つの領域を特定して、途上国にとって立法・執行のガイダンス文書となる各ツールキットが起草されつつある。現在2つのツールキットが公開済みで、残りは今後2年間で完成する予定である。 公開済みのものは、まず投資奨励策の立法及び施行に関するツールキットであり、これはインセンティブ税制の制度設計と執行に関するもので、最も早く2015年に公表された。次に、移転価格の比較対象データの入手困難性への対応に関するツールキットが2017年に起草されたが、これには中間財として売買される鉱物資源の値付に関する情報ギャップへの対応も含まれており、いずれも途上国側のニーズが高い項目である。 今後公表予定のツールキットは、①持分のオフショア間接譲渡への課税に関するもの、②効果的な移転価格文書化の実施に関するもの、③条約交渉に関するもの、④税源浸食の支払手への対応に関するもの、⑤サプライチェーン再編に関するもの、⑥BEPSリスク評価に関するものであり、いずれも、多国籍企業が途上国で直面する税リスクについて、協調的な理解を促進し、納税者に税の安定性を保証する方向に貢献することが期待される項目である。 (3) 我が国多国籍企業の対応 ICAPパイロットへの申請者名は守秘義務により開示されていないが、本年中にはその成果のとりまとめが公表され、今後の本格実施が呼びかけられよう。また、各種ツールキットの作成過程では、ビジネスからの貢献も求められている。 税の安定化プロジェクトは、納税者・当局双方の協調の下にコンプライアンスリスクを低下させ人的資源の効率的活用に資する点で、双方にとってウィン・ウィンのプロジェクトである。租税回避性向の低いと評価されている我が国多国籍企業にとっては、今後の活用や貢献が大いに期待される領域といえよう。 (了)

#No. 296(掲載号)
#青山 慶二
2018/11/29

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【第2回】「法人税の課税所得計算と損金経理(その2)」

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【第2回】 「法人税の課税所得計算と損金経理(その2)」   国際医療福祉大学大学院准教授 税理士 安部 和彦   (3) 損金にならない不正な支出 前回(1)で触れた「通常性」の要件を満たさないと考えられる不正な支出のうち、加算税や延滞税等は、所得税法の場合と同様に、損金算入が否定されている(法法55③④)。具体的には、延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、印紙税の過怠税、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、罰金、科料、過料、国民生活安定緊急措置法・独占禁止法・金融商品取引法・公認会計士法による課徴金及び延滞金である。 また、上記に加え、通常性の要件を満たさないと考えられる不正な支出については、平成6年の最高裁決定(最高裁平成6年9月16日決定・刑集48巻6号357頁[株式会社エス・ヴイ・シー事件(※1)])等を受けて、平成18年度の税制改正で以下の通り新たな規定が設けられ、損金算入が否定されている(法法55)。 (※1) 本件で問題となった「脱税協力金」は収益獲得に貢献するものではないから、企業会計上の「費用」には該当せず、そのような支出につき損金算入を認めることは公正処理基準に反するといえるだろう。 第一に、内国法人が所得の金額もしくは欠損金額又は法人税の課税要件事実の全部又は一部の隠蔽・仮装により法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合には、その隠蔽・仮装行為に要する費用の額、又はそれにより生ずる損失の額は損金に算入しないこととなった(法法55①)。当該規定は、法人が納付すべき法人税以外の租税にも準用される(法法55②)。 第二に、内国法人が供与する刑法第198条に規定する賄賂又は不正競争防止法第18条第1項に規定する金銭その他の利益の合計額に相当する費用又は損失の額は、損金に算入しないこととなった(法法55⑤)。 また、平成21年度の税制改正で、外国もしくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずる、独占禁止法の課徴金及び延滞金に類するものについても、損金に算入しないこととなった(法法55④三カッコ書)。 更に、平成27年度の税制改正で、景品表示法の規定による課徴金及び延滞金についても、損金に算入しないこととなった(法法55④六)。 損金に算入されない不正な支出をまとめると、以下の表の通りとなる。 〇損金に算入されない不正な支出の一覧表   (4) 資本等取引と損金 前回(1)で触れた、法人税法第22条第5項の「資本等取引」と損金とは、どのような関係にあるのであろうか。 資本等取引とは、出資や配当といった、法人と株主との間の取引と、設立・解散・分割・合併といった法人の組織再編に関するものに分類することができる。ここで損金の意義を規定した同条第3項第3号を確認すると、以下の通りとなっている。 当該事業年度の損失の額で資本等取引の以外の取引に係るもの 上記規定から明らかなとおり、資本等取引は損金から除外されていることが分かる。これは益金の規定である同条第2項で、資本等取引を益金から除外しているのと同様である。要するに、法人税法においては、資本等取引からは益金も損金も発生しないのである。法人税法における当該規定は、基本的に企業会計における資本取引・損益取引区分の原則(企業会計原則第一・三(※2))に準拠しているものと考えられる。 (※2) 「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」 ただし、学説上は、資本等取引の中には、現物配当やデットエクイティスワップ(DES)、自己株式の取得のように、損益取引の要素を含んだ取引も存在するが、当該取引は資本等取引と損益取引の混合取引であるとして、損益取引の要素からは損益が生じるので課税すべきとするものが有力である(※3)。 (※3) 金子宏『租税法(第二十二版)』(弘文堂・2017年)328頁。 (了)

#No. 296(掲載号)
#安部 和彦
2018/11/29

企業の[電子申告]実務Q&A 【第13回】「e‐Taxの送信容量の拡大・受付時間の拡大」

企業の[電子申告]実務Q&A 【第13回】 「e‐Taxの送信容量の拡大・受付時間の拡大」   SKJ総合税理士事務所 税理士 坂本 真一郎   ●○●○解説○●○● (1) 送信容量の拡大 e‐Taxシステムへのデータ送信容量については、2019年1月以後の申告から、送信1回当たり、申告書についてはXML形式で現状(10メガバイト)の2倍となる20メガバイト(約5,000枚)、添付書類についてはイメージデータ(PDF形式)で現状(1.5メガバイト)の5倍以上となる8メガバイト(約100枚)の送信が可能になります。 また、申告書データ(XML形式)については通常1回限りの送信となりますが、イメージデータ(PDF形式)の場合には、申告書データと同時に送信する「同時送信方式」に加えて、申告書データを送信した後に追加で送信する「追加送信方式」が最大10回まで可能となっているため、2つの方式を併用すれば最大11回まで送信が可能です。 したがって、添付書類をイメージデータ(PDF形式)で送信する場合には、1回あたりの送信容量となる8メガバイト×11回で最大88メガバイトの送信が可能ということになります。 【e‐Taxの送信容量の拡大】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (出典:e-Taxホームページ) (2) 受付時間の拡大 e‐Taxシステムにログインして申告等データを送信したり、メッセージボックスを確認したりすることができる時間帯(「e‐Taxの受付時間」)については、サービス開始以降、順次拡大が図られてきました。 例えば、2009年1月以降は確定申告期間中(1月中旬から3月中旬)の「24時間受付」が始まり、2013年8月以降は、8時30分~21時00分までだった平日(月曜日~金曜日)の受付時間が8時30分~24時00分までに延長されました。また、2016年5月からは、法人税申告書の提出件数が多い5月、8月、11月の最終土日にe‐Taxの受付がスタートしました。 さらに、今回の見直しにより、2019年1月以降は、これまで確定申告期間中のみに行われていた「24時間受付」が平日(月曜日~金曜日)すべてに拡大されるとともに、土日についても、特定月の最終土日のみの受付が毎月の最終土日の受付(8時30分~24時00分)へと拡大されます。 なお、受付時間の拡大は2019年1月以降に実施される予定です。 【e‐Taxの受付時間の拡大】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (出典:e-Taxホームページ) (了)

#No. 296(掲載号)
#坂本 真一郎
2018/11/29

外資系企業の税務Q&A 【第3回】「日本にPEを有しない外国法人が日本国内で商品の仕入・販売を開始する場合の消費税の取扱い」

外資系企業の税務Q&A 【第3回】 「日本にPEを有しない外国法人が日本国内で商品の仕入・販売を開始する場合の消費税の取扱い」   公認会計士・税理士・米国公認会計士 中島 崇賢   Q 当社は外国法人です。世界各国に子会社があり、日本にも100%子会社を有しています。当社は、日本に支店等の恒久的施設(PE)を有していません。 これまで日本子会社は、日本国内で機械部品を購入し、それを日本国内の法人顧客に販売する、というビジネスを行っていました。 今般、事業上の理由から、当社が継続的に日本子会社と日本の顧客との間に入り、当社が日本子会社から日本国内に所在する機械部品を購入し、それを日本の顧客に販売する、という商流に変更しました。日本の顧客との契約書上の契約者も当社に変更しました。当社は単なる名義人ではなく、顧客との交渉等を米国から行っています。 機械部品は、日本子会社から日本の顧客に直送しています。 当社は日本にPEを有しなくても、この商流変更により消費税の納税義務を負うのでしょうか。 なお、当社に係る状況は下記のとおりです。   A 以下、1期から5期の期間範囲については、後掲の図表をご参照下さい。貴社は、消費税課税事業者選択届出書を提出しない場合は、平成30年12月期(3期)は免税事業者、平成31年12月期(4期)は免税事業者と課税事業者のどちらかを任意に選択でき、平成32年12月期(5期)以降は課税事業者に該当します。なお、消費税課税事業者選択届出書を平成30年12月期中(3期)に提出すれば、平成30年12月期(3期)から課税事業者となることができます。   解 説 1 はじめに 「PEなければ課税なし」という言葉から、PEがなければ消費税の納税義務も負わないと誤解されているケースが見受けられる。 「PEなければ課税なし」とは、非居住者または外国法人が、我が国において行う事業について、我が国にPEを有していなければ事業所得について課税を行わないとする国際的な課税原則のことをいう。 消費税は事業所得に係る課税ではなく、PEを有しない外国法人でも納税義務が生じることがあるので留意が必要である。   2 消費税の課税対象 消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取りである(消法2、4)。 資産の譲渡が、国内で行われたかどうかの判定は、原則として、その譲渡が行われる時においてその資産が所在していた場所が国内にあるかどうかにより行う(消法4③一)。 今回のケースでは、貴社はその譲渡が行われる時において国内に所在している資産の仕入・販売をしているので、貴社が行う仕入と販売の両方が消費税法上の課税の対象となる。   3 外国法人の納税義務判定に係る留意点 今回のケースにおいて、上述のとおり、消費税の課税の対象となる取引が発生するため、貴社が消費税の納税義務があるかについて判定を行う必要がある。外国法人の納税義務判定に係る主な留意点としては下記があげられる。 (1) 新設外国法人の納税義務 新たに設立された法人は基準期間がないため、設立1期目と2期目は原則として免税事業者となる(消法9①)。しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金が1,000万円以上である法人や特定新規設立法人は、その基準期間がない事業年度について納税義務は免除されないこととされている(消法12の2①、12の3①)。 また、事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合において、その事業年度に係る特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるときは、その事業年度について納税義務は免除されない(消法9の2①)。 条文上、内国法人と外国法人は区別されておらず、外国法人であっても、本国において設立されてから2年間は、日本国内において取引を行う場合は新設法人に該当する。 ただし、今回のケースでは、日本で取引を開始する平成31年12月期(3期)において、貴社は外国で設立されてから3年目であり、基準期間がない法人には該当しない。 (2) みなし事業年度 外国法人が国内において恒久的施設の創設・廃止を行う場合や、人的役務の提供に係る事業を行う場合には、事業年度を区切る(みなし事業年度の適用を受ける)こととされている(消法2①十三、法法14①二十三・二十五)。 ただし、今回のケースでは、上記に該当しないため、みなし事業年度の適用は受けない。   4 納税義務判定 (1) 3期目(平成30年1月1日から平成30年12月31日)の納税義務判定 (a) 基準期間による判定 日本で課税取引が開始される3期目については、前々事業年度である1期目が基準期間となる。基準期間が存在するため、新設法人の規定は適用されない(消法12の2①)。したがって、1期目の課税売上高により判定することになるが、1期目に課税売上高は発生していないため、免税事業者に該当する。 (b) 特定期間による判定 3期目に係る特定期間は、前事業年度(2期)の開始の日以後6月(平成29年1月1日から平成29年6月30日)となり(消法9の2④二)、この期間の課税売上高で判定される。当該期間の課税売上高は発生していないため、免税事業者となる。 (2) 4期目(平成31年1月1日から平成31年12月31日)の納税義務判定 (a) 基準期間による判定 4期目については、前々事業年度である2期目が基準期間となる。基準期間が存在するため、新設法人の規定は適用されない(消法12の2①)。したがって、2期目の課税売上高により判定することになるが、2期目に課税売上高は発生していないため、免税事業者に該当する。ただし、下記のとおり、特定期間による判定の方法次第では、課税事業者となるので留意が必要である。 (b) 特定期間による判定 4期目に係る特定期間は、前事業年度(3期)の開始の日以後6月(平成30年1月1日から平成30年6月30日)となり(消法9の2④二)、この期間の課税売上高で判定される。当該期間の課税売上高は1,500万円であり、1,000万円を超えているため、課税事業者となる。ただし、課税売上高に代えて、特定期間の給与等支払額(0円)で判定する場合(消法9の2③)には、1,000万円以下となるため、免税事業者となる。どちらの基準で判断するかは法人の任意である。 (3) 5期目(平成32年1月1日から平成32年12月31日)の納税義務判定 (a) 基準期間による判定 5期目については、前々事業年度である3期目が基準期間となる。したがって、3期目の課税売上高により判定することになる。3期目の課税売上高は4,500万円(500万円×9月)であり、1,000万円を超えているため、課税事業者となる。 (b) 特定期間による判定 特定期間による判定は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下である事業者に対して事業者免税点制度を不適用とする特例である。したがって、当該基準期間における課税売上高がもともと1,000万円を超えている場合は、特例制度の適用はなく、原則(消法9①)に基づいて判定される。よって、上述の基準期間による判定に基づき、貴社は課税事業者となる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   5 消費税課税事業者選択届出書の適用開始時期 免税事業者が、「消費税課税事業者選択届出書」を、「国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に提出する場合は、原則と異なり、その提出があった日の属する課税期間以後の課税期間について、課税事業者となることができる(消法9④、消令20一)。国外取引のみを行っていた法人が、新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間もこれに含まれる(消基通1-4-7)。 ここで、貴社の状況を勘案すると、貴社は、当該届出書を、平成30年12月期中(3期)に提出すれば、平成30年12月期(3期)から課税事業者となることができる。当該届出書を提出し忘れることにより、本来受けられるべき還付が受けられなくなるということもありえるため、注意が必要である。また、一度課税事業者を選択すると2年間は課税事業者となるため(消法9⑥)、今後の事業計画等を考慮して検討する必要がある。   6 消費税の申告手続き (1) 納税地はどこか 国内に事務所等を有しない外国法人が課税事業者となる場合の納税地は、下記のとおり決定される(消法22三、消令43)。 また、国内に事務所等を有しない外国法人が、納税申告書を提出する必要があるときは、納税手続きを代行させるため、納税管理人を選任し、所轄する税務署長に届け出る必要がある(通則法117)。 納税地の選択は、基本的に、外国法人にとって利便性のよい場所を選べばよい。したがって、貴社の場合は、日本子会社や納税管理人の住所等を納税地とすることで問題ないと考えられる。 (2) 消費税申告書の提出時期 課税事業者となる外国法人は、原則として、課税期間の末日の翌日から2月以内に消費税及び地方消費税の確定申告書を提出し、その申告に係る消費税額等を納付しなければならない(消法45、49)。   (了)

#No. 296(掲載号)
#中島 崇賢
2018/11/29

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第32回】「別表6(19) 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(19)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」〈その2〉

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第32回】 「別表6(19) 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(19)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」〈その2〉   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第31回目からは、平成29年度をもって終了する従来の雇用促進税制(地方拠点強化税制における雇用促進税制へ改組)、及び平成30年度の税制改正により見直しが行われたことによりその様式も改正された、地方拠点強化税制における雇用促進税制の別表をあらためて採り上げており(※)、改正点を踏まえながらその適用パターンごとに分けて順次解説している。 (※) 改正前の様式については【第10回】及び【第11回】を参照。   Ⅱ 概要 この別表は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の12第1項ないし第2項(特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)又は平成30年改正前の措置法第42条の12の2第1項から第3項まで(特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の規定(平成28年改正後の「雇用促進税制」)の適用を受ける場合に作成する。 このうち、従来の雇用促進税制については前回解説したところであるが、地域再生法に基づき都道府県知事が認定する「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」(拡充型計画(※1)又は移転型計画(※2))を実施する法人は、従来の雇用促進税制の上乗せとして以下の税制優遇(地方事業所税額控除)が受けられる。 (※1) 拡充型計画とは、地域再生法第17条の2第1項第2号に掲げる事業に関する地方活力向上地域特定業務施設整備計画をいう。地方に本社等を置く企業が本社等を増築する場合や、東京23区以外に本社等を置く企業が地方都市に本社等を移転する場合などが該当する。 (※2) 移転型計画とは、地域再生法第17条の2第1項第1号に掲げる事業に関する地方活力向上地域特定業務施設整備計画をいう。東京23区に本社等を置く企業が地方都市に本社等を移転する場合などが該当する。 (※3) 本制度は前回解説した適用要件のうち、②の「基準雇用者数を適用年度開始の日の前日における雇用者(当期末において高年齢雇用者に該当する者を除く)の数で除した数(基準雇用者割合)が10%以上であること。」の要件以外の要件を満たせば適用はできるが、②の要件をあわせて満たす場合は、それぞれ括弧書きの上乗せ金額となる。 (※4) 地方事業所基準雇用者数とは、適用年度開始の日から起算して2年前の日からその適用年度終了の日までの間に拡充型計画又は移転型計画の認定を受けた法人が地方活力向上地域において整備した地域再生法に規定する特定業務施設のみをその法人の事業所とみなした場合における基準雇用者数として所定の証明がされた数をいう。 なお、ここでいう特定業務施設とは、調査・企画部門、情報処理部門、研究開発部門、国際事業部門、その他管理業務部門のいずれかを有する事業所又は研究所もしくは研修所であって重要な役割(いわゆる本社機能)を担う事業所をいう。 (※5) 新規雇用者総数とは、特定業務施設においてその適用年度に新たに雇用された雇用者でその適用年度終了の日においてその特定業務施設に勤務する者の総数(その適用年度の地方事業所基準雇用者数を上限とする)として所定の証明がされた数をいう。 (※6) 特定新規雇用者数とは、その法人が受けた地域再生法の認定に係る特定業務施設において適用年度に新たに雇い入れた無期雇用かつフルタイム(注)の雇用者でその適用年度終了の日においてその特定業務施設に勤務するものの数として所定の証明がなされた数をいう。 (注) 無期雇用とは労働契約法(平成19年法律第128号)第17条第1項に規定する有期労働契約以外の労働契約を締結していることをいい、フルタイムとは短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)第2条に規定する短時間労働者でないことをいう。 なお、移転型計画の認定を受けた法人で本制度の適用を受ける場合、その適用を受ける事業年度以後の各適用年度において、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、次の特例措置(地方事業所特別税額控除)が適用できる。 (※7) 地方事業所特別基準雇用者数とは、適用年度開始の日から起算して2年前の日からその適用年度終了の日までの間に移転型計画の認定を受けた法人のその適用年度及びその適用年度前の各事業年度のうち、その計画の認定を受けた日以後に終了する各事業年度のその法人が地方活力向上地域に移転して整備した特定業務施設のみをその法人の事業所とみなした場合における基準雇用者数として所定の証明がされた数の合計数をいう。   [適用にあたっての注意点] 1 上記(Ⅰ)の控除税額は、適用事業年度の法人税額の30%相当額から、前回〈その1〉で解説した本体部分の控除税額と、地方拠点建物等を取得した場合の税額控除制度(措法42の11の2、旧措法42の12)による控除税額との合計額を控除した残額が上限となる。また、上記(Ⅱ)による控除税額は、これらと(Ⅰ)による控除税額との合計額を控除した残額が上限となる。 2 本拡充措置を適用するためには、確定申告書等に次の書類の添付が必要。 (1) 適用事業年度開始後2ヶ月以内に公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、適用事業年度終了後2ヶ月以内に都道府県労働局又は公共職業安定所で計画の達成状況についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写し (2) 控除の対象となる基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類   なお、以下の解説では前回の〈その1〉で解説した内容と重複する部分については極力その解説を省略しているので、必要に応じて〈その1〉もあわせてお読みいただきたい。   Ⅲ 「別表6(19)」「別表6(19)付表」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成30年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 ◆別表6(19) 〔認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に関する事項〕 〔地方事業所基準雇用者数に係る当期税額控除額の計算〕 〔地方事業所特別基準雇用者数に係る当期税額控除額の計算〕 ◆別表6(19)付表 〔基準雇用者数等の計算に関する明細〕 (了)

#No. 296(掲載号)
#菊地 康夫
2018/11/29

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第4回】「相続した不動産を社会福祉法人へ寄附した場合の課税関係」

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の 譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第4回】 「相続した不動産を社会福祉法人へ寄附した場合の課税関係」   公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香   - 質 問 - 父から相続した不動産を社会福祉法人に寄附したいと考えていますが、課税関係はどのようになりますか。   - 回 答 - 相続した財産を公益法人等に寄附した場合、当該寄附については相続財産から除外できることとなっています。 また、寄附をした日から4ヶ月以内に国税庁長官へ非課税承認申請を提出し、当該寄附が非課税の承認要件を満たす限り、譲渡所得非課税の適用を受けることができます。 なお、寄附をした年度の確定申告を行う際、寄附財産について寄附金控除の利用ができます。 ○●○◆ 解 説 ◆○●○ 相続人が相続等により取得した財産を相続税の申告期限までに国・地方公共団体、一定の公益法人に寄附した場合には、一定の要件を満たす限りにおいて、その寄附した財産については相続税が非課税となります(措法70)。 「一定の要件」とは、次の2つとなります。 相続税申告書に上記の租税特別措置法70条特例の適用を受ける旨を記載し、定められた添付書類と共に期限内に申告を行う必要があります。 さらに、当該寄附財産について、寄附をした日から4ヶ月以内に国税庁長官への非課税承認申請を提出すれば、他の一定の承認要件を満たす限り、非課税措置の適用を受けることができます(措法40①後段)。 なお、社会福祉法人は、国税庁長官に承認申請書を提出した日から1ヶ月以内(株式は3ヶ月)に、その申請について国税庁長官の承認がなかったとき、又は承認しないことの決定がなかったとき、その申請について承認があったものとみなされる「非課税承認特例」の対象法人に該当するため(措令25の17⑦⑧)、寄附をした者が当該法人の役員等並びにこれらの者の親族等に該当しないなど非課税承認特例の要件を満たす場合は、非課税措置ではなくこちらの承認特例制度を利用した方が手続が簡便であり、短期間で承認結果が判明します。 また、寄附をした年度の確定申告において、寄附金控除の適用を受けることもできます(所法78)。寄附金控除の額は、非課税措置の適用を受ける場合は寄附財産の取得価額となり、非課税措置の適用を受けない場合は寄附財産の時価相当額となります。 (了)

#No. 296(掲載号)
#中村 友理香
2018/11/29
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